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[闘会議2018]国際eスポーツ連盟・Leopold Chung氏合同インタビュー。世界のe-Sportsシーンと日本の現状
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印刷2018/02/12 00:00

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[闘会議2018]国際eスポーツ連盟・Leopold Chung氏合同インタビュー。世界のe-Sportsシーンと日本の現状

 JeSU(日本eスポーツ連合)が発行する「プロゲーマーのライセンス制度」が焦点となった「闘会議2018」。2018年2月10日と11日に幕張メッセで開催された同イベントでは,このライセンス制度の元,高額な賞金が設定されたゲーム大会がいくつも開催され,話題を呼んだ。本稿ではそんなe-Sports景気に沸いた闘会議2018のひとコマから,ゲストとして招待されたIeSF(国際eスポーツ連盟 / International e-Sports Federation)のHead of International Relation,Leopold Chung氏への合同インタビューをお届けする。

 ちなみにIeSFとは,韓国・ソウルに拠点を置く国際的なe-Sports団体で,世界で47の国および地域が加盟しているという。将来的には2024年のパリオリンピックでのe-Sports競技開催に向け,IOC(国際オリンピック委員会)承認の国際競技団体を目指しているという。
 ことe-Sportsにおいては後進国とされる日本の状況を,世界的なe-Sportsシーンを先導する立場にある氏はどう見ているのだろうか。話を聞いてみた。

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IeSF,Head of International Relation(Current Acting Secretary General)のLeopold Chung氏(右)

IeSF公式サイト(英語)



――まず,IeSFの目標について教えてください。

Leopold Chung氏(以下,Chung氏):
 我々の活動には4つの大きな柱があります。それは「e-Sportsというものを世界的に広めていくこと」「オリンピックへの道筋を開くこと」「人的資源の側面からe-Sportsを育てていくこと」,そして「大会を開催し,それを次につなげていくこと」です。
 とくに今は,3つ目に挙げた人的資源育成の観点から,e-Sportsアカデミーという事業に注力しています。これはIeSF内の試験的プログラムとして2年前からスタートし,今度の12月に正式スタートするものです。アスリートの世界というのは厳しいもので,活躍の場が与えられるのは本当に限られた選手だけですが,このe-Sportsアカデミーは,例えばそうした中でリタイアした人にも,コーチやジャッジとして選手をサポートするようなキャリアパスを用意する試みといえます。
 また,e-Sportsの地位はまだまだ低いので,これをより普遍的なものとして広めていくのも,我々のミッションだと考えています。

――2024年のパリオリンピックでは,競技種目としてe-Sportsが採用が検討されているとのこと。IeSFとしては,現時点で何か手応えは感じていらっしゃいますか。

Chung氏:
 皆さんご存じだと思いますが,こうしたものには時間がかかるのが当たり前ですよね。
 ですので我々としては,いきなりオリンピックでの採用を目指すのではなく,段階を踏む必要があると考えています。例えば,WADA(World Anti-Doping Agency)のような公的な組織に,e-Sportsをよく知ってもらい,スポーツとして認知してもらう。またそれぞれの国で,e-Sportsの知名度を向上させる。闘会議のステージでJeSUの理事がおっしゃっていたように,まずはこうしたプロセスを一つ一つ経ていくことで,道が開けていくのではないかと思います。

――感触のようなものはいかがですか。

Chung氏:
 詳しいことはまだ何も決まっていません。これから対話していこうという段階ですので。ですが私個人としてはポジティブに考えています。

――世界的なe-Sportsシーンには,どんな課題があるとお考えですか。

Chung氏:
 e-Sportsは今,草の根の競技からプロフェッショナルスポーツへと移行している段階にあります。つまり,まだ高度に組織化できていないこと自体が弱点といえます。個人の選手が倒れると,その競技自体が倒れかねないということです。ですので,e-Sportsが今後も継続的に続いていくためには,国際的に認められた公の機関とつながって,一緒に歩んでいくことが重要だと私は考えます。今や世界には46のe-Sports団体があり,うち45%がヨーロッパに,さらに45%がアジアに,そして5%がアメリカやアフリカに点在している状態です。また27か国では,e-Sportsを専門とした省庁が作られている。IeSFとしても,こうした流れをより推し進めたいと考えています。

