― 特集 ―

ザ・シムズ2 キャンパスライフ! データセット (まだやってたの?)幸せ家族計画スペシャル

Text by 松本隆一

 

さて,前編に引き続きヒラリーは無事に3年生になった。忙しいのは相変わらずだが,それでは"キャンパスライフ"を堪能したとはいえない。そう,筆者の最も不得意とする分野である"恋愛"もまた,学生生活の醍醐味なのだ。ヒラリーの愛の行方は? そして学園の数々の謎は解かれるのか? 目の離せない後編が始まる,って自分で言うか普通
 幸せ探して45年……,おっと,もうじき46年か,まいったなあ,の私がお届けする「ザ・シムズ2キャンパスライフ! データセット」発売記念「幸せ家族計画スペシャル」プレイレポート後編(前編は「こちら」)だ。ええ,特番というのはタイトルが長いものと相場が決まっているんです。

 さて,マツモト家の長女ヒラリーも,無事進級して3年生になった。大学生高学年である。ここまで勉強一筋に邁進してきた彼女だが,残り4学期,そろそろ一波乱起きないと,私も読んでいる人もつまらないであろう。
 とはいえ,せっかくここまで一生懸命やってきたのに,「遊びまくって進級保留」とか「そのため退学」などでは,ヒラリーが可哀想だ。父親ならいいが,ショックで頭のネジがぶっ飛んだヒラリーは見たくない。
 気分を変えるため,ちょっとアルバイトなんかもさせてみたが,時間がかかる割には実入りが少なく,これならキャンパスラウンジでギターを弾いてチップを集めていたほうがよほどいい。やはりここは,学生生活の精華「惚れたのはれたの毛が生えただの」路線(?)でいくしかないであろう。私がヒラリーにカッコいい彼氏を作ってあげるのだ。

 というわけで,どこで知り合ったのかよく覚えていないヤサ男,ウェイロンとデートを繰り返して親密度を上げる。その甲斐あって,二人の間柄は「惚れている」状態まで高まる。さーて,いよいよだ。
 おっと,その前にキャンパスショップへ行って,おデート用の可愛いドレスと,お尻が半分はみ出ちゃっているビキニ,そして,万が一に備え,成人用のセクシー下着などを購入する。さらに鏡を使って髪型なども大人っぽく変える。なにやってんだろオレ? という気もしてくるが,うふふふ,楽しいなあ。

 デートの場所はシム州立タワーだ。ここは人が少なく,しかも最上階にはなぜかバスタブが置いてあるという,よく分からない施設。ウェイロンをそこへ呼び出し,お話して,ちょっとじゃれあって,それからバスタブにつかって……。「キスする」を選ぶと,大げさな後光と共に宙に浮かんで口づけを交わす二人。
 やったぜヒラリー! と思わず目頭が熱くなる。おめでとう,と思うと同時に,なにゆえ私自身はこういう青春をかつて送れず,今もまた,生きているのか死んでいるのかさえ誰にも気にされないようなキャンパスライフになっちゃっているのかという……いや,それは言うまい言うまい(言ってるけど)。
 なんにせよ,これでウェイロンの件は一段落だ。なにしろ,前編に書いたように,これ以上の進展は望めないのである。だというのに,ヒラリーのやつ,こともあろうに「ウェイロンとウフフな事をする」なんて願望を持ったりして,もう,父ちゃんそっくりなんだから!


忙しい日常の一服の清涼剤,それがデート。ウェイロンとのファーストキスに備え,衣服を購入し髪形を変え(筆者はこれでいいと思ったのだが,本人は嫌がっている模様),いよいよデートだ。彼を呼び出し,バスタブにつかり,そして待望のキッス。なんちゅうか,見ているこっちがこっぱずかしくなるほどの盛り上がりである。勝手にしていただきたい

 

 

