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現行のグローバルMMORPGには負けたくない――「FINAL FANTASY XIV」のグランドフィナーレ直後に公開された新生FFXIVの新情報について吉田直樹氏にいろいろ聞いた
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印刷2012/11/22 12:00

インタビュー

現行のグローバルMMORPGには負けたくない――「FINAL FANTASY XIV」のグランドフィナーレ直後に公開された新生FFXIVの新情報について吉田直樹氏にいろいろ聞いた

 

冒険者の夢「マイハウス」はどうやって入手する?


4Gamer:
 新生FFXIVで登場する大きな注目コンテンツの一つに,ハウジングがありますよね。S/M/Lとサイズが分かれているようですが,レターライブで聞いた感じでは,非常にお金がかかる印象を受けました。

画像集#005のサムネイル/現行のグローバルMMORPGには負けたくない――「FINAL FANTASY XIV」のグランドフィナーレ直後に公開された新生FFXIVの新情報について吉田直樹氏にいろいろ聞いた
吉田氏:
 うーん,Mサイズでも,クエストのテキストをすべて飛ばしながら進めると,レベル50まで約50時間,それが3人揃えばいいわけですから,厳しすぎるというものではないと捉えています。

4Gamer:
 まだ情報が少ないので,そう感じるのかもしれませんが,新生FFXIVから始める人にとっては,最初の大きな壁にはなるように思えるんです。ちなみに家を建てられるのは,インスタンスゾーンになるんですよね。

吉田氏:
 そうです。ゾーンの中に何か所か家を建てられる土地が販売されているので,その中から好きな場所を選んで購入します。「ドラゴンクエストX」(DQX)と同じと言えば,分かりやすいかもしれません。

4Gamer:
 なるほど。ウルダハのハウジングゾーン何丁目(番目)にある何番地みたいに,同じ入口からゾーンが分かれるタイプですね。この形なら,土地の取り合いが起こりづらいですね。ゾーンのリストがあれば,その一番上で,立地のいい場所という競争はあるでしょうけど。

吉田氏:
 ええ,そうですね。土地の価格も初期は高く設定して,売れないと値下がりしていきます。こう説明するとDQXみたいだと言われてしまうんですが,DQXのハウジングシステムの基礎設計には僕も関わっていたので(笑)。

画像集#006のサムネイル/現行のグローバルMMORPGには負けたくない――「FINAL FANTASY XIV」のグランドフィナーレ直後に公開された新生FFXIVの新情報について吉田直樹氏にいろいろ聞いた

4Gamer:
 そうだったんですね(笑)。ということはDQXのように,大きなサイズの家を建てるためには,それに応じた大きな土地を購入する必要があるんですか?

吉田氏:
 そうです。例えばLサイズの家を建てられる土地は,各インスタンスに3つ程度しか用意していないので,大きなフリーカンパニーは一等地を確保するところから競争が始まるでしょうね。ただ,土地の前に掲げられた価格を見て愕然とするでしょうけれど……。
 今のところは,12時間おきに値下がりしていくようにしているのですが,どのタイミングで買うべきか大いに悩んでほしいです。

4Gamer:
 新生FFXIVスタート時は,デノミでギルの価値が抑えられているとレターライブなどで明かされていますし,買い時の判断は難しいですよね……。ところで,家を持てたら,やっぱりリテイナーを自分の家に置きたくなると思うのですが,それは可能ですか。

吉田氏:
 現在雇用していて街で呼び出せるリテイナーとは別に,自宅用のリテイナーを雇えますよ。もちろんハウジングゾーン内にいるリテイナーを検索するボードがあるので,そこで直接買ってもいいですし,家まで走って買いに行ってもいいです。

4Gamer:
 なるほど……これは,ぜひとも家を入手したいところです。そういえば,レターライブでは,3都市グランドカンパニーからフリーカンパニーの評価を受けるといった話も出ましたよね。現実の会社組織を例にとって説明していたので,やけに生々しいお話しになっていましたが(笑)。そういったある種の経済的な要素は,プレイ上,どのくらい重要になるのでしょう?

