― プレビュー ―
「ときめきメモリアルONLINE」β1テストをプレビュー
ときめきメモリアルONLINE
Text by midi
2005年10月7日

 

 コナミが運営するMMOコミュニティゲーム「ときめきメモリアルONLINE」。そのβ1テストが9月26日から10月5日までの計10日間行われ,無事に終了した。
 11月には10倍の参加者を募ってのクローズドβ2テストも実施されるが,今回はその前に,改めてゲーム内容を検証する意味も含め,β1テストを実際にプレイしてみた感想などを書きたいと思う。

 

 ゲーム概要については,過去の記事で少しずつ紹介してきたが,ここで簡単にまとめておこう。
 コンシューマゲーム機で続いている"ときめきメモリアル"シリーズは,高校生活を舞台とした"恋愛シミュレーション"と呼ばれるジャンル。複数の異性の中から好みの相手を見つけ出し,コミュニケーションをとりながら自分を磨いて,卒業式の日に告白されるのが目標という内容だ。
 対して本作,ときめきメモリアルONLINEは,"恋愛"よりも"ほかのプレイヤーとのコミュニケーション"に主眼が置かれている。
 ゲーム内容は,ときめきメモリアルっぽいアバターキャラで,ほかのプレイヤーとチャットをしながらクイズ(授業)や部活(RPG風の戦闘)に励むなどして,高校生活を楽しもうというもの。ほかにも,プレイヤー達が役を演じるアドベンチャーゲームといった趣(おもむき)の"ドラマイベント"など,いかにもときめきメモリアルっぽい仕掛けも用意されている。
 非常におおざっぱなまとめ方をすると,アバターチャットをメインとしたコミュニティ上に,さまざまなミニゲームが用意されていて,そこに味付けとして"ときめきメモリアルが振りかけられている"……といったところだろう。

 

 

■自由度の高いキャラメイク,分かりやすいチュートリアル

 

キャラメイクでは,お試し版になかった要素(髪の色や口の形など)が追加されていた

 今回のβ1テストは,1サーバーのみでのテストとなっていたため,生徒全員が"かがやき高校"への入学となった。ちなみに,"さくらの高校" "さざなみ高校" "いずみの高校"の校章が公開されているのだが,β1テストにはこれらは登場していない。
 まずはゲームを起動し,レジストコードなどを入力してアカウントを作成したら,キャラメイクからスタート。キャラメイクに関しては,公式サイトにFlashで動作する"お試し版"が用意されていたが,β1テストではそのお試し版よりも多くのパーツが用意され,かなり自由度の高いキャラ作成が可能となっていた。
 詳しくは後述するが,本作はアバターチャット的な要素が強いため,思い通りのキャラメイクができるという点は非常に重要なファクター。より個性的なキャラ作成のため,β2テスト,正式サービスでのさらなるパーツ拡張を期待したいところだ。
 ちなみにβ1では,1アカウントに対して3キャラの作成ができた。ウィンドウ周りがカッチリまとまっていたところなどから考えると,この1アカウント3キャラの仕様は,今後も固定となりそうだ(サーバー切り替えによる増加はあるかもしれないが)。

 キャラメイクを終え,"登校"ボタンを押すといよいよゲームがスタート。プレイヤーのキャラが学園に初めて登校する場面から物語は始まり,プレイヤーが男子キャラなら天宮小百合が,女子キャラなら桜井晴が学園を案内してくれる。ちなみに二回目以降のプレイでは,チュートリアルをスキップすることも可能だ。
 このチュートリアルは,天宮と桜井のキャラ紹介も含んだ内容となっているので,NPCとの恋愛イベントに興味を持っている人は,ここで二人の性格や役回りを把握しておくといいだろう。
 チュートリアル本編では,職員室,校庭,家庭科室,理事長室と,学園内のスポットを回りながら,授業の受け方や試験(今回のβ1テストでは試験は実施されなかった),部活での練習などについて教えてくれる。
 さらに,本作のウリのひとつであるドラマイベントもここで体験でき,チュートリアルさえ見ていればゲーム中の要素のほぼすべてを理解できるようになっていた。とはいえ,順調に進めていけば10〜15分程度で終わる短いものなので,初めて本作に触るプレイヤーであれば,まずはチュートリアルで本作の概要に触れることをオススメしたい。

 

チュートリアルは,プレイ二回目以降はスキップできる。「聞いてみたほうがいいかも」を選択すれば,初回と同じチュートリアルに β1テストでは実装されていなかったが,正式サービス後に導入される試験についても教えてくれた

 

