アメリカのリサーチ会社，NPD Groupが報告したところによると，2006年のPCゲームの売り上げが，2005年度と比べてわずかながらも好転した。PCゲーム市場が，2002年から右肩「下がり」で縮小してきたことを考えれば，次世代ゲーム戦争とも呼ばれるコンシューマ機の販売合戦にさらされながらも，ずいぶん健闘したと言っていいだろう。

「Windows Vista」もようやくリリースされ，ハード/ソフトウェア開発者も一安心といったところか。「Windows 95」や「Windows XP」ほど乗り換えのメリットがないとも言われているが，ぜひともPCゲーム市場の牽引に期待したい

　Microsoftの新しいOS，「Windows Vista」がようやくリリースに漕ぎ付けたこともあって，2007年はPCゲームにも注目が集まりそうだ。Windows Vistaと共に登場するDirectX 10専用のソフトがさほど多いわけではないが，今後，どんどんDirectX 10へとプロジェクトが移行していくだろうことを考えれば，今のうちに開発中のゲームをリリースしておきたいという開発者の計算が働くことも考えられる。
　Windows VistaのインパクトはPCゲーム業界が期待するほどのものではない，という意見もあるが，高画質のHD画像やオンラインモードなど，現在，ゲームプラットフォームとしてのPCにコンシューマ機が着実に追いついているのは確かであり，オンライン配信やPCC（プレイヤー・クリエイテッド・コンテンツ），物理エンジンといったPCならではの長所を生かしたソフトの誕生が望まれるところだ。

リリースされたばかりの「World of Warcraft」拡張パック第1弾「Burning Crusade」。800万アカウントにも及ぶプレイヤー達の待望の1作だが，2007年度のPCゲーム市場にどのような影響をもたらすのだろうか

　今年も気になるソフトが多く，この特集では欧米産ソフトを中心に八つのジャンルからそれぞれ7本，合計で56本を厳選して紹介する。このうち，昨年の特集で紹介したソフトが実に9本もあるのだが，まあ，今年中にリリースされるのは“ほぼ”間違いなさそうなので期待していただきたい。
　傾向としては，Windows Vistaのリリースに合わせているのか，3月に発売が予定されるソフトが非常に多く，春から夏にかけて早めの大作ラッシュを楽しめそうだ。続編タイトルは全体の20％程度しかなく，未知数ながらも開発者の知恵を絞った新鮮な世界観やゲームプレイを体験できるかもしれない。
　各ジャンルにビッグタイトルが並び，本当にこれだけ遊び切れるのかどうかが心配になってくる。とくにMMORPGは，リリースから2年以上を経た「World of Warcraft」の人気が一息つくと見込んでいるのか，話題のタイトルが一斉に開花する。そんなこんなで，PCゲーマーにとっては，2007年は非常に良い一年になりそうだ。
　なお各ジャンルへは，下のインデックスから直接ジャンプできる。インデックスは各ページに用意されているので活用してほしい。