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「10.5インチiPad Pro」レビュー。画面が大きくなった新型iPadは,すんなり使えてゲームも快適なお勧めタブレットだ
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印刷2017/06/30 17:00

レビュー

画面が大きくなった新型iPadは,すんなり使えてゲームも快適なお勧めタブレット

Apple 10.5インチiPad Pro

Text by 林 佑樹


10.5インチiPad Pro(Wi-Fi+Cellularモデル)
メーカー:Apple
問い合わせ先:Apple サポート
直販価格:8万4800円から(税別,2017年6月30日現在)
iPad本体
 2017年6月13日,Appleは,2017年モデルの新型iPad Proを発売した(関連記事)。
 2016年のiPad Proは,12.9インチモデルと9.7インチモデルの2ラインナップ構成だったのに対して,2017年の製品では,12.9インチモデルは継続となったが9.7インチモデルはなくなり,新たに10.5インチモデルが登場した。今回はこの新型iPad Proから,「10.5インチiPad Pro」(以下,iPad Pro 10.5)をレビューしてみたい。

新型iPad Proの10.5インチモデル(左)と12.9インチモデル(右)
iPad本体

 2016年モデルのiPad Proは,内蔵ストレージ容量が32GB,128GB,256GBの3種類を用意していたのに対して,2017年モデルは64GB,256GB,512GBの3種類に変わった。上位2製品は,もはや薄型ノートPC並みの容量だ。一方,LTE対応通信機能の有無で,LTEありのWi-Fi+Cellularモデルと,LTEなしのWi-Fiモデルがラインナップされているのは変わっていない。
 なお,ラインナップと価格の詳細については,製品発表時のニュース記事を参照してほしい。

 ハードウェアレビューの大半は,借用機材によるテストだが,今回のiPad Pro 10.5は,筆者が自腹で買った機材だ。発売翌日の6月14日に,たまたま立ち寄ったヨドバシAkibaの店頭でハンズオンしていたところ,気がついたら契約していた。正直なところ,購入理由はよくわからない。5月下旬から6月中旬までのタイト過ぎるスケジュールで,衝動買いゲージがMAXになっていたとしておこう。
 ストレージ容量は用途次第だが,筆者は大半のデータをクラウドに置いているので,64GBを選択し,カラーはローズゴールドで,Wi-Fi+Cellularモデルにした。

 それから2週間ほど使用してみたわけだが,素晴らしく満足したわけではないが,かといって深刻な不満があるわけでもなく,日常の中に馴染む「いつもの道具」的なApple製品らしい作り込みの良さは気に入っている。そんなわけで,いつものスマートフォンテストレポートよりは,ややゆるふわ気味にレビューしてみたい。

気がついたら契約していたiPad Pro 10.5。カラーはローズゴールドでキャリアはKDDIにした。購入のツイートをした直後に,編集部から「高垣 楓の誕生日に合わせたのか」とメッセージが届いたので,お誕生日の間に撮影を済ませた
iPad本体

iPad Pro 10.5 ローズゴールドの製品ボックス(左)。本体のカラーに合わせて,ボックスにプリントされた写真は異なる。右写真は開封直後の状態だ
iPad本体 iPad本体

本体を箱から出すと,付属品のLightningケーブルが現れた(左)。小さな説明書も取り出すと,その下には従来モデルと同じ外観の付属ACアダプターが入っている
iPad本体 iPad本体


液晶パネルサイズは大きくなったが,全体の印象は変わらず


 まずは外観から見ていこう。
 冒頭でも触れたとおり,iPad Pro 10.5は,10.5インチサイズで解像度1668×2224ドットの液晶パネルを採用したのが大きな特徴だ。9.7インチサイズの液晶パネルを採用していた2016年モデルのiPad Proは,本体サイズが169.5(W)×240(D)×6.1(H)mmで,重量444g(Wi-Fi+Cellularモデルの場合)であったのに対して,iPad Pro 10.5は174.1(W)×250.6(D)×6.1(H)mmで,重量477gと,やや大きく重くなっている。
 とはいえ,液晶パネル左右のベゼル幅が狭くなったのが見た目における大きな違いで,ボディの形状やボタン類のレイアウトは変わっていないこともあり,全体が顕著に変わったような印象は受けない。

