北米太平洋時間2018年5月22日00:01,Razerは,ゲーマー向けノートPC「
Razer Blade」(以下,Blade)のフルモデルチェンジを発表した。従来の14型から新しく15.6型となった点で,別モノに生まれ変わったと言ってしまっていいだろう。
北米市場におけるメーカー想定売価は,スペックにもよるが1899.99〜2899.99ドル(税別)となっている。
アルミ製の筐体は変わらずだが,四隅が従来よりも鋭角になった
 |
15.6型になったことで筐体が大きくなったことを心配している人もいるかもしれないが,その底面サイズは公称355(W)
×235(D)mm。14インチ液晶パネルを採用していた従来のBladeだと同345
×235(D)だったので,実のところほとんど変わらない。四隅が角張りシャープな外観となったことで,感覚的にはむしろ小さく感じるほどだ。
ノートPC向け「GeForce GTX 1070 with Max-Q Design」もしくは「GeForce GTX 1060 6GB with Max-Q Design」と6コア12スレッド対応の「Core i7-8750H」を搭載し,畳んだ状態の厚みは公称17.3mm
(※GeForce GTX 1070 with Max-Q Design搭載時)もしくは16.8mm
(GeForce GTX 1060 6GB with Max-Q Design搭載時)。Razerは「
15.6型のゲーマー向けノートPCとして世界最小」と新型Bladeを位置づけ,わざわざ他社製品のサイズを列挙して「いかに小さいか」をアピールしていたりするのだが,それだけ従来製品が大きな14型ノートPCだったのを気にしていたのかもしれない。
他社製品とのサイズ比較。やはり最小16.8mmという薄さはインパクトがある
 |
天板を開けた状態も薄い。ちなみに天板部のRazerロゴは点灯/消灯を切り換えられるとのことだ
 |
 |
搭載するGPUとCPUのスペック的に気になるのは発熱とその処理だが,新世代BladeでRazerは冷却周りに相当な配慮を行っているとのことだ。
まず,ゲーマー向けノートPCの冷却機構でお馴染みとなっているヒートパイプの代わりに,マザーボードの半分以上を覆う巨大なVapor Chamber(ヴェイパーチャンバー)を採用。それによって本体後方2か所にある放熱フィン部へ熱を運び,それを特注のファン2基で筐体外へ排出する仕様だ。熱がキーボード側に伝わらないよう防ぐための素材も冷却機構には取り付けてあるという。
冷却機構の概要。ファンは0.1mmフィンを採用しているとのことなので,多少なりとも省電力と静音の効果がありそうだ
 |
冷却機構のVapor Chamberに寄ってみたところ(左)と,Razerがカスタムしたファン(右)
 |
 |
新開発の冷却機構を活かすべく,Razerは動作モードとして「Gaming Mode」を用意しているのだが,現時点で詳細は不明。おそらくファン回転数を上げてGPUを高い動作クロックで動作させやすくするものではないかと思われるが……。
搭載する15.6インチ液晶パネルはIPS方式で,左右の額縁(bezel)は4.9mm,新世代Bladeとして採用するのは,
- 解像度1920×1080ドット,垂直リフレッシュレート144Hz,sRGB 100%,ノングレア(非光沢)
- 解像度1920×1080ドット,垂直リフレッシュレート60Hz,sRGB 100%,ノングレア(非光沢)
- 解像度3840×2160ドット,垂直リフレッシュレート60Hz,Adobe RGB 100%,グレア(光沢),タッチ対応
の3種類。Razerによると,このうち
垂直リフレッシュレート144HzのフルHDパネル搭載モデルは日本市場への投入が確定しているとのことだ。
液晶パネルの仕様詳細(左)と,フルHDのノングレアパネルと4Kグレアパネルの比較(右)
 |
 |
そのほかハードウェア周りでは,デュアルチャネルアクセス仕様のメインメモリとM.2のスロットを搭載し,ユーザーがカスタマイズできるようになったとされているところと,表面にガラスを採用し,かつスペースを広く取って操作性を引き上げたタッチパッドを採用するところ,内蔵2chスピーカーによる「Dolby Atmos」対応を果たしたところあたりを新要素と紹介できるだろう。
