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ウワサのMMOコミュニティゲームの実態が明らかに! 「ときめきメモリアルONLINE」制作者インタビュー

Text by MIDIはらふじ / Photo by 小林秀銀

 

4Gamer
 お話を伺っていると,一般的なMMORPGみたいに,箱庭を用意したのでその中で思う存分敵と戦ってください……みたいなのとはまったく違うんですね。みんなで騒げる世界を作って,"こうやったらもっと楽しくなるかもよ"というのをコナミから提供したり,逆にプレイヤー達が提案したりとか,そういう関係を築いていきたいという感じですもんね。

メタル:
 そうそう,まさにそのとおり。私としては,1年間ずーっと通して,ゲームの中でお祭りをやりたいんだよね。

4Gamer
 またそんな,スタッフが大変になりそうなことをカンタンに言ってるし。

クラブ活動の練習風景。コマンド入力方式のRPG戦闘風なものになっているのだ
メタル:
 まだ具体的には発表してないんだけど,行事イベントをやろうと思っているんだよ。体育祭とか文化祭とか,校内マラソン大会とかクリスマスパーティがあったりしてさ。そういうものをいくつも用意するので,みんなで盛り上がりましょうよ,と。そういうイベントの中でプレイヤー同士がコミュニティを作って盛り上がってくれれば,それが各学校の個性になると思うんだな。

4Gamer
 サーバーごとに違う学校という設定なんですね?

メタル:
 そう。だから,ほかの学校はまったくスタイルの違う学校かもしれない。ある学校はすごくバンカラだけど,ある学校は凄く乙女チックだったりしてさ。

自主トレではチームを組んで対戦可能。お互いに本気で攻め合って,レベルを上げよう
4Gamer
 うんうんうん。

メタル:
 そういう各学校の特色というのも,プレイヤー達が作るものだと思うんだよ。だからこそ「みんなでいい学校を作ろうよ」という意識を持たせたい。そのためには,真剣にお祭りって重要かなぁと思ってる。

4Gamer
 確かに実生活でも,お祭りになると人の心って自然と高揚しますもんね。お話を聞いていて,サーバーごとに男子校とか女子校とかに分かれていると面白いかもって思ったんですけど,そういうことは考えてらっしゃいますか?

メタル:
 まずは全校共学でいこうかなって思ってる。というのも,実際には工業高校に通っていて生徒のほとんどが男子だったとか,逆に商業高校とか女子校に行っていたから周囲のほとんどが女子だったという人に,「ほら,共学はこんなに素晴らしい桃源郷なんだよ」のも体験してもらいたいんだよ(笑)。バリエーションとして「作ってほしい」って要望があったら男子校や女子校も将来的にはアリかもしれないけどね。

4Gamer
 自分が6年間男子校だったので,ほかの女子校の文化祭にみんなで遊びに行くとか,そういうのが一大イベントとしてあったんです。このゲームでも,そういった参加の仕方ができれば面白いのかなーと思ったんですよ。

メタル:
 うん,そうだね。そういうアイディアをみんなから吸い上げていきたいね。

ちなみにこの"超球百裂弾"という技は,ときめき1にも登場していた必殺奥義である 技にはいろんな種類が存在する。修得できるものは所属するクラブによって変わると予想される 戦闘中でもチャットは可能。チームのメンバーとコミュニケーションをとりながら勝利を目指せ!

 

 

4Gamer
 マップを見ると,右下にどうやら伝説の樹(ときめき1にあった有名な樹)らしきものが見えたんですよね。で,左側には伝説の鐘(ときめき2にあった鐘)らしきものや伝説の坂(ときめき3で……)みたいなものも見えたんですが……。

メタル:
 うん,あれは細かく言うと伝説の樹や伝説の教会じゃなくて,あの樹や教会のところでときめきっぽく盛り上がってもらえたらということで入れたんだよね。そのうちそれらの場所で何かできるようになるかもしれないけど。

4Gamer
 すでに公開されている画面写真では,「どこかの高校には,大きな木の下で告白されると永遠に幸せになれるらしいよ」なんてキャラがしゃべってるものもありましたよね。

こちらは学園全体のマップ。右下に伝説の樹らしきものが見える。さらによく見ると,左下に教会もあるようだ
メタル:
 うん。ま,あくまでそういう噂だからさ(笑)。今作では,伝説っていう部分に関してはとくにこちらからは設けていないんだよね。

秋風:
 新設校ですから。

4Gamer
 あ,なるほど。

メタル:
 伝説や噂は,逆にプレイヤーが作ってくれればいいと思っているんだよ。そのほうが真実味があるしね。

 

 

4Gamer
 今作のようにアバターを使った作品,またはオンラインゲームによくある話ですが,ネカマ(ネットオカマ,お互いの顔が見えないネットの特性を利用し,性別を女性と偽わる男性プレイヤーのこと)・ネナベ(ネカマの逆)についてはいかがお考えですか? "ときめきメモリアル"というタイトルが付いている以上,ゲームの内容を知らずに真剣に恋愛目的のみで入ってくる人もいるんではないかと思うのですが。

メタル:
 極論で言ってしまうと,そういう目的で入ってくる人には「残念でしたね」ってことなんだよね。そういう目的ならば,本物の出会い系サイトに行ったほうが,まだうまくいく可能性は高いはず。ときめきONLINEは,あくまでもアバターを使ってコミュニケーションを行う場なので,我々はリアルな世界での恋愛をアシストすることはありません。もしそういうのを目的でやってきて場を荒らすような人がいたら,その場合は……。

こちらはログイン時のキャラクター選択画面。どうやらキャラクターは1アカウントで複数のキャラを作れるようだ
4Gamer
 その場合は?

