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2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
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印刷2013/05/31 00:00

業界動向

2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 ゲーム関連会社各社の2012年度決算が5月中に出揃ったのでまとめて見てみよう。
 今回は,ソニーによる公開買い付けで上場廃止となったソネット・エンターテインメントとゲームの取り扱いをやめたコムシードの2社を除外し,新たにブロードメディアを加えた計34社の直近決算短信をもとに経営動向を追ってみたい。なお,決算時期の区切りは各社まちまちなのだが,以下では一覧的に比較できるように,2012年4月1日から2013年3月31日までの期間を会計年度とみなした各社の決算状況をまとめていることはあらかじめお断りしておきたい。
 また,グラフの縦軸の単位は基本的に100万円だが,Microsoftのみ100万ドル単位となっているので,金額を比較する際は適宜換算してほしい。そのほか,記事ではおおまかに,プラットフォーマー,コンシューマゲーム,オンラインゲーム,ソーシャルゲームといった感じの順番で配置しているが,作業上の都合からきっちりとそのとおりになっていない場合がある。この点についてはあらかじめご了承願いたい。
 それでは,各社の動向を順に見ていこう。

参考:2012年度第1四半期のまとめ


●ソニー
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#001のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#002のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 エレクトロニクス分野の低迷が続くソニーだが,2012年度の最終純利益は430億円の黒字で締めた。営業利益は2300億円となっているが,これにはニューヨーク本社ビル,大崎ソニーシティに加えてエムスリー株の一部売却による資産再評価など,1000億円超規模の金策3連発や世界各地での工場売却益などの会計処理が含まれている。
 日本基準の会計だと,社屋や工場の売却は営業外収支となるのだが,ソニーが採用する米国基準では営業収支となるため,これが営業利益を大きく押し上げている。また,子会社だったソネット・エンターテインメントを吸収し,ソネットの子会社であるエムスリー(医療系情報サイト運営で評価の高い会社)を手に入れ,その持ち株の一部を売却している。売却額自体はたいしたことはないのだが,これにより,持ち株比率50%を切ったエムスリーが連結から外れ,残りのエムスリー株の市場評価額を営業利益として計上するという手法で1000億円程度を捻出し,数字上での営業利益の黒字が実現されている。いずれも日本基準の方式では無理な手法であり,日本式会計で計算するとおそらく1200億円程度の営業赤字になっていただろう。
 従来の本業部分は,業績回復までまだかなりかかりそうな気配だ。金融,映画,音楽部門は好調なので,今後は業態を変えた会社になっていくのかもしれない。
 ゲーム分野では,PlayStation Vitaの値下げなどもあってか,年末商戦期の利益低下が目立つ。全年を通してもハードウェア売り上げの低下から,前年に対して12%の売り上げ縮小となっている。今年はPlayStation 4が発売されることから大幅な増収が見込まれてはいるものの,支出も多く見込まれており,利益につながってくるのはもう少し先になりそうだ。

※16:00 本文中に挙げた純利益額が誤っていました。お詫びして訂正します。


●Microsoft
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#003のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
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 ゲーム部門,Windows部門,サーバー部門などがともに好調なようだ。主力のWindows部門は23%の伸びで,Windows XPのサポート終了を受けてか,アップデート需要が増しているという。さらにゲーム部門は前年比56%の伸びとなった。これは好調だった「Halo 4」などの売り上げが今になって効果を上げてきたもので,ビデオゲーム特有の遅延と認識されているようだ。
 任天堂やソニーが,前機種の勢いが弱まったところで新機種を投入して移行時期の売り上げ低下に苦戦していたのに対し,Microsoftは勢いを維持したまま,新型機を発表している。Xbox Oneが日本で発売されるのかなどは不透明だが,今後の成り行きに期待しよう。


