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PCのMMORPGからコンソール,そしてスマホの女性向けゲームまで――日本に来て10年。中国大手のゲーム会社「完美世界」(Perfect World)が今後目指す方向性
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印刷2017/11/06 13:54

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PCのMMORPGからコンソール,そしてスマホの女性向けゲームまで――日本に来て10年。中国大手のゲーム会社「完美世界」(Perfect World)が今後目指す方向性

 古くからの4Gamer読者であれば「完美世界」(Perfect World)という作品名を聞いて「おお,あれか」と思う人も多いだろう。2006年7月に日本サービスが発表されて2007年3月からOBTが始まった,マウント(騎乗動物)に乗って空を飛べることが売りで(当時は大変珍しい試みだった),美麗なグラフィックスが自慢の,オリジナルエンジンで動いているPC用のMMORPGだ。
 2006年時点でこのレベルのMMORPGを,自社エンジンで(確かAngelicaエンジンという名前だった),中国が作り上げたことに,当時驚愕したものだが,実はこれ,開発会社の名前も「完美世界」である。
 その完美世界が,「完美世界」を引っさげて(あぁややこしい)日本に進出して早10年。もちろん完美世界(ゲームのほう)はまだサービスが続けられており,大型アップデートもガンガン入るという好調さを維持している。

夢間集 -ムカンシュウ-(仮)

 しかしあれから10年。十年ひと昔とはよく言ったもので,ゲーム業界も,あれからあらゆるものが変わったり,なくなったり,産まれたりしながら,先へ先へと足を進めている。とりわけ,良くも悪くも成長が著しいスマホゲーム界隈においては,新興企業が取り沙汰されることが多いが,そんな中で無視できない一大勢力になっているのが,中国企業だ。
 そんな混沌のさなかに,日本進出から10年を経た“大先輩”である完美世界は,今後どのような体制でどういう方向性に進んでいくのだろうか。久しぶりに気になったので,ちょっとだけ今後のことを聞いてみよう。

「パーフェクトワールド」公式サイト

「シーアンドシーメディア」公式サイト


シーアンドシーメディア 副社長 項 超

4Gamer:
 本日はお時間を取っていただきましてありがとうございます。
 今お名刺を頂戴したら,シーアンドシーメディアの副社長と書いてあるんですが,もともとはパーフェクトワールド(完美世界)の方ですか?

項 超氏(以下,項氏):
 ええ,もともとは完美世界の人間です。2007年に入社して,日本の担当として仕事をしています。

4Gamer:
 2007年入社ということは,もう10年になるわけですね。
 完美世界のMMORPGで4Gamerがお世話になってたのって,いつ頃でしたっけ。

項氏:
 あれこそがちょうど2007年あたりだったと思います。

4Gamer:
 なるほど。あれからもう10年なんですね。お世話になっております(笑)。
 しかしあの当時中国の会社が,作品を引っさげて日本に参入するのは容易なことではなかったのでは。

項氏:
 そうですね……。そもそも中国の会社が日本に進出するときには,大変なことがたくさんあります。言葉の問題もありますが,それ以上に大きいのは考え方などの違いですよね。自分も現場から上がってきた人間なので,現場で一緒に仕事をするときに,それをすごく痛感します。まあ,今でも現場の人間なんですけどね(笑)。

4Gamer:
 そうですね。資料作ってるぐらいですから(笑)。
 それにしても,完美世界って日本に支社があるわけではないじゃないですか。シーアンドシーメディアが,その役割を果たしている感じなんですか?

*注:インタビューに先駆けて参考資料などをお願いしたら,項氏自らが作った会社の資料が送られてきた

項氏:
 2010年に買収されたとき以降,そうですね。
 ただ,日本市場を理解しながら経営をしていかないとならないので,ある程度親会社とは独立した関係でやっています。

4Gamer:
 役員構成はどんな感じで?

項氏:
 社長は中国人で,完美世界の役員でもあります。あとは,まとめ役が副社長の私で,運営業務の日本人責任者が1人いて,ほかにはシステムだったりローカライズの仕事をする人間がいます。

4Gamer:
 システム/ローカライズ担当の人は?

項氏:
 中国人です。でも運営業務のキーマンは日本人ですが。


4Gamer:
 プレイヤーに深く接する部分は,やはり日本の人がやった方が良いだろう,と?

