特集:PCゲーム新作ガイド 2007

PCゲーム新作ガイド 2007

Text by 奥谷海人 

 

ストラテジー

 「Age of Empire III」や「Total War」シリーズなどの歴史モノ,そして「Company of Heroes」のような現代モノにはもう飽きたのか,今年のストラテジーゲームのトレンドは「未来モノ」である。「Command & Conquer 3 Tiberium Wars」と「Supreme Commander」という双璧に,ほかのソフトがどのように絡んでくるか。また,この中では地味に感じるが,「Europe Universalis III」も,いぶし銀のような魅力を放っている。

 

開発元:EALA(Electronic Arts Los Angeles)
発売元:Electronic Arts
発売予定日:3月

 

 「Command & Conquer 3 Tiberium Wars」は,近未来の地球におけるGDI軍とNOD軍の抗争を描いた,“RTSの元祖”と言っても過言ではないCommand & Conquerシリーズの最新作である。これまでの作品で培ってきたスピーディなゲームプレイと映画のような演出に加え,シリーズのルーツとも言える数々のユニットや,フルモーションビデオによるカットシーンなども復活。古参ゲーマーだけでなく,RTSファンなら誰でも楽しめる作品となりそうだ。
 本作では,未来世界の貴重な資源ながら,人体や環境に悪影響を及ぼす“ティベリウム”という植物性鉱石に絡んだストーリーが展開する。マンモスタンクのような兵器と防御力の高さがウリのGDI軍,ティベリウムを利用し,速攻が得意なNOD軍に加え,今回からはエイリアン系の新勢力“Visitors”が加わる。マルチプレイヤーモードでは,ゲームをリアルタイムで観覧できるスペクテイターモードなど,実況中継を念頭においた数々のフィーチャーがあり,対戦トーナメントを意識した作りになっている。強い太陽に焼かれているような独特のグラフィックスも魅力的だ。

 

 

開発元:Paradox Interactive
発売元:Paradox Interactive
発売予定日:1月

 

 欧米ではすでに発売されている「Europa Universalis III」(※)は,1453年から1789年までの約300年を,250を超える国家や部族勢力でプレイできるという,とてつもない情報量が魅力の作品である。それぞれの勢力に軍事力,経済力,宗教,外交などのステータスがあり,今回からは支配者に加えて3人までのアドバイザーを任命することで,それぞれの特技を生かした執政を行えるようになっている。
 主要国家には各種の歴史イベントも用意されているが,今回からはランダム要素が追加され,プレイヤーが展開を予測しにくい仕様へと変更されている。前作までのように,「大航海時代」や「アメリカ独立」といった特定の時代からだけでなく,どの年代からでもゲームをスタートできるようになった。
 陸軍力や経済システムなどに加え,政治体制もリサーチ可能で,独裁王制や共和制など17種類に調整可能。“スパイ”などの新要素も加わり,さらにスケールの大きな近代史を満喫できそうだ。

※完全日本語版は,サイバーフロントより発売予定

 

 

開発元:Metamorf Studios
発売元:Dreamcatcher Interactive
発売予定日:3月

 

 「Homeworld」以来,宇宙を舞台にしたRTSの良作があまり出ていないが,「Genesis Rising: The Universal Crusade」はその空白を埋める可能性のある作品だ。“宇宙の心”という謎のオブジェクトを見つけ出すように命じられた主人公Iconahが,敵に遭遇しながら宇宙での旅を続けるという物語。ユニットはなかなかユニークで,SFにありがちな金属製のものではなく,どことなくグロテスクなデザインの生命体となっている。
 見た目がRTSらしくないのは,ユニットを増産するのではなく,少数精鋭の小隊を指揮するからだ。資源はBlood Airと呼ばれ,敵宇宙船の残骸から血やDNAを採取することで,船体の修理や,攻撃や防御/ステルス機能など,プレイヤーの好みにあったアップグレードを行っていくのだ。敵側の宇宙船も,隕石を利用したものや,ガラスでできたかのような透明な材質のものなどどれも非常にユニークで,途中で遭遇するキャラクター達との会話を含め,独特の世界観が描かれている。12人までのマルチプレイモードもサポートしている。

 

 

開発元:Fireglow Games
発売元:未定
発売予定日:年内

 

