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「Hearthstone」日韓戦の出場選手3名が決定した「Hearthstone Battle Royal Japan vs Korea」日本トーナメントの模様をレポート
このトーナメントは,5月13日と14日にソウルで開催される日韓戦の出場選手を決めるもので,上位3名が日本代表として送り出されることになる。今回は,そんなハースストーンバトルロイヤル日本トーナメントの様子を取材してきたので,3位決定戦,そして決勝戦をメインにレポートしていこう。
「Hearthstone Battle Royal Japan vs Korea」特設サイト
試合の内容に入る前に,この大会のルールについて説明しておきたい。本大会では,それぞれの選手が前もって選択した3人のヒーローだけで戦うことになる。試合形式はBest of 5(3本先取)となり,1度勝利したヒーローは以降使用できないというコンクエスト制も採用されていた。
このルールは,相手の選択するヒーローを予測し,どのヒーローをぶつけていくかという駆け引きが醍醐味の1つであり,本大会でもそういった駆け引きによって勝敗が左右されたシーンがあった。
3位決定戦:pride1st選手 vs. KuonGK選手
3位決定戦では,pride1st選手(選択ヒーロー:ウォリアー,ハンター,メイジ)と,KuonGK選手(ウォーロック,ウォリアー,ドルイド)が激突。デッキは,pride1st選手がパトロンウォリアー,フェイスハンター,レノフリーズメイジ。KuonGK選手がZooウォーロック,パトロンウォリアー,アグロドルイドという構成だ。
デッキ相性では,pride1st選手のフェイスハンターがKuonGK選手のパトロンウォリアー,アグロドルイドに大きく不利。対するKuonGK選手は,Zooウォーロックがpride1st選手のすべてのデッキに対して不利といった形だ。
pride1st選手は如何にフェイスハンターを勝ち抜けさせるか,KuonGK選手は如何にZooウォーロックを勝ち抜けさせるかが,この試合におけるターニングポイントとなる。
初戦,KuonGK選手がZooウォーロックを選択したのに対し,pride1st選手はフェイスハンターを選択。KuonGK選手が持ち込んだデッキの中では,フェイスハンターがもっとも活躍できる構成であり,pride1st選手としては心理戦に勝った形だ。
試合内容は,pride1st選手のナイフ・ジャグラーが,KuonGK選手のヴォイドウォーカーをあっさりと処理した序盤から,pride1st選手の猛攻が続き,そのまま相性差も手伝って押し切るようにフェイスハンターの勝利となった。
2回戦は,パトロンウォリアーのミラーマッチ。先にぐったりガブ呑み亭の常連を増やした側が概ね勝つというマッチアップだ。この試合では,初手にぐったりガブ呑み亭の常連と旋風剣を持っていた先攻のpride1st選手が,キーカードとなるデス・バイトを引き,その後いち早くデス・バイトと旋風剣のコンボで,ぐったりガブ呑み亭の常連を増やすことに成功。前述のとおり,先にぐったりガブ呑み亭の常連を増やしたpride1st選手が白星を手にした。
3回戦はpride1st選手のレノフリーズメイジとKuonGK選手のZooウォーロックという構図に。基本的にフリーズメイジが大きく有利となるこのマッチアップだが,KuonGK選手もZooサイドが勝つための鍵となる鉄嘴のフクロウやロウゼブを引けている状況だ。しかし,盤面を弱めのミニオンで埋めてしまったところをpride1st選手にうまく利用されてしまい,Zoo側の体力が削れたタイミングを見計らってフリーズメイジ側が火力を叩き込み,pride1st選手が3連勝。日本代表の切符を手にする形となった。
3位決定戦の中でも印象的であり,勝負を決定づけたともいえるのが,pride1st選手が初手にフェイスハンターを持ってきたシーンだろう。
KuonGK選手としては,自身のデッキのほとんどに有利を取れるパトロンウォリアーを,pride1st選手が初手に出してくるという読みで,唯一それに張り合えるZooウォーロックを選んだはずだ。ただ,pride1st選手もその思考を読んでいたようで,Zooが苦手とするフェイスハンターを当てるという駆け引きに出た。その結果は上述の内容どおりだ。
ハースストーンの大会では,試合が始まる前からこうした駆け引きが行われ,かつそれが試合を決める1手になる。そこが,大会における1つの面白さであり,そんな熱い駆け引きをこの1戦では垣間見られた。
決勝戦barusa選手 vs. soundew選手
決勝戦では,4ヒーロー制のBest of 7(4本先取)形式が採用され,両者ともヒーローを追加して戦うことになった。ここまでの長い戦いを勝ち抜いてきたbarusa選手(選択ヒーロー:ウォリアー,ドルイド,メイジ,ウォーロック『追加分』)とsoundew選手(シャーマン,ドルイド,パラディン,ウォリアー『追加分』)の両者による対決。すでに日本代表になるのは決まっているとはいえ,賞金総額とHCTポイント,そして優勝という称号の有無という差を考えれば,お互い気の抜けない最終戦である。
お互いのそれまでの戦いで見えていたデッキ構成は,barusa選手側がパトロンウォリアー,テンポメイジ,ランプドルイド。soundew選手側がアグロシャーマン,コンボドルイド,シークレットパラディンで,追加ヒーローのデッキは不明といった状態だ。
1回戦は,barusa選手のデッキに対して概ね五分以上がつくパトロンウォリアーを,soundew選手が先鋒に持ってきた。これに対してbarusa選手がチョイスしたのは,それまで伏せられていたウォーロックで,しかもパトロンウォリアーに対し非常に相性が良いハンドロック。soundew選手の受けの広い選択に対し,その思考を読み切ったbarusa選手の技ありなヒーロー選択と言えるだろう。1戦目はその相性差を生かしてサイズの大きいミニオンでパトロンウォリアー側を圧迫していたbarusa選手が勝利。