本体正面。ベゼル幅は約6mmで,タブレット端末としては,かなり細めではある
iPad本体

筆者の「iPhone 7 Plus」と並べてサイズを比較。iPad Pro 10.5を購入して数時間は「画面がデカいな」と思っていたが,1日も経つと「ちょっと小さいなぁ」とか思い始めてきたので,人間の感覚はいい加減である
iPad本体

ホームボタンは,指紋認証センサー内蔵の物理スイッチを採用(左)。iPhone 7/7 Plusに慣れていると,どことなく違和感を感じる。背面は,従来のiPadから目立った変更点はない
iPad本体 iPad本体

上側面(左):正面から向かって左上に,iPhone 7が搭載していない3.5mmミニピンのヘッドフォン端子がある。そのほかにはステレオスピーカーと,マイク孔が2つ,[電源/スリープ]ボタンが並んでいる。アウトカメラユニットが出っ張っているのが,よく分かるだろう
下側面(右):2つのスピーカーに挟まれた中央にLightningコネクタを備えている
iPad本体 iPad本体

左側面:中央にあるのは,iPad Pro用周辺機器を接続するための「Smart Connector」だ。キーボードの接続などに使用する
iPad本体

右側面:上寄りに音量調整ボタンがあり,下寄りにはトレイ式のNano SIMカードスロットがある
iPad本体


液晶パネルがリフレッシュレート120Hzに対応

今のところゲームへのメリットはあまりない


iPad本体
 Appleが新型iPad Proの特徴として大きくアピールしているのは,液晶パネルのリフレッシュレートが,従来までの60Hzから最大120Hzへと向上したことだ。Appleはこの機能に「ProMotion Technology」なる名称を冠して,アプリのスクロールや動画再生のスムーズさや,操作に対する素早い反応が可能であると強く訴えている。
 なお,新型iPad ProはHDR表示にも対応しているのだが,アプリ側がまだ対応していないため,本稿では評とくに触れない。

 4Gamer読者の中には,最大リフレッシュレート120Hz以上の液晶ディスプレイを日常的に使っている人もいるだろうから,高リフレッシュレート対応のメリットはよく分かっているだろう。ただ,タブレットの画面は単に見るだけでなく,指先での操作も行うものなので,PCとマウスで高リフレッシュレート対応ディスプレイを使うのとは,また違ったフィーリングを得られる。
 とくに,スクロールしたときに画面が指に吸い付くような感じで動くあたりに表れていた。たとえば,Webブラウザの「Safari」や地図アプリを使うと,指先で狙ったところにピタッと止めやすく,今までのタブレットとは露骨なほど違いを体感できる。

「フレームレートの制限」スイッチをオンにすると,最大リフレッシュレートは60Hzになる。オンとオフを切り替えて,設定メニューをスクロールするだけで違いが分かるはずだ。アプリのフレームレートを常時表示する機能でもあれば面白いのだが
iPad本体
 ちなみに,iPad Pro 10.5では,液晶パネルのリフレッシュレートを従来と同じ最大60Hzに制限することも可能である。iOSの設定アプリから,「一般」→「アクセシビリティ」→「ディスプレイ調整」を開くと,「フレームレートを制限」というスイッチがあった。これをオンにすると,最大フレームレートは60Hzになる仕組みだ。あまりないとは思うが,最大120Hz設定で支障が出るアプリがあれば,ここで制限をかけるのがいいだろう。
 なお,複数のアプリを同時表示する「Split View」で,120Hz対応アプリと非対応アプリを混在表示した場合,最大リフレッシュレートは低いほうに合わせる仕様となるようだった。

 iPhone 7 Plusの内蔵カメラによる240fpsの高速度撮影機能を使い,Safariで4Gamerのページを表示して,上下にスクロールする様子を最大120Hzと最大60Hzの状態で撮影した動画を見てほしい。120Hzのほうが,文字の流れが滑らかなのが一目瞭然だ。


