特集:PCゲーム新作ガイド 2007

PCゲーム新作ガイド 2007

Text by 奥谷海人 

 

ロールプレイング

 質の良い大作RPGがPCゲーム市場で増えてきたが,今年も引き続き,かなり充実した内容になりそうだ。とりわけ日本で知名度の高いタイトルが,「Hellgate: London」だろう。発売前からすでにヒットが約束されている雰囲気で,長期間にわたって遊べる一本になりそうだ。さらに,BioWareの「Mass Effect」はゲーム業界からの注目度も高く,「Elveon」や「The Witcher」といったヨーロッパ勢の健闘にも期待したいところ。

 

開発元:10Tacle Studios Bratislava
発売元:10Tacle Publishing
発売予定日:2007年夏

 

 スロバキア共和国で開発が進む「Elveon」は,終焉を迎えたエルフ文明を描くファンタジーRPGだ。ストーリーは,モンクとして修行していた主人公が,エルフ種族の未来を決定する騒動に巻き込まれていくというもので,プレイヤーはUnreal Engine 3.0で緻密に作られた幻想的な世界を旅することとなる。
 Elveonは,そのアートだけでなく,ゲームプレイにもどことなく優雅な雰囲気を持っている。戦闘では,タイミングを見計らいながら攻撃や防御を繰り出していく必要があり,キーをむやみに押していくだけでは,スタミナばかりを消費して勝てなくなってしまう。キャラクターには槍,剣,短剣,そして弓の四つの兵科が用意されており,ゲーム内には100種類以上の武器が存在するという。これらの武器を使うことで,さらなるスキルポイントを習得し,さらに強力な特殊能力を身につけていくのだ。戦闘中,狭い洞窟では大きな武器の切っ先が周囲の壁に当たってしまうなどのリアルな物理表現もあり,同じ戦法では勝ち進めないのだ。

 

 

開発元:Flagship Studios
発売元:Bandai Namco Games/Electronic Arts
発売予定日:2007年夏

 

 「Hellgate: London」は,いかにもDiablo開発者の新作らしいRPG要素の深さと,アクションの激しさを兼ね備えたゲームプレイを持つ,ファン待望のソフトである。複数のキャラクタークラスと,さまざまなスキルばかりでなく,ランダムに生成されるマップや豊富なアイテムの数々など,とにかくリプレイバリューの高さが強調された内容となっている。
 文明化にまい進して過去を忘れた2038年のロンドンで,これまで封じ込められてきた地獄の門が開かれてしまうというストーリー。古代の魔術や兵法を学んだ人物が少なく,地球の未来は極少数のチャンピオン達に託されることになるのである。
 独自エンジンによる一人称視点のアクションRPGになっているが,ゲームシステムの各所にDiabloらしさが漂う。マルチプレイモードは,MMORPGに似た常設サーバーを設置する計画があり,それに合わせて何らかの課金システムが取り入れられることが発表されている。「無料で遊べるオンラインモードもある」とのことだが,このあたりがファンにとっては気になるところだろう。

 

 

開発元:Master Creating
発売元:Anaconda
発売予定日:2007年夏

 

 主人公はOrder of the Flameというギルドのメンバーになったばかりの若者で,彼がいない間に町が襲われ,多くのメンバーが殺されてしまったことから,復讐の旅に出る……。こう書けば非常にありきたりのストーリーにも感じるが,ドイツで開発されている「Legend: Hand of God」のシナリオには,「Dungeon Siege II」や「Gears of War」などで評判の高い,Susan O'Connor氏が絡んでいるというから,一癖ありそうな予感がしてくる。
 本作は非常にシンプルなRPGで,襲い掛かってくるモンスターを剣や魔法で倒してアイテムや金銭を得るという,典型的な“ハック&スラッシュ”タイプのようである。それでいて古く感じないのは,プレイヤーキャラクターを取り囲んだ敵を一気になぎ倒したり,巨大なトロールに飛びかかったりなど,自動的に発動される数々のアニメーションのおかげだろう。カーソルが青光りした妖精のようになっているのもユニークで,実際にプレイヤーにヒントをくれたり,ダンジョンでの明かりとなってくれたりするのだ。

 

 

開発元:BioWare
発売元:Microsoft Game Studios
発売予定日:2007年夏

 

