特集:PCゲーム新作ガイド 2007

PCゲーム新作ガイド 2007

Text by 奥谷海人 

 

アクション/FPS

 ここしばらく,ちょっと元気のなかったFPSだが,今年前半にかなり有望な作品が出揃いそうな気配。「Crysis」「Half-Life 2: Episode Two」「Medal of Honor: Airborne」,そして「Unreal Tournament 3」と,オリジナル,シリーズ最新作を問わず,ファンには気になる作品がずらりと並んでいる。ほとんどの作品が2007年前半に出揃ってしまうが,一年がかりで遊ばなければ遊び尽くせないかも。

 

開発元:Immersion Games/Artificial Studios
発売元:未定
発売予定日:年内

 

 PCゲームにおける最近のトレンドの一つが,物理エンジンを利用した,よりダイナミックな世界表現である。「CellFactor: Revolution」は,1年ほど前,AGEIA TechnologiesのPhysX物理プロセッサのテクノロジーデモとして紹介された「CellFactor: Combat Training」を商用ゲームへ発展させたものだ。ゲーム内にあるほとんどのオブジェクトが単なるひとかたまりではなく,細かいパーツから構成されている。これにより,一つのオブジェクトでも爆発の位置や方向により毎回異なる破壊の仕方が再現され,爆破で何百という残骸が飛び散るようなシーンを楽しめる。こうした物理エンジンの効果をゲームの随所に施してあるというわけだ。とはいえ,プレイするためにPhysXプロセッサは必要ない仕様になっているとのこと。
 ストーリーは,他国にマネできないハイテク技術で近未来の地球を制覇した国家に対し,国連が新たに,超能力を使って任務にあたる特殊部隊“GUARDアーミー”を結成したというもの。どちらの勢力でもプレイ可能で,通常兵器による戦闘ばかりでなく,映画「スター・ウォーズ」のフォースのような超能力を使って戦うこともできる。

 

 

開発元:CryTek
発売元:Electronic Arts
発売予定日:第3四半期

 

 「Crysis」はおそらく,今年最も期待されているFPSの一つだ。「Far Cry」でカルト的な人気を獲得したドイツのCryTekの新作で,アメリカと北朝鮮,そして宇宙からの侵略者が入り乱れて戦うという,なんとも奇抜な設定になっている。巨大な物体が太平洋の島に墜落し,一足早く地域の占領に成功した北朝鮮軍に対して,アメリカ軍特殊部隊の精鋭隊員,ジェイク・ダンが潜入を試みるのだ。
 Crysisは,うっそうとしたジャングルを駆け回るというFar Cryの面白さを継承しつつ,突撃して派手な戦闘に身を投じるもよし,迂回して被害を最小限に留めるもよしと,ミッションに対してプレイヤー好みのアプローチを取れる自由度の高さが魅力だ。難しい戦闘は回避してもいいが,その代わりにエイリアンに対して有効な兵器を入手できなくなるといった,戦略の面白さがシングルプレイのリプレイバリューを高めるだろう。
 グラフィックス周りの技術力の高さは折り紙つきで,ジャングルの雰囲気が確実にアップしている。DirectX 10の正式サポートも表明しており,スクリーンショットやムービーを見れば,その表現力に圧倒されるだろう。
 噂に聞こえてくるElectronic Artsのプランによれば,リリース時期は8月頃とのこと。遅れる可能性も十分ありうるので,参考ぐらいの気持ちで覚えておこう。

 

 

開発元: Valve
発売元:Electronic Arts
発売予定日:第2四半期

 

 「Half-Life 2: Episode Two」は,本来なら2006年末にリリースされているはずだった,「Half-Life 2: Aftermath」シリーズの第2エピソードである。Valveが新たなプロジェクトを発表したり,Episode Oneからパッケージ版のパブリッシャがElectronic Artsへ変わったりと,発売時期に関するさまざまな噂が飛び交う中,Episode Twoはこれまで2回のリリース延期が発表されており,現在のところ発売は夏以降といったところだろうか。相変わらず話題性の高さはピカイチで,数時間で終わってしまうシングルプレイ専用ゲームながら,その発売を指折り数えて待っている人は少なくないはずだ。
 物語は,主人公のゴードン・フリーマン達が崩壊したCity 17を逃れてからのことが描かれているというが,その詳細についてはほとんど分かっていない。2006年8月のGames Conventionで公開されたトレーラームービー(現在,Steamからもダウンロード可能)を見ると,ヒロインのアリックスに大きな災難が訪れ,やがてゴードンは農村の廃墟に逃れ,“ハンター”と呼ばれる小型ストライダーをはじめ,数々の敵と対峙することになるように思える。SourceエンジンはDirectX 9ベースのままだが,Shadow Mappingが一新されたり,シネマティック・フィジックスという新技術が導入されたりと,確実に進歩しているのが分かる。

 

 