吉田氏:
 そこはちょっと誤解を与えてしまった部分ですね。フリーカンパニーは,一般的なタイトルで言うところのギルドシステムなんです。FFXIVのプレイヤーは社会人の方が多いので,企業活動を例に出したほうが理解が早いだろうと思っていたんです。けど,説明にリアリティがありすぎて,変な印象を与えてしまいました(笑)。
 3都市グランドカンパニーによる評価システムは,例えばガチの傭兵のロールプレイをするようなフリーカンパニーが,プレイのモチベーションを保ちやすいように,用意しているだけなんです。常にランキングの上位を狙うフリーカンパニーにとっては重要ですが,普通にプレイする人達はあまり気にしなくてもいいと思います。

4Gamer:
 そうすると,フリーカンパニーのランキングも用意されるんですか?

吉田氏:
 いくつか用意します。例えば不滅隊ランキングのトップを取ったフリーカンパニーには軍事称号が授けられ,各メンバーはウルダハに行くと不滅隊NPCから敬礼されるといった待遇を受るとかですね。待遇と言ってもその程度なので,本当に気にしなくていいレベルかなあと。

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4Gamer:
 そういったプレイヤー自身が満足を得られるシステムというと,新生FFXIVで導入される「結婚システム」もそうですよね。この結婚には,何らかのメリットなどがあるのでしょうか。

吉田氏:
 メリットは,マリッジリングを使うと,お互いの場所にテレポートできるといったものくらいしか想定していないですね。戦闘時にボーナスのようなメリットを付けてしまうと,それを目当てにした偽装結婚みたいなケースが増えるので,少し考えなければなりません。ちなみに結婚する対象となる男女のプレイヤーキャラクター同士で,一つクエストをクリアしてもらうというのを想定しています。

4Gamer:
 分かりました。続いて,マウントと戦闘の関係について教えてください。レターライブでは,クァールや魔導アーマーといった話題が出ていましたね。

吉田氏:
 以前からお話しているように,チョコボはバディとして一緒に戦うことができますし,その結果に応じてチョコボのレベルも上がっていきます。ですが,先日のレターライブでお見せしたクァールなどは,チョコボとは異なり,あくまで騎乗用の一般マウントです。一般マウントの種類は続々と追加していきますよ。

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4Gamer:
 魔導アーマーは,何か特別な存在になるといった内容でしたが。

吉田氏:
 魔導アーマーはそうですね。あれは思い入れのあるスタッフ達がカスタムパーツを付けたり,デカールを貼れるようにしたいと言っています。彼らがやりたいことは,おそらくプレイヤーもやりたいでしょうから,僕からは「頑張って作れよ」とだけ(笑)。ただ,それとは別に,魔導アーマー自体はメインストーリーに絡んできます。

トレイラー「時代の終焉」で,魔導アーマーらしき姿が確認できる
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4Gamer:
 いかにも帝国の兵器といった存在ですし。

吉田氏:
 はい。ニヤリとできるようなエピソードを用意します。

4Gamer:
 魔導アーマーを使った専用のPvP/PvEコンテンツがあると面白そうです。

吉田氏:
 それも可能だとは思うのですが,今のところはあまり考えていません。現実的な話としては,攻城兵器扱いにして砦を攻略するとか,そういう感じでしょうか。

4Gamer:
 確かに,対プレイヤー兵器としては大げさというか,パワーバランスを考えると厳しいかもしれませんね。
 ほかにも新生FFXIVへの移行に伴って,ステータスだったり,さまざまな要素が変化しますよね。そうすると,プレイヤーのステータス一つ一つが持つ数値の意味も変わってくると思うのですが,振り直しはできますか?

吉田氏:
 ステータスに関しては,リスペック(振り直し)の方法をいくつか用意すると思います。あまり簡単にリスペックできてしまうと慎重に選ぶという感覚が失われるので問題ですが,逆にどれに振ればいいのか分からないから振らないというプレイヤーが増えてしまっては本末転倒です。そこで,各クラス/ジョブに有効なステータスを明示しようとは考えています。
 とは言え,新生FFXIVの場合,プレイヤーのステータスよりも装備アイテムのパラメータの比重が大きくなりますから,アイテムで底上げすることもできるでしょう。

4Gamer:
 PvPコンテンツも導入されますから,細かなところでは,アイテムやステータスの兼ね合いが,いろいろと研究されるでしょうね。

吉田氏:
 ええ。PvPとPvEでは,必要なステータスがまったく違いますし,DPS(Damage Per Second,1秒あたりの与ダメージ量)などの検証も進むでしょう。その一方では,装備アイテムの評価を数値化した「アイテムレベル」という概念も加わるので,「アイテムレベルがこれだけあれば,このコンテンツは大丈夫」という目安ができます。全員が全員,DPS計算ができないとダメということにはならないと思います。

