業界動向
AMD,高性能ワイヤレスVR HMDの鍵となる無線技術の企業「Nitero」を買収
AMDによれば,Niteroが開発した「Phased-array beamforming millimeter wave chip」(フェイズドアレイビームフォーミングミリ波無線チップ)を使うことで,低遅延でGigabit級の無線データ通信が可能なルームスケールのVR環境を実現できるという。
現在のVR HMDは,HDMIケーブルやUSBケーブル,電源ケーブルなど,複数のケーブルによる接続が必要で,手軽に使えるとは言い難いし,装着したまま歩き回るのにも制約がある。その解決策として,さまざまな企業がワイヤレスで利用できるVR HMDを開発したり,あるいは製品化したりといった取り組みを,活発に進めているのが現状だ。Niteroの無線技術は有望だとして,SteamVRを展開するValveも投資を行っていたが(関連記事),最終的にはAMDがこの技術を押さえることになったというわけだ。
ただ,AMDがこの技術をどういう形でビジネスにつなげるのか。たとえば,他社にNiteroの技術をライセンスするのか,それともAMD自身でVR HMDプラットフォームを開発,販売したりするのかは,今回の発表からは分からない。実際,今回の買収は長期的な技術投資の一例であるとAMDはプレスリリースの中で述べているので,Niteroの技術を用いた製品などがAMDからすぐに登場するということはなさそうな気配である。
今後,AMDがどのような形でNiteroの技術を世に送り出すのか,今から楽しみだ。
AMDによる当該プレスリリース(英語)
Nitero 公式Webサイト
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