― レビュー ―
スター・ウォーズ新三部作をレゴブロックでそのまま再現
LEGO STARWARS(日本語版)
Text by UHAUHA
2005年7月7日

 

■見た目はレゴなのにスター・ウォーズの世界を味わえる

 

レゴブロックで再現されたスター・ウォーズ新三部作をアクションゲームとして楽しめる「LEGO STARWARS」。難度はかなり低めなので,誰でも遊びながら映画のストーリーを追っていける。PC版では1600×1200ドットの高解像度表示に対応
 遠い昔,はるかかなたの銀河系で……一度聞いたら耳から離れないテーマソングとともに,ストーリーが流れるオープニングが印象的な映画「スター・ウォーズ」シリーズ。この,世界で最も成功したSFアクション映画のシリーズについて,今さら説明する必要はないだろう。スター・ウォーズはエピソードIVからVIまでの旧三部作,そしてエピソードIからIIIまでの新三部作で構成されており,最新作エピソードIII公開目前(2005年7月9日)というタイミングで,「LEGO Star Wars THE VIDEO GAME(日本語版)」が登場した。

 本作では「エピソードI ファントムメナス」「エピソードII クローンの攻撃」「エピソードIII シスの復讐」を映画のストーリーそのままにアクションゲームとして再現されており,登場するキャラ,ビークル(乗り物)などすべてレゴブロック(※)をイメージして作られている。
 実に可愛らしくコミカルな光景が生み出されているにもかかわらず,映画の場面がかなり忠実に再現されていたりして,思わずクスリと笑ってしまうネタも仕込まれている。サウンド面も,ライトセーバーを抜く音から,振り回すときの「ブォーン,ブォーン」という音,要所要所に挿入された映画と同じBGMなど抜かりない。

 最近では映画公開と同じタイミングでリリースされる"コラボレートゲーム"が増えているが,映画を見てからゲームで遊ぶ,ゲームをやってから映画を楽しむ,の二択で考えると,本作は明らかに前者だ。本作においてキャラはまったくしゃべらず(悲鳴程度),ゲーム中はテキストすら表示されないため,映画を知らないとその面白さは50%も味わえない。本作を100%味わうには,まず映画を見てからプレイすることをお勧めする。

レゴブロックはデンマークに本社を持つLEGO社が販売している玩具で,日本ではレゴ ジャパン社が扱う。デパートや玩具店で売られているが,価格はなかなかのもので,"高級ブロック"というイメージが強い。レゴにはスター・ウォーズシリーズも用意されており,大人のマニアにも人気がある。エピソードI〜エピソードVIまで劇中に出てくる戦闘機や名シーンがセット販売されているので,その気になれば本作のゲーム画面を本物のレゴブロックで再現することも可能だ。

映画さながらの戦闘シーンをコミカルに味わえる。ライフはなくなってもその場で復活するので意味なし? ジャンゴ・フェットなど主要敵キャラとの戦闘では敵のライフゲージも多く,攻撃も多彩で倒すのに苦労する フリープレイモードで使用できるキャラは56種類。全く異なるキャラの組み合わせで物語を楽しむこともできる

 

レゴなのにちゃんと映画スター・ウォーズの名場面(エピソードIより)が再現されているのが素晴らしい。シリアスなシーン,スペクタクルシーンに漂うはずの緊張感と,レゴのブロック/フィギュアのミスマッチ,「×」になっているフィギュアの目などから,本作独特の雰囲気を読み取ってほしい

 

 

■アクションゲーム初心者も"ジェダイマスター"になれる


エピソードIIでの捕らえられたアナキン,オビ=ワン・ケノービ,パドメを処刑場から救出するシーン。次から次へと湧いてくるドロイドを粉砕するのが気持ちよくて,アナキンたちを助けるのも忘れて戦いに没頭することもしばしば
 ゲームの出発点となるのは,エピソードIIに登場したデクスターズ・ダイナー。ここではプレイするエピソードを選択したり,ゲーム中に集めたコインを使ってほかのキャラやエクストラアイテム,ちょっとしたヒントを購入したりできる。プレイするたびに電飾や椅子をフォースで動かすことにより,ゲーム内で使うブロック稼ぎもできる。