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4Gamer:
 アイテムは相当数登場すると思うのですが,インベントリやストレージの容量が気になります。

吉田氏:
 アイテムを持ち歩くためのインベントリの容量は限定しますが,保管しておくストレージは増やしていきます。その一つがハウジングですし,例えば銀行のようなシステムも,いつでも実装できる状態になっています。ただ,そもそもレベルシンクがありますから,無理に低レベル用アイテムを保管しておく必要はありませんが。
 あとはファストトラベル(テレポなどの瞬時移動手段)も簡単にできるので,パッと移動して必要なものを取り出し,すぐもとの場所に戻ることもできます。

4Gamer:
 装備アイテムは,性能をそのままに,見た目だけを変えるスロットも用意されるとのことですが,どのくらい自由が利くのでしょう?

吉田氏:
 さすがにクラスによる制限は設けます。例えば,メイジ系ならローブなどが中心になり,鎧を身につけることはできません。

4Gamer:
 PvP時はどうでしょう? 実際は高性能の装備なのに,見た目を低レベル装備にして,かく乱を狙うプレイヤーも出てきそうですが。

吉田氏:
 PvPゾーンでは,強制的にベースの装備を表示しますから,そういったごまかしは,できない方が良いでしょうね。

4Gamer:
 なるほど。では,とくに性能が高いわけではなく,見た目がいい装備を提供していく予定はありますか?

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吉田氏:
 FATEのリワードが,そんな感じですね。FATEでは,多くのプレイヤーにリワードを提供したいのですが,そうなると,あまり性能の高いものにはできません。そこで初期装備の色違いとか,見た目優先のものを出そうと考えています。
 ともあれ,このシステムの実装は,新生FFXIVのローンチよりも少し先の話になります。というのは,早い段階から見た目を自由にできると,皆さんが思い描くFF像とズレてしまう可能性が高いからです。例えば,高レベルの竜騎士がずっと初期装備のままでいたら,新規の方は「え? FFなのにコレ?」と混乱するでしょうから。

4Gamer:
 なるほど,確かに……。そういえば,レターライブでは新種族に関しても話していましたよね。とくに海外からは,ヴィエラのリクエストが多いのだとか。

吉田氏:
 多いですね。たぶん,僕にとっては現行版FFXIVも新生FFXIVも,ケモノ系や爬虫類系が足りないなあと思っていたんです。ですので,え? ヴィエラって結構美形じゃない? と思ってしまったんですよね(苦笑)。もう少し泥臭い種族がいた方が,世界としてはリアルになると思っているんです。ただ,それがFFに求められているかというと,ちょっと考えてしまうところなんですよね。

4Gamer:
 ああ,FFXIIのバンガ族まで行くと,新生FFXIVにおけるプレイヤーキャラクターのイメージからは外れるような気がします。

吉田氏:
 PCとしてじゃなくて,蛮族のNPCとしてならアリかな,という感じですよね。ともあれ,どこまで許されるのかというラインは悩んでいます。その中では,ヴィエラは美形すぎもせず,泥臭すぎもせず,ギリギリ出せるところかなと。
 僕は,海外のRPGのキャラクター造詣を参考にして,ヴィエラはほとんど人間とみなされると捉えていたんですが,海外のFFファン──とくに北米の人達はそう捉えてないみたいですね。このことで,25年という歴史の中,海外でもFFはFFとして受け入れられているのを認識しました。でもヴィエラって,いままで女性しか出てないですよね。

4Gamer:
 ミコッテにしても,ルガディンにしても,新生FFXIVでは異性が登場することになりましたから……。

吉田氏:
 ええ,ですから新生FFXIVに出すとすれば男性も作ることになりますが,ウサギ男……ビミョーだなあと(笑)。

画像集#031のサムネイル/現行のグローバルMMORPGには負けたくない――「FINAL FANTASY XIV」のグランドフィナーレ直後に公開された新生FFXIVの新情報について吉田直樹氏にいろいろ聞いた
画像集#032のサムネイル/現行のグローバルMMORPGには負けたくない――「FINAL FANTASY XIV」のグランドフィナーレ直後に公開された新生FFXIVの新情報について吉田直樹氏にいろいろ聞いた


