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 前回は結婚/二世育成をテーマとしたリプレイの前編をお届けしたが,そちらは一旦お休みにして,今回は数ある新要素の中でも目玉要素である"新シナリオ"を一つずつ解剖していく。それぞれのシナリオが始まる前後の時代背景と,実際にそのシナリオでカギを握る武将を知ることで,思い入れの度合いはグンと高まるはずだ!


このシナリオの主役は西北の馬騰(馬超)。孫権,劉備あたりと同盟して対曹操戦に勝利したい。公孫恭や張魯,士燮などの弱小勢力でプレイするときは,隣接する巨大勢力と仲良くできるように外交に命を賭けろ!
壁の戦いを経て,曹操の覇道に一度「待った」がかかった状態から始まるシナリオ。ちなみにシナリオタイトルの「義臣」とは,後漢の名臣・馬援の後裔として後漢王室に忠誠が厚かった馬騰のことであり,鉄騎とはシナリオの流れで父親を失う馬超率いる,西北の騎馬軍団のことである。

 このシナリオに登場する勢力は公孫恭,曹操,馬騰(史実モードだとすぐに馬超に交代),孫権,劉備,張魯,劉璋,士燮の七つ。もちろん最大勢力は曹操となるが,馬超,劉備,劉璋あたりも将来性のある勢力として注目したい。とくに劉備は楚のほとんどを手中に収めたうえに諸葛亮,ホウ統,黄忠,魏延という一流どころの武将もゲットしているので,史実どおりに巴蜀の良将を配下に加えることができれば,強大な曹操ともがっぷり四つに戦える。

 なお,曹操に次ぐ勢力といえる孫権は赤壁後に名将の周瑜を失い,かつ勢力を伸ばすには曹操・劉備とケンカをするか交址経由で巴蜀方面に進軍するかしかないので,ややプレイはしにくい。


オススメプレイ武将1,馬超。史実モードだとすぐに君主になる。親族を殺された恨みを曹操にぶつけるのだ オススメプレイ武将2,劉備。曹操が馬超とケンカをしている間にどれだけ勢力を伸ばせるかがポイント オススメプレイ武将3,呂蒙。孫権陣営の期待の将。能力が発展中で,イベントによっては大化けする?


3強3弱という,勢力の実力差が分かりやすいシナリオ。3弱のなかでも孟獲は蜀との従属関係が効いて,最初は身動きが取れない。全戦力を対士燮戦につぎ込んで,独立までの過程を楽しむのもいいだろう
羽を呂蒙の謀略で殺された劉備が,その復讐を誓った状態から始まるシナリオ。シナリオタイトルにある書生とは関羽謀殺の脚本を描いた陸遜のことであり,史実では対劉備戦で華々しいデビューを飾った陸遜が呂蒙の病死後に呉の最高司令官となって,魏・蜀を相手に互角の戦いを演じていくことになる。

 このシナリオに登場する勢力は公孫恭,曹丕,孫権,劉備,孟獲,士燮の六つ。このうち実際に天下を狙えるのは曹丕の魏,孫権の呉,劉備の蜀という3勢力だけだろう。ただし劉備はPKシナリオ1で楚を領有して巴蜀地方を狙えたときと異なり,今回は巴蜀に押し込められた感が強いので,攻略難度は高まっている。一方,孫権は楚を得たうえに強大な魏との関係が好転しているので,がっちりと基盤を固めやすくなっているのが特徴だ。

 魏の曹丕は後顧の憂いもないうえ,司馬懿,張遼などといった一流どころの武将を抱えているので,ある意味寝ているだけでも天下統一ができるような状態だ。ただし曹丕自身の寿命がかなり短めになっているので,曹丕の代で天下統一を終えようと思ったら大急ぎで攻略を進めないといけない点は覚えておこう。

オススメプレイ武将1,陸遜。呂蒙の後継者として呉の柱石となる人物。文句なくこのシナリオの主人公だ オススメプレイ武将2,張飛。呂布,関羽亡きあと大陸最強に。任地の江州は武器庫の役割を果たす オススメプレイ武将3,徐庶。イヤイヤ魏に所属するので,あえて魏の天下統一を妨げるプレイもおもしろい