項氏:
 ええ,そうですね。というより,むしろ日本の方でないと務まらないと思います。

4Gamer:
 なるほど。そういう布陣で10年やってきているわけですが,言うまでもなくこの10年で業界は激変しています。最近の完美世界はどういう方向に動いているんでしょうか。

項氏:
 ご存じのとおりもともとPCオンラインゲームが得意な会社なんですが,2012年くらいからモバイルゲームの開発も着手して,最近では徐々にモバイルゲームにシフトしていっている感じです。中国では今,10本以上のスマホタイトルを運営してるんですよ。

4Gamer:
 あら,そうだったんですね。存じ上げなくて失礼しました。

項氏:
 いえいえ。今のところ中国国内のみの配信なので,ご存じないのも当然です。

4Gamer:
 それって日本には持ってこないんですか?

項氏:
 どちらかというと中国向けに作ったゲームなので,日本を始めとする海外市場に持ち出すのは,今後の会社の方針によるという感じですね。同じ東アジア圏で,カルチャーについて似ているところが多いので,日本マーケットにはどんどん進出していきますが。
 もちろんそれ以外にも,アジアや南米,ロシアなどの国や地域にはすでに進出しているわけですし,追ってお話をさせていただきますが,カルチャライズの部分も海外進出の重要な一環ですから。

4Gamer:
 なるほど。安易にホイホイ持ってきたりはしないんですね。

項氏:
 ほかにも,「ファイナルファンタジー」といった,日本の会社の超有名IPを使ったタイトルも展開してますよ。

4Gamer:
 そういえばそうでした! あれって今どんな塩梅なんでしょう。

項氏:
 ちゃんと動いてますよ(笑)。中国では「ファイナルファンタジー 覚醒」というタイトル名でサービスが始まってますし。あとちょっと古いタイトルですが,「クロスゲート」も運営しています。

夢間集 -ムカンシュウ-(仮)
最終幻想 覚醒
夢間集 -ムカンシュウ-(仮)
完美世界が運営するスマホ版「クロスゲート」

4Gamer:
 懐かしい名前が。中国だと,今でもすごい人気らしいですねえ。

項氏:
 超人気ですね。私ぐらいの年齢の世代には特に。

4Gamer:
 今おいくつなんですか。

項氏:
 34歳ですね。

4Gamer:
 お,中国ゲーム業界の黄金世代。

項氏:
 いやいやそんな人間じゃないですよ(笑)。
 日本に比べて,中国のゲーム業界そのものが若いからだというのも大きな理由だと思いますけどね。

4Gamer:
 でも,この4,5年でその世代の人達に一斉に切り替わった感があるんです。

項氏:
 ああ,それは確かにありますね。スマホゲームなどの新しいムーブメントがきてから,今の人たちに切り替わったように感じます。

4Gamer:
 ムーブメントといえばコンソールはどうでしょう?

項氏:
 むろん最近だとコンソールにも進出していて,今回の東京ゲームショウ 2017にもPS4ダウンロードタイトルを出展しています。あとは,2016年に「Dungeons & Dragons」をベースにしたMMORPG「Neverwinter Online」をPS4でリリースしました。アメリカだと「Dungeons & Dragons」は鉄板の人気コンテンツですし,私も大好きです。

Neverwinter Online
夢間集 -ムカンシュウ-(仮)

4Gamer:
 項さんマニアックな人だった……。

項氏:
 大学生の頃にはゲームマスターもやってましたよ!

4Gamer:
 失礼ながら中国の人とD&Dっていまいち頭の中でマッチしないんですが,そんなにたくさん仲間がいたんですか?

項氏:
 まぁそこまでじゃないんですけど(笑)。まぁ少ないながらもコアなファンが存在していましたし,秘密結社みたいな感じで集まって,こっそりやってました(笑)。

4Gamer:
 秘密結社って(笑)。

項氏:
 それは……いや,D&Dの話を始めると長くなりそうなのでやっぱり戻します(笑)。
 コンソール以外にも,AR技術も積極的に研究しています。これからは,1つのゲームをマルチプラットフォームで展開したり,グローバル展開を目指したり,そういう方向性でコンテンツを開発していきます。

4Gamer:
 完美世界クラスになると当然グローバルに目が向いているので,こういうドメスティックな質問はちょっとふさわしくないのかもしれませんが,中国国内におけるコンソール市場は芽が出ると思いますか?

