イベント
Games Convention Asia 2009でSCE Asiaの安田プレジデントが,海賊版に警鐘。出展ブースはコンシューマゲームメインに
先日もお伝えしたが,このイベントは本拠地をドイツに置くLeipziger Messe Internationalが主催しているもので,今回は3度めの開催だ。
本記事では,その二日め(9月18日)の模様を紹介していこう。
シンガポールや周辺地域などで,「プログラマやデザイナーとして一旗揚げてやる!」とか「ゲームビジネスで一儲けぶちかましてやる!」みたいな熱い人々にとって,成功者や先駆者達の言葉を直に聞ける,またとない機会といえる。
そんな中,朝9時過ぎからの基調講演にはソニー・コンピュータエンタテインメントのアジア部門,Sony Computer Entertainment Asia(以下,SCE Asia)の安田哲彦プレジデントが登壇。ゲーム開発以前の問題として,著作権保護の重要性を強く訴えた。
Sony Computer Entertainment Asia安田哲彦プレジデント |
具体的にはPlayStation 3やPSP向けの開発機材を提供したり,ゲーム開発のノウハウを持つ実戦経験豊富な開発者を日本から呼び寄せて,コンテンツ開発のノウハウを伝えたりしていくというものだが,安田氏は,技術やノウハウ云々の前に「ソフト産業を育成していくうえで,最も重要かつ不可欠なテーマ」が,著作権の保護であると語っていた。
日本から見てアジア方面の特定の国というより,アジア全域は,ゲームに限らずあらゆるコンテンツが不法にコピーされ,それが流通しているというイメージが強い(残念かつ恥ずかしい話ではあるが,最近では日本でもそういう傾向が一部に存在するのだが……)。
安田氏は,「ソフトビジネスとは,正規ソフトの売り上げによる利益が,次の開発に投入されることで成長していくもの」であるからこそ,「海賊版の存在によって,正規のソフトが売れないことになっては,ソフト産業の育成を目指してきたすべての関係者の努力が台無しになってしまう」と語る。
そして同時に,「ゲームソフト開発に夢をかけた若者が,いつか実際にゲームを開発したとき,海賊版のせいで正規品が売れないということになれば,その若者は傷つき,創作意欲をも失ってしまうだろう」「その若者が,自分の子供,兄弟,親戚,そして友人だとしたら,海賊版の存在がいかに問題であるか,誰でも想像できるはず」「ほんの一部の安易な金儲けしか考えていない海賊版業者に,学生達の純粋な夢,創作意欲を邪魔させてはいけない。我々は,彼らをクリエイターの敵だと考えている」と,理だけでなく情にも訴えかける言葉をあえて選び,海賊版に対する警鐘を鳴らしていた。
安田氏によると,シンガポール政府は12年前より海賊版の締め出しに取り組んでいるとのことで,それが一定の効果を上げていることに感謝の意を表しつつも,「一度摘発の手をゆるめてしまえば,また元の状態に戻ってしまう可能性がある」と,危機感を募らせているようだ。
それでも,シンガポールをはじめASEAN各国では,優秀な若い力が急ピッチで育っていること,ソフト産業は自国内で熟成され,各国の文化を吸収しながら育っていくからこそ力強く安定感があるなど,未来への期待を寄せていた。
繰り返しになるが,だからこそ,海賊版がソフト産業に与える影響について,啓蒙をしなければならないということなのだろう。
企業ブースはコンシューマゲームメインの様相に
日本で知られているタイトルだと,「グラナド・エスパダ プラス」などは出展されていたが,ほとんどはXbox 360やPlayStation 3,そしてWiiでプレイ可能なもの。そして,発売前のタイトルだけでなく,発売済みのタイトルも気持ちよいぐらいに並んでいた。
大手だと,Microsoftは「Forza Motorsport 3」の3画面モードでの試遊を大々的にやっていたし,Electronic Artsは「Need for Speed: SHIFT」や「EA SPORTS Active」(邦題:EA SPORTS アクティブ パーソナルトレーナー Wii 30日生活改善プログラム),そして「The Beatles Rock Band」などを出展。人だかりができていたというほどではないが,常に誰かが試遊をしているような状態だった。
余談だが,IAH Gamesは「NINJA GAIDEN Σ2」や「真・三國無双 Multi Raid Special」の発売を予定している模様。ただ,無双MRのステッカーが貼られてたモニターで,延々とNINJA GAIDEN Σ2のプロモーションムービーを流し続けるという,大らかさが印象に残った。
会場自体が決して広くない(よそ見をしながら歩いて10分かからない程度)こともあるのだろうが,東京ゲームショウのようなイベントではなく,ちょっと規模の大きい店頭試遊会というか,展示即売会のようなイベントと考えれば,だいたいのイメージをご理解いただけるのではないだろうか。また,会場の様子を撮影したムービーを掲載したので,参考にしてほしい。
SCE Asiaが関わって取り組んでいるクリエイター育成プログラム同様,シンガポール政府が,自国の産業としてゲーム開発を成長させていこうという意図が見てとれる。
そしてROOKIESといえば,「夢にときめけ! 明日にきらめけ!」である。なんとなくだが,シンガポールが目指しているであろう方向性が,この楽曲から想起されるものとマッチしていて,妙なシンクロを感じた。
ドラマのROOKIESは見たことないんだけど。
- この記事のURL: