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ゲーム用途にも広がる3Dカメラ技術「RealSense」や,話題の高速メモリ「3D XPoint」によるSSDのデモが披露されたIDF 2015 基調講演レポート
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印刷2015/08/20 16:06

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ゲーム用途にも広がる3Dカメラ技術「RealSense」や,話題の高速メモリ「3D XPoint」によるSSDのデモが披露されたIDF 2015 基調講演レポート

IDF 2015基調講演の一幕。ゲーマー向けの製品やサービスにも力を入れつつあるIntelは,9月25〜26日にサンフランシスコで開かれるTwitch Interactive主催のイベント「TwitchCon 2015」のスポンサーになったそうだ
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 北米時間2015年8月18日,Intelは,米国サンフランシスコで,毎年恒例の開発者向けイベント「Intel Developer Forum 2015」(以下,IDF 2015)を開催した。同日午前に行われた,同社CEOであるBrian Krzanich(ブライアン・クルザニッチ)氏による基調講演では,同社の最新CPUである開発コードネーム「Skylake」こと第6世代Coreプロセッサの話が中心になるのかと思っていたのだが,蓋を開けてみれば,そちらの話はまったくなく,講演の中心はIntelが近年力を入れているIoT分野と,3Dカメラ技術「RealSense」の話題だった。

 そういうわけで,これからお届けする基調講演レポートでは,4Gamer読者にも興味のありそうな話題に絞って,その概要をレポートしたい。


RealSenseの用途拡大をアピールするIntel

Razerからもカメラが登場予定


 基調講演のテーマであったRealSenseについては,4Gamerでもたびたび報じているが,簡単におさらいしておこう。RealSenseとは,2014年1月の発表以来,Intelが力を入れているナチュラルインプット技術で,薄型の3Dカメラモジュール「RealSense 3D camera」と,同カメラを活用するハードウェアやソフトウェアから構成されるものだ。
 RealSense 3D cameraは,通常のCCDカメラと奥行き計測用の赤外線カメラを組み合わせたもので,ノートPCのベゼルやタブレット端末のような狭い空間にも内蔵可能な薄型モジュールが特徴となっている。つまり,Xboxシリーズにおける「Kinect」のようなものを,PCやタブレット,スマートフォンに内蔵できるわけだ。

PCメーカーや周辺機器メーカーだけでなく,ソフトウェアメーカーとの連携も広がりつつあると,RealSenseをアピールするKrzanich氏(写真右端)
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 最近は徐々に採用製品も増えてきており,今回の基調講演では,RealSenseを応用した製品のデモがいくつか披露されている。その1つとしてステージで披露されたのが,カナダのVRXが開発するドライビングシミュレータ「iRacing」にRealSenseを組み合わせたものだ。RealSense 3D cameraでプレイヤーの頭部をトラッキングして,頭部の動きに応じた画面を描画するというもので,ドライブゲームに応用されると臨場感を高めるのに役立ちそうに思える。
 ちなみに,シミュレーターソフトを動かしているPCには,未発表のSkylakeが搭載されているとのことだった。

ステージ上で披露されたRealSense 3D cameraを組み合わせたドライビングシミュレータのデモ。プレイヤーが横を向くと,その向きに応じた映像を表示していた
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 また,RazerはRealSenseを使ったゲーマー向けの外付けカメラを,2016年第1四半期に出荷する予定だという。詳細は既報のニュース記事を参照してほしいが,カメラに写ったプレイヤーの背景を自動で削除して,プレイヤーの姿だけをゲーム画面に重ねたプレイ動画を配信することが可能になるそうだ。
 日本のゲーム実況動画では,あまりプレイヤー自身の姿が出てくるものは多くないが,欧米では顔出しによるゲーム実況が珍しくないので,こうした製品にもニーズがあるのだろう。