 もう一つの目標が,エリート女子学生クラブであるトライ・バールのグリークハウスに入居することだ。ハウスへ電話するとクラブ員が寮にやってきて,一定時間以内に彼らとの親密度を上げなければ入会できない,ということは知っているので,今回はちょっと戦略を練ることにした。すなわち,あらかじめトライ・バールのメンバーでプレイしてヒラリーと知り合いになっておくのだ。あれ。ずるいですか,私?
 とはいえ,彼女達ではヒラリーの住む寮に行けないので,公共区画でバッタリ,を期待しなければならない。そんなわけで,トライ・バールのメンバーの一人であるティファニーを使って半日あちこち歩き回った末,ついにヒラリーと出くわし,さっそく友達に。グリークハウスへ戻って彼女を招待し,残る二人のクラブ員,ブリタニー,ヘザーとも知り合いにさせることに成功した。
 しかも,ヘザーとは妙に意気投合し,その晩すぐに「未公認会員として入会を依頼する」みたいなコマンドが出てくるじゃありませんか。作戦成功である。

トライ・バール女学生クラブのティファニーでプレイして,ヒラリーと友達に。そのままグリークハウスへ招待し,ブリタニー,ヘザーとも知り合いに。出来過ぎなくらい作戦成功

 とはいえ……,と私はモニターの前で思案する。ヒラリーがグリークハウスに越してくる,ということは,私は彼女のほかに,3人の美人女子大生をも操作しなければならない,ということだ。彼女達を下着で寝かしつけたり,シャワーを浴びさせたり,風呂に入れてやったり,また下着にしたり,意味なく下着にしたりと,まあ,それはそれで楽しいかもしれない。男子の憧れの女子寮の大家,ではあるが,それではいささか記事の趣旨が違ってしまう。なにより,ここは普通の家だから,食事の支度も掃除も自分達でやらなければならず,ただでさえ時間のやりくりが難しいのに,これ以上の家事は困りものだ。
 そんなわけで,しばらく考えた末,ヒラリーのグリークハウス入居は見送ることにした。寮にいればいつでも誰かがいるので,ただ食事をとるだけで「社交」のメーターが上がるし,ゲーム機,本棚など物品も豊富。カリスマ能力を行使する第三者にも事欠かない。

 その「カリスマ」だが,友達も増え,マックス値,カリスマポイントともそれなりに増えてきた。ちょうど本人が「他人に学期末レポートを書かせる」などという不届きな願望を持ったことでもあるし,誰かに「指示」を出そう。都合良くオカッパ頭のロンが,のほほんと歩いてくるので,哀れな生贄はやつに決定。なんと,ヒラリーが二言三言話すだけで,ロンの奴,たちどころにPCに向かって彼女のレポートを書き始めるではないか。
 うわ,これは便利! 時間のかかる面倒なレポート作成を他人がやってくれるのだ。その間,ヒラリーはごきげんでギターを弾いたり,ウェイロンを寮に呼んで,熱烈キスでお出迎えしたりと,やらせている私が言うのもなんだが,悪い女である。素晴らしい。

 ところでこのウェイロン,「ウフフな事」こそ不可なものの,「婚約」はできる。たぶん,申し出ても断われることはないと思うが,ヒラリーには悪いけどそれはしない。学生時代に知り合ったこんな色男とはうまくいかないんじゃないか,と思うのだ。
 勝手ながら,ヒラリーには,彼女の父親のようにちょっと風采の上がらない,努力しても肝心なところでずっこけるような男こそ似つかわしい気がしてならない。ヒラリー,これは,青春の思い出として胸にしまっておくがいいさ。


ロンとキャシディに学期末レポートを書かせ,本人は背後で,ギターをいい調子で弾きまくり。ああ,カリスマパワーって素晴らしい。いやもう,ひどい女だなあ

 

 

 最終学年である4年生の1学期も,またカリスマ使用で乗り切った。今度の犠牲者は,ベレー帽が小粋なキャシディだ。それで空いた時間に何をしていたかというと,懸案の秘密結社と,学内のどこかにあるという幻の「成績改ざん可能なPC」探しだ。秘密結社の人かしら? と思う相手に片っ端から声をかけるが,何も分からない。うーむ,秘密だなあ。
 ……まあ分からないなら分からないで,仕方ないか。読者と編集部はどう思うか知らないが,私はこれでいい。やがてヒラリーは卒業し,誰かと結婚し,子供を生み育てるはずだ。その子が十代になれば,また大学へ入れてやり,そのときまた謎を追えばいい。それもまたシムズ2の楽しみ方の一つでもあると思う。言い訳のようにも聞こえるけど,違うんですってば。