――アジアや欧米といった地域によって,e-Sportsの親しまれ方に違いを感じますか。

Chung氏:
 まず違うのは文化ですね。国によって消費の動向やゲームの好みも違います。ただ,今はインターネットを通して簡単につながることができますので,コミュニティの大きさに違いはあれ,実際にプレイしている人達は,あまり壁を感じることはないかもしれません。そして,それがe-Sportsの面白いところでもあります。

――ASEAN諸国ではいかががでしょうか。

Chung氏:
 インドネシアやマレーシアは,すごくユニークな文化を持っていると思います。またASEAN諸国は,成立が比較的近代であるためか,e-Sportsの基盤となる技術に明るい人が多いと感じます。とはいえe-Sportsの環境としてはまだまだ成熟していない部分もあるので,我々としてもサポートしていきたいと考えています。

――成熟していない部分とは?

Chung氏:
 中国や韓国,それから日本と比べてしまうと,ASEAN諸国は環境面ではまだ恵まれているとは言えません。例えば学校帰りに皆でネットカフェに寄ってe-Sportsを楽しむ,といったことが気軽にできる環境でないと,いい選手は育ちませんから。

――2022年のアジア競技大会について。アジアオリンピック評議会(OCA)とAribabaグループ傘下のAlisportsが提携し,メダル種目としてe-Sportsが正式採用されることになりました。この件について,IeSFはどう考えているのでしょうか。

Chung氏:
 率直に言って,Alisportsはアジアにおける今のe-Sportsを支えている存在といえます。この状況は,ひとえにAlisportsの努力の賜物と言えるでしょう。ただ,アジア競技大会を支えるのはAlisportsのみではありませんし,もちろんIeSFもアジア競技大会をサポートするつもりです。私達の考えでは,e-Sportsという公共の事業において,一つのベンチャー企業が支配的になるのは,あまり好ましいことではありません。さまざまな決定は公共性ある団体に任じられるべきです。

――IeSFはどのようなビジネスモデルで運営されているのですか。

Chung氏:
 IeSFは非営利団体ですので,e-Sportsにまつわる生態系を作るというミッションがなによりも優先されます。先ほどお話ししたe-Sportsアカデミーもそうした試みの一つですし,あるいは大会を運営することでe-Sportsの普及と人材の育成に努めます。金銭的な援助はもちろん歓迎しますが,それはあくまでe-Sportsの普及という目的に合致してこそです。

――今回発足したJeSUについて,IeSFから見た印象を聞かせてください。

Chung氏:
 とても興味深く思っています。日本は大きなゲーム産業を擁していますが,これまでe-Sportsの土壌が育っているとは言い難い面がありました。彼らは日本がe-Sports大国に成長するのに欠かせない団体だと思います。


――今回の闘会議では,そのJeSUが発行するプロライセンス制度が大きな話題となっています。この制度についてはどうお考えでしょうか。

Chung氏:
 実はこの後,JeSUのメンバーとミーティングを行う予定です。彼らのライセンス制度について,私はそこで初めて説明を受けることになるので,今の段階ではお答えできません。ただ,個人的にはとても良い流れではないかと思っています。選手を守るためには,そういった制度は必要なのではないでしょうか。選手達は皆,年齢が若いですからね。

――今回のプロライセンスは,日本国内の賞金にまつわる諸問題を解決するために作られた経緯があります。ほかの国ではどのように解決されているのでしょうか。

Chung氏:
 日本のe-Sports市場はまだ新しいので,法整備がまだ追いついていない状況なのだと思います。例えば韓国では賞金を出す場合は政府に申請し,公認を得る仕組みになっています。

