レビュー
タブレットでのごろ寝プレイをサポートするクッション
三陽プレシジョン goron
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ただ,いくら「タブレット端末は軽い」と言ったところで,仰向けの状態で数十分も持ち続けると腕が疲れてしまう。横向きに寝転がって操作しようにも,片手で支える必要があるのは仰向け時と変わらない。アイデアとしては,タブレットを固定する可動式アームを使うというのもあるが,アームは意外と融通の利かないことが多く,寝転がって,ごろごろと体勢を変えながら使おうとすると,けっこう不便だったりもする。
そんな“ぐーたら派”ゲーマーにとっての福音となりそうな製品が,昨年の東京ゲームショウ2013で展示されていたのを覚えているだろうか。その名は「goron」(ゴロン)。あれから時間がだいぶ経ってしまったが,今回は,このgoronがどれだけ使えるのかをレポートしてみたいと思う。
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今回はこのgoronの使い勝手について,実際にゴロゴロしながら検証してみることにした。
座椅子のようなギミックで
クッションとアームの位置関係を調整できる
まずはgoronの外観と,その仕組みから見ていこう。
goronの見た目を分かりやすく文章で説明するのはちょっと難しいのだが,片方の辺が長い「コ」の字型をしたアームに,座椅子のようなクッションが取り付けられたような格好になっている。写真だけ見せられたら,どう使うか分からない人も普通にいそうだ。
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クッション部分は,使いたい姿勢に合わせて自由に角度を変更できる。アームを動かすのではなく,座椅子とは逆の方向にクッションを折り曲げ,その状態でクッション部に座る,あるいはクッションを背もたれとして使うことで,相対的にアームの位置を調整できるという仕掛けだ。
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アームとクッションのどちらを持っても動かせるため,多少程度であれば雑に扱っても問題ないといったあたりは,生活雑貨のような雰囲気だ。説明書を見なくても,触ってみるとすぐに扱い方が分かるだろう。
本体全体のサイズは実測で約590(W)
重量はカタログ値で約4.3kg。室内で持って移動する程度なら全然問題ないサイズと重量だが,意外と場所を取ることは,押さえておいたほうがよさそうだ。
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タブレット端末のマウントユニットは
タブレット端末用スタンドとほぼ同じ構造
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その構造自体は「タブレット端末をがっちり固定するタイプのスタンドでよく採用されるタイプ」と言っていい。合計4か所の“ツメ”部分で,タブレット端末を支えるという,簡単な仕掛けだ。4か所中2か所のツメは,手回しネジを緩めることで,マウントユニット中央のレール部を動かせるようになっているので,合計4か所のツメがデバイスの対角線上にくるよう配置したり,デバイスの上下または左右の辺から挟み込むように配置したりしたうえで,手回しネジを締めてやれば固定できる。
マウントユニット自体は「ホルダー固定ベルト」と呼ばれるベルトを介してアームに取り付けられており,ベルトとマウントユニット部をつなぐ部分の手回しネジを緩めて回転させれば縦横,ベルトの根元にある手回しネジを緩めて回転させれば角度といった具合に,それぞれ任意で調整可能だ。
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なお,マウントユニットで支えられる重量の数値は明らかになっていないが,10インチクラスのタブレットで想定される重さには堪えられるという理解でいいだろう。実際,10インチクラスのタブレット取り付けたことで,テスト中に何か問題が発生したりはしていない。
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タブレットをジャケットやケースに入れて幅を稼げば解決する場合もあるので,ツメが邪魔だと感じた場合は,こうした手段を試してみるのもいいだろう。
姿勢に合わせてマウントユニットの向きや角度を柔軟に変えられるおかげで,goronによる“寝転がったままのタブレット体験”は実に快適である。以下,横になって使う状態を「ごろごろモード」,床に座って使う状態を「背もたれモード」と表記するが,ごろごろモードで仰向け状態から横にごろんとなったり,寝返りを打つ感覚で元に戻ったりしながら操作できるのは,本当にラクだ。少し身体を動かす必要はあるものの,背もたれモードへの移行も簡単に行える。
ちなみに,端から見たらどんな状態なのかは下に写真で示したとおりで,基本的には人様にお見せできない感じで自堕落感いっぱいである
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![]() もうひとつお気に入りの角度がコレ。ちょっと斜めにした状態は,入力やホールドがしやすい。睡魔に襲われやすいのが難点か |
![]() 背もたれモード。ごろごろモードから少し体を動かして向きを変え,ズリズリと壁に移動すれば,立ち上がって姿勢を変える必要もない |
実際にゲームをプレイしてみる
意外と制約は多め?