Razerが発表したゲーマー向けのRealSense対応3Dカメラ。円筒形のカメラ本体とスタンドがセットになっているようだ
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Razer製3Dカメラによるデモ。ゲーム画面の右下に,プレイヤーの姿が重ねられているが,本来なら映っているはずの背景は,自動で削除されている。配信ソフトウェアとしては,定番のXSplit GamecasterやOpen Broadcaster Software(OBS)に対応するとのこと
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 ゲームエンジンをRealSenseに対応させる取り組みも進められている。たとえば,Epic Gamesの「Unreal Engine 4」向けには,RealSenseを利用するためのプラグインが提供されているそうだ。また,Unityに対しても,RealSenseを使うためのソフトウェア開発キットが開発されているという。

 対象プラットフォームを拡大する取り組みも行われている。今までのRealSenseは,Windowsをプラットフォームとしていたが,Intelは,Windows以外のプラットフォームでもRealSenseが利用できるように,パートナー企業と協力していくことが発表された。今後は,Mac OS XやLinux,ロボット制御用のフレームワークである「Robot Operating System」(ROS)でもRealSenseが利用できるようになるという。
 PC以外での活用が広がると,組み込み機器でRealSenseを採用するような事例も,登場してくるのではないだろうか。ヘッドマウントディスプレイなどと組み合わせて,実世界と仮想世界をつなぐものとして使うのも面白そうだ。

IntelとGoogleが共同開発した,RealSense 3D camera搭載スマートフォン「Project Tango」の試作機(左)。実世界の3Dモデルを構築する用途を想定しており,スマートフォンを動かして部屋の中を撮影することで,部屋の3Dモデルが作成できるというデモを披露していた(右)
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3D XPointを使ったストレージやDIMMも披露


 基調講演の大きなテーマではないのだが,今後のPCに影響を与えそうな技術として取り上げられた「3D XPoint」(3Dクロスポイント)の話題も紹介しておこう。
 3D XPointとは,IntelとMicron Technologyが共同開発した新しいメモリ技術のことで,既存のNAND型フラッシュメモリよりも1000倍高速で,1000倍の寿命があり,しかも10倍のセル密度が可能な不揮発性メモリを実現できるというものだ。その概要は発表時の解説記事に詳しくあるので,そちらを参照してほしい。

 さて,基調講演では,この3D XPointを使ったストレージ技術「Intel Optane Technology」(以下,Optane)が発表され,世界初というライブデモが披露された。Intelでは,Optaneを使ったM.2スロット用SSDや2.5インチサイズのSATA SSDなどを,2016年に製品化すべく開発を進めているそうだ。現在使われているNANDフラッシュメモリを使ったSSDよりも,長寿命でより高速なOptaneベースのSSDを利用できるようになれば,PCのストレージはさらに高速で信頼性の高いものとなるだろう。

NANDフラッシュメモリのSSDと,OptaneベースのSSDによるアクセス速度性能比較デモ。Optaneのほうが5倍速いという結果が出ている
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 また,Intelではストレージだけでなく,Optaneを使ったメモリモジュール「Intel DIMM」も開発中であるという。これは,マザーボードのDIMMスロットに装着できる不揮発性メモリであり,これを使ったPCは,電源を切ってもメインメモリの内容が失われなくなる。電気的にはDDR4メモリを載せたDIMMと互換性があるとのことだが,CPU内のメモリコントローラがOptaneに対応する必要があるため,今あるPCのメモリモジュールを置き換えるものではない。基調講演では,将来のXeonがIntel DIMMに対応予定と説明されるに留まった。

OptaneベースのIntel DIMMは,既存のDIMMよりも4倍のメモリ容量があり,コストは2分の1で済むという
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 OptaneをPC用メモリモジュールに使うには,DDRメモリと比べて遅いアクセス速度をどうするかという問題を解決しなければならないが,ノートPCのメインメモリに使えるようになると,いつでも電源を落とせて,すぐに再開できるシステムが実現可能になる。今後の発展に期待したい技術といえよう。

IDF 2015 公式Webページ(英語)


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