本稿ですでに紹介済みのものも含めた新世代Bladeの新要素
 |
USB系のインタフェースはThunderbolt 3 Type-Cが1系統にUSB 3.1 Gen.2 Type-Aが3系統あるので,薄型ノートPCとしてかなり充実しているとは言える。Thunderbolt 3端子では,同時発表になった「Razer Core X」をはじめとするRazer Coreシリーズの外付けグラフィックスボックス対応だ。
ビデオ出力はMini DisplayPort 1.4
×1,HDMI 2.0b Type A
×1。有線LAN端子を相変わらず持たないのはゲーム用として残念だが,筐体サイズを考えるとやむを得ないか。
インタフェース一覧
 |
フルモデルチェンジで,全体としてより洗練された印象がある新世代Blade。かなりの注目を集めると思われるだけに,早期の国内発売を期待したいところだ。
キーボード(左)と付属のACアダプター(右)。ACアダプターは専用端子を仕様している
 |
 |
●新世代Razer Bladeの主なスペック
- CPU:Core i7-8750H(6C12T,定格2.2GHz,最大4.1GHz,共有L3キャッシュ容量9MB,UHD Graphics 630統合)
- チップセット:Mobile Intel HM370
- メインメモリ:PC4-21300 DDR4 SDRAM 16GB(※アクセスチャネル数未公開。メモリスロット2基でユーザーアップグレード可能)
- グラフィックス:GeForce GTX 1070 with Max-Q Design(グラフィックスメモリ容量8GB)もしくはGeForce GTX 1060 6GB with Max-Q Design(グラフィックスメモリ容量6GB)
※Optimus対応
- ストレージ:SSD(NVMe M.2接続,容量256GBまたは512GB,ユーザーレベルで2TBまでアップグレード可能)
- パネル:15.6インチIPS,解像度1920×1080ドット,垂直リフレッシュレート144Hz,sRGB 100%,ノングレア(非光沢) / 15.6インチIPS,解像度1920×1080ドット,垂直リフレッシュレート60Hz,sRGB 100%,ノングレア(非光沢) / 解像度3840×2160ドット,垂直リフレッシュレート60Hz,Adobe RGB 100%,グレア(光沢),タッチ対応
※4Kパネルは北米市場および英独市場のみ
- 無線LAN:IEEE 802.11ac+Bluetooth 5(Intel「Wireless-AC 9260」)
- 有線LAN:なし
- 外部インタフェース:Thunderbolt 3 Type-C×1,USB 3.1 Gen.1 Type-A×3,Mini DisplayPort 1.4×1,HDMI 2.0b Type A×1,4極&3極両対応3.5mmミニピン×1
- キーボード:英語配列(※Nキーロールオーバー対応)
- スピーカー:内蔵2chステレオ(※Dolby Atmos対応)
- マイク:内蔵2chステレオ(※アレイマイク)
- インカメラ:100万画素(1280×720ドット対応)
- バッテリー容量:80Wh
- ACアダプター:定格容量230W(※GeForce GTX 1070 with Max-Q Design搭載時)もしくは200W(※GeForce GTX 1070 with Max-Q Design搭載時)
- 公称サイズ:345(W)×235(D)×17.3(H)mm(※GeForce GTX 1070 with Max-Q Design搭載時),345(W)×235(D)×16.8(H)mm(※GeForce GTX 1060 6GB with Max-Q Design搭載時)
- 公称重量:2.07kg(※解像度1920×1080ドットパネル搭載時),2.15kg(※解像度3840×2160ドットパネル搭載時)
- OS:64bit版Windows 10 Home
 |