項氏:
 そうですね……現状ではまだ,コンソールを遊んでいるのはコアなユーザー層にとどまっていると思いますが,いずれは大きくなっていくと思います。SIEさんも中国市場には力を入れてらっしゃいますし,周りを見ても結構古参のコンソール好きという方も多いです。

4Gamer:
 PCのゲームにせよ,スマホのゲームにせよ,今まではFree-to-Playが基本だったじゃないですか。F2Pが基本でPC→スマホときた国で,いきなり4万円の本体と8000円のソフトを買えというのは,ちょっと難しそうだなと思ってるんですが。

項氏:
 おっしゃる通り,その点は大きなハードルだと思います。なので,ハードウェアをいわゆる「ゲーム機」として売るのではなく,「総合エンターテイメントデバイス」みたいな形で売るのが良いのではないかと思います。ゲームだけでなく音楽も聞けるし,Blu-rayも鑑賞できるし,ネットサーフィンも楽しめる。

4Gamer:
 かつて日本でPlayStation 2がそう売ったように?

項氏:
 そうですね。中国においては,ゲームができるデバイスだと宣伝するよりは全然いいと思います。

4Gamer:
 中国の方って,家族みんなで晩ご飯を一緒に食べたりして,家族団らんの時間を大切にするじゃないですか。そんな時間に,リビングのテレビを占有してゲームをするのって,入りこむのが文化的に難しそうだとも思ってます。

項氏:
 まったくおっしゃる通りですね……。なので私のイメージでは,週末に家族が休みのときにみんなでゲームをワイワイやる感じがいいのかなぁ,と。

4Gamer:
 ゲームというよりは「エンタメ」ですか。でもそうなるとタイトルが結構シビアになりそうですねえ。例えば,「みんなのゴルフ」とかはリビングに入っていけそうですけど,ちょっと「D&D」はどうなんだろう(笑)。

項氏:
 そりゃそうですね。よっぽどマニアックな家族じゃないと(笑)。

4Gamer:
 どんな家族ですかそれ(笑)。

項氏:
 まぁ実際,子どもがいるような家庭になると,必然的にパーティゲームやカジュアルゲームになってくるでしょうねえ。

4Gamer:
 おどろおどろしくてグロテスクなゲームはちょっと……ね。

項氏:
 あとご存じだと思いますが,中国の親ってすごく厳しいんですよ。子どもに対するしつけや教育を,人生のやりがいにしているような側面があるので,そういう文化的側面に注意しつつ普及させなくてはならないと思います。


女性向けゲームは中国でも大人気の予兆――「とんでもない」女性ユーザー達に向けて,そこで最初に旗を立てたい


4Gamer:
 スマホやコンソールなどさまざまに進出していますが,その中で完美世界が最も力を入れている部分はどこですか?

項氏:
 いろいろ並行してやってはいるんですが,現状だとやはりスマホゲームでしょうか。中国市場でも,最も盛り上がっている分野ですし。

「夢間集 -ムカンシュウ-」iOS/Android
夢間集 -ムカンシュウ-(仮)
4Gamer:
 力を入れているんだろうなぁ,とは思ってました。なにせ女性向けのスマホゲームを作ってくるくらいですから。うちの“女子部”の担当者が「これって本気で進めていくのかぜひ聞いておいてください」って言ってました。

項氏:
 もちろん本気ですよ!

4Gamer:
 しかしなぜまた女性向けタイトルを?

項氏:
 最初に申し上げておきますと,いきなり何もないところから「夢間集 -ムカンシュウ-」の開発に着手したわけではなく,むしろ市場調査の結果に導かれた結果だったんです。

4Gamer:
 といいますと。

項氏:
 当時,中国の女性向けゲームのマーケットはまだまだブルーオーシャンだったんですよね。中国の女性ゲームプレイヤーはそれなりにいますが,今までは日本や海外から女性向けのゲームをダウンロードして楽しむか,国内のゲームを男性ユーザーと同じ環境で遊ぶしか選択肢がなかったんですよね。いわゆる国産の女性向けタイトルがすごく少ない状況で,ニッチな部分だったんです。

4Gamer:
 なるほど。

項氏:
 そのタイミングで,ちょうど社内には日本のゲームと市場のことを知る開発者がいたわけで,今回みたいに日本スマホゲーム市場への本格進出の下地を作ってくれました。そういういろいろな条件が揃ったので,じゃあ新しい市場に挑戦しようという話になったんです。

関連記事:満を持して日本展開を迎えるスマホ向けRPG「夢間集 -ムカンシュウ-」。その経緯をプロデューサー欧陽丹傑氏に聞いてみた

4Gamer:
 最初に旗を立てれば,勝ちの可能性は増えますしね。今スマホで……例えばRPGを出すのって,本当に厳しい戦いじゃないですか。

項氏:
 似たようなタイトルが多すぎて,競争が激しいんですよねえ。

4Gamer:
 仮に今回のタイトルで結果が出なかったとしても,シリーズは続けていく予定ですか?

