特集:PCゲーム新作ガイド 2007

PCゲーム新作ガイド 2007

Text by 奥谷海人 

 

MMORPG

 開発が遅れていた欧米の大作が一気に登場するのが,今年のMMORPGジャンルだ。「Aion」「Dungeon Runners」のNCsoft,「Huxley」「All Points Bulletin」(この2本は“MMORPG”かどうか微妙だが)のWebzen,「Ragnarok Online 2: The Gate of the World」のGravityと,韓国勢の作品も気になるところ。今後はプレイヤー参加型の“MMORPG 2.0”にトレンドが移行するとも言われるだけに,「World of Warcraft」を牽制し,1.0世代最後の花を咲かせるだけのソフトは登場するだろうか?

 

開発元:Funcom
発売元:Eidos Interactive/Funcom
発売予定日:10月30日

 

 DirectX 10対応のMMORPGとして大きく注目を浴びることとなった「Age of Conan: Hyborian Adventures」は,もちろん「コナン・ザ・グレート」などの映画でも知られるロバート・E・ハワード原作のファンタジー世界をゲーム化したものだ。プレイヤーの目的はコナンのような勇者になることで,本作はPvP/PvEの戦闘に重点が置かれた作品になっている。ただ,ゲーム序盤(Lv20程度)までは,そのプレイヤー専用のスペースが与えられ,そこでクエストをこなしつつ,じっくりゲームやストーリーを学ぶという,シングルプレイモードのような要素も含まれる。
 コンバットシステムがユニークで,戦闘開始時に画面下部に表示されるインタフェースを使い,武器の振りの方向などを指示していく。例えば,いったん右から左に剣を振ると,次は再び左には振れないので,右か上に向けて切り返す必要があるなど,プレイヤーは次の一手や相手の動きを見極めながら的確に指示を出さなければならないのだ。また,ギルドで砦を作ってNPCの兵士に守らせたり,敵へ攻撃をしかけるなど,まるでRTSのような戦闘も味わえる。
 日本のパブリッシャの中に,いくつかコンタクトを取っているところがある模様。もしかしたら国内サービスも期待できるかもしれない。

 

 

開発元:Perpetual Entertainment
発売元:Sony Online Entertainment
発売予定日:第2四半期

 

 ファンタジー系MMORPGの中でも,かなりユニークな世界観を持つのが「Gods & Heroes: Rome Rising」だ。ローマやギリシャの神話をモチーフにし,プレイヤーは,ミノタウルスやサイクロプス,カルタゴの巨象といった巨大な敵を倒し,英雄としてローマ市民からの敬愛を受け,やがて神に近い存在へと成長していくのが目的だ。面白いのは,プレイヤーは最大で7人のヘンチマン(手下)を雇用できること。プレイヤー5人でパーティを組めば,総勢40人のちょっとした軍勢ができあがる。これらのヘンチマンを訓練所で鍛えることも可能だ。
 プレイヤーには3タイプのクエストが用意されている。自分のストーリーとしてゲームを進めていくためのEpicクエストと,ローマ市民から自由に受けるRomeクエスト,そして神の加護を得るために行うGodクエストだ。この世界にはジュピター,ヴィーナス,バルカンなどの十二神が存在しており,クエストをこなすことで一定時間,特殊パワーを得るといった加護に与かれるが,あまり同じ神をひいきにしていると,ほかの神から嫉妬され,何らかの怒りを買うこともあるという。

 

 

開発元:Simutronics
発売元:Simutronics
発売予定日:年内

 

 「Hero's Journey」は,今あるMMO系ゲーム開発チームの中でも,EA Mythic(旧Mythic Entertainment)と並ぶほど古い伝統を誇るSimutronicsの最新作だ。同社の前作は,Pentium/200MHzのCPUと32MBのメインメモリで動作した,知る人ぞ知る「CyberStrike 2」である。
 Hero's Journeyについては,まだ詳しい発表が行われたことはなく,今回のラインナップでは,2007年度中のリリースが最も疑わしい作品である。しかし,同社がライセンス販売用に開発している「Heroes Engine」のデモとして,早めにリリースしておきたいところではないだろうか。
 本作は,同社の「GemStone」や「DragonRealms」などのテキストMUDで知られた,エランシアという世界を舞台にしている。用意されるクラスはウォーリアー,レンジャー,ローグ,ネクロマンサー,ヒーラー,バードなど一般的なもので,プレイヤーは第一クラスと第二クラスを選択できるという。テキストMUDのように,同社のGMに選ばれた一般プレイヤーが,ライブイベントを行えるといった仕様も含まれている。

 

 

開発元:Turbine Entertainment
発売元:Midway
(編注:日本語版は,さくらインターネットがサービス予定)
発売予定日:4月24日

 

