■単体で遊べる,「サドンストライクII」の拡張パック第2弾
![]() |
| 戦車独特の動きや用兵術が楽しめる本作。生半可な気持では勝利できない |
「サドンストライクII ヒドゥンストロークII」は,第二次世界大戦を舞台にしたミリタリーRTSの傑作「サドンストライクII」の,拡張パック第2弾である。拡張パックといっても今回はメインシステム同梱で,単体でプレイできるため,本作から初めてサドンストライクの世界に飛び込むことも可能だ。
"サドンストライクIIシリーズ"のゲームシステムは非常に独特で,そこが大きな魅力ともなっているため,まずは基本的なゲームシステムに触れておこう。
本シリーズの特徴といえば,用兵術に特化している点に尽きる。一般的なRTSには,資源を確保して施設を建設,兵員を育成し,兵器を生産,そしてようやく敵軍との交戦にいたるというイメージがあるが,本作には資源の確保も兵器の生産もない。手持ちの兵力と,状況によって行われる兵員の補充などをうまく利用して作戦を遂行するだけ。実にストイックなRTSに仕上がっている。
資源を確保するタイプのRTSのほとんどが,いかに素早く敵を上回る兵力を用意するかが命題で,内政の出来/不出来によって勝敗の大半が決してしまう。そういう意味で用兵術は二の次で,実質は内政勝負である。
ところが本作では花形ユニットである戦車を見ても,それぞれに旋回力が設定されているほか,方向ごとに装甲値が異なるなど,戦術要素が重視されている。重装甲の戦車を正面切って砲撃しても破壊できないことが多いものの,機動力を生かした部隊でかき回し,敵の側面や後背を突けば戦果を上げられるというわけだ。
ほかにも,敵の砲台にいる兵士だけを狙撃兵で殺し,砲台を奪って敵を攻撃したり,地雷を設置してそこに敵を呼び込んだり,建物内に隠れて敵をやり過ごしたり,視線が通らない場所のユニットが表示されないのを利用して,建物の陰や森に兵を配置して敵を奇襲したりと,とにかく頭を使えば勝てる……というか,そうしなければ勝てないゲームになっている。
なお旧作の詳細は,それぞれのレビューを参照してもらいたい。
→「サドンストライクII」のプレビュー記事は「こちら」
→「サドンストライクII ヒドゥンストローク」のレビュー記事は「こちら」
![]() |
![]() |
![]() |
| 砲弾は画面外からも飛んでくる。索敵はほかのRTSに比べて実にシビアだ | 最大8人までのマルチプレイにも対応。16種類のマップが用意されている | ユニットに指令を出すとき,流れるセリフはその国のものとなっている |
![]() |
![]() |
![]() |
| 建造物のモデリングもしっかりしている。このあと爆撃によって火の海に | 歩兵は通常移動時,戦車はハッチを開けると視界が広くなるなど芸が細かい | 砲弾一発でケリがつく歩兵戦はシビア。ロータリーは死屍累々の惨状である |
■水陸両用戦車や小型潜水艇も登場
![]() |
| 新グラフィックスセットで表現可能になった砂漠。爆発のディテールもリアル |
今回の拡張ではシステムのマイナーチェンジも行われ,用兵の幅が広がった。追加要素のうち代表的ものを挙げると,機関銃や迫撃砲の砲手が二名になって,牽引も可能になったこと,機関銃が対空射撃も可能になったこと,迷彩ネットが追加されて歩兵が隠れやすくなったことなどだ。
また,これはマップ/シナリオエディット時にしかできないようだが,建造物内に対戦車砲,野砲,対空砲を配置できるようになった。どれも戦局を大きく変えるような要素ではないものの,用兵の幅が広がり,プレイがより面白くなっている。
またユニットも追加され,兵器/兵士は総計760種類以上になった。このゲームで注目したいのは戦車の圧倒的な火力と防御力で,新ユニットとしてドイツの超重戦車マウス,E-100(どちらも未完成),米国のT95自走砲(105�弌砲△燭蠅�代表選手である。
だが今回はダメージシステムの変更も行われ,戦車戦では正面装甲の貫通が不可能でも,車体や乗員にダメージが与えられるようになっている。このため前作ほど戦車が一方的に猛威をふるうわけでもないようだ。
遊撃戦力として活躍しそうなのが水陸両用戦車で,アメリカのLVTシリーズ(派生型を含め3種),日本の特二式内火艇(カチ/カミ),ソ連のT-38がそれに該当する。これらの登場により,シリーズで初の戦車による渡河が実現した。使い方次第では大きな戦果を上げられるだろう。
マニアックところではドイツのパンターシリーズが派生型を含めて4種類になり,ケーニヒスティーガー(キングタイガー)にPorsche砲塔とHenchel砲塔の2バージョンがあるという凝りよう。また,シリーズ初という話でいえば,ドイツのヘクト潜水艇も興味深く,その魚雷は巡洋艦を一発で沈めるほどの破壊力を持つ。
シナリオは,シングルシナリオが15本のほか,ドイツ,日本,イギリス,アメリカ,ソ連の五つのキャンペーンを収録し,遊び応えも十分だ。なおキャンペーンは4〜7ステージで構成されていて,詳しい内訳は下記の通りになっている。
さらにマップエディタが同梱されているのも本作のポイントだ。前作のエディタでは諸元欄は英語だったが,今回はそこまで日本語に翻訳済み。細かいことだが,ちょっぴり嬉しかったりする。
■ドイツ軍キャンペーン
- 炎の洗礼−1944年晩夏
- 橋−1944年秋
- ノイネンの戦い−1944年冬
- バストーニュ−1944年冬
