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「日本のゲームを元気にする!」CEDEC 2010の開催概要発表,セッション公募は400件近くに
CEDEC 2010のキャッチフレーズは「日本のゲームを元気にする!」だ。
このスローガンからして,日本のゲーム開発はあまり元気でない様子がうかがえるのだが,CESA会長の和田洋一氏(スクウェア・エニックス)は,開発者コミュニティの重要性を次のように語っていた。
かつて,日本はコンシューマゲーム王国だった。コンシューマゲーム機のほとんどは日本製であり,それぞれがまったく違うアーキテクチャで作られていたこともあって,コンシューマ機メーカーとゲームメーカーは連絡を密にしており,ある意味,プラットフォームビルダーがゲームテクノロジーのハブとして機能していた。ゲーム機の中心が海外に移ると日本に入ってくる情報は少なくなり,開発者を結ぶハブもなくなった。そうなると,ただでさえ社交的でない人の多いゲーム開発者(社内ですら交流が少ないとのこと)でもあり,クリエイター同士の交流の場は必須となっているという。現在は,CESAにとっても最重要イベントと位置付けられている。
和田氏は,今後の方向性として,もっと自由な交流(いろいろ事情があって難しいようだが)をやりたい,日本人以外との交流をもっと促進したい,多業種を含めた交流を活発にしたいといった3点を挙げていた。
CEDEC 2008以降,CESAが全面的にバックアップする態勢が整い,毎年テーマを決めて取り組んでいるという。今年のテーマは「自律」であり,以前,4Gamerでも講演者募集の告知記事を掲載したのを覚えている人もいるかもしれないが,広く一般から講演者を募っている。今年は150セッションほどが予定されているところに400近い応募があったとのこと。アカデミック系の応募も多かったらしく,ゲーム開発者のみならず,広がりを見せてきている。
そのほか,今年は日本語から英語への同時通訳セッションを用意したり,過去のCEDECの資料を閲覧できるCEDEC DIGITAL ARCHIVE(仮)の整備を進めるほか,ポスターセッションや1枠に似たテーマのセッションを集めるショートセッションの導入など,多様な形態での発表の場が用意される。
さらに,新しい試みの「CEDEC CHALLENGE」として,以下のようなものが予定されている。
- 超速碁九路盤AI対決 産学連携で行う九路盤を使った囲碁プログラムのトーナメント。1手1秒制限で誰でも参加可能
- Photoshopペイントマイスター グラフィックス分野でのプロの技を広く公開する
- 三日でゲームを作ってみる CEDEC開催期間中にソーシャルゲームを作り上げる
そのほか,ゲーム関連の書籍を集めたCEDEC書房も設置される予定となっており,諸々合わせて,世界最大のゲーム開発者イベントであるGDCに近い構成になりつつあるようだ。一部のセッションでは,ニコニコ動画でのネット配信やTwitterとの連動なども企画されているなど,時代の趨勢に沿った展開が行われる予定。
CEDEC 2010は8月31日から9月2日にかけてパシフィコ横浜で開催される。まだ少し先の話ではあるのだが,チケットの販売は7月1日から開始される。7月中は早期割引が適用されるので,参加を検討している人は早めに手配したほうがいいだろう。
4Gamerでは,例年どおり講演取材などを行っていく予定だが,CEDEC関連の新情報が入り次第またお伝えすることにしたい。
CEDEC 2010公式サイト
http://cedec.cesa.or.jp/2010/- この記事のURL: