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BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け
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印刷2016/11/05 21:02

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BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け

画像集 No.002のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け
 すでにお伝えしたように(関連記事),Blizzard Entertainmentは,米国のカリフォルニア州アナハイムで開催中の「BlizzCon 2016」で,「Hearthstone: Heroes of Warcraft」PC / iOS / Android)の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」を発表した。
 本稿では,ステージで明かされた拡張パックの詳細を,会場で行った開発者インタビューの模様を合わせてお届けしよう。

画像集 No.001のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け

 ガジェッツァン(Gadgetzan)は,「World of Warcraft」に登場する町の名称だ。タナリス砂漠の海岸沿いにある港町のガジェッツァンは,田舎過ぎたためにアライアンスとホードの中立地となっていたが,「Cataclysm」の巨大ドラゴン“デスウィング”の登場によって半ば崩壊してしまった。

 しかし,Hearthstoneのガジェッツァンは,ビーチリゾートとしてアゼロス大陸の人から持て囃されるようになり,これによって爆発的な成長を遂げたという設定になっている。
 一旗揚げようと怪しい商人や交易人,ビジネスマンなどが集まった結果,3つの勢力からなる裏社会が発達してしまい,今にも衝突が起こりそうな状況で,プレイヤーのヒーローは,ひょんなことからこの騒動に巻き込まれていく。


プレイヤーが属する3つのファミリー


 「仁義なきガジェッツァン」では,プレイヤーは「ファミリー」などと呼ばれている3つの闇組織のいずれかに所属することになる。それぞれのクラス分けや組織を率いるボスなどの特徴は,以下の通りだ。

●グライミ―・グーンズ
クラス:ハンター,パラディン,ウォリアー
ボス:ドン・ホンチョ

 イメージとしては,1930年代のイタリアン・マフィアで,強盗や窃盗,武器密輸などを行って日銭を稼いでいるような者たちだ。そのリーダーは,双頭のオーガ,ドン・ホンチョで,ビジネスマンと暴漢という,2つの対照的なパーソナリティを持っているらしい。
 海賊の成れの果てのような者も混じっており,「ピラニアガン」や「スコープにスコープがついた一発命中のピストル」など,奇妙な武器を多く所有している。

画像集 No.008のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け

●カバール
クラス:メイジ,プリースト,ウォーロック
ボス:カザカス

 それぞれの母国での居場所がなくなってしまった魔術師たちの集まりで,本来なら混合し合わないはずの魔法を混合して密造したポーションを売り捌く。そのリーダーである調合師のカザカスは,危険な魔法を取り扱い過ぎたためか,どの種族なのかも判別し難いほどの容貌だ。カバールに属する者たちは,一様にピンクや紫に輝くタトゥーを特徴としている。ポーションは不安定で爆発の危険があるため,鎖でがんじがらめにされているようだ。

画像集 No.007のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け

●翡翠蓮(ジェイド・ロータス)
クラス:ドルイド,ローグ,シャーマン
ボス:アヤ・ブラックボード

 パンダレンの生意気そうな小娘,アヤ・ブラックボードに率いられた翡翠蓮は,アゼロス大陸中から盗んだ翡翠のオブジェクトをガジェッツァンで売り捌いているという,ステルス系技師の多い犯罪組織だ。
 アヤは“ホワイト・アイ”という渾名を聞いただけで街中の人が震えだすという,巨漢のボディーガードを率いている。マンティド,ヴァ―ミン,ジンユウなど,動物系のアゼロスの住人たちが多く参加しているようだ。

画像集 No.009のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け

左からグライミ―・グーンズのドン・ホンチョ,翡翠蓮のアヤ・ブラックボード,そしてカバールのカザカス
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「マルチクラスカード」とは?


 「仁義なきガジェッツァン」では,新たに「マルチクラスカード」というシステムが採用される。英語では「Tri-Class Card」という呼称で発表されているように,上記したそれぞれの組織は3つのクラスに属するキャラクターたちの連合体という設定で,1つの組織のカードを3クラスのデッキが利用できるというわけだ。

 これまでの拡張パックでリリースされてきたユニークカードは,現在用意されている9つのクラスそれぞれの専用カードとしてリリースされており,ドルイド系統のユニークカードをプリーストが使用するといったことはできなかった。
 今回,系統の似ているクラストはいえ,その制限が緩められたことは,今後のゲームデザインの方向性を強く示唆しているものと考えられそうだ。

画像集 No.016のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け
 このマルチクラスカードは3つのファミリーにそれぞれ3つずつ用意されているとのことだが,今回詳しく紹介されたのは,レジェンダリーキャラクターであるカバールのボス,カザカス(Kazakus)だ。その特性は「デッキに複製カードがない場合,ポーションをカスタム製造できる」というもの。

