特集:PCゲーム新作ガイド 2007

PCゲーム新作ガイド 2007

Text by 奥谷海人 

 

アドベンチャー

 もはやヨーロッパ系中小開発チームの専用ジャンルになってしまったようなムードがあるが,謎解きを主体にした純粋なアドベンチャーゲームは,まだまだ人気だ。我々日本人にとっては英語力という大きな壁が立ちはだかってしまうが,制作者の趣向を凝らしたストーリーの面白さがプレイヤーにストレートに伝わってくる分野でもある。このラインナップでは「Alan Wake」の期待の高さが目立つが,ほかにもアドベンチャーファンにとって外せないタイトルが多い。

 

開発元:Remedy Entertainment
発売元:Microsoft Game Studios
発売予定日:年内

 

 ハイレベルなグラフィックスが光る「Alan Wake」は,「Windows Vista」(およびDirectX 10)エクスクルーシブのタイトルとして脚光を浴びたアクションアドベンチャーだ。とはいえ,デベロッパのRemedy Entertainmentは秘密主義を貫いており,ここ1年半ほどまったく新情報が出てこないのがつらいところ。
 本作の主人公は,人気ホラー小説家であるアラン・ウェイク。彼は,夜ごと襲ってくる悪夢を小説に描くことで成功したのだが,ある事件が起きて以来,小説を書き続けることができなくなってしまう。そこで,サイコセラピーを受けるため小さな町を訪れる……というストーリーだ。
 Remedyの前作「Max Payne 2」と違い,激しいアクションはウリではない。湖畔の田舎町を中心としたオープンエンドな世界が舞台で,昼間は次々に起きる事件の解決に奔走し,夜になれば襲いかかってくる悪夢と対峙するという,2段構えの構成になっている。光と影がテーマだけあり,木漏れ日や夕日の描写が秀逸で,落ち葉が風に舞う様子や,遠くに起こった雨雲が迫ってくるといった天候表現の表現も,凝りに凝っているのだ。いずれ,詳細が分かったらお伝えしよう。

 

 

開発元:Eden Studios
発売元:Atari
発売予定日:12月

 

 ポリゴンキャラを使ったサバイバルホラーとして,ベテランゲーマーの記憶に必ずあるだろう「Alone in the Dark」(1992年)だが,今回のAlone in the Darkは,同名ながら5年ぶり5作めの新作だ。タイトルから「5」の文字が取り払われているのは,ここらへんで仕切り直し,新たなフランチャイズとして発展させる,という期待が込められているためだろうか。
 主人公エドワード・キャンビーが訪れたのは,ニューヨークのセントラル・パーク。なぜ,この公園はマンハッタン島のど真ん中に位置しているのか? なぜ細長い形状なのか? ゲームでは,こうした都市伝説をモチーフとした数々の謎を,主人公が解き明かしていく。小気味良いアクションとパズルで構成されているのはこれまでのシリーズと同様だが,より恐怖感を煽り立てる現代風アレンジもかなり行われているようだ。
 ゲームは,エピソードごとにリリースされるエピソディック形式になる予定で,プレイ時間も30〜40分とかなり短い。新しいエピソードをプレイすると,まず,これまでの物語をダイジェストしたビデオが流れるというのも,テレビドラマを意識したような面白い仕様だ。

 

 

開発元: Widescreen Games
発売元: 10Tacle Publishing/Atari
発売予定日: 第1四半期

 

 カリブ海で遭難してしまった若き海賊,フランシス・ブレードを主人公とした「Black Buccaneer」は,Unreal Engine 3.0を利用し,さまざまなグラフィックス技術を盛り込んだアクションアドベンチャーだ。フランシスが洞窟で見つけた不思議なアミュレットによって,ブードゥーの魔力を得た戦士,「ブラック・バッカニア」へ変身する能力を授かるのである
 ゲームの舞台となる島は,ジャングルと岩場に囲まれた地形が多く,どこか「Tomb Raider: Legend」を連想させる雰囲気だ。あちらこちらを自由に探索しつつミッションをこなしていくというオープンエンドなゲームシステムで,プレイヤーは剣技が得意でピストルも使える生身の主人公と,力技と魔法を備えたブラック・バッカニアへの変身をうまく利用して難関を切り抜けるのだ。
 以前は「Pirates: Legend of the Black Buccaneer」というタイトルで知られており,ドイツ以外のヨーロッパ地域ではAtariからリリースされる。

 

 

開発元:House of Tales
発売元:Anaconda
発売予定日:夏

 