――e-Sportsの普及には,やはり高額な賞金は不可欠なのでしょうか。

Chung氏:
 賞金というのはe-Sportsの要素というよりも,マーケティングの手法の一つだと考えます。もちろん選手達がプロとして生きていくのであれば,お金を稼ぐ方法がなくてはなりませんが。

――e-Sportsにおけるライセンス制度というのは,かつて韓国で採用されていた事があるそうですが,そのほかではあまり聞きません。やはり,世界的に見ると珍しいものなのでしょうか。

Chung氏:
 私もデータを見なければ確かなことは言えませんが,韓国で採用された時期があったというのは確かです。

――韓国でのライセンス制度は,なぜ廃止されたのでしょうか。

Chung氏:
 それについては私は答える立場にありません。KeSPAにお聞きいただくのが良いと思います。

※KeSPA……韓国オリンピック委員会とIeSFに加盟している,韓国のeスポーツ協会(Korea e-Sports Association)。2000年に設立され,韓国におけるe-Sportsの発展と普及をになっている。

――では聞き方を変えます。IeSFとして,例えば国際ライセンスを発行を考えたことは?

Chung氏:
 我々は必要ないと思っています。日本の選手は,日本の団体に登録することで保護されるべきです。IeSFのミッションは,e-Sportsにまつわる世界の動きを俯瞰して,e-Sportsの文化をどのように育てるか,その道筋をつけることにあります。

――モータースポーツなどには国際ライセンス制度があります。e-Sportsの未来の一つとして,このような国際ライセンス制が導入される可能性はありませんか。

Chung氏:
 モータースポーツは,FIA(国際自動車連盟)がライセンスを販売する形態をとっていて,プロモーターとがっちり手を組むことで大会が運営されています。これはe-Sportsの現状にそぐわないシステムだと思います。

――そのような形態を目指すことは考えられませんか?

Chung氏:
 長期的な視点で見て,ありえないと思います。我々が目指すのはそうした商業主義的なものではなく,オリンピックに象徴される,スポーツを通して人間形成を行うような健全なe-Sportsの姿です。大事なのはお金を生み出すことではありませんし,そうした姿勢こそがe-Sports普及への近道だと考えます。

――JeSUのプロライセンス制度では,現時点で対応する競技として,6つのゲームタイトルが挙げられています。日本国内ではこの選定について不満の声がありますが,IeSFとしてはどうお考えでしょうか。

Chung氏:
 やはりJeSUと話す前にお答えはできないので,ちょっと違った切り口から回答させてもらいます。私達が大会を開くとき,どのようにタイトルを選ぶのか,という話です。例えば4つの競技が行われるとしたら,我々そのうち3つを国際的に人気があり,また多くの国をカバーしているタイトルから選びます。そして残る1つを開催国で好まれているタイトルを,ちゃんとリサーチして選びます。開催国というのは,それくらい重要なものなのです。JeSUが今回選んだタイトルにも,恐らくこうした考えがあったのではないでしょうか。

――競技タイトルにお国柄がでるのは,よくあることなのでしょうか。

Chung氏:
 こうした事情は,どの国でも変わりません。大事にしたいコンテンツは,どこの国にもあるものです。それに今後日本がe-Sportsの世界で認知されていけば,日本独自のタイトルが世界でメジャーになる可能性だってあります。オリンピックでも競技種目は開催の4年前に発表されますよね。その4年間で,各国の選手達はレベルアップに励むわけですから。

――それがPay to Winのタイトルであっても?

Chung氏:
 これまではありませんでしたが,今後はあるかもしれません。でもご心配されているようなことは,時間が解決すると思いますよ。日本のe-Sportsシーンは,まだ始まったばかりなのですから。

――ありがとうございました。


IeSF公式サイト(英語)

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