― 特集 ―

「大航海時代 Online」インタビュー

Text by 大路政志
Photo by kiki

 

 

■プレオープンについて1:さらに世界が広くなった!

 

渥美氏:
 さっき世界の広さに関する話が出ましたが,作ってる側としては,これほど広いと作り込みで苦労しますね。いくら要素を盛り込んでも,砂漠に水を染みこませているような感じといいますか……とにかくきりがないんですね。広大さと,密度を両立させるのは実に難しい。しかし決して諦めず,これからも継続して挑戦していきますよ。

 

4Gamer:
 そういえば,世界が広いということもあって,実際にプレイしていると航海中にやや"まったり"しすぎてしまうこともあったのですが,航海中に発生するイベントや,能動的に実行できるお遊び要素のようなものは追加されるのでしょうか?

 

渥美氏:
 プレオープンでは,そのあたりも強化していますよ。

 

4Gamer:
 具体的にはどのような要素が強化されたんでしょうか?

 

渥美氏:
 船員のイベント周りとか,そのへんは強化していますよ。そういえば,船がもっと強く,もっと速くなってほしいという要望も多く,このあたりにも変更を加えました。
 もちろん最初は(クローズドβ時と同じで)弱く,遅い船なんですけど,よりプレイヤーの強化策が反映されるようにしたりとか……。

 

4Gamer:
 それって,船のカスタマイズ性がアップしたということなんでしょうか?

 

渥美氏:
 それもありますけど,それだけじゃないですよ。例えば横帆を付けたら今まで以上に追い風時にグンと速くなるとかですね。クローズドβでは,中型船以降には速度差があまりなかったんですが,これははっきりと実感できるような速度差をつけられればと考えています。
 まぁ普通に考えたら,船がこんなに速くちゃ困るだろう,ってところもありますけれど,ゲームの快適性を高めるためにも,改善することにしました。

 

4Gamer:
 というと,船が全体的にスピードアップしたというわけではないんですね。

 

渥美氏:
 はい。やはりゲーム開始時は,世界の広さや航海のドキドキ感を存分に味わってもらいたいですからね。  しかしまぁ,同じ場所に行くのに何度も何度も長時間の航海をしていてはそのうちツラくなってきますから,徐々に船を速くしていける,というところですね。DOLの場合,ワープポイントがあったりしたら興ざめですしね(笑)。
 それ以外の強化ポイントとしては……。そうですね,クローズドβでも海では魚を釣れましたけど,海には魚以外にも,ほら,もっといるでしょ?(笑) ……というものをいろいろと考えて,追加しています。
 まぁ,海っていうとどうしてもやれることが限られちゃいますが,どんどん面白そうな要素をひねり出して,航海をより楽しく感じてもらおうかなと。

 

4Gamer:
 そこは,あくまでも現実で起こりうる範囲内ですよね。たとえば人魚が登場したりとか,ある意味ファンタジーな要素は起こり得ない……?

 

渥美氏:
 "大航海時代に真実だと考えられていたこと"というのが私達の線引きとしてありますので,あまり突飛なことは起こり得ませんね。ただ,とんでもない"海の主"みたいなものは登場しますよ。

 

4Gamer:
 まぁこのあたりも,大航海時代シリーズに沿っているという感じですね。では,大航海時代に信じられていて,常識とされていた程度の幻想性はあると……。

 

渥美氏:
 そうですね。ただし"嵐を鎮める"みたいなアイテムは,MMOでは実装できませんね。誰か一人のプレイヤーが嵐を鎮めちゃうと,その周辺にいる人みんなに恩恵があり,嵐というイベントそのものが不活性化してしまいますから(笑)。
 全体的には,クローズドβ以降,あれもこれも足そうと躍起になったわけではなくて,クローズドβの良い部分を守りつつ,今までの要素の延長を足していった感じです。そういった意味でも,ビジュアル面の強化にも力を入れました。

 

4Gamer:
 スキルや職業の追加などは,プレオープンのタイミングでは行われないのでしょうか?

 

渥美氏:
 スキル自体の追加はありません。スキルは分布一つでゲーム性がガラッと変わってしまうので,そのへんは慎重にやっています。スキルツリーの内容も変更ありません。ただし,クローズドβでは"実装されていたけど取得できなかったスキル"がありましたから,プレイヤーから見れば,追加されていると感じるかもしれませんね。

 

4Gamer:
 実装といえば,もちろん航海できる範囲もグッと広がったわけですよね。

 

渥美氏:
 はい,ググッと広がっています。プレオープンで航海できる範囲は,正式サービス開始時点とまったく同じです。具体的には,西はカリブ,つまり新大陸(アメリカ大陸)の一部。南は……喜望峰イベントで大体分かってもらえましたよね。そして東は,インドまで行けますよ。

 

4Gamer:
 もうインドまで入っちゃいますか。それはまたかなり壮大な冒険が楽しめるようになりますね。

 

渥美氏:
 ですね。船の性能もアップしているので,航海の楽しさはクローズドβをはるかに上回るものになると思います。
 まぁそれだけ広い世界になるので,クエストや発見物,遺跡などなど,クローズドβでは見たこともなかったようなものが山のように出てきます。これらは,プレオープンで一番楽しんでもらいたいところですね。

 

4Gamer:
 内陸探検も楽しくなりそうですね。

 

渥美氏:
 クローズドβで内陸探検というと,冒険者一人で「わー凄い」みたいな印象がありましたが,艦隊メンバーと共に荘厳な古代遺跡を発見したり,そこでしか手に入らないアイテムを掘り出したり,みんなでわいわい楽しめるはずですよ。

 

4Gamer:
 誰が最初にインドに到達できるかとか,プレイヤー達の間で盛り上がりそうですね。インド到達は,どれくらいを予想していますか? プレオープン開始から3日程度で行けちゃう人もいるでしょうかね?

 

渥美氏:
 いや,……さすがにそれは無理だと思います。まぁ,単に行くだけであれば行けるでしょうけど,たぶん中に入れませんね(笑)。入港許可証を取るためにはそれなりに名声を稼がないといけませんし,イベントも進めないといけません。
 だから,単に行って,スクリーンショットを撮るだけならば,なんとかなるかな……というところでしょう。で,水と食料だけを補給して帰ってくるわけです(笑)。


2004年の海賊モノ映画で一躍脚光を浴びたカリブも,プレオープンサービスから実装される模様。エメラルドの海,生命力に満ちた木々,個性的な交易品などなど,見どころ満載である。攻略要素うんぬんを気にせずとも,純粋に観光目的の航海でもゲームが成り立ってしまう点は,DOLの大きな魅力の一つ。全体的にブラッシュアップされたグラフィックス面にも注目していきたい