続く2回戦は,soundew選手が引き続きパトロンウォリアーを,barusa選手はランプドルイドを選択。ランプドルイドは,通常のドルイドより対パトロンに対して刺さるカードが多いのが特徴的で,試合でもbarusa選手はハリソン・ジョーンズでsoundew選手のデス・バイトを破壊し,さらに戦の古代樹を2枚出すなどして盤面の優位をとっていく。
かなり苦しい状況に追い込まれたsoundew選手だったが,コルクロンの精鋭を引ければ勝てるというシーンもあった。しかしそれは叶わず,ボードアドバンテージを取り続けたbarusa選手の2連勝となった。
3回戦は,3位決定戦でも見られたパトロンウォリアーのミラーマッチ。先にbarusa選手側がぐったりガブ呑み亭の常連を増やしつつも,soundew選手は止めの一撃と盤面にある泡を吹く狂戦士のコンボで,なんとかぐったりガブ呑み亭の常連の除去に成功する。しかし,その後に続くbarusa選手のドクター・ブームや炎の王ラグナロスといった大型ミニオンの猛攻に耐え切れずに,barusa選手側の3連勝となった。
barusa選手にリーチがかかった4回戦は,barusa選手のテンポメイジに対し,soundew選手は引き続きパトロンウォリアーを選択。barusa選手のテンポメイジには,フレイムストライクが入っているほか,ミラーイメージも2枚採用しているという,パトロンウォリアーに対しても対応可能な構築になっている。
しかし,ここではsoundew選手が意地を見せ,序盤におけるテンポメイジ側の攻勢を烈火の戦斧やデス・バイトといった武器で防ぎ,そのままぐったりガブ呑み亭の常連を増やす流れにつなげていく。barusa選手側は,この状況に対する唯一の回答となるフレイムストライクを引くことができず,soundew選手の1勝となった。
5回戦目は,barusa選手のテンポメイジと,soundew選手シークレットパラディンがぶつかり合うことに。序盤からナイフ・ジャグラー,兵役招集と猛攻を仕掛けるsoundew選手に対し,魔力の矢2枚で対処するbarusa選手。しかし,soundew選手の猛攻は続き,ヘドロゲッパー,謎めいた挑戦者と強い動きで攻め続け,対するbarusa選手は鏡の住民,ミラーイメージなどのカードで対処を試みるものの,シールド・ミニロボで鏡の住民を解かれたタイミングで,soundew選手の聖別が炸裂。そのままボードアドバンテージを活かして押し切り,soundew選手の2勝となった。
3-2のターニングポイントで迎えた6回戦は,barusa選手テンポメイジに対し,soundew選手はコンボドルイドをチョイス。相性的にはテンポメイジが大幅有利となるので,ここを如何に勝ち抜けるかが,soundew選手に与えられた大きな試練だ。
soundew選手の引きは,野生の繁茂や練気といった具合で,悪いものではなかった。しかし,1ターン目にコイン+野生の繁茂,2ターン目にナクスラーマスの亡霊を出したsoundew選手の動きに対し,barusa選手は3ターン目に魔力の矢を放ち,ステルス状態のナクスラーマスの亡霊に矢を2つ当てて撃破することに成功。これが大きなアドバンテージとなり,そのまま場のマッドサイエンティストから鏡の住民を設置しつつ,ウォーター・エレメンタル,アジュア・ドレイク,さらにはドクター・ブームと猛攻を仕掛けるbarusa選手が盤面を支配。優位を活かしたまま,soundew選手のドルイドの体力を削りきり,決勝戦は幕を引いた。
決勝戦のフォーカスポイントは,barusa選手のヒーロー・デッキの当て方の巧さと,対戦相手のデッキに対処するキーカードを盛り込んだデッキ構築だろう。soundew選手のパトロンウォリアーに対してハンドロックを当てていき,かつパトロンウォリアーへの対処カードが入ったランプドルイドで勝利するところは,barusa選手が戦略でsoundew選手に勝った故の結果といってよいだろう。引きの運を味方した点もあったとはいえ,この決勝戦,そして3位決定戦は,Hearthstoneにおける試合前の戦略の重要さを,改めて感じさせてくれる戦いだったといえる。
barusa選手,soundew選手,pride1st選手の3名が日本代表に!
かくして,barusa選手が優勝,soundew選手が準優勝,pride1st選手が3位という結果になり,この3名が後日行われる日韓戦の日本代表としてソウルに向かうこととなった。優勝したbarusa選手には,主催であるアフリカTVの代表である植田修平氏より,賞金18万円と優勝トロフィーが贈呈。そして,サプライズ賞品として,ウェブマネーの土田耕平氏より,純度99.9%のほぼ純金といえるWebMoney Card(1万円分がチャージされている)がプレゼントされた。優勝したbarusa選手は「韓国は他のゲームの大会でも何度か行ったことがあり,焼き肉が美味しい国なので,美味しい焼き肉を食べたいです」とおどけていたが,本大会で見せた勢いは本物だろう。日本代表の3名には是非ともソウルでの奮戦に期待したい。
ちなみに,大会が行われていた会場では,併催イベント「ハースストーンフェスティバル」も開催されており,HCTポイント付きの大会も催されていた。韓国のプロプレイヤーで,Blizzconの世界選手権に2年連続で出場しているKranich選手も本イベントに来ており,イベントの参加者と歓談しながらHearthstoneを楽しんでいた。日本におけるHearthstoneイベントのワールドワイドな盛り上がりを感じることができ,今後国内で行われるイベントにも大いに期待が持たれるところである。
「Hearthstone: Heroes of Warcraft」公式サイト
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(C)2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
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