 「最大120Hz」と書いたとおり,iPad Pro 10.5は,常時120Hzで動いているわけではない。2015年に登場したiPad Pro以降,Apple製品の多くは,省電力目的で可変リフレッシュレートを採用していた。おおまかに言うと,画面上に動くものがない場合は30Hz程度で駆動する。画面をスクロールしたり,動画を再生したりする場合は60Hzで駆動するといった挙動だ。

iPad Pro 10.5の製品情報ページにあるディスプレイの特徴説明。「ゲームはブロックノイズにわずらわされることなく」という文言があるのだが,リフレッシュレートが問題でブロックノイズが出るなんてことはない。テアリングのことだろうか……
iPad本体
 一方,新型iPad ProのProMotion Technologyでは,より柔軟なリフレッシュレートの変動を可能としている。具体的な細かい仕様は発表されていないのだが,Apple主催の開発者向けカンファレンス「WWDC 2017」の発表内容からすると,動画の場合はコンテンツのフレームレートに合わせてリフレッシュレートを変更しているようだ。リフレッシュレートの幅は24〜120Hzのようだが,1Hz刻みで変更できるわけではなく,おそらくは24Hz,30Hz,48Hz,60Hz,120Hzというように,いくつかパターンで切り替える仕組みであろう。
 アプリが設定するフレームレートに応じて,リフレッシュレートを変更している様子は簡単に確認できる。たとえば,Apple純正の地図アプリ「マップ」と,「Google Maps」を比べてみると,表示の滑らかさが格段に違うのが分かるはずだ。

 さて,すでに察してる読者もいると思うが,筆者が本稿執筆時点で確認した限りにおいては,iPad Pro 10.5で実行した場合,120Hz表示を行っていると思われるゲームタイトルは,いまのところ発見できていない。当然と言えば当然か。
 「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)を使い,120Hz表示と60Hz表示で変化が起こるかを試した動画を掲載しておこう。画面をタップしたときに飛び散る星のエフェクトをiPhone 7 Plusで高速度撮影したものだが,星の動きが変わらないことが分かるはずだ。120Hz表示の状態でも,アプリ側のフレームレートが60Hz止まりなのだろう。


 iPadのみ対応のゲームタイトルがほとんどない現状では,iOS用ゲームがターゲットとするのは第1にiPhoneだ。そのiPhoneが120Hz表示に対応していない以上,新型iPad Proが出たからといって,120Hz表示に率先して対応するゲームが出てこないのは当然といえば当然である。
 多くのゲームタイトルが120Hzに対応することがあるとしたら,今後登場するであろう新型iPhoneが,ProMotion Technologyを採用するときではないだろうか。リフレッシュレート120Hzに対応するスマートフォン向けの液晶パネルは,すでにシャープの製品で実用化済みであり,技術的な障害はあまりない。将来のiPhoneに期待というのが,iOSにおける120Hz表示の正直なところだろう。


画面の色調を自動調整する「True Tone」に大助かり


 もう1つ,ゲームにはあまり関係ないものの,iPad Pro 10.5の機能で魅力的だと感じている「True Tone」を紹介しておきたい。
 True Toneは,2015年にiPad Proが初登場したタイミングで導入された機能で,周囲の環境光を取得して,光の色調を問わず,極力同じ色で画面を表示するというものだ。これにより,屋内照明の色味を気にすることなく,青くも赤くもないバランスの取れた発色で,アプリや写真を表示できるようになった。

左がTrue Toneオンで,右がオフの状態。True Toneをオンにすると,雰囲気としては紙に近い発色になっているが,オフの状態では青が強めに出ている
iPad本体 iPad本体

 True Toneの効果は,簡単にチェックできる。店頭のiPad Proで表示している画面を,スマートフォンで撮影してみるといい(※画面にある程度寄って,画面を基準にホワイトバランスを取れるようにすること)。たいていの場合,画面の色は見たままに近い色で撮影できるだろう。

輝度は最大600nits(=600cd/m2)。左写真は,晴天下で輝度100%の状態だが,視認性はそこそこだ。液晶パネル表面のコーティングを変更しているようで,光沢パネルとしては反射が少なめに見える。右写真は暗所で輝度0%の状態で,同じ輝度設定のiPhone 7 Plusを隣に置いてみた。眩しいほどではないが,画面が大きいため,明るすぎると感じる人が多そうである
iPad本体 iPad本体

左から輝度100%,50%,0%にした状態。ここでも比較として,同じ輝度設定にしたiPhone 7 Plusを置いている
iPad本体 iPad本体 iPad本体

 新型iPad Proに合わせて,True Toneにアップデートが入ったという告知はないのだが,実際に試してみると,先代のiPad ProにおけるTrue Toneよりも,忠実な色を表現できるようになり,写真やゲームのスクリーンショットにおける色確認に役立っている。下手にカラーキャリブレーション地獄に陥るよりは,楽に最適解に近づけるはずなので,色にこだわるスクリーンショットを考えているのであれば,チェッカーとしてお勧めである。

