これまでの連載では,「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」(以下,SWG)が"スター・ウォーズのゲーム"であることから興味を持ったMMORPGの入門者に向けて,ゲーム内要素の紹介を行ってきた。連載後半では視点を変えて,MMORPGの経験者が気になる部分を中心に,この作品を解説していきたい。
「スターウォーズの世界を舞台としたMMORPG」と聞いたとき,カジュアルなゲーマーならば「あの世界で遊べるなんてスゴイ!」と思うことだろう。しかし,熟練ゲーマーが初めて耳にしたときに抱く印象は,もっとネガティブなものだと想像される。
深く知っていくたびに,この作品が"手っ取り早く儲けるために,テキトウに組み上げたようなゲームではない"ことが分かってくる。"スター・ウォーズ世界での生活とはどんなものか"を想像し,雰囲気や設定をできるだけ損なわないように注意しつつ,うまくMMORPGとして仕上げているのだ。とくに強調したいのは,これまでに見たことのない,実験的ともいえる新アイデアがふんだんに盛り込まれていることだ。「エバークエスト」(EQ)の成功の味を知っているSOEのやることだから,手堅くSW風味のEQを作るのだろうと甘く考えていたが,そうではなかった。
本物の最先端を求めるコアプレイヤーにとって,SWGはそんなドキドキできるエッセンスを持ったタイトルだったのである。
MMORPGは,総合的な力量を表す"キャラクターレベル"を上げていく「レベルベース」の成長システムを持ったものと,細分化された"技能"それぞれを上げていく「スキルベース」の成長システムを持ったものの2種類に大別されるという見方がある。とはいえ筆者には,スキルベースのインプルーブメントシステムを持った著名なMMORPGは,「ウルティマオンライン」(UO)ぐらいしか思い浮かばない。SWGと同様に,フル3Dグラフィックスで作られているEQ,「ダーク・エイジ・オブ・キャメロット」(DAoC),「ファイナルファンタジーXI」(FFXI)などは,レベルベースの作品だ。
職業の種類としては,基本的には6種類の初級職「スターティング・プロフェッション」と,25以上の上級職「アドバンスト・プロフェッション」が存在する。アドバンスト・プロフェッションになるには,指定されたいくつかのスターティング・プロフェッションスキルを獲得する必要がある。スターティング・プロフェッションは以下の6種類。
キャラクターメイキング時には,この中から一つを選択する。この選択は,一般的なMMORPGの最初のクラス選択とはまったく性質が違い,「まぁ,とりあえず一つ取っといてよ」ぐらいなもので,キャラクターの将来を決定するようなものではまったくない。やろうとすれば,ゲーム開始直後に初期スキルを放棄して,新しいものを習うことだってできる。SWGはクラスやスキルに縛られることのない,非常に自由度の高いゲームなのだ。
プロフェッションとは,特定の方向性を持ったスキルの集まりのようなものだ。例えばブローラーというプロフェッションは,片手持ち武器のスキル,両手持ち武器のスキル,素手による戦闘のスキル,棒状武器のスキルという四つのスキルから成り立っている。ブローラーになれば,これらのスキルを鍛えていけるようになる(画像1参照)。各スキルブランチの上部に表示されているのが,そのスキルを4段めまで獲得するとなれる可能性が生まれるアドバンスト・プロフェッションだ。
スターティング・プロフェッションの中で,SWGならではのものがエンターティナーだ。彼らはダンスや演奏をすることで,戦いによって溜まっていく慢性的な疲労値や,薬では治せないダメージを治療できる。さらにアドバンスト・プロフェッションのミュージシャンやダンサーになれば,ほかのキャラクターの特定能力値を増加させることも可能になる。戦闘の最中にリアルタイムで治療したり能力値増強を施したりするわけではないので,"戦いの真横でダンサーが踊っている"みたいな不自然な状況にはならない。そんな場面はスタ・ーウォーズにはあり得ない。このあたりはスター・ウォーズらしさが守られているのだ。
スキル獲得のために使用可能なスキルポイントの上限は250で,一つのアドバンスト・プロフェッションをマスターにするために必要なポイントは,92から169しかかからない。なのでうまく組み合わせれば,二つのプロフェッションを同時にマスターすることも可能だ。射撃系のプロフェッションを一つ伸ばしておけば,グループでのハンティングで足手まといになることはまずないので,それに生産系やエンターティナー系のプロフェッションを組み合わせるのがとりあえずはオススメだ。
中には「生産用には生産専用キャラクター,戦闘用には戦闘専用キャラクターを個別に作りたい」と考える人もいるかもしれない。SWGでは一つのサーバーに1アカウント1キャラクターしか作れないので,同じサーバーに二人のキャラクターを持ちたい場合は,アカウントを二つ確保する必要がある。通常は1アカウントでのプレイになると思われるので,やはり戦闘系と何かを組み合わせるのが良さそうだ。
とはいえ,プレイの中でスキルをやりくりしていくうちに,どうしてももっとキャラクターが欲しいと思うことはある。戦闘用スキルを複数極めた戦闘専門のキャラクターを作りたくなったり,それをサポートするミュージシャンとダンサーを同時にマスターしたキャラが欲しくなったり,商売の規模を拡大したくてマーチャントスキルを伸ばしたキャラクターを別に用意したくなったり……。SWGの魅力にとりつかれ,2アカウント,3アカウント,もしくはそれ以上のアカウントを入手してしまったプレイヤーは,英語版においては決して少数でなかったことは付記しておこう。
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