― 特集 ―

ザ・シムズ2 キャンパスライフ! データセット (まだやってたの?)幸せ家族計画スペシャル

Text by 松本隆一

 

 昔々,だいたい半年くらい前,ベロナービルの町に,これといってなんてことない一家が住んでいました。
 一家の主人マツモトは,最初軍隊で働いていましたが,仕事上の失敗で失職,その後しばらくスリをやってから警察に就職し,SWAT隊長まで昇進してから退職,今は年金生活者。老齢期に至り,一度は死神のお迎えがやってきましたが,インチキ技でなんとか切り抜けたという多彩な経歴の持ち主です。
 妻の名前はソーシャルワーカー。なんでこんな名前なのか,どうして麦わら帽子と一緒に髪の毛まで脱いじゃうのか今に至るも疑問ですが,マツモト家の庭師として働いていたところを見そめられ結婚。現在は庭師を辞め医師として働く,一家の大きな収入源です。"師"は一緒ですが,仕事の中身は結構違いますね。
 夫婦はその後,二人の子供に恵まれました。長男のジョージはゴツゴツした顔が特徴の気立てのいい野生児で,今は成人し家を出て働いています。生まれたばかりのときは赤ん坊だった(当たり前ですが)長女のヒラリーも順調に成長してとうとう十代後半となり,そろそろ独立,就職を考えていました。
 ──そんなありふれた幸せ家族についてもっと知りたい,という奇特な方は「こちら」を見ていただくとして,それじゃなにかい,あれから半年,筆者はゲームしていなかったのか,という疑問ももっともなのですが,それは記事の都合ということでむにゃむにゃ。

 さて,そんなある日,町に大学ができました。入れるのはティーンエージャーだけ,という一風変わった大学ですが,もともと向学心に燃えたヒラリーなので,さっそく入学することにしました。憧れの「キャンパスライフ!」のスタートなのです。


家族紹介

家族4人のマツモト一家は,それなりに仲良く幸せに暮らしていたが,子供はいつか大人になるもの。家を出るには,一本の電話で事が足りる。大学進学を決めた長女のヒラリーは,家族に見送られながら迎えのタクシーに乗って家を出ていく。やがて,母親と共に大学の寮の前に立つヒラリー。たった一人で親元を離れる姿に,思わず娘を抱きしめる母親。だがヒラリーには,不安もあるが,それと同じくらい希望もあるのだ。ちなみに,都合で兄のジョージも家にいるが,それはぜひ見なかったことにしてほしい

 

 

ついに独立したヒラリー。寮の部屋が世帯,というのもなんか変だが,寮を出る場合もあるし,友達と共同で家を借りることもできる
 さてさて,ひと通りの紹介が終わったところで,ここからはいつもの文体に戻ろう。ヒラリーが通う大学の名前は「シム州立大学」。選んだのは8部屋のパインナッププラザ寮である。これからここが,彼女の"食う寝るところに住むところ"になるわけだ。学科も専攻しなくてはならないので,「政治学」とした。
 「ザ・シムズ2 キャンパスライフ! データセット」の導入後は,願望メーターに「生涯の希望」が付くのだが,これには「すべてのスキルを最大にする」だの「10万シムオリオン稼ぐ」だのがあり,苦労の果てに満願成就した暁には,一生プラチナ気分でいられるというもの。彼女の生涯の希望が「市長になる」だったので,なら政治学がよろしかろうと選んだ次第。
 ちなみに,父親であるマツモトの生涯の希望はなんだろうと調べてみたら「20人の愛人を持つ」。ふざけたこと言ってんじゃないよ,このエロじじい。