ここ2週間でiPad Pro 10.5を最も活用しているのが,写真データのチェックと即納だ。True Toneで色を正確に表示できるので,とても助かっている
iPad本体


PlayStation AppでPS4用サブディスプレイ的に使うと便利


 画面サイズがやや大きくなって色調も良好となると,iPad Pro 10.5をPCや据え置き型ゲーム機のサブディスプレイ的に使う用途も便利そうだ。

iOS版PlayStation Appの画面
iPad本体
 E3 2017でSony Interactive Entertainment Europeは,スマートフォンやタブレット端末をPlayStation 4(以下,PS4)用ゲームのサブディスプレイやゲームパッドとして使う「PlayLink FOR PS4」を発表した。また,iOS用アプリの「PlayStation App」を使えば,iPad Pro 10.5をPS4のセカンドスクリーンやキーボードにもできる(※Android版もあり)。
 もちろん,スマートフォンでも同じことは可能だが,画面の大きいiPad Pro 10.5のほうが,プレイ中もチラ見しやすいので,ゲーム関連のデータを表示しておいたり,音声チャット用にしたり,配信用のコメントチェッカーにしたりと,プレイの中に組み込みやすいのだ。

iPad Pro 10.5上でPlayStation Appを使い,音声入力でチャットにテキスト入力している様子(左)。iOSの音声認識は精度が高いので,はっきりと明瞭に話す感じでこの程度は入力できる。PlayStation Appにはセカンドスクリーン機能もあるのだが,対応ゲームを所持していない……どころか,対応しているゲームを簡単に探す方法が見つからないという。どこかで楽に分かるのだろうか?
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 実際,筆者はPS4で「ファンタシースターオンライン2」をプレイするとき,物理キーボードの接続が面倒な状況では,iPhoneにインストールしたPlayStation Appからチャット入力をしていた。iPad Pro 10.5で同じことをしてみると,仮想キーボードのサイズが大きいので,QWERTY派の筆者には入力しやすいうえ,音声入力もできるので,フィールドで戦いながらのチャットも比較的楽にこなせて,大変便利に使えている。

こちらはiOS上でPS4ゲームのリモートプレイを可能にするアプリ「R-Play」(1200円)。入力は仮想ゲームパッドか,iOS対応ゲームパッド,もしくはデバイスにBluetooth接続したDUALSHOCK 4が使える。LAN内でのプレイは低遅延でいい感じだが,SIE未公認アプリである。iOS版の「PS4 Remote Play」はいつになったら配信されるのだろうか……
iPad本体

 「Duet Display」のようなアプリを利用すれば,iPad Pro 10.5をタッチ操作対応のPC用サブディスプレイとすることも可能だ。単なるサブディスプレイとしてだけでなく,たとえばiOSでは動作しないブラウザゲームをiPad Pro 10.5上でプレイするなんてこともできるのでお勧めである。
 デバイス単体でゲームをプレイするのもいいが,PCや据え置き型ゲーム機でゲームをプレイするときの補助デバイスとしても,iPad Pro 10.5は輝いているというのは言い過ぎだろうか。


新型SoCによる性能の向上をベンチマークテストで確認


 iPad Pro 10.5の性能を検証する前に,まずはスペックをチェックしておくとしよう。iPad Pro 10.5は,搭載SoC(System-on-a-Chip)として,Apple独自の「A10X Fusion」を採用している。これは,iPhone 7シリーズが搭載する「A10 Fusion」の派生版ということだが,後段で説明するように,実際の性能はかなり別物だ。

 A10X Fusionの詳細は,Appleがその手の情報開示に積極的でないため,現状では不明な点が多い。WWDC 2017のセッションで明らかになった情報では,CPUコアが6基で,GPUコアは12基だそうである。
 ただ,システム情報を表示するアプリ「System Status」や,今回のテストに用いた総合ベンチマークアプリ「Geekbench 4」で確認してみると,CPUコアは3基と表示していた。新しいA10X Fusionのスペックを正常に取得できていないだけかもしれないが,あるいは性能重視コアが3基に,省電力重視コアが3基といったbig.LITTLE的な構成になっているのを,片側だけ認識したのかもしれない。