 これは少々複雑で,筆者も正直完全に理解できているのかどうか不安なのだが,カザカスを発動すると,まずは「Lesser Potion」「Great Potion」「Greater Potion」という,それぞれマナコストが1,5,10となった3択が表示される。その次は異なる要素を持つポーションの種類が,2回に渡ってそれぞれ3つずつ表示される。これを自分の好きなように選んでいくことで“調合”していくようだ。最終的にはマナコストやカードの組み合わせによって効力に差が出てくるはずで,どのタイミングでカザカスを発動するのかというのが,勝敗を分けるカギになりそうである。

画像集 No.004のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け
画像集 No.005のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け

 今回紹介されたカードに,「発見」(Discover)という要素を持つ種類のものが多かったのも見逃せない。例えば,翡翠蓮の「Lotus Agent」であれば,「ドルイド,ローグ,シャーマンのカードを発見する」となり,カバールの「Cabal Courier」なら「メイジ,プリースト,シャーマンのカードを発見する」となる。これにより,例えば平穏にプレイしていたはずのプリーストのプレイヤーが,いきなりメイジの「Pyroblast」を取得して,攻撃的に仕掛けて出るというような戦術の多様化が想定できる。

 カードの中には,相手のカードからランダムに新しい技を“発見”できるという翡翠蓮向けの「Drakonid Operative」というのも存在し,ドルイドが武器を使用するといったことも可能になるかもしれない。限定的ではあれど,こうしたマルチクラス,ミックスカードという新しいンセプトが,「仁義なきガジェッツァン」の端々に現れているのが,ファンにとっては興味深いところだろう。

画像集 No.006のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け


ランダム性こそがデジタルカードゲームの面白さ。Team 5のコアメンバーにインタビュー


 「Hearthstone」は,現在でも月に2000万ドルのデジタルセールスを叩き出すという,Blizzard Entertainmentのドル箱作品である。本作は2008年頃に「Team 5」と呼ばれる,15人ほどからなるチームで開発が始まったが,それも今は70人という規模にまで膨れ上がった。

 そんなTeam 5のオリジナルメンバーであり,元々はボードゲームのデザイナーだったというMatt Place(マット・プレイス)氏と,アーティストとしては初めてTeam 5に参加したBenjamin Thompson(ベンジャミン・トンプソン)氏にインタビューできたので,その模様をお届けしよう。

――「仁義なきガジェッツァン」に導入されたマルチクラスカードは非常に面白いコンセプトだと思いますが,細かい決断や選択要素を増やして,ランダム性を減らす狙いなのでしょうか。

ベンジャミン・トンプソン氏
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ベンジャミン・トンプソン氏(以下,トンプソン氏)
 我々はうまくバランスを取ろうとしているのです。「発見」という新しいゲームシステムは,ランダム要素を強く意識したものです。まず相手のカードの中からランダムに3枚カードを選びますが,その3つの中から1つを選ぶというのは,おっしゃられているような細かい決断の1つです。
 間違った判断をすれば,自分のデッキの特性をなくして負けにつながることだってあります。ゲームの展開を正確に把握しつつ,自分の選択によって何が起き得るかというのを適格に判断しなければならないというのが,マルチクラスカードのコンセプトでもあるのです。

――RNG(Random Number Generatorの略で,ゲームにおける運の要素)は,これまで一部のファンから批判を受けています。カジュアルな楽しみ方なら何が起こるか分からなくて楽しい一方で,競技シーンでは余りにも残酷過ぎると。

トンプソン氏:
 ええ。その批判があることは知っていますが,ランダム性というのはデジタルカードゲームにとっては非常に大切な要素であると認識しています。
 ドラマチックなハプニングがストーリーを作り出し,それにプレイヤーがどのように反応していくのかが“スキル”です。そうした偶発的な展開をうまく乗り越えることで,そのゲームを見ている観衆たちにも,プレイヤーの腕前がしっかりと伝えられるわけですから。

――最近のパッチではバトルクライのランダム性が高いYogg-Saronの弱体化も行われていますが,特にトーナメントで面白さを損なう要素であると認識されてはいないということですね。

マット・プレイス氏
画像集 No.011のサムネイル画像 / BlizzCon 2016で発表された「Hearthstone」の新拡張パック「仁義なきガジェッツァン」の概要を開発者インタビューとともにお届け
マット・プレイス氏 (以下,プレイス氏)
 いえ,それは我々も理解しているところですが,ランダム要素といってもいろいろなものがあると思います。Yoggの場合は,最初にいろいろなスペルを発動して計画を立てていても,結果が全く異なるものになってしまうというカードです。私は,それはそれで楽しいと思うのですけど,「発見」のランダム性はそれと全く異なるものです。
 今回発表したカザカスなどは,選択と結果のバランスがうまく取れていて,プレイしても見ていても楽しいものになっていると思いますよ。私なら良い選択ができなくても,プロのプレイヤーならさまざまな展開をしっかりと予測できるスキルを持っているはずで,皆さんがカザカスをどう使っていくのかを楽しみにしています。