学校を案内している途中,家庭科の針縫先生に泣きつかれる場面も。各先生の紹介も兼ねているのだ チュートリアル中に体験できるドラマイベントは,教頭先生が昼食中に倒れるという内容。購買部のおねえさんがキュート 理事長の秘書。チュートリアルの最後に登場し,注意事項を教えてくれる。この服装は健康な高校生男子には凶器(狂喜?)だ

 

 

■今後のマップ拡張に期待

 

 チュートリアルが終わると,理事長室前の廊下にプレイヤーのアバターが表示され,いよいよ自由に操作できるようになる。
 校内は広いが,MMORPGのように同じ背景の続く広大なフィールドではなく,建物や部屋単位で区切られたマップ構造となっているため,校内を見渡せるマップを別ウィンドウで開いていれば,迷うことはまずないだろう。校内にある各施設は,かなり細部まで作り込まれており,校庭の片隅にある飼育小屋にすら入れるのには驚いた。
 おそらくこれには,施設を細分化&出入りできる小部屋を増やすことで,プレイヤー達の集合場所(たまり場)を作り出せるというメーカー側の意図があるのだろう。実際,学園内の意外なところ,例えば体育用具室などで,多くの人がチャットやアイテムトレードを楽しむ姿があった。
 現在頻繁に使われていない部屋の使用方法や,新NPCがどこに配置されるのかなども含め,今後マップ周りがどう拡張されるかには注目していきたいところだ。
 ちなみに,β1テスト前から話題を呼んでいた伝説の樹(正式名称は"大樹"らしい)は,さすがにテスト初日から人気スポットで,常に人が多く集まる場所となっていた。β1テスト終了直前には,駆け込みで告白する人が溢れていたことは,ここに記しておきたい。

 NPCの話が出たところで,テストに登場していたNPCについても触れておこう。部活の練習やドラマイベントは,図書館や家庭科室,グラウンドなどに立っているNPC(先生やキャプテン)に話しかけることでスタートする。
 そのためNPCの周辺には,常に多くの人だかりが発生していた。人が多く集まる場所があるということは,コミュニティの活性化につながるため大いに歓迎だが,肝心のNPCが生徒の山に隠れて見えなくなることもしばしばあった。このあたりは是非改善してもらえればと思う。

 

 

■β1テストで初公開された"部活デッキ"

 

教室の様子はこんな感じ。A〜Zまであるクラスの雰囲気は,そこに集まる生徒達の個性によって微妙に違いが出ていた

 今回のβ1テストで個人的に最も印象に残っているのは,事前に一切の情報が出されていなかった"部活デッキ"なる概念の導入だ。
 これは,カードゲームのデッキのようなもので,"クラブ活動"と"自主トレ"に必要なもの。入手済みの"キーワード"や"奥義"を"技"としてデッキに組み込み,それを駆使して戦うというシステムなのだ。
 キーワードはドラマイベントで入手でき,奥義は授業や部活で手に入るアイテムを合成して作成する。ドラマイベントや授業をマメにこなしておいたほうが,より多くの技を入手でき,ひいては強い技をデッキに組み込めるため,クラブ活動や自主練では有利となる流れだ。
 実際のクラブ活動/自主トレでの戦闘は,ターン制のRPG風戦闘。技を駆使して敵にダメージを与えて全滅させれば勝ち,というルールで行われる。クラブ活動の戦闘では,NPCの敵が二人以上出現することもあるので,強い技を入れてないとなかなか勝てないバランスとなっている。実際,敵が複数になるレベル3あたりで苦戦する人も続出していた。が,なかにはレベル31まで突破していた強者プレイヤーもいたようだ。
 また,対人戦となる自主トレでは,キーワードや奥義の特性を活かした連携を駆使するパーティも出現。おそらく運営側も考慮しているだろうが,今後「最強パーティ決定戦」などが開催されれば,かなり盛り上がりそうだ。

 

マップ画面は各部屋,各施設の名称も表示され,かなり分かりやすいものとなっている。非常に便利な代物だ 伝説の樹の下は,多くの人で賑わっていた。ここで意中の男子に告白している女子生徒も,チラホラいたようだ

 

部活デッキ編集画面。デッキは三つまで編集可能で,用途に応じた使い分けができる。こまめに編集しておこう デッキ内にある技を使って戦闘。それぞれの技には,攻撃力と防御力が設定されていて,どちらにも使える 対戦レベル1だと1対1での戦闘だが,レベルが上がるに従って敵も強力に,複数になっていく

 

 

■ドラマイベントはレスポンスの悪さの解消が課題か

 