●任天堂
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#005のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 2012年度は営業利益ベースで364億円の赤字,純利益ベースで71億円の黒字という結果になった。為替差益は395億円と第3四半期から173億円増加しているものの,第4四半期分の純利益は赤字と,円安で一気に上を向くかと思われた第3四半期の波に乗り切れていない感じだ。1月末に出されていた業績予想をかなり下回っているのも気になる(任天堂はハードウェア販売の不振のためとしている)。
 2013年度は,営業利益1000億円を目指して,岩田社長が進退をかけて取り組む年となる。従来の任天堂であれば1000億円というのも,決して高すぎる目標ではないのだが,現状では楽観視もできない。為替相場は順風なので純利益や会社の運営での不安はないものの,3DSの轍は踏まないということで,リリースを途切れさせないように準備されていたはずのWii U用タイトル展開は後ろ倒しになっている。今年後半から大型タイトルが集中的に展開されるとのことだが,年度内に間に合うのかなどに注目したい。


●バンダイナムコホールディングス
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#013のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#014のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 過去最高の売上高と利益を達成した2012年度のバンダイナムコ。純利益は,研究費などの控除で税負担が下がったため,第3四半期に上方修正された245億円の見込みを大きく上回る323億円で着地している。
 ゲームを含むコンテンツ部門では,「機動戦士ガンダム」「ワンピース」「アイドルマスター」などのIPを使ったソーシャルゲームが業績に大きく貢献したという。とくにオンラインゲームなどを除くソーシャルゲームの売上高は,2011年度の100億円から495億円へと,大きく伸びているとのこと。ちなみに,2013年度は,ネットワークコンテンツ全体(ブラウザゲームやオンラインゲームを含む)で540億円,ソーシャルゲームで450億円の見込みが立てられている。
 オンラインコンテンツ自体の数字は,年度によって単独で出ていたり「その他」にまとめられたりしていて推移が分かりにくいのだが(今年度は「その他」),すでに「その他」が業務用や家庭用ゲームの売り上げを超えている状況なので,もう少し分かりやすくしてほしいものである。
 2013年度は投資の年とされているようで,売り上げ,利益ともに2012年度をやや下回るところが想定されている。その成果は,2014年度には再び過去最高益となって結実する見込みだ。


●セガサミーホールディングス
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#006のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#007のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 2012年度全体の評価は「低調」というところだろうか。パチンコ/パチスロ事業でのリリーススケジュール見直しなどで売上高は低下している。第4四半期の利益がぐんと伸びているのは,有価証券売却益や税控除などを見積ってのもの。
 ゲーム部門では,現在進められている構造改革でタイトル数を削減したこともあって,前年度と比較して売上高はやや低めに推移している。利益(損失)については,前年度の152億円に上る赤字が7億円に圧縮されており,改革効果が見えるといったところ。費用削減が効いている。
 来期(2013年度)については,主要タイトルを横展開で伸ばしていくことや,スマートフォンに力を入れるとのこと。PSO2でのクロスプラットフォームをさらに進めていくとのことなので,スマートフォン版もいよいよお目見えということになるだろう。


●コナミ
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#008のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#009のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 全社的にもゲーム部門も,全体的に縮小気味だった2012年度。遊技場用タイトルの発売延期が主な原因とされているが,全部門にわたった売り上げの低下が確認できる。ゲーム部門でいうと,発売タイトル数自体は2011年度の83本から60本に減っており,発売本数17%減で売上高も17%減。決算の数字が発売タイトル数などに左右されがちな業界ではあるが,「ウイイレ」「パワプロ」「MGS」と主力商品は予定通り発売されており,ソーシャルゲームも好調なはずなので落ち込みの要因が気になるところだ。
 コナミといえば,コンシューマとソーシャルの勢力逆転以来,そのあたりのバランスが注目されていたのだが,第4四半期での状況はよく分からなくなった。元々少なかった決算説明会資料がさらに少なく,内容も薄くなっている。期末決算での資料の中身は8ページ分しかない。多様な業態の事業を行っている会社なので,もう少し分かりやすくしてほしいところである。