 というわけで,いよいよあと1学期を残すのみ。またまたオカッパ頭のロンがヘタクソなギターを弾いているので,やつを使って学期末レポートを書かせよう,イヒヒ,と考えた途端だ。ブレザーを着た妙な女が突然現われ,下着姿のままのヒラリーに手錠をかけ,寮の外に停めてあったリムジンに荒々しく押し込むではないか。何が起きた? 他人にレポートを書かせたのが発覚して退学か? どこまでセーブしたっけ? と狼狽するオレ様。
 ところが,ヒラリーが連れていかれたのは,豪華な内装の大きな洋館。その名も「ランドグラーブ団体」。中からは同じようなブレザーを着た連中がぞろぞろ出てきて拍手でお出迎え。いつの間にかヒラリーも同じブレザーを着ている。こ,これが噂の秘密結社なのか。
 何がトリガーになったのか今もって謎だ。カリスマポイントを使いまくったことか? あるいは,秘密結社員の友達が必要量に達したのか? いずれにせよ,ヒラリーも彼らの仲間入りすることになった。見れば,キャシディもいるしウェイロンまでメンバーである。館内には,「願望の報酬」や「キャリアの報酬」でしか手に入らないようなレアアイテムが所狭しと並べられ,謎の食肉植物ラガナフィラス・シムノボリーまでいる。これは凄い!

 惜しむらくは,これが4年生の2学期だったことで,学期末試験まであと十数時間しかない。ここでならスキルも大幅に伸ばせただろうし,面白い体験もいろいろできただろうと思うと残念だ。仕方なく,アイテムを使ってたっぷり遊び,リムジンに乗って寮に戻った。


相変わらず変な人が多い大学。ここ最近なりひそめていたストリーカーが出現したり,ウサギの着ぐるみとウシの着ぐるみが実は仲が悪かったりと,てんやわんやである

 

 

突然現れた謎の女に拉致され,リムジンで連れて行かれた先は,なんと秘密結社。揃いのブレザーを着て,日夜,……えーと,なんの活動をしているのかよく分からないが,彼氏のウェイロンもいるし,キャシディも実は秘密結社の会員だったという急展開に,私もびっくりである。もちろん,秘密結社の場所はかなり秘密で,大学マップにも表示されない
 しばらく休息した後,試験を受け,予定通りA+をゲット。ヒラリーの名前は優等生名簿にも載った。がんばりましたね。
 しかし,もはや大学生としてやるべきことは終わった。卒業なのだ。あっさりしたものである。母親と兄のジョージを呼んで開いたささやかな卒業パーティが終わると,彼女はもはや,あのちっちゃなヒラリーではない。成人になったのだ。もう二度と大学に戻ることはできない。

 ヒラリーは再びベロナービルに帰ったが,これを機会に独立することにした。
 選んだのは,川べりに建つ一軒家で,父親が最初に住んだ家であり,自分が生まれた家でもある。兄もしばらくここで暮らしていたが,今は結婚して引っ越していった。かつて父親がそうしたように,ガランとした家の中をあてもなく歩き回り,両親が結婚した庭に出て雲を眺める。
 深呼吸をし,これから誰と会い,どんな人生を送ろうかと考える。……幸せの瞬間だ。

 では,機会があれば,いずれまた。


建物の中には,珍しいアイテムが一杯。大学のネットにハッキングして成績を改竄できるという魅惑のPCもここにある。だが論理スキルが足りず,警察に捕まってしまった



ついに優秀な成績で大学を卒業したヒラリー。助走のときは終わり,いよいよ社会に出るのだ。赤ん坊から育てた彼女のこんな姿が見られるなんて……凄いゲームだね,ホント

 

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