ドラマイベントを始めるには,パーティを編成しなければならない。感覚的にはMMORPGのパーティ編成と似ている

 部活と合わせて事前情報で大きくフィーチャーされていた"ドラマイベント"は,β1テストでは全部で9話がプレイ可能だった。
 各話それぞれバラエティに富む内容だったが,プレイヤーの声を集めてみたところ,泣かせる系の「家庭科室で昼食を」とラブコメ系の「二人のクリスマス」の人気が高かったようだ。
 ちなみに筆者個人も「家庭科室で昼食を」にはかなり心を打ち抜かれたクチ。ネタバレになるので詳細は省くが,エンディング直前のとある場面で涙腺が緩みまくり。危うくボロボロ泣くところだった。
 なりきりプレイが前提となるイベントだけに,照れが生じて乗っかれないプレイヤーもいるのではないかと懸念していたが,思った以上に多くの人が楽しんでいたようだ。シナリオの短いアドベンチャーゲームを遊んでいると思えば,なりきりプレイへの多少の違和感も払拭できるのかもしれない。
 そんな具合に,なかなか良くできていたドラマイベントだが,気になった点もあった。マウスクリックのレスポンスの遅さだ。常に遅いわけではないのだが,カチカチと連続でクリックしていると感覚的に引っかかる場面が何度かあった。システム上の問題,もしくはプレイ環境の問題かもしれないが,ドラマイベントはハッピーエンドを迎えるために何度もプレイする性質があるため,このあたりは改善してもらいたい。
 ドラマイベントのクオリティそのものは,今回のテストで確認できたが,プレイヤーにとっては,これらのドラマがどれぐらいのペースで追加されるかが気になるところだろう。現在はスタッフが制作したもののみの配信となっているが,ユーザーから募集する形でも物語は作れるはず。
 今回用意されていたドラマイベントは一日あれば遊び尽くせるボリュームだったので,正式サービス前までにさらに"量産体制"が整っていることを期待したい。

 

ドラマイベント「家庭科室で昼食を」からのひとコマ。学校を辞めていく味岡先生のために心のこもった料理を作ろう バレー部の補欠からレギュラーを目指して戦うドラマイベント。途中でどんな特訓をしたかによって,試合の勝敗が変わってくる

 

 

■クイズ形式の授業は,問題の数が重要な課題

 

授業では回答率によって先生のリアクションが変わる。先生ごとにいろいろ言ってくれるので,確認してみよう

 高校生活といえば,学校にいる時間のほとんどは授業。これは本作でも同様だ。ただし本作での授業は,退屈さとは無縁。というのも,授業内容が4択か○×式のクイズになっているからだ。
 キャラメイク時には,属性情報として"クラス"が自動的に設定される。そして自分が所属するクラスの教室にいると,15分ごとに授業がスタート。授業開始5分前には全校に予鈴が鳴って次の授業科目を教えてくれるので,出席したい授業であれば,教室に戻ればいい。ほかのプレイヤーと,わいわい言いながらクイズに答えていくのは,なかなか楽しいものだ。
 だが,気になる点もいくつかあった。
 まずは問題の数。同じ科目を受けていると,以前と同じ問題が出題されることがよくあった。反復により,知識量を増やすのも授業らしいとは言えるが,やはり問題数が限られていると,あっという間に飽きてしまいかねない。β2テストで,どれだけ問題が増えているかは,かなり気になるところだ。
 また,どうせ授業なら問題の解説も知りたいところ。現状では,ただ出題される問題に解答していくだけなのだが,誤った解答をしたときはとくに,解説付きで正答をチェックできれば,より"勉強をしている"感を味わえる……かもしれない。

 

授業ではいくつかのお助けコマンドが使用可能。"直感"を使うとコアラ博士がプレイヤーの代わりに勘で答えてくれる オプションでは名前の表示や,授業の有無も選択可能。チャットに集中したい人はこれをOFFにして,授業を回避していた

 

 

■ツーショットチャットとアバターについて

 

