― 連載 ―

The Art of Guild Wars
第6回:Guild Warsの本領たる対人戦の魅力:前編
三つのモードに分けられた対人戦のシステム

「Guild Wars」の華は対人戦。手軽さと奥深さを両立させた,軽快なアクション戦闘が特徴だ

 これまでの回では,主としてRPGモードを中心に「Guild Wars」の特徴的なシステムと魅力をお伝えしてきた。しかし再三にわたって述べてきたように,Guild Warsのあらゆるシステムは対人戦を最終到達点として調整されている。そこで今回からは,ゲームの核心部分ともいえるPvPモードに迫っていこう。

 Guild Warsの対人戦システムは,専用の闘技場エリアに集まって,さまざまなルールで雌雄を決するスタイルとなっている。大まかには三つのゲームモードに分類でき,それぞれの概要は以下のとおりになる。



【Arena】

 4人編成のチーム同士で競う対人戦モード。敵味方のメンバーがランダムに割り振られるタイプと,事前に4人でチームを編成したうえで挑戦するタイプの2通りがある。ほかの2モードと比べて人数規模が小さく,編成時の手間も少ないため,プレイのハードルは最も低い。


【Tournament】

 8人編成によるチームで,トーナメントを戦い抜く対人戦モード。マップや勝利条件の種類が多彩で,人数が多いぶんArenaに比べて各メンバーの仕事がより特化されている。またプレイヤーギルドの枠に縛られずにチームを編成できるため,後述する「Guild Battle」の準備が整わない場合でも対人戦を満喫できる。


【Guild Battle】

 プレイヤー同士で結成したギルドから選出した,8人編成によるチームで競う対人戦モード。常に同じギルドの仲間とプレイするため,深い戦術を長期スパンで追求でき,ほかの2モードに比べて断然密度が高い。また勝敗に応じてGuildのレーティングが増減し,それをもとにしたサーバー内ランキングも用意されている。



Guild Warsは対モンスター戦だけでも十分面白いが,対人戦ではより奥の深い戦術が楽しめる。せっかくの独自コンセプト部分なので存分に楽しみたい

 これら対人戦に参加するときは,RPGモードのマップの要所にある闘技場へ直接出向けばよい。RPGモードのキャラクターであれば,ミッションを進めていくことで,そうしたエリアに行けるようになる。またPvPモード用のキャラクターを新たに作成した場合,闘技場エリアに限っては最初から自由に行き来できる。

 三つのゲームモードのいずれであっても,対人戦で勝利したときには報酬として,「Faction-Balthazarl」と呼ばれる名声ポイント(以下,Factionポイント)を得られる。このポイントは一定値まで溜めることで,未習得のスキルやマジックアイテムの効果をUnlockできるのだ。
 もちろんUnlockしたスキルはアカウント情報として記録され,すべてのキャラクターに反映される。よって,RPGモードをプレイしない,純粋な対人戦指向のプレイヤーでも,少しずつではあるが戦術の幅を広げていける。


現在用意されている対人戦のゲームモードは3種類。一番下の"Guild Battle"で,世界に向けて名乗りを上げることは全プレイヤーにとっての目標である 戦う相手が"最強のAI"たる人間なだけに,最もシンプルなArena形式といえども一筋縄ではいかない。そのぶんだけ,勝利した瞬間の嬉しさは格別である
8人用の"Tournament"は,多彩なゲームルールが大きな魅力だ。ときにはこれだけの数のチームが,一堂に会して"激戦"を繰り広げることも "Faction-Balthazard"によるUnlockシステムは,つい最近のアップデートで導入された。対人重視のプレイヤーでも手幅を広げられるのはありがたい
PvPモード専用キャラクターで,すぐに対人戦が楽しめる

アトリビュートの組み直しに使う"Attribute Refunds"のポイントには限りがある。RPGとPvPとでキャラクターを兼用させると,頻繁なスペック変更は行いづらい

 Guild Warsの対人戦には,RPGモード用のキャラクターでも参加できるものの,実際にはPvPモード専用のキャラクターを作成する人が多い。というのも対モンスターと対人間とでは戦術やノウハウが根本的に異なるため,求められるキャラクターの方向性もガラリと変わるからである。
 RPGモードのキャラクターで本格的な対人戦に乗り出そうと思った場合,スキルやアトリビュートの構成を変えねばならないことも多い。だがPvP専用のキャラクターを別に作れば,そうした調整の煩わしさは生じないわけだ。そこでまず,PvPモードのキャラクターを新たに作成して,実際に対人戦を行うまでの流れを説明していこう。
 PvPモード専用のキャラクター作成には,あらかじめ用意された12種類のテンプレートをベースにする方法と,全項目を自分で決めて作成する方法がある。テンプレートにはProfessionやスキル,そしてアトリビュートの傾向に応じて,分かりやすい名前が付けられており,例えば近接戦闘と回復/支援の両方に長けた「Paladin」,ペットの使役関連に特化した「Minion Master」といった具合だ。連載第1回でも述べたように,PvPモードのキャラクターはゲーム中における最高レベルの20で作成されるため,テンプレートそのままといえども各種アトリビュート,スキルの値は高い。