三野:
 風紀委員が出てきます(笑)。

4Gamer
 ええーっ!

メタル:
 そうそう,風紀を乱した生徒はお仕置き部屋に連れてかれてしまいます。

女性教師は利発で清楚なイメージ。もちろん彼女以外にもいろんな女性教師が登場する
4Gamer
 じゃあ,そのあたりはしっかり対策してあると。

 うん。ホリエ○ンじゃないけど,ちゃんと想定の範囲内(笑)。

4Gamer
 アバターの男女比率が1対1でも,実際のプレイヤーは男ばっかりという可能性も考えられると思うのですが,それはそれで?

メタル:
 うん。ただ,どういったコミュニティでも,リアルな男性とリアルな女性の人口バランスが拮抗しているほうが楽しいんだよね。だから,男性ばかりにならないためにも,女性プレイヤーが入ってくるのは歓迎したいし,女性プレイヤーがゲームをやってみようと思うための仕組みやフックはたくさん用意するつもりでいるよ。
 例えば,「ごくせん」ってドラマがはやったでしょ? あれはなんではやったのかというと,カッコイイ男の子が出てくるからだと思うんですよ。ほかにも,いい男が登場する「仮面ライダー」シリーズとかね。そういうカッコイイ人達が「ときめきONLINE」に参加していれば,やっぱり嬉しいと思うんだよ,女性も。


4Gamer
 うんうん,それは嬉しいでしょうね。


メタル:
 逆に男性へのアプローチとしては,ときめきでキャラを演じてくれてた声優さん達がこのゲームに参加しますよ,となると嬉しいでしょ?

4Gamer
 お! それは嬉しいかも!

メタル:
 そういうフックも考えていきたいし。ときめき3ではZARDを,「ときめきメモリアル Girl's Side」ではB'zの楽曲協力があったじゃない。いままでのファンにしてみればZARDやB'zである必然性はなかったのかもしれないけど,新しい顧客層を開拓する施策は常に打っていかなきゃいけないから。今回もそういう部分で,歌やビジュアルを用意して多くの人達の琴線に触れる仕組みを入れておこうかなと。

ちょっとキザな雰囲気が漂う二枚目な男性教師。女子生徒からキャーキャー言われたりするのだろうか
4Gamer
 ん? ビジュアルはいいとして,歌あり? 歌? 歌ってなんですか?

メタル:
 いや,まだ詳しいことは言えないんだけどさ(笑)。高校じゃあんまりやらないかもしれないけど,大学とかじゃ学園祭のときにアーティスト呼んだりするでしょ。そういう盛り上げ方もあるよなー,って。それに,はらふじさんなんて音楽もやってるわけでしょ。じゃあ,はらふじさんが音楽サークルを作って学園祭に向けて曲を作ってゲーム中で発表する。そういう仕組みというかシステムをこちらで用意すれば,それも可能になるかもしれないし。

4Gamer
 あー,それは面白そうかも。美術部の人達が絵を描いて文化祭で発表するというのもできますもんね。

秋風:
 校内に展示するとかもありえますし。

メタル:
 全部が全部「いますぐやりますよ」って言っちゃうと「嘘つき!」ってあとで言われるかもしれないので,それぐらいの幅を持たせているというぐらいしかいまは言えないんだけどね(笑)。

 

 

授業はクイズ形式で行われる。ここでの正解率は個人の成績はもちろん,クラス全体の成績にも影響してくる。真剣に答えよう
4Gamer
 今作では授業がクイズ仕立てになっているようですが,あれは面白そうですね。ホントにみんなで授業を受けてるみたいな感じが出ていますよね。

秋風:
 クイズは好き嫌いがあまりないジャンルだと思うんですよ。普通のクイズゲームって一人でプレイしますけど,それを全員でやったら授業になるんじゃないかというアイディアから作ったものなんです。

4Gamer
 ちゃんと先生もいるし,見た目的にも本当に授業っぽいというか。

三野:
 先生はクラス全体の正解率が低いと,だんだん機嫌が悪くなってセリフも変わっていくんですよ

4Gamer
 うわ,細かい。

三野:
 家庭科の先生なんて泣いちゃいますしね。

 

クイズは複数人参加のチーム戦。クイズ終了後にはこのように各自の成績を確認できる。ううっ,もっと頑張らねば…… 用意されている教科は全部で8教科。国語や数学といった基本的なものから,家庭科といったものまであるのだ

秋風:
 クイズにすることで実際に勉強の対策をしなければいけなくなるわけですよ。テスト時期が近づいてくれば校内がざわざわすると思いますしね(笑)。クラスで一番優秀な人のところにみんなが集まって傾向と対策を聞いているとか。

メタル:
 その人と仲良くすることで,またそこで新たなコミュニティが生まれるかもしれないからね。そういうのも狙って,クイズゲームにしたんだ。

4Gamer
 テストの結果は発表されるんですか?

メタル:
 うん。他人と競い合うランキングというのは,オンラインゲームでは重要な要素だからね。

4Gamer
 僕にはあまり縁のない話だなぁ……,馬鹿だから試験はダメっぽいし。

三野:
 大丈夫ですよ,カンニングができますから。

4Gamer
 え! そうなんですか!?

秋風:
 ええ,いろんなスキルが使えるんです。相手をそっと応援するっていうのもありますよ。

こちらは校舎内の廊下の様子。ここで素敵な人とすれ違って恋が始まる……なんてことがあるかもしれない そしてこちらが教室内の風景。決まった時間に教室に来ていると,授業に参加できるという仕組みらしい

 

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