 「The Lord of the Rings Online: Shadows of Angmar」は,映画の方ではなくJ.R.R.トールキンの小説をベースにしたMMORPG。“フェローシップ”のイベントがあったミドルアース(中つ国)のエリアドール地域を舞台にし,ガンダルフやトム・ボンバディルなど多彩なキャラクターも登場するようだ。プレイヤーが選択できる種族は,人間,エルフ,ドワーフ,そしてホビットで,どの種族でも好きなスキルを選べる。仲間とフェローシップ(パーティ)を組み,さらにはキンシップ(ギルド)の運営にも携われる。
 第三の時代に設定されているだけあって,さまざまなところにサウロンの魔の手が伸びており,その中でプレイヤーは1300種類もあるというクエストをこなしていく。もちろん,必ずしもストーリーに引っ張られる必要はなく,プレイヤーの好みの活動をすることで,例えばSwordmaster of Shireとか,Explorer of Breeというような称号も得られる。どことなく柔らかな雰囲気のアートで,生産活動に専念してもいいなど,誰にでも満足できそうな要素が多い。

 

 

開発元:Destination Games
発売元:NCsoft
発売予定日:年内

 

 開発中に何度もコンセプトの変更を重ね,最終的にSFアクション&(MMO)RPGとしての特色を打ち出したのが,あのリチャード・ギャリオット氏がプロデュースする「Tabula Rasa」だ。突然エイリアンが襲ってきた未来のアメリカを舞台に,プレイヤーはAllied Free Sentientsというレジスタンスに仲間入りするという設定。ゲーム開始当初は訓練生であり,実際にソルジャーやメディックなどのキャラクタークラスを設定するのはLv10になってからのことになる。
 カメラ視点は,一人称/三人称を自由に切り替えられ,ゲームプレイは,Energy系の銃やPoison系の剣など,さまざまな属性を持ったアイテムを駆使して,スピーディに移動しながら攻撃するといったイメージが強い。見知らぬプレイヤーとさらっと仲間を組んで専用のクエストエリアに入り,映画「スターシップ・トゥルーパーズ」のように敵をバリバリと敵をなぎ倒していく。攻撃を当てた場所で敵に与えるダメージも変化するなど,意外ときめ細かく作られているが,一方で初心者や忙しいのが嫌いなプレイヤーのために,自動ターゲットシステムも用意されている,といった心配りも嬉しい。

 

 

開発元:Sigil Games Online
発売元:Sony Online Entertainment
発売予定日:1月30日

 

 「Vanguard: Saga of Heroes」は,元「EverQuest」の開発者達による作品。丘陵地帯のThestra,砂漠のQalia,ジャングルのKojanという三つに分かれた大陸に侵略してきた魔軍と戦うというストーリーで,Unreal Engine 3.0をベースにしたグラフィックスが非常に美しい。
 種族が19種類,さらにクラスが15種類という,ボリュームのある内容がEverQuest開発者らしいが,今回さらに強調されているのがトレードスキルである。ゲームでは大工,鍛冶屋,石工などのスキルが存在し,プレイヤーはその中から一つだけ選択して修練することが可能。家や船を購入,装飾できるのも楽しそうだ。
 クエストはシングルプレイ専用ゲームを意識しているようで,別の場所に届け物をするような単純なものでも,プレイヤーの職業や身なり,出身地などの違いから,途中で出会うNPCが異なる反応を見せるという。大型のペットを飼うことも可能であり,ドレイクに乗って自由に空を飛んだりできる。

 

 

開発元:EA Mythic
発売元:Electronic Arts
発売予定日:年内

 

 「Warhammer Online: Age of Reckoning」は,欧米を中心に根強い人気のあるミニチュアボードゲーム「Warhammer」の世界をモチーフにしたMMORPGで,PvP(人対人)だけではなく,RvR(レルム対レルム)をメインコンセプトとして打ち出している。プレイヤーキャラクターの6種族を,EmpireとChaosという二大勢力に分け,旗取りや陣地の占領といった局地戦を楽しむのだ。もっとも,対人戦に特化しているわけではなく,個々のプレイヤーのために用意されたシナリオをこなしていってもいい。
 戦闘システムも特徴的で,あらかじめ特殊スキルをホットキー化しておけるのに加え,特定の能力を持つ敵に対する防御といった,個々の状況に対応したスキルをあらかじめ配置しておけるタクティックスバーというインタフェースが存在する。さらに,戦闘によって満タンになると特殊攻撃が繰り出せるモラルバーもあり,激しい戦闘でうまく利用すれば相手側に大きなダメージを与えることができるはずだ。

 

 

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http://www.4gamer.net/specials/games2007/games2007_mmo.shtml