前々回までで,各アーキタイプの説明が一通り終わった。今回からは,第2回で触れたグループ戦闘を,さらに掘り下げる形で紹介していく。
EQ2では最大6人までのグループを組める。どのようなクラス構成にするかは,もちろんプレイヤー達の自由。やろうと思えば,ブロウラーが6人とかサモナーが6人といった極端な構成も可能(風変わりな組み合わせには,その構成ならではの楽しさがありそうだ)だが,多くの場合は,さまざまな特技を持ったクラスをバランスよく集めることでグループは作られる。
各人が長所を活かし,互いに短所を補い合い,より強い敵をうち倒す。このような知恵を使った協力プレイにこそ,EQ2の面白さの神髄があると考えるプレイヤーは多い。最近のパッチの動向を見ていると,ソロや少人数グループでも充実したプレイができるような方向で,要素追加やバランスの再調整などが少しずつ行われているようだ。しかし,EQ2におけるもっとも標準的なプレイが,6人集まってのグループプレイであることは,おそらく今後も変わらないだろう。
→用語解説は「こちら」
EQ2における標準的なグループ構成は,第2回「こちら」で述べた通り。すなわち,「1人か2人のタンク+1人か2人のヒーラー+2人から4人のダメージディーラー」という構成だ。アーキタイプでいえば,ファイターがタンク,プリーストがヒーラー,スカウトとメイジがダメージディーラーの役割を担当する。タンクは"防御役",ヒーラーは"回復役",ダメージディーラーは"攻撃役"と言い換えてもいい。各々の役割が実戦において,どのように機能するのかはすでに説明してきたが,もう一度軽く説明しておこう。
まずタンクが挑発を行ってエンカウンター全体の「ヘイト」を高め,敵の攻撃を一身に受ける。続いてヒーラーがタンクのHPを維持する。その隙に,ダメージディーラーは敵にダメージを与えて各個撃破していく。ヒーラーとダメージディーラーは,タンク以上に敵のヘイトを高めてしまわないよう,常に注意を怠らないようにする。
このタンク,ヒーラー,ダメージディーラーの役割分担が,EQ2のグループプレイの土台となる。たとえビギナーでも,この三つの役割を理解し,今自分がどの仕事を求められているかが理解できれば,グループプレイで戸惑ってしまう恐れはかなり抑えられる。
実際のプレイではグループメンバーを6人まで増やすことができるので,役割の比率にはその都度変化が生じる。しかしある程度の決まった傾向が見られることは,やはり連載第2回で紹介したとおりである。以下では例として,そこで紹介した四つの構成パターンを一つずつ見ていきたい。
例1:タンク ヒーラー ダメージ ダメージ ダメージ ダメージ
上述の基本パターンを素直に拡張したような構成。戦闘ではまずタンクが敵を引きつけ,ヒーラーがタンクを回復することで「敵 - タンク - ヒーラー」の安定した形を作り出す。残った4人のダメージディーラーはこれを崩さないように留意しつつ敵に攻撃を加えていく。これだけダメージディーラーがいれば敵を倒すスピードはかなり速いはずだ。攻撃力には不足がないので,タンクは挑発,ヒーラーは回復に専念するべきだろう。
例2:タンク ヒーラー ヒーラー ダメージ ダメージ ダメージ
ヒーラーが2人いるとグループの安心感は格段に高まる。2人のヒーラーは協力してタンクのHPを維持することになるが,パワーに余裕が生まれるはずなので,その分をダメージ魔法やデバフといった,ほかの魔法を使うのに回してもよい。ただし,そのときは敵の注意を引きすぎてしまわないように注意したい。あるいは,片方のヒーラーをメインのヒール役,もう片方を補助のヒール役と決めて,補助に回ったほうが攻撃的な魔法をより積極的に使っていくという作戦も考えられる。
例3:タンク タンク ヒーラー ダメージ ダメージ ダメージ
基本的に敵からのダメージは一人のタンクに集中させたほうがヒールワークはしやすい。なのでタンクが二人いるケースでは,どちらか一人をメインのタンクと決めることがほとんどだ。もう一方のファイターはダメージディーラー的な振る舞いをすることになる。この場合は両手持ちや二刀流の武器を持ち,挑発系ではなく攻撃系のコンバットアーツを中心に使っていくとよいだろう。
タンキングが可能なキャラクターが二人いることのメリットは大きい。もしもメインタンクが倒れてしまったときは,もう一方がその役を引き継げるし,敵がヒーラーやダメージディーラーのほうに向かってしまったような場合には,戦況を再び安定させるための手助けができる。ただし,そのような混乱した場面で適切な行動をとれるようになるには,それなりのプレイ経験が必要だろう。
例4:タンク タンク ヒーラー ヒーラー ダメージ ダメージ
タンクとヒーラー,どちらも二人いるパターン。この場合はシンプルに例2&例3で示した方法を組み合わせてよさそうだ。ファイター一人をメインタンクと定めて,もう一方のタンクはダメージディーリングに貢献する。ヒーラーチームは双方がメインタンクのヒールおよびダメージディール&デバフを行うか,ヒールメインとほかのスペルメインに分かれるかを決める。このあたりはクラスの組み合わせやスペルの取得状況などによるだろう。
なお,本稿ではスカウトとメイジのすべてをダメージディーラーとしているが,スカウトの中ではバード,メイジの中ではエンチャンターだけは,ほかのダメージディーラーと少し性格が異なっている。連載第2回でも少し触れたが,ローグ,プレデター,ソーサラー,サモナーがピュアなダメージディーラーであるのに比べ,バードは音楽を使ったグループバフ,エンチャンターはメズメライズによるクラウドコントロールを持ち味としている。しかしこの2クラスはダメージディーラーとしての側面も持っているので,ここでは考え方をできるだけシンプルにするために,"特殊"や"サポート"のような区分けは作らずにおいた。クラウドコントロールについては次回以降で触れる予定だ。