 「Overclocked」は,突如ニューヨークを襲った激しい嵐が続く中,記憶を失った5人の患者を受け持つ精神科医が,彼らの過去とトラウマの原因を解きほぐしていくうち,奇怪な事件に巻き込まれるというアドベンチャーだ。「The Moment of Silence」の成功で,一躍アドベンチャー界のトップ開発チームに躍り出た,ドイツのHouse of Talesが開発にあたっている。
 本作は,映画「メメント」に大きな影響を受けたようで,ストーリーの流れが逆向き,つまり,ゲームが進行していくほど過去に遡っていくという,複雑な構成になっているのだ。
 プリレンダで描かれた世界を舞台に,細かいアニメーションを見せる3Dキャラクターを操作するシステムで,プレイヤーは主人公ほか5人のキャラクター(患者?)を巧みに操ってゲームを進めていかなくてはならない。舞台となるニューヨークは45のロケーションに分けられ,セリフも5000種類ほどあるというから,なかなかのボリューム感だ。

 

 

開発元:Frictional Games
発売元:Lexicon Entertainment
発売予定日:4月

 

 スウェーデンのデベロッパ,Frictional Gamesが開発中のアクションアドベンチャー。雪に閉ざされたグリーンランドの地下にある謎の施設を,懐中電灯片手に探索するというホラータッチのゲームだ。ゲームの特徴として,物理エンジンを活用したパズルが挙げられる。棚の上の物を取るのに,手近な箱を積み上げてその上に乗ってもいいし,ほかの荷物をどかして,棚ごと引き倒してもいいのだ。
 もともと,完全無料のゲームとしてネット配信されていた「Penumbra」だったが,その評判が良かったため商用ゲームとして作り直されることになった。無料版で使い勝手が悪かったインタフェースを改め,グラフィックスも描き直されるとのこと。もっとも,パブリッシャもあまり大きな会社でなく,また販売もエピソードごとに行われるエピソディック形式になるなど,資金的に潤沢とはいえないようだ。ゲーム好きが集まって作ったFrictional Gamesには,ぜひ販売までこぎつけてもらいたい。ちなみに,「こちら」に無料版をUpしている。序盤のストーリーはほぼ同じらしいので,詳しく知りたい人はダウンロードしよう。

 

 

開発元:Streko Graphics
発売元:Dreamcatcher Interactive
発売予定日:3月

 

 「The Sacred Rings」は,ヨーロッパでは「Aura 2: The Sacred Rings」という名称で知られているように,同じStreko Graphics開発による,「Aura: Fate of the Ages」の直系的な続編である。一人称視点によるポイント&クリック式のシステムを踏襲しているのも前作どおりで,パズル重視のアドベンチャーゲームになっている。邪悪な敵の領地が主な舞台となっているためか,ガイコツの並べられた城など,ダークなイメージが強く漂うアートワークになっている。
 The Sacred Ringsは,ファンタジーとSFをミックスさせたような世界観を持ち,部族から盗まれた指輪を追う主人公ウマンが旅を続けるうち,偶然,異世界へのポータルを見つけたことから話が進んでいく。ゲームには80分に及ぶカットシーンが含まれており,また,プリレンダされたグラフィックスながらも400種というロケーションが用意されているなど,かなり満足のできる内容になりそうだ。

 

 

開発元:On Games
発売元:Novarama Technology
発売予定日:年内

 

 フロリダを思わせる「サンシティ」を舞台に,16歳の青年が一夏の青春を満喫するという一風変わったアドベンチャーが,スペインで開発中の「Wild Summer」。「Grand Theft Auto」のような大きな都市がまるまる再現されており,NPCからどんなミッションを受けるのかはプレイヤーの自由だ。スケードボードを楽しんだり,パーティに参加したり,ストリートギャングに属していたずらしたり,あるいは女の子との恋愛ゲームに励んだりなど,かなり自由度の高いゲームになるようだ。
 ゲームのコアとなるキャラクターが20人ほどおり,それぞれが仕事やサマースクールなど,ごく普通の生活を送っている。おそらくは,学校の帰り道でお気に入りの女の子を待ち伏せし,デートに誘うというような設定もあるのだろう。
 ビーチバレーやダンスといったミニゲームもふんだんに用意されているらしく,とにかく自由にハチャメチャな行動ができそうなのがウリだ。ビルをよじ登るなどのアニメーションも豊富だが,聞きなれないメーカーだけに,うまくまとめあげられるかどうかに期待がかかる。

 

 

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