System Statusで確認したCPUのスペック(左)。「Core Number」(※コア数)は3となっている。なお,L2キャッシュ容量は8MBとのこと。Geekbench 4で確認したCPUのスペック(右)も「3 Cores」となった。こちらにはメインメモリ容量の表示もあり,約4GBのようだ
iPad本体 iPad本体

 CPUの動作クロックをGeekbench 4で確認したところ,A10X Fusionの動作クロックは最大2.4GHzと出た。iPhone 7 PlusのA10 Fusionは2.34GHzだったので,大きな差はない。
 なお,GPUコアについての情報は,CPUコア以上に不明というのが正直なところ。ただ,性能自体は2016年までの製品より向上しているようではある。実態はテストで確認していこう。

 それでは性能の検証を始めよう。
 今回は,定番グラフィックスベンチマークアプリのiOS版「3DMark Sling Shot Benchmark」のSling Shot Extreme Unlimitedプリセットを使用した。比較対象としたのは,編集部員所有の9.7インチiPad Pro(以下,iPad Pro 9.7)と,iPhone 7 Plusである。OSはいずれもiOS 10.3.2で統一した。
 比較対象とした製品の主なスペックはのとおり。ただSoCのスペックとして表記している部分は,Appleが公表したものでなく,筆者の検証や,海外での検証情報を参考にしたものであることをお断りしておきたい。


 Sling Shot Extreme Unlimitedプリセットの総合スコアをまとめたのがグラフ1となる。いずれも3回計測したスコアの平均値を採用したものだ。
 iPad Pro 10.5のスコアは,A9Xを搭載するiPad Pro 9.7より26%,A10 Fusionを搭載するiPhone 7 Plusよりも85%高い。同世代のSoCなのだから,iPhone 7 Plusと大した違いはないかもしれないと考えていたので,これほど大きな差が出たことには驚いた。GPUコア数の違いが大きく影響しているのだろう。そもそもタブレット端末の買い換えサイクルは,スマートフォンのそれよりも長めであろうから,これくらいの性能差はあってもいいのかもしれない。


 余談気味だが,筆者が計測したiPad Pro 10.5における総合スコアの最高値は4474で,平均値よりも明らかに高い。3時間ほどスリープのまま放置した状態で計測したときも,4400付近のスコアが出ていたが,そのまま再計測するとスコアは4000〜4100程度に下がるといった具合で,それほど温度が上がっていない状態でも,早い段階からSoCの動作クロックを制限する制御を行っているようだ。
 そこで,ノートPC用の冷却スタンドを使って,スタンドで冷やした状態とそうでない状態を比べてみたところ,冷却ありでは4100〜4400前後,冷却なしでは3700前後というスコアが得られた。iPad Pro 10.5に最高性能を発揮させた状態でゲームをプレイしたいのなら,ボディを覆って放熱を妨げるようなカバーは付けずに,冷却スタンドの上に置いて使うのが正解といったところか。

ノートPC用冷却スタンドを使って計測した結果。青枠で囲んだスコアが冷却した状態で,赤枠は冷却なしの状態だ。スコアの計測時間を見ると,冷却状態でも計測の間に5〜10分程度のインターバルを挟むだけで,高いスコアが出ているのが分かるだろう
iPad本体

 次はGeekbench 4のスコアを見てみよう。こちらは有料のベンチマークアプリなので,筆者の所有するiPad Pro 10.5とiPhone 7 Plusでのみ計測している。その結果は,なかなか興味深い。
 グラフ2は,CPUコア1基あたりの演算性能を見る「Single-Core」と,複数のCPUコアを使う「Multi-Core」の結果をまとめたものだ。Single-Coreは,iPad Pro 10.5のほうが高いスコアだったものの,iPhone 7 Plusより12%高い程度である。しかしMulti-Coreになると,iPad Pro 10.5はiPhone 7 Plusより57%も高いスコアを叩き出しているのだ。
 iPhone 7 PlusのA10 Fusionは,CPUコア数が4基(※2+2基のbig.LITTLE構成)であるのに対して,iPad Pro 10.5のA10X FusionはCPUコア数が1.5倍の6基である。つまり,CPUコア数の増分とほぼきれいに比例しているわけだ。