ツーショットチャットは,1対1という限定的なものではあるが,表情変化を使った意志伝達が簡単にできるのがミソ

 さて,期待度の高かったツーショットチャットについても見ていこう。チャット部分のレスポンスも良く,何より表情変化が可能な点が面白かった。これまでのチャットのように顔文字やアイコンで意思表示するよりも,たしかにビジュアライズされた表情変化のほうが見やすいし伝わりやすい。
 2〜3時間ずっとツーショットチャットをやっていた人も多数おり,使い勝手,チャットとしての利用価値は上々のようだ。何よりツーショットチャットは,二人限定のチャットであるため,ほかのプレイヤーにその会話が漏れることのない,秘匿性の高さが魅力。「二人だけの秘密」や「誰にも言えない話」は互いの絆をより深くし,ゲーム中の新たな出会いを導く。
 そういう意味では,本作のコミュニティゲームとしての性質を,より分かりやすく体現するのに最適なシステムではないだろうか。
 そして,自分の作った個性的なアバターがポリゴンではなくアニメイラスト風なキャラで表示されていた点も大きい。手塩にかけて作ったキャラ,ましてや授業などで手に入れたアイテムを装備したキャラであれば,やはり誰かに見せたいところ。そういった「誰かに見せたい」気持ちも,ツーショットチャット人気に拍車をかけていたように思う。
 ちなみに筆者は,「ツーショットチャットでその装備見せて」「いいよー」みたいなノリでツーショットチャットに入っていったクラスメイトの男女二人が,2時間後,チャットを終えて出てきて「今日から付き合うことになりました♪」と言い放つという事件(?)を目撃した。このときは「ツーショットチャット,恐るべし!」と,その破壊力のすさまじさを意外な角度から認識させられた。

 

 

「ハンバーガー」と入力すると,画面写真のように「******ーガー」と表示されてしまう。一般単語なのに……

 最後に,β1テストに参加して気になった部分を,あと二つ挙げておこう。
 まずは伏せ字の問題。これが最もβ1テストでユーザーから噴出していた問題点ではないだろうか。コナミが考える規制用語判別のフィルタが強すぎるのである。
 直接的な差別用語や下ネタ系単語がチャットで発言できないのは分かるし,ある程度規制すべきだとも思うが,「わかんない」や「ハンバーグ」のように,言葉の一部に規制用語が入っていると,伏せ字混じりで表示されるのには正直辟易した。チャットが重要な位置を占める作品だけに,表記周りは是非改善してほしい。

 また,これはβ1テストに限っての話だが,今回のテストではNPCとの恋愛イベントが一切オミットされていたため,それを楽しみにして参加したプレイヤーにはいささか物足りなさがあったようだ。次に開催されるβ2テストで導入されるかどうかは現時点では不明だが,元祖「ときめきメモリアル」から続く大きなファクターなだけに,できるだけ早い段階での投入を期待したい。

 

ユーザー主導で開催されたイベントの様子。ご覧のように数え切れないほど多くの人が集まり,かなり盛況だった

 気になる点はゼロではないが,β1の全体的な感想としては,前評判に違わぬキッチリとまとまった作品,といった感じだ。何より,学園生活の雰囲気がちゃんと出ていた点が良かったように思う。殺伐としたモンスターとの戦闘もなく,レアアイテムの奪い合いもない,いい具合にまったりとした空気を味わえた。
 おそらくその空気は,筆者以外の他プレイヤーも感じていたのだろう。テスト期間の中頃からは,頻繁にプレイヤー主導のイベントも開催され,生徒達自身がこの学園生活を楽しいものにしようと動き回る活気があったのだ。
 今回のβ1テストでは,ゲームの箱となる舞台がお披露目された程度。今後その中でどのような行動ができるのか,どのような楽しさが待っているのかは,まだまだ隠されていた感が強い。しかしプレイヤーはその箱庭の中で,精一杯の盛り上がりを見せた。その"プレイヤーが発信した熱"に対して,運営側が今後どのような回答/フォローをしていくのかが,気になるところだ。

 本作は,ときめきメモリアルという看板を背負ってはいるが,それとは関係なしに,多くのプレイヤー達とオンラインでまったり遊びたいという人ならば,誰もが気楽に遊べる作りになっている。
 ときめきメモリアルというタイトルに,つい身構えてしまう人も多いだろう。だが,コミュニティサイトに登録するぐらいの気持ちで,気軽に遊んでみてもらいたい。
 ときめきメモリアルに興味がない人でも,ほかのプレイヤー達と交流しながら,授業や部活,ドラマイベントをこなしていくうちに,青春時代を思い出すきっかけぐらいにはなるだろう。
 このプレビューで,本作に興味を持ったという人は,現在行われているβ2テスター募集に,応募してみてほしい。

 

タイトル ときめきメモリアルONLINE
開発元 コナミデジタルエンタテインメント 発売元 コナミデジタルエンタテインメント
発売日 2006/03/23 価格 パッケージ版:1980円(税込)〜,プレイ料金:税込み1200円/30日〜
 
動作環境 OS:Windows 98SE/Me/2000/XP,CPU:Pentium III/650MHz以上,メインメモリ:256MB以上,グラフィックスメモリ32MB以上

(C)2005 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.