テンプレートとして用意されるキャラクターのProfession一覧
Spell Slasher Mesmer/Warrior
Flame Slinger Ranger/Elementalist
Warrior's Bane Necromancer/Mesmer
Minion Master Necromancer/Mesmer
Pyromancer Elementalist/Ranger
Ice Blighter Elementalist/Necromancer
Protection Healer Monk/Warrior
DW Healer Monk/Elementalist
Abominable Snowman Warrior/Elementalist
Paladin Warrior/Monk
IVEX Trapper Ranger/Mesmer
Abominable SnowmanFi Boon Healer Monk/Necromancer

対人戦の初心者には,テンプレートを利用したキャラクター作成がお勧めだ。これをベースに,自分が使いやすいように少しずつアレンジしていこう

 テンプレートによるキャラクター作成時の大きなメリットとしては,必要最低限のスキルについてはプレイヤー自身が"Unlock"を進めなくても使え,かつ,ある程度のランクの武器/防具が使えることが挙げられる。プレイを始めたばかりの人でも,テンプレートのキャラクターを用いれば,いきなり実戦的なキャラクターで対人戦を遊べるのだ。
 テンプレートはあくまでベースであって,中のスキルなどを入れ替えることも可能である。RPGモードの経験者が新たにPvPモードを始めるなら,これを活用して自分にとって扱いやすいスキルを盛り込むのがよいだろう。


武器/防具と組み合わせるマジックアイテムの効果は,事前のUnlock状況に基づいて付与される。目標とする戦術に合わせて試行錯誤するのが面白い

 PvP用のキャラクターを作成したら,先述した三つのゲームモードのどれをプレイするか選ぶ。最初はとりあえず,最もハードルの低い「Arena」を選択しよう。ローディングの後には,"Compettion Arenas"という対人戦用のエリアにキャラクターが降り立つ。そして画面右の"Enter Mission"ボタンを押せば即座に,4 vs. 4のランダムチーム戦が開始される。
 キャラクターを作成してからわずか30秒ほどで,実際に対人戦に入れてしまう。この驚くほどの手軽さが,Guild Warsの真骨頂なのである。

 なお,"Compettion Arenas"で広域マップ画面に切り替えると,三つのエリアの間に限って移動できる。実はそれぞれの対人戦のゲームモードが,エリアによって分けられているのだ。エリア名に沿って再度説明しておくと,"Team Arenas"は4 vs. 4のチーム戦,"Tomb of Primeval Kings"は8 vs. 8のチーム戦それぞれの専用エリアとなっている。Guild Tournamentについては,次回あらためて説明しよう。
 ほかのエリアの場合でも同様に,メンバーを揃えたうえで"Enter Mission"ボタンをクリックすれば,即座に試合が始まる。このように,Guild WarsはRPGでありながら,まるでFPSやRTSのマッチメイキングと同じ感覚で対人戦を楽しめるのだ。


PvP用キャラクターを作成した直後の画面。ここで右の"Enter Mission"ボタンをクリックするだけで,ただちに対人戦モードが始まるという手軽さだ PvP用のキャラクターは対人戦のエリア間のみ移動可能。地図上の赤い点がそうで,左から"Compettion Arenas" "Team Arenas" "Tomb of Primeval Kings"だ こちらは"Team Arena"エリアの画面。画面右のグループウィンドウを見れば分かるように,あらかじめ4人からなるチームを編成しておいて挑戦する
最初は

画面上部に簡潔に示された,「敵対チームを殲滅せよ」の目標。それを実現するまでのプロセスとノウハウ面に,Guild Warsの魅力は凝縮されている

 Arenaにおける4 vs. 4の競技ルールは,ゲーム開始時に2パターンからランダムで選ばれる。具体的には「敵を殲滅したほうが勝ち」または「規定時間内に倒した敵の数が多いほうが勝ち」と,どちらも極めてシンプルな内容だ。
 ゲームが開始されると,カウントダウンの後に広場へ続く両チームのゲートが一斉に開く。その後は仲間と協力して,敵を倒すための死闘が続く。
 その結果,めでたく勝利したチームはFactionポイントを獲得し,同じメンバーで引き続き次のチームと戦う。敗者側チームは問答無用で解散になるが,それ以上のペナルティは一切ない。後顧の憂いなく,戦闘に邁進できるわけだ。

