― 連載 ―



 日本語版のサービス開始に向け,レベル20前後までの初心者をターゲットとした「エバークエストII」(以下,EQ2)連載。今回からはEQ2の4つのアーキタイプと,レベル10で分岐する各3種のクラスについて解説していく。EQ2はグループプレイ中心なので,自分以外のキャラクターの能力を知っておくこともたいへん重要だ。ここでは通り一遍のクラス概要ではなく,知っておくと連携プレイに役立つ情報を中心に説明していきたい。
 どのアーキタイプでもそうだが,EQ2ではレベル10台の段階で,のちのアーキタイプ/クラスの特長となるようなコンバットアーツ/スペルを一通り習得する。つまりEQ2ではレベルが低いうちから,そのクラスらしい振る舞いが不足なくできるようになっている。他クラスの性質を理解しておくのも,早い段階のほうがいいのだ。

→用語解説は「こちら」



 ファイターが覚えるコンバットアーツには,以下のようなものがある。その第一は「敵の注意を自分に引きつけるアーツ」だ。敵単体のヘイトを高めるTaunt,エンカウンター全体(つまり複数の敵)のヘイトを一度に高められるShoutは,今後タンクとして活躍するうえで最も重要なアーツである。
 二つめは「自分や味方を強化するアーツ」だ。これらは表面的には短時間のバフだが,グループプレイにおいては敵のヘイトを高めるためにも活用できる。
 三つめは「メンバーをかばうアーツ」だ。Interveneはあらかじめ指定したメンバーが攻撃されたとき,ときどきそのダメージを肩代わりできるアーツである。
 最後は「通常よりも大きなダメージを与えるアーツ」だが,これは主にソロプレイ用またはダメージディーリング用である。自分がメインタンク役のときは,あまり必要ないアーツだ。


ファイター = タンクの仕事は挑発と防御であり攻撃ではない

 すべてのファイター系クラスは,メインの盾役としても振る舞えるし,自分がメインタンクでないときには攻撃力を重視したスタイルで戦える。つまり"タンク"と"ダメージディーラー",二つの役割を担うことが可能なのだ。ここで注意したいのは,ファイターは「どちらか一方の役割を担える」のであり,「両方の役割を同時にこなせる」わけではないということだ。グループプレイでタンキングしつつ大きなダメージを敵に与えようとすると,ファイターは戦闘中に必ずパワー切れに陥る。

 自分がメインタンク役を担うときに最も重要なのは,"タンク役に徹する"ことである。これはすなわち"自分でダメージを与えることはキチンとあきらめる"ことであり,"ダメージディーリングはダメージディーラー役を信じて完全に任せる"ことである。ファイターがダメージを与える快感をあきらめ,自分の役割をしっかりと見つめることができれば,グループの総合力は確実にアップする。結果的には自分も満足のいく結果を手にできるというわけだ。
 タンク役に求められるのは,とにかく敵をしっかりとらえて離さないことだ。ほかのメンバーはファイターに攻撃力など求めてはいない。打撃力アップ系アーツはあまり使わずパワーを温存し,挑発系および挑発効果のあるバフ系アーツのみを使って戦えば,求められる役割を十全に果たしつつ,パワー消費はおそらくほかのメンバーと同程度に抑えられるだろう。

 タンクに求められるもう一つの能力は,ダメージをなるべく受けないことだ。ダメージを受けないための努力を,タンクはできる限りしたほうがいい。シールドを持っているといないとでは回避力に大きな差が出るので,両手用武器は使わずに片手用武器+シールドで戦うようにする(ブロウラーをのぞく)。そして,どのファイターも覚える"攻撃能力を犠牲にして防御能力を上げるアーツ"は,確実に有効にしておく。こうすることで,ファイターはようやく十分なタンク性能を持つようになる。

 もちろん自分がメインタンクではないときは,この限りではない。むしろ逆に攻撃力を重視した装備とアーツ使用でダメージディーリングに貢献したい。この場合は挑発は行わず,すべての敵がメインタンクへ向くようにする。ヒーラーが仕事をしやすいように,自分はまったく攻撃を受けないのが理想だ。敵のターゲット変更&パワー切れ防止のために,アーツを連発しないほうがいいのは先ほどと同様である。




 ウォーリアーは硬いアーマーを着込み,敵から受けるダメージの数値を低くすることでタンキングするクラスである。イメージとしては,まさに専業のタンクで,敵の注意を引きつける挑発力も非常に強力だ。
 ウォーリアーの特徴といえるアーツは,この挑発系である。タウント+ダメージのTaunting Blow,遠距離タウントのAnger,エンカウンターをタウントできるHold the Lineなどがある。このHold the Lineはユニークなアーツで,使用するとウォーリアーはその場から動けなくなるが,その代わり通常攻撃にエンカウンター全体をタウントする能力が付加される。この効果はたいへん有効だが,メンバーの理解と協力がないとうまく活用できないこともある(Mobに張り付かれたメンバーが,その敵をタンクの攻撃の届かないところに止めてしまう場合など)。そういう事態になるべく陥らないためにも,自分以外のクラスの能力を知っておくことは重要だ。