開発元:Electronic Arts
発売元:Electronic Arts
発売予定日:第2四半期

 

 第二次世界大戦モノFPSは出尽くした感もあるが,そんな中,今年の代表作になりそうなのがコレ。「Medal of Honor: Airborne」は,WWII系FPSでも最古参に属するシリーズの最新作だが,MoHシリーズがコンシューマ機にシフトしていたこともあり,PCゲームにおいては,「Call of Duty」シリーズにお株を奪われていた。だが,「Call of Duty 3」のPC版が発売されないなど,今度はCoDシリーズがコンシューマに流れつつあり,必然的に,この手のゲームが好きな人には待望の作品となっている。
 Medal of Honor: Airborneは,そのタイトルどおり空挺部隊(Airborne)を描いたものだ。これまでのような直線的なミッションの展開ではなく,輸送機から飛び出して目的地を自分の目で確かめながら降下していく。前線のまっただ中や,敵の背後など,降下した地点によってその後のストーリーが違ったものになっていくというユニークなシステムを採用している。
 本作の魅力の一つが,洗練されたAIである。敵や味方のキャラクターは常に地形や周囲のオブジェクトを認識し,垣根や廃車を遮蔽に使ったり,より防御力の高そうな場所に逃げたりと臨機応変な対応をする。実際の役者の表情までをモーションキャプチャしたアニメーションなど,見どころが多そうな一本だ。

 

 

開発元:FASA Studios
発売元:Microsoft
発売予定日:第2四半期

 

 「Mech Warrior」で知られるMicrosoft傘下のFASA Studiosが,1980年代にはやったテーブルトークRPGをゲーム化したのが「Shadowrun」だ。しかし,本作で特筆できるのは,最大プレイヤー数16人と少なめではあるものの,PCとXbox 360でのマルチプレイに互換性を持たせていることであろう。
 文明化した世界に突然,数千年間凍結されていた魔法の力が蘇ったという世界観で,南アメリカの主要都市の支配をめぐり,RNAという巨大企業と,魔術を信奉するLineageという勢力が衝突するという設定だ。プレイヤーは,ライフルやマシンガンだけでなく,数々の魔法や刀などの武器を駆使して戦うことになる。
 Shadowrunでは,魔法は攻撃に使うよりも補助的な要素が強く,相手をかく乱したり,仲間のサポートに利用したりする。シングルプレイモードはなく,誰でも気軽に対戦に参加するというスタイルになりそうだ。

 

 

開発元:GSCGaming World
発売元:THQ
発売予定日:3月23日

 

 発売延期を繰り返し,さすがに待ちくたびれた感もある「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」だが,今度こそは完成が見えてきた気配だ。広大な世界でのオープンエンドなゲームプレイも,今となっては新鮮味があるとは言い難いが,野心溢れる作品であるのには変わりない。ウクライナのチェルノブイリ原発事故という実際の出来事をモチーフに, “ストーカー”と呼ばれる道案内人の主人公が,ミュータント化した生物がうごめく封鎖地域“ゾーン”に侵入していく様子を描く。
 プレイヤーはミッションを自由に選べるようになっており,ゾーンの内部に逃亡した犯罪者を追いかけたり,残された機密文書を探したりと,好きなミッションを選択できる。また,メインミッションだけでも50時間はかかるとされており,常時1000体程度のモンスターやライバルのストーカーがマップ上に存在している。つまり,プレイヤーの知らないところでモンスター同士が争っていたり,同じミッションをライバル同士が争ったりなどがリアルタイムで行われているのである。複数のエンディングが用意されており,「Counter-Strike」風のマルチプレイモードもある。

 

 

開発元:Epic Games
発売元:Midway Home Entertainment
発売予定日:年内

 

 本作は,「Unreal Tournament 2007」から正式に改称された,未来を舞台にしたスポーツ系FPSシリーズの最新作だ。開発しているのはEpic Gamesで,アメリカではXbox 360でリリースされた「Gears of War」が大ヒット中だが,本作も同社のUnreal Engine 3を使って開発されている。そのため,グラフィックスの表現力の高さは,上で紹介したどの作品にも引けをとらない。Epic Gamesの開発者が「Unreal Tournamentのメインキャラクターは武器である」と豪語するように,武器だけでも5万ポリゴン近くを使用して制作されているほどだ。3発連続発射できるロケットランチャーなど,前作に比べてその性能もかなり向上している様子だ。
 「Battlefield 1942」でポピュラーになったConquestモード(複数のポイントでの陣取り合戦)の追加だけでなく,今回は,1対1のデスマッチモードを強化したSurvivalモードも導入された。これは,デスマッチの勝者に対して,新しいプレイヤーが次々と挑戦していくというもの。AIの向上で,オフラインのBotマッチも十分に楽しめるだろう。

 

 

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http://www.4gamer.net/specials/games2007/games2007_act.shtml