 ゲームは各エピソードともストーリー上重要な六つのチャプターで構成されており,例えばエピソードIでは"ナブーへの侵入と脱出" "シード王宮の奪回",エピソードIIでは"ドロイド工場への侵入" "ドゥークー伯爵との戦い"などが再現されている。各チャプターにはクワイ=ガン・ジン,オビ=ワン・ケノービなど映画そのままのキャラになりきってプレイするシナリオモード,そして映画のストーリーと異なるキャラでプレイできるフリープレイモードが用意されている。
 また,エピソードIではポッドレース,エピソードIIではガンシップでの見下ろし型シューティング,エピソードIIIではド派手な3Dシューティングという風に,ミニゲームを使ったチャプターも挟み込まれている。とくにポッドレースのスピード感や,エピソードIIIの3Dシューティングで敵味方が入り乱れて戦う中を攻撃しながら進んでいくときの迫力などは上出来で,「単品で出してくれないかな」と本気で思ったほどだ。

 シナリオモードを進めていくと,徐々に使用できるキャラが増えていく。チャプターをクリアすれば使用できるようになるキャラや,ゲーム中に集めたコイン(レゴブロックでいうと1×1丸プレート)で購入できるキャラがあり,ジャー・ジャー・ビンクス,メイス・ウィンドウ,アナキン・スカイウォーカー,ジェンゴ・フェット,ダース・モール,パルパティーン,R4-P17,R2-D2,C-3POなどなど,最終的には56種類がフリープレイモードで使用可能となる。
 キャラそれぞれに武器,特性,ジャンプ力などが違うほか,造形だけでなく歩き方など細かい特徴も再現されており,とくにマスター・ヨーダの通常時のノンビリした動きと戦闘時の素早い動きなどは,スター・ウォーズファンも納得の演出だろう。
 ちなみに使用可能となったキャラは,デクスターズ・ダイナーを自由に歩き回っており,店の外では敵味方に分かれて戦闘したりと,徐々にぶっそうな雰囲気になっていくのが面白い。

 本作では,ジェダイ系のキャラでフォースを使ってスイッチを入れたり,バラバラになったブロックを組み立てることで道が開けたり,アストロメック・ドロイド(R2-D2やC-3POなど)でコンソールパネルを操作したりと,特定のキャラの能力が必要になる謎解き要素が随所に用意され,キャラを使い分ける場面が多々出てくる。2人プレイで遊べる作りのため,お互いにブロックに乗ってフォースで移動させるという協力プレイが必要な場面もある。といっても1人でプレイする場合,相方のキャラはコンピュータが操作してくれるのでご安心を。

 本作のアクション性については,端的に言って子どもでも楽しめる難度となっており,アクションゲームに長けていなくても困ることはない。キャラにはライフゲージがあり,ゲージがなくなるとキャラはバラバラになってしまうのだが,その場ですぐに復活するため,ゲームオーバーは存在しない。そのため,ダメージを気にすることなく,現れる敵をバッサバッサと倒していける。じゃあ戦闘は面白くないかと言われると,そんなことはない。
 映画のストーリーを追ってゲームが展開するため,ジェダイキャラによるライトセーバーを使った戦いがメインとなるが,ジェダイの強さを存分に味わえる味付けになっており,映画よろしく派手な立ち回りを演じられる。
 適当に攻撃ボタンを押しているだけで,敵が放ったブラスターを弾き返して倒すなどという,映画さながらのシーンや,ジャンプ&二段ジャンプから繰り出される攻撃,敵の位置で変わるモーションなど,生き生きとした動きが楽しい。もちろんブラスターを使うキャラ(パドメやチューバッカなど)に切り替えて,遠方からガンガン攻撃するのもありだ。

 闇雲に敵に突進して倒すのではなく,少し距離をとって敵の攻撃を跳ね返し,「ふっザコめ」とつぶやきながら華麗にライトセーバーで斬りつける……そんな風にキャラ達になりきってプレイすると,気分はグッと盛り上がるだろう。いや,コミカルだけど。

 