●カプコン
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
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 タイトルの発売時期次第で,年ごとのブレがかなり大きなカプコン。年度内に大型タイトルのリリースが間に合わなかった場合,その年の決算は凹み,翌年の決算が盛られる感じになる。2010年度はリリースの波が揃って過去最高益,2011年度は反動で凹み気味のところに加えてリリース遅れも出ていた。2012年度は過去最高益となることが見込まれていたのだが,「モンスターハンター4」の発売延期によって後半は伸びきらずに終わってしまった。
 第4四半期の利益が大きく落ち込んでいるのは,開発部門の構造改革に伴う特別損失が計上されたためだ。タイトルリリースの安定化が急務というところだろうか。


●スクウェア・エニックス・ホールディングス
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#011のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 前年比で増収となったものの,営業利益ベースで赤字転落という結果となった。海外での大型タイトルの不振が原因とされている。グラフでは売り上げだけなら順調に回復しているように見えるのだが,利益にはつながっていないようだ。ゲーム部門は,24.5%の売り上げ増と躍進しているのだが,利益ではほぼ消滅しているのが不思議だ。
 販管費は前年比112億円増で,社員数が10%ほど増えたこともあって給与で16%,役員報酬も12%増額で合わせて20億円増,広告宣伝費が50億円増,支払い手数料30億円増,減価償却10億円増などとなっている。
 同社では,主力となるHDゲーム事業の見直しを発表しており,長期に及ぶ大規模開発をやめて回転をよくすること,スマートデバイスにゲームを提供すること,地域に応じたポートフォリオを展開することなどを目標として挙げている。2000年頃と比較して,現状では開発費が大幅に上がっているが,回収率は低く,下手をすると赤字となる。それを2000年時よりも低いコストで,より高い利益を上げるようにしていくという。
 現在開発中のLuminous Studioなどは,その起点となるものだろうが,次世代ゲーム機で真価を発揮するものなので,新世代ハードの出揃う今年度後半以降が勝負となるだろう。
 また,2015年にはコンシューマゲーム機よりタブレットの販売台数のほうが多くなるとの見通しも示されている。スマートフォンはその5倍以上の高い伸びだ。従来から,最も売れているハードにゲームを提供してきた同社が,そちらに比重を移すのは自然な成り行きといえよう。
 和田社長の退陣や取締役の年棒カットなども発表されているが,近頃は珍しくなった役員退職慰労金が億単位で計上されているあたりはちょっとアンバランスな感じだ。


●コーエーテクモホールディングス
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#012のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 前年と比べてわずかに売り上げ減となったものの,利益は22%向上している。主力ソフトが堅調に売れたことと開発費用の削減が増益につながったとのこと。メディア・ライツ事業だけ若干セグメント損失が発生しているが,これもタイトルの発売時期がずれただけなので問題はないだろう。逆に言えば,期末時点できっちり全事業が黒字になるように計画されていたわけで,利益率も年々向上している。襟川社長復帰後の安定度には目を見張るものがある。


●日本ファルコム
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#015のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 主力製品の発売時期から外れているので大きな動きは見えない。最新2四半期について例年と比べると,やや好調という程度だが,現時点での決算を2013年度の業績予想と比べると,かなり上ブレしていることが分かる。
 PSP参入で大化けした会社だが,PSPのマーケットが縮小する中,PS Vitaにいち早く参入し,2012年12月にはPS3でHD版を発売するなどプラットフォームを広げつつある。とはいえ,前期ではPSP参入時のような劇的な成果は挙げられていない。今年は英雄伝説シリーズの新作となる「閃の軌跡」が発売される予定だが,PS VitaとPS3でどの程度の売り上げを達成できるのかに注目したい。


●マーベラスAQL
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#016のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 3DSとPS Vitaで発売された「閃乱カグラ」シリーズなどコンシューマゲームタイトルのヒットで大きな利益を挙げた2012年度。閃乱カグラ以外にも,「ルーンファクトリー4」や「フェイト/エクストラCCC」などが10万本以上のヒットとなった。
 オンラインゲーム部門はブラウザ三国志や剣と魔法のログレスなどが堅調でサービスタイトル数も増えたことから増収となったものの,「スーパークリエイターズシリーズ」の中止などで結果的に減益となった。音楽映像事業は,「プリキュア」シリーズの好調を受けて増益を果たしている。