 「Sudden Strike III: Arms for Victory」は,定評のあるユニットの細かい動きを,最新の3Dエンジンでパワーアップした作品だ。登場ユニットは1000種以上,インタフェースも洗練され,慣れれば1ユニット単位での細かいマネージメントもできるようだ。
 本作は第二次世界大戦を舞台にした局地戦を描いており,アメリカ,ドイツ,日本,そしてロシアの4国家でプレイできる模様。ノルマンディ上陸作戦(アメリカ/ドイツ),クリミア侵攻(ロシア),ガダルカナルの戦い(アメリカ/日本)などのキャンペーンが楽しめる。戦闘機の空母への発着や,潜水艦による輸送船攻撃といった海戦部分も充実しており,マップは大きいものになると8キロ四方におよぶという。
 βデモは2006年8月にリリースされているが,CDV Softwareからのスピンオフとして独自レーベルを立ち上げたためか,正式な発売予定のアナウンスが行われていないのが気になるところではある。

 

 

開発元:Gas Powered Games
発売元:THQ
発売予定日:2月

 

 「Total Annihilation」を生んだクリス・テイラー氏による久々のRTSが,「Supreme Commander」だ。アメリカでは,「Command & Conquer 3」との一騎打ちになりそうな気配もある。舞台となるのは37世紀で,三つの派閥に分かれた地球文明間の抗争を描いている。
 プレイヤーは,地球を核にした連合軍であるUEF,消滅したエイリアンの宗教を信仰するAeon Illuminate,そして半コンピュータ化した人間から成るCybran Nationでプレイでき,何百もある各惑星の支配をめぐって戦うのだ。「Total War」シリーズのような,戦略マップを含んだゲームシステムになっているのが特徴だろう。マップが広大なためか,ユニットがアイコン化されるまでカメラをズームアウトできたり,支配地へのユニットの自動輸送が可能だったりなど,テイラー氏らしい数々のアイデアも光る。なかには,巨大すぎて,進行するだけで周囲のユニットやオブジェクトを破壊していくようなユニットもあるそうで,細かな物理効果にも期待できそうだ。

 

 

開発元:Digital Reality
発売元:10Tacle Studios
発売予定日:2月

 

 ドイツがイギリスへの侵攻に成功したことから技術開発力を増大させ,兵器や戦略がより複雑化していくという,架空の現代史を描いたのが「War Front: Turning Point」である。ストーリーは,東部戦線でアメリカとドイツの将校が共同でヒトラー暗殺を企て,やがては双方が手を結んでロシアと対決するという,あっと驚くような方向へと進展していくのだ。
 本作の特徴は,第二次世界大戦で使用された通常兵器に加え,2足歩行兵器“エクソスケルトン”や液体窒素爆弾など,架空の兵器がふんだんに登場してくることだ。さらに,ユニットを直接操縦したり,固定砲台に乗り込んで敵に掃射したりという細かなプレイも可能だ。ストラテジーゲームなので,このときにはほかのマネージメントをAIに任せるわけだが,このあたりがどう処理されているのかが見ものだろう。建物の爆発が細かく描写されたり,樹木が風にそよいでいたりと,グラフィックス面でもかなりハイレベルな作品である。

 

 

開発元:Massive Entertainment
発売元:Sierra Entertainment
発売予定日:年内

 

 1991年,ソビエト連邦崩壊を防ぐためにヨーロッパやアラスカへと侵攻したロシア赤軍を,NATO軍が食い止めるという,こちらは第三次世界大戦という架空戦史を扱った作品だ。ストーリーは,ミリタリー作家として知られるラリー・ボンド氏によって監修されており,アメリカ,ロシア,NATOの三つの勢力が登場する模様だが,現在のところはアメリカ軍でプレイできること以外は詳しく発表されていない。
 ゲームプレイはスピーディにものになるらしく,「Company of Heroes」のように兵科を選ぶことで特殊な能力を得たり,ポイントが溜まると空爆や核ミサイル攻撃ができるというような,ほかの作品の良いところもうまく取り入れられている模様。高層ビルから,駐車している一般車両まで,砲撃によって多くのオブジェクトを破壊でき,すでに公開されているムービーでは,舞台となったシアトルの街で,激しい市街戦が繰り広げられているのが分かる。自然に囲まれた平和そうな郊外住宅地が,突然の戦火によって焼き尽くされる,というようなことが起きそうだ。

 

 

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http://www.4gamer.net/specials/games2007/games2007_rts.shtml