――そういうカジュアルの楽しさと,シビアなトーナメントでのバランスを考慮して,カードのデザインを行なっているのでしょうか。

プレイス氏:
 もちろん。「仁義なきガジェッツァン」においても,そういったカジュアルとトーナメントのプレイにおける違いという部分で,我々が幾つか挑戦を行っていることを感じ取っていただけると思います。まだ現時点では発表していませんが,カードゲームをストーリーに仕立てるうえで,批判も起こるであろうランダム性の高いカードを用意しています。
 「このムチャクチャな展開を見てよ」といった映像やスクリーンショットがファンの会話の中で交わされることこそゲームが必要としているもので,ランダム性を取り去るというのは楽しさを奪うことでもあります。

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――2017年になると,「ブラックマウンテン」「グランド・トーナメント」「リーグ・オブ・エクスプローラー」という3つの拡張パックやアドベンチャーがスタンダードモードから削除される予定ですが,開発者の視点からどのような展開が起こると予想されていますか。

トンプソン氏:
 我々の下した判断がすべていい方向に出るはずです(笑)。というのは冗談としましても,さっきマットが話していたように,「仁義なきガジェッツァン」の企画当初から,その前のスタンダードモードや,その後の展開を十分に予想したうえで,どのようなカードをリリースするかを入念に練っています。
 「Curse of Naxxramas」がスタンダードから削除されたときに「デスラトル・シャーマン」のデッキに変化が起きたように,古いカードの削除は何らかの影響を与えるはずで,言うなれば「仁義なきガジェッツァン」の導入は,ローテーションから外されたカードを補うようにデザインされているのです。

――多くのプリーストクラスのプレイヤーは,その弱さに嘆いています。なぜ,バランスを取るのが難しいのか,そして「仁義なきガジェッツァン」ではそうしたプリーストの救済措置を考えているのかどうか,教えてください。

プレイス氏:
 良い質問ですね。そのとおり,「仁義なきガジェッツァン」では,プリーストに大きな調整を加えるのが目的の1つです。ただ単にカードを加えるのではなく,プリーストでプレイするうえで,プレイヤーの皆さんに異なるアプローチを取ってみてもらいたいと考えています。
 「Drakonid Operative」はその名からもわかるように“ドラゴンデッキ”を作るのに最適で,5/6という能力も然ることながら,相手のデッキから発見をすることができるのです。これまでプリースト系のデッキの強弱はアップダウンが激しかったのですが,新しい拡張パックではそのあたりを整理して,プリーストのプレイヤーでももっと楽しんでいただけると思います。

――スタンダードルールが登場してから,シャーマン,もしくはウォーリアーデッキがトップティアのほとんどを占めています。このあたりでも調整は行われるのでしょうか。

プレイス氏:
 必ずしもクラスのデッキをそれぞれ調整していくのではなく,新しい遊び方を編み出してもらいたいというのが根底にあります。翡翠蓮のカードは,シャーマンだけではなく,ローグやドルイドにも何らの影響を与えるわけです。旧来のデッキに固執するプレイヤーもいれば,新しい構成で立ち向かおうというプレイヤーもいるはずで,そのあたりでプレイヤーの皆さんがどのようにプレイしてくださるのか,ローンチを楽しみにしています。

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――そうした変化を期待される中,今の状況ではクラシックカードがデッキにつき15枚から20枚,もしくはそれ以上使われていることも多いです。これは意図しているのか,それとも今後の調整を予定しているのでしょうか。

トンプソン氏:
 それは我々も認識しており,何かの対処をすべきと考えています。どのカードをローテンションしていくべきか,どのカードであれば極端に変更を加えることなく調整を進めていけるのかをデザインチームでも見極めながら行っていこうと思いますが,現時点ではまだ具体的にお話しできることはありません。

――では最後になりますが,お2人ならどのファミリーに属しますか。

トンプソン氏:
 個人的にであれば,カバールですかね。カバールに属するキャラクターたちは,それぞれの社会で受け入れられずに追い出されてしまい,行き場を失ってガジェッツァンに行き着きました。本来なら混合できないメイジ,プリースト,ウォーロックの魔法が,何故か混合されて利用されているというストーリー性も面白いと思います。

プレイス氏:
 では私はグライミ―・グーンズと言っておきましょう。それぞれデザインしていくのが楽しくて仕方なかったのですが,1/1のピラニアカードを何枚も出してくるとか,あのバカバカしい楽しさとゲームのメカニックが妙に融合しています。
 とは言え,もし全てのカードを持っているという状況で個人的にプレイするのであれば,翡翠蓮のプリーストで間違いありません。私はリノ・ジャクソンをデザインしてから,ずっとお気に入りのカードにしているのですけど,カザカスのいるプリーストでプレイすると面白いので,試してみてください。

――ありがとうございました。

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 132枚の新カードと,ガジェッツァンの街をモチーフにしたマットが用意されている「仁義なきガジェッツァン」は12月初頭にリリースされる予定で,先行予約では「50パックで49.99ドル」のセールス価格になっている。気になる人は今後の情報もチェックしておこう。

「Hearthstone: Heroes of Warcraft」公式サイト

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