●ユークス
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#017のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 例年と比べるとやや売り上げの落ちているユークス。同社の主力商品はWWEやUFCといった団体をモデルとした格闘ゲームだが,そのパブリッシングを行っているTHQが経営難になっていたことの影響もありそうだ。2012年10月にはTHQからの回収可能性を考慮して4億円の貸倒引当金が計上されている。1012年末には,THQが米連邦倒産法の適用を申請しており,THQに対する貸倒損失は7億7600万円となった。同社では「Real Steel」などのダウンロードタイトルも開発するなど,多角化を進めている。


●日本一ソフトウェア
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#018のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 2012年度は11タイトルをリリースし,オンライン事業ではGREEやヤマダゲームへのゲーム提供などを進めている。その結果,前年比でわずかに増収となったものの,原価が大きく上がっているため利益面では損失を計上している。創立20周年記念タイトルの連発など,少しお祭り的な流れだったので採算度外視の面もあったのかもしれない。
 オンラインゲームでは,Greeやヤマダゲームでソーシャルゲームを展開するなど,新たな動きにも出ている。そのほか,自社IPを利用して,他業種とのコラボレーションを進めてリスクヘッジしていくなど,コンシューマゲームの売り上げ以外の収益の確立を目指しているようだ。
※5/31 14:00 初出時原稿で参照した資料が正しいものではないことが判明しましたので内容を修正しています

●ブロッコリー
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#040のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 リテール部門を切り離してからは安定した動きのブロッコリー。「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズが好調でゲームとCDの売り上げが伸びたほか,カードゲーム「Zillions of enemy X」シリーズも好調。そのほか,販管費の切り詰めなどで利益を上乗せしている。


●ドワンゴ
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#041のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#042のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 スパイク・チュンソフトの親会社であるドワンゴ。ゲーム事業については「ポケモン不思議のダンジョン〜マグナゲートと∞迷宮」や「セインツロウ ザ・サード」が健闘したものの,タイトル数自体が少なかったこともあり,全体的な売り上げは低下している。
 決算書類では,ゲーム部門にニコニコアプリが含まれていないようだ。ニコニコアプリでの売り上げは,ニコニコ動画でのポイント売り上げに含まれるものと思われるが,その規模は(ゲーム以外のものも合わせて)最新四半期で5億5800万円。ゲーム事業の半分くらいと見ればよいだろうか。2010年に黒字化を果たしたニコニコ動画は,収益の大部分をプレミアム会費に依存している。プレミアム会員数は増加しており,安定した収入源となっているのだが,もう少しアプリ売り上げの比重を上げてもよいような気はする。


●トーセ
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#019のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 受託開発大手のトーセ。コンシューマゲーム業界の状況が反映される会社だ。
 例年だと第3四半期は年末商戦向け開発がひと段落して凹む時期ではあるのだが,今年度に限ってはWii Uローンチタイトルで盛り上がるはずだった。そのWii U向けタイトルの開発が予想以上に難航したことなどから一部不採算タイトルも出てしまっている。
 最近ではソーシャルゲームでの大型タイトルが増え,そこに注力すべく機構改革なども行われている。ソーシャルゲーム運営代行なども収益源となってきているほか,カラオケなどゲーム以外での収益も上がってきている。一方で大型ソーシャルタイトルのリリース遅れや内容変更,さらに非スマホ系事業の縮小などで,モバイル系も必ずしも順風満帆というわけでもないようだ。
 来期の見通しについては,コンシューマゲーム,モバイルゲームともに2012年度を下回る見通しとなっている。新ハードやスマートデバイス全盛のおりにちょっと寂しい話ではある。