項氏:
 「夢間集 -ムカンシュウ-」については既に中国でリリースされていて,結構好評なんです。いわゆる固定ファン層が徐々に形成されつつあるので,女性向けタイトルの次回作についても十分に期待できると思います。


4Gamer:
 この前ちょっと見る機会があったんですけど,中国って“女性向けゲームツクール”みたいなのがありますよね。絵を入れて,スクリプトを組んで,セリフを入れたらゲームが出来あがって,PC版とスマホ版を両方出力してくれるという。

項氏:
 聞いたことありますね。

4Gamer:
 なかなかすごいツールだなぁ,と思いながら見てたんですが,そういうツールがあるということは,女性向けマーケットもちゃんとあるということ……なんですよね。

項氏:
 はい。マーケットはもちろんありますし,あと言い方がちょっと難しいんですが女性ユーザーは「とんでもない」んですよね。一定のファン層が形成されたら,タイトルに対する情熱がすごいですし,お金の使い方も男性より豪快だったりします。それは中国でも日本でも同じようなので,恐らく良くご存じだと思いますが。

4Gamer:
 確かになんというか“本気度”が違うような……。

項氏:
 ええ(笑)。そんなわけですので,今後も女性向けの市場には力を入れていきたいと思っています。

4Gamer:
 本気でやってるぞ,と。
 なにせ初見だと「たまたま出しただけなのかな」と思いがちな気がします。「このゲーム作ったのはどういう会社かな」って調べると,PCの3D MMORPGとかが検索に引っかかったりして(笑)。

項氏:
 いえいえ(笑)。本気ですし,今後もぜひご期待ください。


中国側の人間が日本のカルチャーを理解して,意識の差を乗り越えていきたい――すべてはグローバル展開のために


4Gamer:
 先ほどブルーオーシャンと言ってましたが,今でも中国国内の女性向けゲーム市場はまだまだこれから,という感じなんでしょうか。

項氏:
 さすがにちょこちょこ作品が出てきてますね。
 これは……恐らく私の周りの人達が特殊なんだと思うんですけど,男性と同じゲーム環境で鍛えられた女性が多いんですよね。例えば,日本でいうと「LINE:ディズニー ツムツム」とか「パズル&ドラゴンズ」といったカジュアルなものだけでなく,「ファイナルファンタジーXIV」もガッツリやったりとか。

4Gamer:
 パズドラとFF14ですか……。

項氏:
 (笑) ただ1つ確実に言えるのは,女性プレイヤーもしっかりゲームをやるので,ビジネスとして将来性が高いということです。そういうことを考えて今回「夢間集 -ムカンシュウ-」をリリースしたわけですし。

4Gamer:
 中国のゲームシーンって,ここ数年で大きくチェンジした気がするんですが,そのタイミングでいろいろなものに変化があって,女性向けゲームもそのあたりからじわじわと登場してきた感じなんですかね。

項氏:
 確かに女性向けゲームは,ここ1,2年で出てきた感じですね。日本のアニメや漫画といった,いわゆる「2次元文化」が好きなユーザーが徐々に市場に浸透してきつつあるんだと思います。従来のユーザー層というと,フル3DのMMORPGを好むような昔ながらの中国プレイヤーという感じでしたけど,最近は“日本っぽいゲーム”を作る企業もどんどん増えてきていますね。

4Gamer:
 やはりそれはスマホの時代になってから?