 新規作成した十代の学生と違い,ヒラリーのように家族持ちだと何かと有利。子供の頃からいろんなことをしてきたので,それなりに高いスキルを持っているからだ。
 彼女はとくに「創作」のレベルが高く,これは無理して買ったピアノを弾いて育てたため。楽器は創作スキルを上げると同時に「楽しさ」も高めるので,ヒマになるとピアノを弾かせていたのである。
 さらに,役に立つ小道具もすでに持っている。今回導入された三種の神器,「携帯ゲーム機」「携帯電話」「MP3プレイヤー」もすでに入学前に買い与えてあり,これらを使って,学習により急降下する「楽しさ」レベルの短時間回復が可能だ。別棟のキャンパスラウンジにある楽器類も達者に弾きこなすので,演奏による小遣い稼ぎもバッチグー。
 どんとこい大学! という感じである。でも,大丈夫かなあ。

専攻を決めれば,授業が始まるまでちょっと暇。備え付けのゲームをしたり,新規コマンド「語り合う」を試してみたり

 入寮し,自分の部屋を確保すると,授業が始まるまでほんのしばらくの間ヒマである。見ていると,次々に新入生がやってくる。ブレザーを着ているのは私立学校の出身者だ。ヒラリーは,おとっつあんが校長先生の接待にしくじったので,ずっと公立。へそ出しルック(というのだろうか?)の女学生,ダサいのやお調子者,お坊ちゃんやエキセントリックな奴など,緊張と不安を抱いた哀れな子羊達が次々に集合してくるのは,見ているだけで楽しい。筆者の通っている大学にも,似たようなのがいくらでもいる。

 さて,ここでちょっと目標を決めよう。本作は漫然とプレイしていても十分に面白いが,目標を決めれば,さらに興味倍増だ。まずは大学らしく「優秀な成績で卒業」を目指したい。
 著者である私自身はだいたい「ぎりぎりセーフ!」ばっかりなので,ヒラリーにはがんばっていただきたいのだ。目指せオールAである。さらに「彼氏を作る」もいってみよう! やはりキャンパスライフの華は恋愛,ラブラブである。筆者のように,かつて味気なかった,そしてなぜか今も妙に味気ない学生生活をヒラリーに送ってもらいたくないのである。

 とはいえ,みんな十代なので「ウフフな事」は不可だ。まあ,私も個人的に十代ウフフに対して強く反対しているので(できれば20代,30代ウフフも禁止してほしいほどだ),とくに異論はない。というわけで,目指すは聞くだに甘ずっぱい「ファーストキス」である。
 さらに,エリート学生クラブである「トライ・バール」のグリークハウス入りも努力目標。学生を自作したときのプレイではスカッと失敗したが,今回は万全の準備を調える所存だ。それ以外にも「ゾンビを復活させるって何?」とか「ラガナフィリス・シムノボリーって何?」とか「秘密結社って何?」などなど,ゲームの端々にチラチラ出てくる数々の謎も追求してみたいが,できないかもしれないので,そこんとこ,よろしく。


さあ,授業開始。PCで学期末レポートを書き,食堂の床に座って日々の課題をこなす。疲れたらMP3プレイヤーで息抜きだ。いるいる,こんな人

 

 

楽器を演奏してチップを集められるのも,このデータセットから。写真ではそれなりだが,ちゃんと弾けているのはヒラリーだけで,ドラムとベースがヘタクソなので,ちっともアンサンブルにならない。ちなみに,ラジオから流れるBGMも大幅に増え,いずれも名曲。シム語のR&Bとか,シム語のヒップホップなんか,もう聞いてるだけで笑っちゃうほど傑作だ
 さっそく授業が始まったが,この場合,授業は本編の「仕事」と同じで,授業風景そのものはない。ヒラリーは時間になると寮を出て行き,時間になると寮に帰ってくる。授業はだいたい2〜3時間で,長くはない。しかも食事はまかないのおばさんが作ってくれるので手間いらず。便所掃除だって,したくなきゃしなくてもいいのだ。
 じゃ,ヒマなのかといえば,それがとんでもない。だいたい学期がやたらめったら短いのだ。一学期だいたい70時間ぐらいだから,実世界の日にちで数えれば3日もないではないか! 一学年には二学期あるから,入学してから卒業するまで24日そこそこと,シム人達の学校は驚異的な促成栽培なのである。
 その間に,まず課題をこなさなければならない。本編のように学校に行くたびに宿題をもらってくるのではなく,課題はいつでもあり,いくつでも終わらせられる。こなせばこなすほど,成績が高まっていくのはいうまでもないだろう。
 また「学期末レポート」なるものを書くことができ,これを書き上げれば評価はぐっと上がるのだが,それだけに非常に時間がかかる作業だ。さらに,専攻した学科に要求されるスキルも上げなければならない。