●エイティング
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#020のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 「モンハン」など多くの有名タイトルの開発を担当しているエイティング。新ハードや年末商戦などもあって,第3四半期は好調で,第4四半期も勢いは持続している。コンシューマゲーム開発受託以外に,ソーシャルゲームにも進出しているが,こちらはようやく黒字化という感じ。それでも第3四半期の利益を大きく伸ばす原動力になっている。
 今後は,ソーシャル系に力が入れられるようで,開発から運営まで丸ごと担当できるような体制作りが進められている。


●デジタルハーツ
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#039のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 ゲームデバッグ事業を手がけるデジタルハーツ。なんとなく調子のよさそうなグラフとなっている。コンシューマゲーム系ではほぼ前年並みでやや低下,スマートフォン向けは大きな伸び,パチンコ・パチスロ向けは小さな伸びといったところ。
 本業のデバッグ事業以外に,ゲーム開発支援や3Dコンテンツ制作などの事業にも乗り出している。その一環で,2012年12月にAetasを取得し,メディア事業部門が新設されている。メディア事業の売り上げは4Gamerの売り上げそのものなので,まあ興味のある人は眺めてみてもよいだろう。社内にいても営業利益などは決算資料を見て初めて分かる数字だったりする。デジタルハーツの決算で,以前にはなかった「のれん代」が計上されているのを見て感慨に浸るこの頃である。


●インデックス
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#029のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 前年度より売上高などは減っているものの,売り上げなどでの大きな動きは見えないのに利益が落ち込んでいる。これは貸し倒し引当金と法人税がぐっと増えていることが原因だ。ゲーム部門は,「真・女神転生IV」「新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女」「ドラゴンズクラウン」など大きな製品の発売が次の四半期となることから動きは鈍いが,それでも利益を上げており,調子は悪くない。
 昨年は5期連続赤字からの黒字転換を果たしたものの,最新4四半期中に14億3500万円の債務超過となっており,過去の大きな赤字の際にも出ていなかった「継続企業の前提に関する注記」が出されている。これは平たく言うと「このままだととつぶれるかもしれないし,そうでないかもしれない」宣言だと思っていい。どのような業態改善策が取られるかに注目だ。


●ケイブ
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#021のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 「しろつく」「くにつく」のヒットでソーシャル系を牽引していたケイブだが,後続ヒットには恵まれず,収益は減少している。開発体制は,完全にオンランゲーム/ソーシャルゲームに対応したものとなったり,従来あったコンシューマゲーム部門は廃止されている。
 今後のターゲットとしては,低ARPPUでソーシャル性の強い市場は飽和状態という見解が示されており,よりARPPUが高くゲーム性などを生かせる層に向けてのタイトル拡充を図るという。


●ガンホー・オンライン・エンターテイメント
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#022のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 一躍「時の人」となったガンホー。四半期売り上げでは,すでにカプコンやコーエーを超え,今後はスクエニ,グリー,DeNAを抜きかねない勢いだ。とんでもない利益率も維持している。
 これがほぼ1タイトルで実現されているため,あまりコメントのしようがないのだが,今後この利益をどうするんだろうか。かつては,ラグナロクで得た収益で事業の多角化を図ったものの,(数字的には)ことごとく失敗してきた経緯もある。そこで打ち出されていた戦略が,IPの多面展開だった。すでに「パズドラ」のコンシューマ展開も打ち出されているが,今後さらに拡大されていくのだろうか。


●ネクソン
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#033のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#034のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 グループ全体の売り上げは順調に伸びていることが分かる。その地域別内訳を見ると,日本と中国の伸びが目覚ましいことが分かるだろう。第3四半期の日本の伸びは,gloopsを併合したことによるものだ。ソーシャルゲームにより,国内の売り上げが跳ね上がった。第4四半期の中国の伸びは旧正月に合わせた「アラド戦記」のアップデートによるもの。1年前の旧正月にも同様の山は見られたのだが,一段と規模が大きくなっており,伸びしろはまだまだありそうだ。中国でのPCゲームに比べると,日本でのモバイルゲームは「利益率が低い」とされているあたり,中国市場の凄まじさが分かるだろうか。
 第3四半期の利益が激減しているのは,2011年に取得したJC Entertainmentの株式の評価損や韓国での税法解釈が変更されたことによる税金の増加などによるもの。業務とはほぼ関係のない部分によるものだ。
 なお,最新四半期から会計方式が日本基準から国際的なIFRS基準に変更されているのだが,純利益の部分は,比較的近い数字となる「親会社の所有者に帰属する四半期利益」の項目を採用している。