両国ユーザーの趣味が近くなってきていることがうかがえる2タイトル
夢間集 -ムカンシュウ-(仮)
夢間集 -ムカンシュウ-(仮)
項氏:
 はい。日本と中国のユーザーの考え方や趣味が,徐々に近くなってきているんだと思います。

4Gamer:
 確かになんというか,感性のシンクロ度が上がってきている感じはします。

項氏:
 今中国はbilibiliなどの動画サイトが盛り上がっていて,日本アニメが公式配信されています。中国のファンは,日本の視聴者さんと同じようにほぼリアルタイムで最新話を楽しめるので,中国国内には日本の声優さんのファンも多いわけです。

4Gamer:
 イベントとかやると,すごい数の人が集まりますよね。

項氏:
 そうですね。なのでそういった“日本っぽいゲーム”は,中国国内で開発されているにも関わらず,全部日本の声優さんが声をあてていたりします。こういったゲームはどんどん増えてきていて,中国のApp Storeのランキングを見ても,上位に日本の有名IPを使ったゲームと,中国の“日本っぽい”ゲームが並んでいたりしますよ。

4Gamer:
 「Fate/Grand Order」とか,びっくりするくらい中国の人がみんなプレイしてますもんね。

項氏:
 課金の仕方も半端じゃないですしね。

4Gamer:
 でも日本のスマホ市場って,ちょっと今横ばいという感じでなかなか各社さん大変だと思うんですが,それでもあえてスマホで?

項氏:
 そうですね。これまで日本で長いことMMORPGを運営してきて,日本のユーザーやマーケットにも深く関ってきたと思っています。まだまだ勉強することも多いですが,MMORPGとの共通点を見つけ,培ってきたノウハウを生かしてスマホ市場に挑んでいきたいと思います。あとはなにより,日本のユーザーに認められたいという気持ちが大きいですね。

4Gamer:
 本国と日本のどちら主導で動くんでしょうか。

項氏:
 両方ですかね。

4Gamer:
 中国で出すなら中国の人が作ったほうが良いと思いますし,日本で出すなら日本人のほうが分かってると思うんです。完美世界にはその両方がいるので,それぞれに応じて分けたりするのかなと思ったんですけど,そういう厳密な切り分けがあるわけではなさそうですね。

項氏:
 そうですね。

4Gamer:
 ということは,日本と中国のプレイヤーの好みの差だったり文化の差みたいなものは,作り手側が吸収できると考えている?

項氏:
 はい。完美世界としては,シーアンドシーメディアを買収してから日本市場を理解する努力を続けてきました。まずは中国側の人間が日本の文化を理解して,そのフィードバックを開発にパスすることが重要です。

4Gamer:
 こういってはなんですが,大変なほうを選ぶんですね。

項氏:
 大変……と言えば確かにそうかもしれません。そもそも思考パターンの違いみたいなものもありますし,そのあたりはなかなか変えられるものでもないですから。カルチャーを乗り越えて意識の差を理解するのは,確かに大変ですよね。

4Gamer:
 その大変なほうを選択する真意はどこにあるんでしょう。

項氏:
 やはり「グローバル展開」を視野に入れて動いているから,でしょうか。文化の違いを理解するのは大変ですが,私たちはそこに対する努力を惜しむことをしたくないんです。

4Gamer:
 まぁ確かに,日本人に任せて日本向けのコンテンツを作ってるうちは,ちょっとグローバル展開は難しそうですしね……。別に日本に限った話ではないですが。

項氏:
 ええ。もちろん日本のゲーム開発者は世界トップレベルだと思うんですが,やはり先ほど申し上げたように文化の差というものはあります。完美世界としては,単純にゲームを作ってリリースするだけでなく,配信する各国の市場を理解して最適化するために,内容をアレンジをしているんです。

4Gamer:
 確かに「パズドラ」「モンスト」「白猫」なんかも,中国だといま一つ,ですしね……。それが「カルチャーの差」でしょうか。

項氏:
 はい,かなりリアルな例ですね。

4Gamer:
 ともあれ,最初からグローバル展開を考えているから,自力で文化の違いを理解してアクションを起こしたほうがよい,と。

項氏:
 そういう感じです。



最先端の技術を追求してチャレンジする日本と,その技術をビジネスに結びつける中国


4Gamer:
 グローバル展開を目指す完美世界として,日本のゲーム業界ってどうなっていくと思われますか。

項氏:
 そうですね……あくまでも外から見てきたことをそのまま申し上げますと,日本市場というのは,外から見ているととても面白い変化をしているんですよね。

4Gamer:
 面白い,というと?