ライトセーバーなら防御が可能だが,防御に使えないブラスター主体のキャラ(パドメなど)は囲まれると苦戦する 通常時と戦闘時の動きのギャップが激しいマスター・ヨーダ。落ちつきのない(?)素早い動きも再現されている 使用できるキャラが増えてくると,デクスターズ・ダイナーはかなり賑やかに。ここでも敵味方同士が戦っている

 

各エピソードには,ポッドレース,ガンシップでの見下ろし型シューティング,3Dシューティングなどミニゲーム的な位置づけのチャプターも用意されている。どれも完成度が高く,かなり楽しめる出来だ

 

 

■スター・ウォーズファンやレゴ好きには必見


ステージ内の至るところに破壊できるオブジェクトが用意されており,壊すとコインが飛び散る。これを拾い集めるのが意外と楽しい。キャラやエクストラアイテムの購入に必要だし,ジェダイ・メーターを満タンにするためにも全部拾い集めたい
 本作でちょっと残念なのはプレイ時間の短さである。各エピソードは2時間もあればクリアできてしまうし,通してプレイしても6時間くらいだ。もちろん,一度クリアしても再度やる気にさせる要素があるにはあるが,ちょっとパンチが弱い感じだ。

 シナリオモードをプレイしていくと,今使っているキャラでは行けない場所が多く出てくるため,フリープレイモードでキャラを替えつつ進める楽しさはある。また,例えば各チャプターにはジェダイ・メーターという,コインを集めると増えていくメーターがあり,満タンでクリアすればレゴパーツが入手でき,全てのチャプターで満タンクリアを達成すればスーパーキットが完成する(隠しステージに入れる)。またチャプターごとにキャニスターと呼ばれる10個のカプセルがあり,全て拾えばレゴのミニキットが完成する。とくにキャニスターを10個集めるのにはかなり苦労するのだが,完成したミニキットはゲームで使用できるわけでもなく,単にデクスターズ・ダイナーの外に展示されているだけ……というのはやや寂しい。せめてミニゲームなどで,集めたミニキットを使えたらなぁと思ってしまった。

 スター・ウォーズのゲームというと,FPSなど初心者がプレイするには些少なりとも敷居の高さを感じてしまうジャンルも多いが,本作は気合いを入れてプレイする必要もなく,簡単な中にも独特の面白さがあるのが大きな魅力だろう。レゴのミニフィグ(人形)が登場するゲームはほかにもあるが,レゴの中でも人気のあるジャンル,スター・ウォーズの映画をそのままに再現しているとなれば,スター・ウォーズファンだけでなくレゴスター・ウォーズシリーズを集めている人はプレイして損はないはず。一人で遊ぶもよし,コミカルなキャラを取っ替え引っ替えしながら知人や子供と協力プレイを楽しむもよし,一風変わったスター・ウォーズの世界を,ぜひ楽しんでみてほしい。

 なお,当サイトの「こちら」にはデモ版もあるので,まずはプレイしてみてほしい。フォースの力を少しでも感じられたら製品版をプレイする素質は十分にあるだろう。May the Force be with you.

 

特定キャラの能力を使わないと先に進めない場面も多く,プレイ中は頻繁に操作するキャラを変える必要がある フォースを使わないと進めない場所もある。1人プレイでも片方はコンピュータが操作するので問題なし オビ=ワンでなくキ=アディ=ムンディでプレイ。持っているのはパープルライトセーバー(エクストラアイテム)

 

キャニスターを集めていくとレゴキットが組み立てられ,デクスターズ・ダイナー店外に展示されていく 完成間近のコレリアン・コルヴェット……あれ?。スター・ウォーズファンの方ならピンと来るかも知れない 各エピソードをプレイするにはデクスターズ・ダイナー店内にある扉に入る。"?"の扉は……言わないでおこう

 

タイトル レゴ スター・ウォーズ
開発元 Giant Interactive Entertainment 発売元 ソースネクスト
発売日 2005/07/07 価格 5800円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),Pentium III/1GHz以上[Pentium 4/2.40GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上,グラフィックスチップ:Shader Model 1.1対応以上,グラフィックスメモリ:64MB以上,HDD空き容量 2.2GB以上

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