●アエリア
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#023のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 アエリアの決算は12月締めなので2012 Q4となっている部分は新会計年度に相当する。で,その最初の四半期で売上高の激減が発生している。その経緯について,ちょっとややこしいので順を追って説明しておこう。
 ソネットエンターテインメントがソニーに編入された際にソネットの子会社であったゲームポットは,アエリアの100%子会社であるAeria Games&Entertainment(以下AGE)と経営統合し,中間持ち株会社AGGP HOLDINGSを設立していた。ゲームポット取得の代価としてAGGP HOLDINGSの株式をソネットに譲渡している。これまでアエリアの子会社で,海外でのゲーム運営を行っていたAGEは,AGGPの下に編入されている。
 AGGPはアエリアの持分法適用会社とされているので,アエリアの売り上げと,AGE,ゲームポットの合計売り上げの27.55%(アエリアの持ち株比率)を足したものが今後の売上高ということになる。
 書類上はそのようになるのだが,数字的に7割減では利かないので,実はAGGPが連結から外されている可能性もある。決算短信の重要な会社の異動については,AGGPが加わったともAGEが外れたとも記載されていないので,詳しいことは不明だ。


●フェイス
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#024のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#025のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 WebMoneyを手放す以前と比べると,業態がシンプルになったため小ぢんまりしたグラフとなってしまっている。事業内容については再編が進みつつあるようだ。前年比で全体に売り上げは減少傾向となっているが,これは従来主力となっていた着メロ事業が縮小しているため。スマートフォンでの着メロ展開も行っているものの,いま一つ成果は出ていないようだ。そんななか,音楽・映像配信やゲームアプリ配信などに力が入れられている。分野としては,音楽関連,とくにアーティスト関連の情報サイトや携帯サイトなどが中心となるが,ゲームに関しては,ゲームブック(プレイヤーの選択でストーリーが分岐する小説)アプリの専門ポータルなども展開している。


●ベクター
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#026のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 2012年3月に発生した個人情報流出事件以降の落ち込みから,まだ回復に至ってはいない。クレジットカードの扱いも再開されてはいるが,グラフを見るだけでも全体的な売り上げがかなり目減りしいてることが分かる。
 ダウンロード販売に比べればオンラインゲームでの落ち込み幅は小さく,その原因も主に前年好調なタイトルがあったためとされているが,裏を返せば今年度のタイトル展開が十分ではなかったということにもなるだろう。さらに年度内にいくつかのタイトルを終了していることからも損失が発生している。なお,自社開発していたモバイルゲームは運営を中止しており,今後は海外調達などを含めた展開をしていくという。


●サイバーステップ
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#027のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 自社開発オンラインゲームの海外展開を積極的に進めるサイバーステップ。以前はアジアの途上国での展開が多かったのだが,最近ではブラジルやヨーロッパにも進出している。国内では新作も発表するなど,久々に新展開も出てきた。
 売り上げに大きな伸びはないものの,昨年発生してた為替差損は為替差益となっており,従来懸念のあったキャッシュフローの安定性については,ほぼ解消されたとしている。


●ガーラ

決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#028のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 2012年11月に「継続企業の前提に関する事項の注記に関するお知らせ」という,会社としてはかなりヤバい告知が出されていたガーラ。その対策として,スマートフォン用ゲームに絞った業態への転身が図られた。再ローンチ予定だった「エターナルブレイド」(iL:Soul Bringer)の運営をアドバンスメントに譲り,海外のオンラインゲーム運営をしていたGala-NetをWebzenに売却,サービス中のPCオンラインゲーム運営は,開発会社のGala Labに移管するなど,徹底的にビジネスのスリム化を進めていた。
 海外のゲーム運営が連結から外れたことで,売上高はかなり小さくなっている。また,オンラインゲーム事業からの撤退による減損処理や有価証券の評価損などから,非常に大きな特別損失が計上されている。
 今期の会計は最悪な結果となったが,業態のスリム化では資産を減らす処理は必須であった。来期以降,スマートフォンでの事業がどう立ち上がるかに注目しよう。


