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さて,マツモト家の長女ヒラリーも,無事進級して3年生になった。大学生高学年である。ここまで勉強一筋に邁進してきた彼女だが,残り4学期,そろそろ一波乱起きないと,私も読んでいる人もつまらないであろう。
とはいえ,せっかくここまで一生懸命やってきたのに,「遊びまくって進級保留」とか「そのため退学」などでは,ヒラリーが可哀想だ。父親ならいいが,ショックで頭のネジがぶっ飛んだヒラリーは見たくない。
気分を変えるため,ちょっとアルバイトなんかもさせてみたが,時間がかかる割には実入りが少なく,これならキャンパスラウンジでギターを弾いてチップを集めていたほうがよほどいい。やはりここは,学生生活の精華「惚れたのはれたの毛が生えただの」路線(?)でいくしかないであろう。私がヒラリーにカッコいい彼氏を作ってあげるのだ。
おっと,その前にキャンパスショップへ行って,おデート用の可愛いドレスと,お尻が半分はみ出ちゃっているビキニ,そして,万が一に備え,成人用のセクシー下着などを購入する。さらに鏡を使って髪型なども大人っぽく変える。なにやってんだろオレ? という気もしてくるが,うふふふ,楽しいなあ。
デートの場所はシム州立タワーだ。ここは人が少なく,しかも最上階にはなぜかバスタブが置いてあるという,よく分からない施設。ウェイロンをそこへ呼び出し,お話して,ちょっとじゃれあって,それからバスタブにつかって……。「キスする」を選ぶと,大げさな後光と共に宙に浮かんで口づけを交わす二人。
やったぜヒラリー! と思わず目頭が熱くなる。おめでとう,と思うと同時に,なにゆえ私自身はこういう青春をかつて送れず,今もまた,生きているのか死んでいるのかさえ誰にも気にされないようなキャンパスライフになっちゃっているのかという……いや,それは言うまい言うまい(言ってるけど)。
なんにせよ,これでウェイロンの件は一段落だ。なにしろ,前編に書いたように,これ以上の進展は望めないのである。だというのに,ヒラリーのやつ,こともあろうに「ウェイロンとウフフな事をする」なんて願望を持ったりして,もう,父ちゃんそっくりなんだから!
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