 グラフ3は,GPUを使ったいわゆるGPGPU演算を行う「Compute」ベンチマークの結果である。その差は歴然で,iPad Pro 10.5はiPhone 7 Plusより122%も高い結果となった。GPUコア数の違いよりも大きな差であり,iPad Pro 10.5におけるGPU性能の高さがうかがえよう。


 これだけ優れた性能を持つのであれば,現時点で流通しているゲームタイトルだけでなく,近い将来に登場するリッチなグラフィックスのゲームでも問題なくプレイできそうだ。それでは実際のゲームにおける実力を確かめてみよう。


ゲームでの性能も快適

スマホと異なる液晶パネルのアスペクト比がネックか


 昨今のiOS用ゲームタイトルを眺めてみると,iPadのみ対応というタイトルはほとんどなく,iPhoneとiPad両対応のユニバーサルアプリばかりである。ここでときにやっかいな問題となるのが,iPhoneとiPadの液晶パネルは,アスペクト比が大きく異なることだ。
 たいていのiOS用ゲームは,iPhoneのアスペクト比16:9(※横置き時)に最適化されているため,アスペクト比4:3のiPad Pro 10.5では,プレイできないということはないものの,違和感を感じる面が少なくないのだ。
 たとえばデレステの場合,アスペクト比4:3での表示は可能であるものの,画面上にノーツが発生する場所はアスペクト比16:9前提であるため,画面が広くなったこともあってか,ちょっとプレイしにくく感じてしまった。

iPad Pro 10.5におけるデレステのプレイ画面。ノーツの表示が始まる場所はアスペクト比16:9前提のレイアウトであるため,違和感を感じる人もいるだろう
iPad本体

 もちろん,慣れの部分もあるので,iOS用ゲームをiPad Pro 10.5でプレイすると違和感があると断じることはできない。スマートフォンよりも大きい画面で遊べるのは,タイトルによっては明確なメリットだからだ。たとえばRTSやシミュレーションゲームをiPad Pro 10.5でプレイすると,単純に画面が大きく操作しやすい。リズムゲームも同様で,両親指以外で画面をタップするのであれば,スマートフォンよりもプレイしやすいと感じる人もいるハズだ。

 そんな前提を踏まえたうえで,iPad Pro 10.5におけるデレステから見ていこう。
 iPad Pro 10.5で実行したデレステは,画面解像度に対するスケーリングが最適化されていないものの,描写にもたつきはなく,入力の取得状況も良好だった。高負荷時や充電中といった熱による問題が発生しやすい局面でも,取得が怪しいシーンには遭遇していない。サイズの話を除いたプレイ感覚は,まさにiPhone 7 Plusを大きくしただけと言ってもいいほどだ。


 別のリズムゲームではどうなるかと,「バンドリ! ガールズバンドパーティー!」(以下,バンドリ)も試してみた。
 バンドリもアスペクト比16:9の画面を前提としたゲームであるため,iPad Pro 10.5で表示すると,画面下側の部分は背景が表示されるものの,とくにプレイには関与しない空きスペースが出来てしまう。ただ,実際にプレイしてみると,見やすさはアスペクト比16:9のスマートフォンよりも良好に感じた。ノーツの始点と画面上部のUI部分に,隙間があまりないのがその理由だろうか。

iPad Pro 10.5でバンドリをプレイ中の様子。画面下側の背景しか表示していない部分を除くと,プレイエリアはほぼアスペクト比16:9相当しか使っていない
iPad本体

iPad本体
 2017年6月29日にサービスインした「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」(以下,ミリシタ)も,とりいそぎ試してみた。
 ミリシタには,「システム設定」→「環境」タブの「劇場/コミュ画質」と,「ライブ設定」→「環境」タブという2種類の描画設定がある。iPad Pro 10.5でミリシタを実行すると,これらはいずれも初期状態で,最も高い画質になる設定が選択されていた。起動時点でその端末推奨の設定を行うようだ。

劇場/コミュ画質(左)は「標準」と「軽量」を切り替える仕組みで,iPad Pro 10.5では,初期状態で標準が選択されていた。一方のライブ設定(右)は,「3D高画質」「3D標準」「3D軽量」「3D超軽量」「2D」といった具合に,細かい設定が用意されている。iPad Pro 10.5での初期状態は3D高画質だ
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 初期状態のままで軽くプレイした限りでは,描写のもたつきはなく,iPad Pro 10.5の解像度やアスペクト比にフィットした映像を表示できていた。
 そこで,iPhone 7 Plusでもミリシタをプレイしてみたのだが,初期状態の設定はiPad Pro 10.5であったにも関わらず,実際にプレイすると,ライブ後半でフレームレートが落ちてしまった。劇場のシーンを読み込むスピードにも差があったので,デレステよりも性能を要求するタイトルなのが分かる。