 ヒラリーの選んだ政治学の場合,「身体」「魅力」「創作」「掃除」などのスキルが要求される(学年や学期によって微妙に異なる)のだが,身体のスキル上げに必要な運動器具は寮にはない。そのため,公共区画にあるジムに通わなければならないのだが,移動には本編同様,タクシーを利用することになる。
 筆者の通う大学もわりかし広いが,それでもさすがに構内にタクシーは走っていないなあ。いちいち電話してタクシーを呼ぶのも,これまた時間がかかって面倒なので,「ヨガをする」だけで体を鍛えようとしたが,いかんせんこれは能率悪すぎ。
 そうしている間にも,本作で導入された新機軸の一つ「カリスマレベル」(カリスマ値によってほかのシム人に「指示」を出せるというもの)を高めるために友達を作らなければならないし,その中から彼氏を見つけなければならないし,もちろん,トイレやシャワーもきちんとしないといけないし(女の子だからね)で,目の回るような多忙さだ。
 まるで,レースゲームのタイムアタックをやっているような感じがしてくる。

 と,さしあたって"お約束"の泣きを入れてみたが,ホント言うと,さすがに手塩にかけて育てただけあってヒラリーは実によくやっており,筆者としてはちょっと自慢したいくらいなのである。幼少期から培ったそれなりのスキルで課題を次々にこなし,成績はA+を連発。奨学金で得たギターセットを寮のロビーに置いて演奏すれば,たちまち人が集まり,チップ収入だけでもバカにならないほど。偉いっ,偉いぞヒラリー。あんたの父親は虫さえ見れば泣いていたものだが,彼のDNAを受け継いでいるとはとても思えない。


洋服ダンスを持っていないので,起き抜けはシャワーを浴びるまでパジャマか下着のまま。男女混合の寮の中を下着でふらふらするのは,お父さん,感心しないなあ

昔から大学というのはヘンテコな人が多いもの。あたりかまわず応援して迷惑なチアガール。ウサギの着ぐるみ男。ギリシア風の格好の男。うーむ

 

 

 さて,なにしろ,いろんな学生といろんなところで出会うので,このブラウン・ウェイロンという青年とどこで知り合ったのかあんまりよく覚えていない。毎日,親密度のバーがそれなりであれば,相手かまわず電話しているため,いつの間にか携帯電話だけで友達になってしまったようだ。
 ともかく,同じ寮の学生ではないので,確実に出会うには彼を公共区画に招待しなければならない。今日もキャンパスラウンジでギターを弾いて,日ごろの憂さ晴らし兼小遣い稼ぎをしようとするヒラリーだが,どうせタクシーを使うなら,ということで,ウェイロンも招待することにした。ちょっと前のレオナルド・ディカプリオみたいに前髪をたらし,私立学校のブレザーを着たヤサ男なのだが,まあ見てくれはよろしい。

 男友達はほかに二人ほどいるものの,いずれもオカッパ頭だったり,唇がやたら厚かったりと筆者の御眼鏡にかなわなかったのだが,彼ならいいかもしれない。なにが? って,ヒラリーの彼氏である。ファーストキスである。いひひひ。
 2年生も優秀な成績でクリアし,いよいよ学生生活も後半に突入。だいたい感じもつかめてきたし,ここらでちょいと一山,というところで後編に続きたい。


がんばれば成績は上がる。だが,学生生活は勉強だけではないはず。いや,筆者が言っても説得力ないだろうけどさ。ともかく,とりあえず,誰かとスペシャルな間柄になるのもキャンパスライフだ。さあ,こいつとうまくいくかヒラリー

 

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