●ASJ
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#043のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 本業はサーバーのホスティングで,eコマースサービスなどを提供する一方で,ブラウザゲームやオンライン小説SNSなども手がけるASJ。本業の売り上げ自体は非常に安定している。2012年度は,2014年開始予定の新規サービスの開発費が先行投資の形となっており,利益は少なめに出ている。
 ゲーム部門の数字など細かい資料はないのだが,全体に対する割合はかなり低そうだ。


●サイバーエージェント
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
画像集#030のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#031のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか
画像集#032のサムネイル/2012年度ゲーム関連各社の決算状況まとめ。激動の1年でゲーム業界はどう変わったのか

 本業とも言えるインターネット広告が好調だ。ゲームを含むメディア部門も前年比13%の伸びだが,ソーシャル事業(SAP事業)の推移を見ると,高い水準ではあるものの,勢いは止まってきている感じである。なお,この1年で海外での売り上げを大きく伸ばしており,最新四半期ではSAP売り上げの23%が海外のものとなっている。
 Ameba事業も好調に推移しているものの,新規開発事業などにより,部門としては損失を計上している。


●ブロードメディア
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
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 クラウドゲームサービス「G-Cluster」を展開するブロードメディア。本業は放送コンテンツ制作やCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)などのサービスを行う会社だ。クラウドゲーム機G-Clusterの販売も決定し,クラウドゲーム時代を占う意味でも取り上げてみた。正確には,G-Clusterを開発するGクラスタ・グローバルは持分法適用会社という位置付けになる。
 全体を見ると2009年第3四半期の利益が非常に目立つのだが,詳細を見るととくに変わったことがあったわけでもないようだ。3つの事業部門がそれぞれ黒字で,経費削減を行った結果となっている。ただ,その前年まで赤字続きだったのが2009年度から好転しているのは,Gクラスタ・グローバルが連結から外れたためだという。このあたりの時期のサービスは旧世代の技術によるものなので,クラウドゲーム事業自体は採算性に問題があったようだ。
 現状の数字にはクラウドゲーム事業のものは入っていない。決算書類でも成り行きが読みにくいとしているように,クラウドゲームがどの程度受け入れられていくのかは未知数だ。今後の動きに注目したい。


●Klab
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
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 ソーシャルゲーム大手のKlab。決算資料での分析が細かく業界の動向がよく窺えるので,ソーシャル業界の指標となる会社だ。
 グラフでは伸び悩んでいるようにも見えるが,同社はWeb系のゲーム中心の展開からネイティブアプリへのシフトを図っており,2012年第3四半期までの部分はほぼ想定内の動きとなっている。しかし,最新四半期では,新作タイトルのリリース遅れが17本も発生し,売り上げと利益に影響を与えている。また,既存ブラウザゲームをネイティブ化してリリースしたものに関しては売り上げが伸び悩んでいるという。
 遅延の原因はマネジメントにあるということで,同社のSI系のマネジメントノウハウが投入される予定。開発体制も,これまではゲームエンジンを使わないフルスクラッチのものが多かったのだが,今後は原則としてUnityに統一していくとのこと。ゲームのジャンルも4カテゴリーに絞って,ガワ替えでの展開を進めていくなど,効率を重視していく方針だ。
 2013年度は,すでにリリースされた「ラブライブ!」のほか,リアルタイム対戦型の3D野球ゲームや「パズドラ」風のゲームにデッキやマップ要素を追加したハイブリッドゲーム「SpellBlast(仮)」などが予定されているという。