1強2弱というイメージ。このシナリオをプレイすると史実で晋(魏の後継王朝)が天下を統一したのも納得できる。弱小の呉や蜀でプレイする場合には,同盟を結んでお互いの動きを把握しながら魏と戦うこと
呉蜀の三国鼎立が成り,同時に創業の名将のほとんどが舞台から去って新世代が台頭してきた状態から始まるシナリオ。武の呂布や智の諸葛亮といったズバ抜けた存在がなく,たとえば能力のどれかが80オーバーなら一流どころ呼べる存在となるだけに,全体的にこじんまりとした印象があるのは否めない。とはいえ,魏のトウガイや鍾会,呉の陸抗,蜀の姜維などのように有力な駒も皆無ではないので,彼らをいかにムダなく活用できるかを考える作業は「詰め将棋」に似た味わいがあって,なかなか楽しい。

 シナリオ全体を見渡すと,やはり魏の強力さが目立つ。それは人材面でとくに顕著となっており,たとえばゲーム開始時に能力のいずれかが80オーバーの武将を数えると,魏が29名なのに対して呉は9名,蜀は7名でしかない。魏に比べると呉や蜀は初期の領地も少ないので,一都市に割り当てる数で考えれば引けをとるものではないのだが,さすがに領地を広げていくと人材の少なさがネックになってくる。

 相手に良将を使われるくらいなら「殺したほうがマシ」というドライな戦略は,このシナリオだととくに効く。

オススメプレイ武将1,姜維。3勢力で最弱の蜀を率いる諸葛亮の後継者。夏侯覇とタッグを組んで戦おう オススメプレイ武将2,陸抗。呉の代表的な人物。魏の羊コとは所属を越えた友情で結ばれていた オススメプレイ武将3,鍾会。蜀陥落後に独立しようとした野心家。ゲームでも独立プレイを試したい


生没年を無視し,歴代武将が勢揃いしたシナリオ。猛将・名将が多すぎてありがたみが少ないのが難点といえば難点か? 登場勢力の中で放浪軍は呂布だけであり,自分でスタート地点を選べるのが面白い
國志X PKの持ち味が最も発揮されたシナリオ。三国志に登場するすべての群雄(君主武将)が中国大陸上に集まり,最強の座を賭けて戦うというフィクショナルシナリオだが,PKシナリオ3と反対に猛将・名将の超インフレ状態なのが特徴だ。登場するのは公孫度,公孫サン,劉虞,袁紹,韓フク,張角,孔融,張燕,張楊,陶謙,劉岱,曹操,孔チュウ,司馬懿,何進,袁術,孫堅,董卓,馬騰,韓遂,張魯,劉焉,劉備,孟獲,張繍,劉表,韓玄,劉度,金旋,超範,劉ヨウ,厳白虎,王朗,士燮,呂布の全35勢力であり,これは三國志X,三國志X PKの全シナリオで最大の数となる。

 各勢力とも,開始都市数は一つずつなので一見公平に見えるが,所属武将の数が多いほど都市を発展させるスピードは上がるので,やはり曹操や孫堅,劉備などの有名どころは有利といえる。ただし所属武将が多い勢力は経済的に破綻する運命なのか,CPUが担当した場合は思ったほど勢力を伸ばせず,逆に武将数の程よい司馬懿や公孫サン,何進あたりに併呑されることがあるのは,見ていて感慨深いものがある。

オススメプレイ武将1,呂布。三国志中最強の武力バカ一代男。ある意味,もっとも痛快なプレイが楽しめる オススメプレイ武将2,司馬懿。晋の宣帝。周囲を曹操や袁紹などに固められているので発展に苦労しそうだ オススメプレイ武将3,韓玄。名実ともにダメ君主。配下の黄忠と魏延をどれだけうまく活用できるかがカギ

■■岩尾ゴワス(戦国武将)
かつて中野の某アパートで10年以上も暮らしていたが,そこが伝説の部屋であった。「俺は今さら,どんな汚い部屋を見たって絶対に驚かない」と言って渋っていた人を無理やり岩尾部屋の風呂場に案内したところ,ひっくり返るほど爆笑し,翌日カメラと更なる友人を持参して再び訪れたという逸話がある。あまりにも長く住んでいたため永住するのかと思われたが,残念ながら人も羨むマンションに引っ越してしまった。
タイトル 三國志X パワーアップキット
開発元 コーエー 発売元 コーエー
発売日 2005/01/21 価格 6090円,with PKは1万4490円(共に税込)
 
動作環境 OS:Windows 98/Me/2000/XP(+DirectX 8.1以上),CPU:Pentium II/333MHz以上[Pentium III/700MHz以上推奨],メインメモリ:128MB以上[256MB以上推奨],グラフィックメモリ:2MB以上[4MB以上推奨],HDD空き容量:400MB以上

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