2017年11月17日から18日にかけて,恵比寿のライブハウス・LIQUIDROOMで
「DIGGIN' IN THE CARTS」が開催された。
これは音楽フェス
「レッドブル・ミュージック・フェスティバル東京2017」のフィナーレとなるプロジェクトで,1980〜1999年ごろのゲームミュージックに大きな影響を与えたコンポーザや,それに影響を受けたアーティストなどが出演するDJイベントだ。
また,「DIGGIN' IN THE CARTS」の名を冠した
コンピレーションアルバムがイギリスのレーベル・Hyperdubからリリースされている(
関連記事)。収録曲は
「グラディウス」の「MAZED MUSIC」,
「源平討魔伝」の「BIGモード」,
「メタルブラック」の「AREA 26-10」,
「サンダーフォースIV」の「SHOOTING STARS」などディープなセレクトとなっているので,興味のある人はチェックしてほしい。このアルバムのアートワークを担当しているのは,アニメーション監督の森本晃司氏だ。
メインフロアのオープニングを飾るのは,チップチューン・アーティストのQuarta 330氏
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それに続くのはゲームボーイやバーチャルボーイなどの音源開発者であり,チップチューンにおける代表的人物の1人であるChip Tanaka(田中宏和)氏。11月15日に発売された,Chip Tanaka名義としては初のアルバム「Django」収録曲を中心にプレイ
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佐藤 理氏は,PlayStation用ソフト「LSD」のサイケデリックなサウンドとビジュアルでフロアを包む。1998年以降,音楽の世界から遠ざかっていた同氏だが,今年4月に発売された「ALL THINGS MUST BE EQUAL [TYO EDITION]」の制作にあたって音楽活動に復帰。11月22日に「OSAMU SATO OBJECTLESS」を発売するほか,2018年には「LSD」20周年の記念盤をリリースするという
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このイベントのため来日したKODE9氏は,11月30日のロンドン公演にも出演する予定だ。スクリーンのAVショーはKONX-OM-PAX氏によるもので,森本氏のアニメーション作品が使用されている
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古代祐三氏と川島基宏氏は,「ベア・ナックル」のクラブアレンジを披露。「ベア・ナックル」のサウンドはハウスミュージックが取り入れられているだけに,クラブとの相性は抜群だ
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KEN ISHII氏はバリバリのテクノミュージックでフロアを揺らす。スクリーンのVJセットは,グラフィックデザイナー集団のMMMによるもの
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メインフロアのトリを務めたのはCARPAINTER氏。ゲームをモチーフとした「仮面ライダーエグゼイド」の主題歌を作曲したり,カプコンの「ストリートファイター コンピレーション RE:MIX チップチューン」に参加したりと活躍している同氏は,本イベントの出演者やコンセプトとなっている要素に音楽活動のルーツを持つとのことだ
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Photo by Red Bull Content Pool
LIQUIDROOMは「東京を代表するライブハウス」を自負しており(公式サイトのDescription文より),実際それは間違っていないだろう。そこがチップチューンミュージックやメガドライブサウンド,PlayStationの代表的な“奇ゲー”である「LSD」の音楽などで満たされ,フロアが大入りになった様子は,ゲーマーとしてはなかなか感動的に思えた。
メインフロアのほか,ラウンジでも“HALLY COLLECTIVES”として,リーダーのhally氏をはじめ三宅 優氏,杉山圭一氏,ヨナオケイシ氏,細井聡司氏,SAITONE氏,ローリング内沢氏がDJプレイを披露。また,森本氏も特別出演としてDJを行い,GONNO氏がチップチューンを取り入れたプレイを行うなど,メインフロアとはまた違った方向性で豪華なステージを見せてくれた。
ラウンジDJブース前の様子
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会場内では,
“ゲーム音楽のパイオニアたち”という展示も行われていた。これは,
「あそぶ!ゲーム展 ステージ2:ゲームセンターVSファミコン」(
関連記事)におけるゲーム音楽関連の展示を切り出したものだ。
このコーナーでは,DETUNEの佐野電磁氏が「
KORG Gadget for Nintendo Switch」のプレイアブル出展を行っていた。
前回の時点から開発が進んでおり,ガジェット(音源)が増えたうえ,プレイヤーごとによるカーソルおよびノートの色分けに対応していた。
順調に開発が進んでいるらしい「KORG Gadget for Nintendo Switch」
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レッドブルは「DIGGIN’ IN THE CARTS」のほか,e-Sportsイベント「Red Bull Tower of Pride」を展開するなど,ゲームに関する活動を精力的に行っている。今後の動向にも注目したい。