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ソフトウェア開発者向けセミナー「Intel Software Developer Day 2011」開催。Intelがアピールする「AppUp Center」とは
本稿ではAppUp Centerが何なのかを中心に,この基調講演の内容をお伝えしよう。
Netbook版「App Store」ともいえそうな「AppUp Center」
AppUp Centerは,日本国内では展開されていないため,読者のほとんどにとっては,耳慣れない言葉かもしれない。これは,Intelが2010年9月から始めたNetbook向けアプリを提供するオンラインストアである。いわば,「iPhone」や「iPad」における「App Store」のように,オンラインでソフトウェアを購入してインストールできるソリューションのNetbook版だ。
日本でAppUp Centerが展開されていないといっても,日本の開発者がAppUp Centerでソフトウェアの販売をすることは可能だ。海外にソフトを売りたいという開発者にとっては,興味あるテーマということになるのだろう。
AppUp Centerには,多数のアプリケーションが用意されているとのこと |
PCメーカーや販売店が自前のAppUp Centerをプリインストールし,ビジネス展開しているのだとか |
なお,AppUp Centerの特徴として挙げられるのは,ストアのフレームワーク自体が提供されているという点だ。購入者からすれば単なるアプリケーションストアなのだが,PCメーカーからすれば,独自のAppUp Centerをプリインストールし,ビジネス展開するといったことができるわけである。実際,ASUSTek Computerや富士通といったメーカーが自前のAppUp Centerをプリインストールして販売しているとApeland氏はいう。
AppUp Centerの日本語対応は2012年以降か
前述したとおり,日本のソフトウェア開発者もAppUp Centerで自作のソフトウェアを販売することが可能だ。Apeland氏は,「IntelのWebページからSDKをダウンロードして20行のコードを書くだけで世界中に販売できる」と,来場したソフトウェア開発者に対してアピールしていた。また,ソフトウェアの検証をするバリデーションプログラムなどの提供も行っており,わずかな労力でソフトウェアの販売が可能だと氏は述べる。
このことからも,IntelのAppUp Centerに対する力の入れ具合が分かるだろう。それでは,なぜIntelはAppUp Centerに注力するのだろうか。
AppUp Centerは,手数料として販売価格の3割をIntelが受け取る仕組みになっている。とはいえ,世界最大の半導体メーカーであるIntelにとって,AppUp Center自体は大きなビジネスではないと思われる。
コンピュート・コンティニュアムとは,サーバーからデスクトップ&ノートPC,タブレット,スマートフォン,組み込み機器まで,すべてをIA(Intel Architecture)でカバーしようという構想である。
基調講演でもApeland氏は,Windows,Android,そしてMeeGoなどさまざまなOSがIA上で動作すると述べ,「Architecture of Choice」という言葉でIntelの方向性を表現していた。
このコンピュート・コンティニュアムをなぞるように,AppUp Centerもマルチプラットフォーム対応を目指していると同氏はいう。中でも,MeeGooにおいてはAppUp Centerが中心的な役割を果たしていくことになるそうだ。
そんなAppUp Centerだが,先に述べたとおり,現時点では日本国内での展開がされていない。日本語化がいつになるのかをApeland氏に尋ねたところ,「スケジュールの詳細を現時点で話すことはできないが,2012年を目処に日本語環境の提供を行いたい」とのことだった。
というわけで,日本のエンドユーザーがAppUp Centerを利用できるようになるのは2012年以降になりそうである。ゲームカテゴリが人気と謳うだけあって期待しつつ待ちたいところだ。
ただ,その頃には,「Windows 8」が登場していそうだし,今以上にさまざまなアプリケーションストアも立ち上げられているかもしれない。いずれにしても,今後どのようにAppUp Centerが展開されていくのかという点には,軽く興味を持っておいてもいいのかもしれない。
AppUp CerterのWebページ(英語)
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