 もう一つの特徴的なアーツは,セルフバフ/グループバフである。手慣れたウォーリアーは,バフの持つ"敵の自分へのヘイトを高めやすい"という性質を利用する目的で,これらを上手に使用する。自分がメインタンクを担う場合,セルフバフ/グループバフは敵への影響がない戦闘開始前よりも,タウント効果を期待できる戦闘が始まってから使ったほうが効果的だと考えるウォーリアーは多いようだ。逆に自分がメインタンクではない場合は,無駄にヘイトを高めることを避けるため,戦闘をしていないときに使うように心がけたい。




 ウォーリアーが,被るダメージ値を低くする"軽減力"でタンキングするのに対し,ブロウラーは攻撃自体をかわしたり受け流したりする"回避力"でタンキングするタイプのタンク。挑発アーツの豊富さ/多様さではウォーリアーに劣るが,すでに覚えているTaunt,Shout,新たに覚えるTaunting Slap(ダメージ+タウント)などを駆使することで,敵の注意を引き続けることは可能だ。

 ブロウラーの覚えるアーツには,打撃力アップ系のものが多い。打撃に敵をスタンさせるチャンスを付加するThundering Fists,素早い4連打を打ち込むRapid Swings,大ダメージを叩き込むFlying Kickなどは,いかにも武道家らしいアーツだ。自分がメインタンクでない状況であれば,これらの特技を存分に発揮していいだろう。メインタンクではないのに敵の注意を引いてしまったときは,もう一つの特徴であるFeign Death(死んだふり)を使って敵の注意を逸らすとよい。

 このようにEQ2のブロウラーは,「タンキングが十分に可能で,さらにダメージディーラー的な活躍も得意」なクラスになっている。非常に特殊なクラスだったEQ1のモンクのイメージを抱いたままEQ2をプレイすると,このあたりの理解に少し手こずることになるので注意したい。




 ウォーリアーが"軽減力",ブロウラーが"回避力"なら,クルセイダーは"無効化力"(?)でタンキングするクラス。
 基本的に,ウォーリアーと同等のアーマーを装備可能なクルセイダーは,優秀なタンクとして活躍できる。挑発能力に不足はなく,ファイターの段階で覚えるTauntとShout,クルセイダーになってから新たに覚える挑発力付きアーツ,バフの戦闘中使用を織り交ぜて戦えば,エンカウンターをがっちり引きつけることが可能だ。位置づけとしては,「ウォーリアーには一歩譲るが,ブロウラーよりはちょっと秀でたタンク」というところである。

 標準的な挑発能力&攻撃能力も備えていくが,クルセイダーの最も特徴的なアーツは「味方を守る」系統のものである。メンバーにダメージ吸収バリアのような"Wards"をかけるDemonstration of Faithや,自分の防御力を犠牲にしてメンバーの防御力を高めるOffering of Armamentなどは,クルセイダーならではのユニークなアーツだ。とくにWardsは,どのようなグループ構成でも利用価値が高いので頻繁に使用することになる。
 Wardsはバフ同様にヘイトを高めやすいので,メインタンク時に自分に対して使用すれば,ヘイトアップ効果も期待できる。しかし,自分以外のメインタンクに使用する場合には,戦闘開始前に使わないと,自分が敵の怒りを買ってしまうことになり都合が悪い。多くのクルセイダーはこの仕組みを理解しているが,かけてもらうメインタンク側がこれを知らないと,攻撃開始後に術が入るような事態を招いてしまう。これも他クラスの能力への理解がいかに重要かを示す好例であるといえる。


■■星原昭典(ライター)■■
先週,星原氏がアメリカでおっぱいに目覚めたと書いたが,日本に戻ってしばらく経つと,またもとの「あまりおっぱいの大きくない女性好き」に戻ったとの話。そ,それって……。
タイトル EverQuest II
開発元 Sony Online Entertainment 発売元 Sony Online Entertainment
発売日 2005/06/16 価格 オープンプライス,月額1480円(税別)
 
動作環境 Windows 2000/XP,Pentium III/1GHz以上(2GHz以上推奨),メモリ512MB以上(1GHz以上推奨),空きHDD容量7GB以上,Pixel Shader機能およびVertex Shader機能に対応したVRAM64MB以上のビデオカード(VRAM128MB以上推奨),DirectX9.0b以降

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