●ディー・エヌ・エー
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
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 第3四半期には,過去最高の売り上げを達成しているものの,グラフからは第2の踊り場を迎えた感もあるディー・エヌ・エー。カードゲーム投入後の伸びも弱まっている感じだ。
 海外では,3か月間で70億円程度のコイン消費が行われるようになったものの,まだ黒字化には至っていないという(ちなみに国内でのコイン消費は600億円程度)。海外分のコイン消費の伸びは順調なので,今後は売り上げの柱となってくることも期待できるだろう。
 国内ではYahoo!やmixiとの提携で市場を拡大しつつあるものの,コイン消費の伸びは停滞している。内製ゲームでのヒットに恵まれなかったことなどが原因だというが,これには投入タイトル数自体が少なかったことが問題点として挙げられており,夏以降は月2本のペースで新作を投入していくという。


●グリー
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
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 2011年Q4を頂点に下り坂といった雰囲気のグリー。フィーチャーフォンでのゲーム収益が減少したことと,スマートフォンで自社のヒットタイトルに恵まれなかったことが原因としている。このあたりはDeNAと似たような状況だ。グリーの対応は「選択と集中」ということで,DeNAとはまったく反対の戦略のように見えるが,投入予定タイトル数などは実は大差ない。昨年はDeNAが少なすぎ,グリーが出しすぎだっただけのようだ。
 さて,2012年第3四半期に相当する時期の決算資料から,ようやく海外での数字が出てくるようになった。最近では,USスタジオの「Crime City」「Modern War」といったタイトルがヒットしたため月次のコイン消費が倍増しているという。金額にすると30億円程度と多くはないが,169か国で展開する2億3000万ユーザーのプラットフォームとしては,まだまだこれからといったところだろう。


●ミクシィ
決算短信:第2四半期第3四半期第4四半期
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 売り上げはこのところ下り坂で,とくに広告収入が減っている。フィーチャーフォン向けの縮小が激しく,スマートフォン向けの広告の伸びでは追いついていない感じだ。広告減少は2013年第1四半期で底を打つとの見通しが出されているが,フィーチャーフォンの広告が落ちようのないところまで落ちるのはそのあたりかもしれない。今後はスマートフォン広告で巻き返すということだろう。
 収入の多くは課金によるものだが,その内訳ではアプリ課金が大半を占めており,業態はともかく実態としては完全にゲーム会社と言ってよい内容になっている。そのためか,2012年末からこの春にかけて,Mobageとの協業,mixiゲームのリニューアル,同スマートフォン版のリニューアルとゲーム関係のテコ入れが目立っている。
 これまではSNSからゲームや日記といった各種機能を使うという流れだったのだが,今後の方向性としては,ゲームなどのスマホアプリを通じてSNS機能を使うという流れになるのだという。


 今回は,過去最高で激動の見える決算状況だった。世間的には,景気回復の余波も感じられる状況であり,新機種への期待やスマートデバイスの爆発的な普及など,追い風要素は増えてきているのだが,新しい状況に対応するために業態を整理したり,会社単位での再編成が行われたりと,きわめて大きな動きも目立っている。今年度に限った動きではないのだが,とくにPCオンラインゲーム関連で顕著だ。
 コンシューマゲーム関連企業がソーシャルゲームに進出して収益を安定化させる手法はかなり一般化してきている。その一方で,飛ぶ鳥を落とす勢いだったソーシャルゲーム業界は収益の伸び悩みを示している。カードゲーム熱も沈静化しつつあり,ガンホーだけが気を吐く状況だ。スマートフォンでのゲーム市場は,ブラウザ中心からネイティブアプリにシフトしていくという見方に従って各社対応を進めていたはずなのだが,市場の速度に追いつけていないことが窺える1年だった。
 ソーシャルゲーム関連の海外展開の状況がようやく見えてきたのは朗報といえるだろう。Mobageの展開では,日本の人気コンテンツが海外で通用することが見えてきた。Gree Platformでは,海外用に作られたコンテンツにも日本流のマーケティング手法が有効という手応えが感じられる。現状では比重は大きくないものの,可能性の大きな市場なので今後の大化けに期待したいところだ。
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