 実際に対人戦に入ると,敵も自分と同じスピードで細かく動き回るため,RPGモードよりもかなりスピーディに感じられる。ただでさえ展開の早いGuild Warsの戦闘だが,対人戦では自分を含めて8体以上のキャラクターが画面内を縦横無尽に駆けめぐる。最初の数戦は狙った戦術を決めるどころか,目標のキャラクターを目で追い続けるだけで精一杯な場合も多いだろう。ハイレベルなアクションゲームと言い切ってよい。


こちらは,規定時間内に倒した敵の数を競うタイプの勝利条件。チームメイトの死亡時にはデスペナルティが生じるため,波に乗ったチームには手が着けられない

 相手は人間なので,RPGモードのようにすんなりと「ハメ」ることなどできない。自分が攻撃を仕掛けた相手が,いつまでもその場に踏み留まるはずもないし,追撃しようとして深入りすると,今度は逆に自分が敵からの集中攻撃を浴びる。また,自分が予想だにしないスキルや,仲間との連携プレイを敵チームが繰り出してくることも多々ある。
 そうした敵チームの動きを見越したうえでの試行錯誤に,PvPモードの面白さは集約されている。少し踏み込んでいえば基本は各個撃破で,その優先順位はチームの生命線である回復担当,次に防御力の低いキャスターとなる。ありとあらゆるスキルを併用して,確実に仕留められるようにする。
 逃げる敵を追撃するなら,相手のスピードを下げるスキルが有効だ。自分の移動速度をアップさせるスキルもよい。また,スキルで迎撃してくるタイプであれば,敵のEnergyを枯渇させたり,呪文詠唱を妨害させる系統のスキルで対抗する。地形によっては仲間と指示を出し合って,挟み撃ちを狙うことも可能だろう。キャラクターの特徴付けいかんで,選択肢はいくらでもある。


死亡時の復活地点が設けられたステージもある。ここで待ち伏せたうえで復活直後の敵を再度倒すといった,やや微妙な感じのする戦術も選択可能である 仲間の回復を行うMonkは,常に敵から執拗に狙われ続ける。これをどうやって乗り越え,逆に撃退してゆくかが,対人戦における大きなポイントの一つだ

 このゲームでは仲間と連携するためのシステムも,すこぶる充実している。例えば画面右上のレーダーにはペイント機能が備わっており,チーム内のメンバー同士でリアルタイムで共有される。それによって前線とする場所や,侵攻経路などを素早く伝えられるのだ。
 また,Ctrlキーを押しながら敵をダブルクリックすると,その名前が音とともに仲間に伝えられる。それを確認した仲間は「T」キーを押すだけで,自動的にアシストに入れる。たとえ混戦状態で思い通りにターゲットできない場合でも,この方法なら迅速な集中攻撃が可能である。ただしこれを実現するには,チーム内の誰をターゲット指示担当にするかといった打ち合わせも必要だ。

 Guild Warsには,合計で470前後という,膨大な数のスキルが登場し,コンボ技や仲間との連携面まで含めると,戦術の幅はとてつもなく広い。そして目標とする戦術を実現させるために,悩みに悩み抜いて選んだ八つのスキルを携えて戦闘に挑むわけだ。
 抽象的な言葉ではなかなか伝わらないと思うが,そのプロセスにいったいどれだけのノウハウが凝縮されているか,おぼろげながらでも想像してもらえるとは思う。次回は,さらに踏み込んだ対人戦の魅力に迫ってゆこう。


Archerは敵との間で一定距離を保ちながら,確実にダメージを与え続けねばならない。Professionやアトリビュートによって求められる役割は大きく変わる 倒れた仲間を蘇生することも可能だが,目立つエフェクトとともにキャラが動けない時間が発生する。これを見た敵は蘇生を阻止すべく,集中攻撃を仕掛けてくる 本稿で触れた内容は,対人戦の初歩の初歩といったところ。すべてのバリエーションを記事で網羅するのはとうてい無理なので,あくまでヒントとして読んでほしい

■■川崎 政一郎(ライター)■■
RPGやRTSを主に手がけるフリーライター兼記者。先週まで続いていた連載「EQ2 ノーラスアカデミー」のライター星原昭典氏に,カッコ悪い紹介のされ方について親近感を持たれたらしい川崎氏。担当編集として「いやまあ,星原さんも不本意だと思いますが,ここに書くべき事柄は,おおむねあんな感じですよ。ははははは」とコメントしてみたものの,つくづく,悪い大人にだまされちゃいけないと思う。
タイトル ギルド ウォーズ
開発元 ArenaNet 発売元 エヌ・シー・ジャパン
発売日 2006/01/27 価格 オープンプライス(パッケージ版) / 月額課金料金980円
 
動作環境 Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/800MHz以上(PentiumIII/1.0GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),HDD空き容量 500MB以上,VRAM 32MB以上(64MB以上推奨)

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