このように,快適なごろごろタブレット生活が営めるgoronであるが,ゲームプレイ時は,(ゲームの操作に使う指を除いたとしても)完全なハンズフリーとはいかない場合もあることに気づいた。
goronにおいて,タブレット端末は,合計4か所のツメによって,空中で支えられているようなものである。しかもそのツメは,「ホルダー固定ベルト」経由でアームに固定されているのであって,丈夫なアームに直接固定されているわけでもない。そのため,タッチするときの“あたり”が強めだと,一瞬だけタブレットが宙に浮いたり,動いてしまったりすることがあるのだ。
ソフトなタッチで操作できるOSの基本操作ならばともかく,ゲームでは激しくタッチすることも多いので,このままでは厳しい。
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自己責任で液晶ディスプレイも装着してみる
〜制約はあるが,意外といけそうな予感
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今回試したのは,台湾GeChicの13.3インチ液晶ディスプレイ「On-Lap 1301」だ。市場では後継製品が出ているが,ともあれ「モバイルが想定されるような薄型ディスプレイは取り付けられるか」をチェックしてみた次第である。
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なので,どんな体勢でも横画面でしか利用できないのだが,この状態でPCやゲーム機のゲームをだらだらとプレイするのはとても快適だ。タブレット端末と異なるのは,ケーブルに変なテンションをかけて破損しないよう気を付ける必要があるため,好き勝手に体勢を変えたりしにくくなることだが,それでもこれは自己責任で試すだけの価値があると言えるだろう。
![]() 取り付け可能な最大幅は250mmまでなので,On-Lap 1301を取り付けようとしても,対角線配置ではホルダーの長さが足りない |
![]() 上下でホールドして取り付け成功。爪の抵抗もあるため,この状態なら横滑りはあまりしないが,真横にすると落ちてしまう |
ちなみに,いろいろ試してみた感じだと,ディスプレイを固定する場合は,ツメ部分が厚さ20mmくらいまでしか対応しないという制限が思いの外大きい印象を受けた。これにより,今回用いたようなモバイルディスプレイしか取り付けられないというのがけっこう惜しい。
VESAマウント対応の「ホルダー固定ベルト」があれば,4:3アスペクトなら15インチクラスのディスプレイも取り付けられそうだが,そうなると今度は重さのほうが問題になる可能性もありそうで,悩ましいところだ。
タブレット端末で使うなら大いにアリ
ただ,次世代モデルの登場を待つのも手!?
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ここまでの写真でも確認してもらえると思うが,アームは枕にもなってくれるので,2方向であれば寝返りを打っても問題ない。もっとも,目覚めて起き上がろうとしたときアームにぶつかったりする可能性はあるので,その点は注意が必要だろう。
また,あれこれ試してみたところでは,当たり前だが,ビデオの観賞との相性がいい。手で操作しなければならないものの,ごろごろしながら電子書籍を読めるというのもすこぶる快適だった。
背もたれモードでアームをPC作業用のテーブル代わりにするというのもアリだった。「寝っ転がってタブレットを使うためのもの」として捉えると,1万9800円前後(※2014年2月28日現在)という実勢価格,そして意外にかさばる大きさがハードルとなるが,普段の生活において本気で使う前提なら,十分,検討に値するといえるだろう。
なお,メーカーである三陽プレシジョンによれば,同社は現在,「goron 2nd」やノートPC用アタッチメントを計画中とこと。いつ出てくるのかはまったくもって不明だが,タブレット端末以外でも使いたいのであれば,少し待ってみるのも手かもしれない。
もちろん,タブレット端末中心で運用するなら,すぐにポチッてしまってOKだ。快適に遊び,気持ちよく寝落ちしてほしい。
![]() Kindle HD 8.9を使い,電子書籍もごろ寝で閲覧。手を伸ばさずに済むならもっと快適なのに……と思わずにはいられない |
![]() 背もたれモードでアームをテーブル代わりにすると,ノートPCの操作を行いやすい。アタッチメントなしでも(固定はできないが)問題なし |
三陽プレシジョンのgoron製品紹介ページ
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