 余談だが,SoCに「Snapdragon 820」を採用するAndroidスマートフォンの「AXON 7」でも試してみたところ,劇場/コミュ画質は「軽量」,ライブ設定は「3D軽量」が初期状態だった。Snapdragon 820は2016年のハイエンドSoCなのだが,ミリシタの最高設定は荷が重いということだろう。

ミリシタをプレイしている様子。慣れの問題かもしれないが,入力ポイントが6つの「6MIX」は,画面の広いタブレット端末のほうがプレイしやすく感じた
iPad本体

 そのほかにも,「World of Tanks Blitz」や「SINoALICE」,「This War of Mine」に「forma.8 GO」といったゲームを試してみたので,簡単に紹介しておこう。

World of Tanks Blitzの設定を最高にした状態でプレイしている様子。フレームレートは60fpsに貼り付きっぱなしで,これくらいのゲームはもう余裕だ
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妙に負荷の高いSINoALICEも動作は快適でヌルヌル動く。縦画面表示しかないので,iPad Pro 10.5ではちょっと操作が面倒だ。ただ,ミニゲームの「オソウジ」はスマートフォンよりもやりやすかった
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This War of Mineのように,情報量が多いうえ,画面のあちこちをチェックしたり,タップしたりするゲームは,大きい画面のほうが快適だった,箱庭系ゲームをプレイするなら,iPad Pro 10.5はお勧めだ
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最近,地道に進めているインディーズゲームの「forma.8 GO」。シンプルなグラフィックスのアクションゲームだが,世界観も楽しむという意味では,画面の広いiPad Pro 10.5のほうが,スマートフォンよりも適する
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ベゼルが狭いので,移動中に片手持ちは,このとおり不都合ばかりだ
iPad本体
 ゲームプレイにおける持ちやすさについても言及しておこう。
 iPad Pro 10.5は,縦持ち時の左右ベゼルが狭く,上下のベゼルは相応に広い。そのため,横画面でプレイするゲームではあれば,ベゼルが広いので両手に持ってのプレイも問題はない。問題は縦画面で手に持ってプレイする場合だ。ベゼル幅が狭すぎて手に持ちにくく,プレイは厳しい面があると感じた。
 この問題の回避策は,iPad Pro 10.5用の「Smart Cover」といったアクセサリで厚みを増やすくらいしかなさそうだ。

 iPad Pro 10.5に限った話ではないが,タブレット端末中心のゲームライフを考える場合,スマートフォンとは異なるプレイフィールになりがちなので,少し慣れが必要であることは意識しておこう。


メインのゲーム端末からサブディスプレイまでこなせる

iOS 11でのアップデートにも期待


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 まとめに入ろう。
 ゲーム用端末として考えた場合,iPad Pro 10.5は,現在のほぼあらゆるゲームに十分な性能を有しているのがまずポイントとなる。PCや据え置き型ゲーム機でのプレイ中に,サブディスプレイ的に運用できる点もメリットだ。Split Viewで画面を分割して,ゲームに関する情報を複数同時に表示することも可能で,スマートフォンでも似たことしているのであれば,視認性の良いiPad Pro 10.5に置き換えるのがお勧めである。
 移動中にゲームをプレイするのはサイズ的に難があるものの,自宅でのゲームプレイを中心にしているのであれば,iPad Pro 10.5は導入を検討する価値のある製品だ。

 2017年秋にリリースを予定している「iOS 11」では,ファイラー機能が追加となる予定で,iPadシリーズは,macOSとiOSの中間に位置するようなデバイスになっていくようである。iOS 11の使い勝手次第では,今よりもPC的に使えるデバイスになりそうで,そういう意味でも,iPad Pro 10.5は面白い存在だ。
 次期iOSの機能を生かして,ゲームや作業にゴリゴリと使いたいという人にも,iPad Pro 10.5をお勧めしよう。

AppleのiPad Pro 10.5 製品情報ページ

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