 現在のところXbox 360専用とされているが,この「Mass Effect」は,PCにもいずれ移植される可能性が高いタイトルの一つ。人類が宇宙に進出したばかりの23世紀を描いたスペースオペラで,宇宙警備部隊Specterのリーダーとして活躍する人間族シェパード大佐が主人公だ。
 シェパード大佐は,とある事件の捜査を通して「マシーン」という謎の侵略者の到来を知る。主人公の仲間には,リザード系の男性キャラと,完全武装した女性キャラの二人の隊員がおり,戦闘では「Full Spectrum Warrior」風のコマンドを出すことで,三人を自在に操ってプレイする。キャラクターそれぞれにスキルセットが用意されており,そこに戦闘で得たポイントを振り分けることで,さらに効果の高い攻撃を繰り出せるようになっていくのだ。
 顔の表情までリアルに再現したアニメーションが素晴らしく,選択式の会話シーンも途切れることなく,まるで映画のように物語が進行していく。BioWareでは,今後すべての自社ソフトに,エピソディック形式(エピソードごとにリリースされる販売方式)のコンテンツを絡めていくということで,「Steam」のようなオンラインサービスもサポートするのかもしれない。

※画面写真はXbox 360版のものです

 

 

開発元:Monte Cristo
発売元:Atari
発売予定日:3月

 

 「Silverfall」は,「Diablo」や「Dungeon Siege」のような雰囲気を持つ,クラシックなタイプのアクションRPGだ。蒸気機関の発達により,魔法の力に頼らなくなりつつあるNelweの世界で,プレイヤーはヒューマン,ゴブリン,エルフ,そしてトロールのパーティを結成して「自然 vs. テクノロジー」をテーマにゲームを進めていく。冒険の途中で,「自然に頼るか,テクノロジーに頼るか」という選択をしなければならない。キャラクター達が身につけられるスキルや特性は120種以上あり,自由度の高い育成が可能だ。
 Silverfallには,複数のタイプからなる35種類のモンスターが登場し,ほぼ無限のランダムアイテムが生成される。メインクエストだけでも25時間ほどのプレイ時間が想定されているが,さらにサブクエストも200種ほど存在するとのこと。最大で8人までのマルチプレイモードが存在し,個人対戦ばかりでなく,複数のグループに分かれてのチーム戦を行ったりもできる。このほか,ストーリーをグループで進めていく協力プレイも可能となっている。

 

 

開発元:CD Projekt
発売元:Atari
発売予定日:年内

 

 ヨーロッパ地域でのパブリッシャがAtariに決まり,そろそろリリースも見えてきそうなのが「The Witcher」だ。もはや旧世代に属するBioWareのゲームエンジン「Aurora Engine」をライセンスしたものを使用しているが,コツコツと改良され,古さを感じさせないグラフィックスレベルに達している。草木の密度や水面の反射光などが細かく描き込まれており,昼夜の移り変わりやさまざまな照明効果が美しい。Karmaエンジンによる物理効果や,リアルタイムでの気象変化など,生き生きとした世界が描かれているのだ。
 “ウィッチャー”とは,モンスタースレイヤーとして幼少の頃から血のにじむような訓練を受けてきたエリート戦闘集団で,剣技と魔術を巧みに利用して戦う。ゲーム世界の住人にとっては救世主であるのだが,その魔性を嫌う人も多く,ゲーム中でもプレイヤーとの会話にそれが現れてくる。戦闘はタイミングを見計らって的確にキー操作するシステムで,コンボ技なども繰り出せるようになっている。メインストーリーに加え,村人達から100種類ほどのサブクエストを受けられる。流血やセクシャルな描写も豊富で,大人向けのダークなRPGとして際立っている。

 

 

開発元:Reality Pump/Zuxxez
発売元:TopWare Interactive
発売予定日:3月

 

 「Earth 21xx」シリーズなど,ストラテジーゲームで定評のあるReality Pumpだが,「The Elder Scrolls IV: Oblivion」を連想させるオープンエンドなRPGを,近々リリースする予定だ。戦争の神Aziraalの墓が偶然発掘されたことから,世界に災難が巻き起こるというバックストーリーはあるが,プレイヤーの意思でかなり自由に活動できるという。キャラクターの行動や評判によってストーリーが刻々と変化していき,エンディングは200種類も用意されている。
 成長もかなり自由な模様で,定型のクラスに限らず,さまざまなスキルを身につけられるうえ,“クラス・チェンジャー”という特定のNPCに,完全にポイントを振り分け直してもらえる。魔法だけでも400種というから,とうてい数日でプレイしきれるボリュームではないだろう。敵と遭遇するたびにゲームがポーズされて,装備やポジションを調節できるといったストラテジックな要素も最近では珍しい。8人までのマルチプレイモードも用意される予定だ。

 

 

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