- マース河への突破−1944年冬
■日本軍キャンペーン
- カワマタでの配備−1939年
- ハルハ河橋頭堡−1939年
- ホルスターン河陣営をめぐる戦い1939年
- ノモンハン事件−1939年
■イギリス軍キャンペーン
- トブルク−1941年
- アルバイダへの進軍
- コンパス作戦
- ベンガジの戦い
■アメリカ軍キャンペーン
- シシリーI−1943年夏
- シシリーII−1943年夏
- シシリーIII−1943年夏
- シシリーIV−1943年夏
- アレルノの戦い−1943年秋
- ボルトゥルノ河−1943年秋
- モンテ・カッシーノ−第4回戦闘1944
■ソ連軍キャンペーン
- ラウバンの戦車戦−1945年
- ハイリゲンバイル−1945年冬
- ゼーロウ高地−1945年4月
- ベルリン解放I−1945年4月
- ベルリン解放II−1945年4月
- ベルリン解放III−1945年4月
- ベルリン解放IV−1945年4月
ドイツ軍キャンペーンは1944年晩夏から,連合軍のマーケットガーデン作戦の阻止,ドイツ軍最後の組織的攻勢「アルデンヌ反攻」のクライマックスにいたる時期を扱う。東西から迫る連合軍に最後の一撃を見舞いつつも,第三帝国の黄昏が実感できる。
イギリス軍キャンペーンの舞台は,北アフリカ戦線の序盤。トブルク,ベンガジといった,北アフリカにおける重要港湾地域の争奪が,史実どおり戦いの主題となる。
ソ連軍キャンペーンで描かれるのは,東部戦線の最終局面,ソ連軍の大攻勢である。ドイツ軍によるラウバン奪回作戦や,逆にソ連軍によるハイリゲンバイル包囲,そしてベルリンへの最短ルートとなるゼーロウ高地の激しい攻防などが題材となる。
一方米軍キャンペーンはちょっと変わったテーマで,シチリア島上陸に始まるイタリア戦線が扱われる。米軍のウェーデマイアー中将あたりには,まったく不要な作戦と評された戦線だが,ムッソリーニの失脚とスコルツェニーによるムッソリーニ救出,北イタリアでの抵抗継続と,日系人部隊第100歩兵大隊のモンテ・カッシーノでの奮戦など,ドラマティックな逸話も多い戦場である。
そして,日本軍キャンペーンの題材はノモンハン事変。第二次世界大戦における日本軍を描くには変化球もいいところだが,戦車を活用した戦闘をテーマとするには,適しているかもしれない。
総じて,本編で描かれなかった戦線を扱っているため,どのキャンペーンもヒネりの利いたもの。ほかのゲームでなかなか扱われない戦いも多いので,興味深いかもしれない。
![]() |
![]() |
![]() |
| 「II」では建造物の中に対戦車砲を配置可能となった。建造物ごと破壊せよ | 前作と比較して航空機のビジュアルも美しく,というよりシャープになっている | シナリオによっては制限時間が設定された任務も。画面左上の数字に注目 |
![]() |
![]() |
![]() |
| 「II」にはArenaと呼ばれる実験用マップも収録されており,各兵器の性能が試せる | 新兵器として小型潜水艇も登場する。魚雷の破壊力は主要艦艇に痛打を与える | 今回もエディット機能は健在。兵器のスペック諸元が日本語化されたのは嬉しい |
■細部に難アリだが,マニアックなシナリオが楽しめる
![]() |
| 多数の兵力による乱戦などは面白い。だが移動ルーチンには若干の難アリ |
とまあ,全体の雰囲気や新要素をお伝えしたうえで,プレイ上の注意点をいくつか。本作で多数のユニットにまとめて移動を指示し,その行軍の途中に狭い峡谷などがあった場合,そこが兵で埋まると後続部隊は通行不能と判断し,勝手に回り道してしまう。また,いつまで経っても戦車が到着しないので確認すると,戦車が歩兵に囲まれて,移動不可能と判断されてしまったり。このあたりは大きなストレスになるので,ぜひ何らかの改善を期待したい。
またプレイの展開にしばしば"行き止まり"があることにも注意したい。例えば橋を爆破するミッションでは工兵が必要になるが,橋に到達する前の激しい戦闘で工兵が死んでしまうと,その時点でミッションの攻略不可能になる。ところがゲームはそのまま続行されてしまうのだ。これには何らかの救済処置ないし,警告があるべきではないだろうか。
その一方,多くのRTSが高いマシンスペックを要求するようになった昨今,それほどスペックを要求せず(推奨動作条件でPentium III/500MHz以上),プレイしがいのある本作のスタンスには好感を覚える。第二次大戦を扱った作品のなかでも相当にマニアックな題材とルールの本作ではあるが,それ魅力でもあるので,興味を持ったならぜひともチャレンジしてもらいたい。正直言って難度は高いものの,きっと良い意味でRTSというジャンルに対する認識が変わることだろう。
![]() |
![]() |
![]() |
| クリアすると得点が表示されるなど,やり込み要素もあって繰り返し遊べる | シングルシナリオのサイパン島を舞台にしたマップ。無数の日本兵の突撃は圧巻 | 雪原のマップではキャタピラの跡が残るなど,なかなかに芸の細かい表現だ |
![]() |
![]() |
![]() |
| 銃/砲撃はもちろん,兵の足音なども再現する。足音は複数用意されている | 橋の爆破任務では工兵が遅発性地雷を使う。とくに説明がないのが少々ツライかも | 海戦要素はオマケ程度。次回作ではもう少し増えてくれるとプレイの幅が広がるだろう |






