項氏:
 長い間日本では,コンソールゲームが市場を支配していました。そこから,携帯ゲームだったりスマホゲームだったりに市場がシフトしたのは,ほんの数年の間の出来事です。でもそれが,とてつもない速度で変化したんですよね。しかもその変化は,ほんの1つ2つのエポックメイクなタイトルだったり,それらの運営企業によってリードされているという特徴があります。

4Gamer:
 なるほど,確かに。

項氏:
 ただ,コンソールのときもそうですが,この波が過ぎてしまうと“恐ろしく長い安定期”に入ると思います。その安定期の中で,コンソールを手がけてきた老舗のゲーム会社と,新興企業さんが競争や提携を繰り返していくという形だと思います。
 日本は,アイデアとテクノロジーという2つの要素で世界をリードしている国だと思います。なので今後のゲーム業界でも,VRやARを使ったタイトルや,もしくは想像もつかないような技術で新しい変革をもたらしてくれると思っています。そうしてまた新興企業と老舗の企業が競争し,提携しながら発展していくのかな,と。

4Gamer:
 安定期というのは的確な表現ですねえ。

項氏:
 私が来日したちょうど2010,2011年ごろはDeNAさんとグリーさんが絶頂期で,2012,2013年には「パズドラ」のブームが起きました。ゲームの長い歴史から見るとそれらはほんの一瞬で,スマホゲームは市場を支配してしまったように思います。

4Gamer:
 ホントに一瞬でした。

項氏:
 そうなんですよ。日本のゲーム業界の将来だったり,新しい変化へのキーは,やはり技術力とアイデアだと思いますね。

4Gamer:
 でも技術に関しては,中国が割と追い上げてる気が……?

項氏:
 うーん,どうでしょう。ARやVRといったハイテクノロジーに関しては,まだ日本が勝っていると思うんですが。

4Gamer:
 でも今年のChinaJoyを見ると,相当盛り上がってましたよ,VR。

項氏:
 VRを例として申し上げますと,PlayStation VR,HTC Vive,Oculus Rift……VRのブランドと言えばこの3つだと思います。中国ではそういったブランド作り上げるというよりは,「いかにこの技術をビジネスに結び付けていくか」というのがファーストプライオリティの行動原理としてあるので,必ずしも世界で最先端の技術を探求しているわけではないと思うんですよね。

4Gamer:
 ああ,なるほど。なんか納得です。

項氏:
 そういう意味では,日本のほうが最先端の技術を追求してチャレンジしている気がするんですよね。そういう姿勢こそが,日本の良いところだと思いますし。

4Gamer:
 おっしゃることには納得なんですが,ビジネスにならなかったらさっさとやめてしまうということも十分に考えられるわけで,そういう意味では,最初からビジネスとして落とし込もうとしている中国の方がよくないですか? まずビジネスとして落とし込むことで,結果的に技術にお金が回って生き残り,さらなるハイテクノロジーへと近づいていくわけですし。

項氏:
 どうバランスをとるかということだと思いますよ。これも国による考え方の違いだと思うんですけど,そういう違いってすごく面白いです。

4Gamer:
 なるほど。そんな違いを吸収しつつ中国の本家開発がメインということですが,中国で開発したものを日本に持ってくるプロセスの中で,一番問題になりがちなところってどこですか。

項氏:
 やっぱりカルチャライズですかね。

4Gamer:
 それは単なるローカライズという意味ではなくて,広義の意味での「カルチャライズ」ですよね。

項氏:
 はい。特にディティールのところが大きいですね。そこも文化の違いだと思いますが,日本のユーザーはディティールの部分を,本当に厳しく見ておられるんですよね。

4Gamer:
 まぁ確かに自分にもちょっとそういう傾向があるかも……。

項氏:
 いえ,それはいいことだと思いますよ。私たちはものづくりに関して,社名の通り「パーフェクト」を目指していますので,ディティールの部分もどんどん追求していく必要がありますから。
 テキストの翻訳やフォントはもちろんですが,UIの形や場所だったり,そういう細かい部分でも日本のユーザーと中国のユーザーの好みや文化の違いを感じています。中国のゲームを日本に持ってくるときには,この部分にはとくに注意を払わなければいけませんし,それを開発に説明するのも我々の仕事です。

4Gamer:
 なるほど。つまり,日本のゲームを中国で出す場合も同じ問題が起きるわけですね。

項氏:
 もちろんそうです。課金の習慣なんかも全然違いますしね。

4Gamer:
 そういう文化の違いを乗り越えて,今後もスマホに注力して良いタイトルを出していってくれることに期待しています。ありがとうございました。でもPCのオンラインゲームも忘れないでください……!

項氏:
 本社に伝えておきます(笑)。

――2017年9月23日収録
  • 関連タイトル:

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