新生FFXIVに対する期待の高さを裏付けるかのようなαテストのログイン率の高さ


4Gamer:
 それでは現在進行中のαテストについても教えてください。負荷テストも行われているので当然ですが,急激に動作が重くなるということがありましたね。

画像集#009のサムネイル/現行のグローバルMMORPGには負けたくない――「FINAL FANTASY XIV」のグランドフィナーレ直後に公開された新生FFXIVの新情報について吉田直樹氏にいろいろ聞いた
吉田氏:
 それは単純に,1ゾーンに対するプレイヤーの数が過密になるからです。現状では,1ゾーンに800人が入って,戦闘も370〜380バトルくらい同時発生し,モンスターのAIもNPCもフル稼働している状態で激しいラグが発生することを確認できました。現在は,もう少し余裕を持たせて,1000人くらいにまで拡張できないかと調整しています。

4Gamer:
 むしろそのラグは,そうした問題点の洗い出しとして,負荷テストがうまくいっている証ということですか。

吉田氏:
 そうなります。このラグで問題なのは,それまで普通に動いていたものが,限界人数を超過したとたん,急に重くなることでした。780人で300バトルくらいなら普通に動くのに,800人で370バトルになると一気にラグが発生していたんです。そこを何とか緩和して,急にゲームができない状態が発生したり,キャストができない状態が発生したりするなどの,過負荷によるクリティカルバグが出ないよう作業を進めています。

4Gamer:
 データが巻き戻る現象もありましたが,これも過負荷によるクリティカルバグですか?

吉田氏:
 あれは高負荷によってプレイヤーのセーブリクエストにデータベースが対応しきれず,DBに書き込みする際にデータキャッシュサーバがフローを起こした側面と,そしてその結果,クリティカルバグが発生した側面の2つの理由がありました。それも含めて,過負荷によって急激に動作が重くなったときに生じていたクリティカルバグはすでに修正しています。現在は,処理が重くなる要因を40くらいリストアップできたので,それを一つ一つ最適化している段階ですね。

4Gamer:
 ちなみに,αテスターは現在,何人くらい参加しているんでしょうか。

吉田氏:
 公表はしていませんが,現行版FFXIVプレイヤーの人数と比較すると,テスター数は結構高い割合になっています。またαテストというと,ログイン数が徐々に減ってテスター数の20%くらいに落ち着くものなんですが,新生FFXIVの場合は,全テスターの60%以上がログインするという状態になっています。正直,運営開発チームとしては,想定外の数字ですね。

4Gamer:
 期待の大きさの表れでしょうね。

吉田氏:
 ありがたいことに,顔なじみのテスターの方も増えました。僕もαテストにはできるだけログインして,テスターの皆さんの生の声を直接聴かせていただいています。Tellでもたくさんのメッセージをいただくのですが,周りの方のためにも,質問についてはSayで質問してくださったほうが,公に答えられるので助かります。

4Gamer:
 質問と回答がチャットで流れたほうが,より多くのテスターに伝わりますよね。ところで,現行版FFXIVのサービスが終わったことで,αテストに参加する時間が増えるプレイヤーもいるのではないでしょうか。

吉田氏:
 そうですね。今,実装しているバトル3クラスとギャザラー/クラフター3クラスの計6クラスを全部レベル20まで試そうと思ったら,トータルで20〜30時間くらいは必要になる計算です。結構長くかかるので,この先,もう少しワールドを増やして,できるだけ多くの方に,遊んでもらおうかと検討しているところです。

4Gamer:
 ワールドを増やす可能性もあるわけですね。それに,この11月下旬には海外でのαテストも始まるとのことでした。

吉田氏:
 はい。グローバルαテストが始まって,そのあとは24時間開放し,メモリがスタックして破綻しないかなどを確認するエイジングテストに移行します。

画像集#033のサムネイル/現行のグローバルMMORPGには負けたくない――「FINAL FANTASY XIV」のグランドフィナーレ直後に公開された新生FFXIVの新情報について吉田直樹氏にいろいろ聞いた

4Gamer:
 新生FFXIVのサーバーは,現行版FFXIV同様にグローバルですか?

吉田氏:
 そうです。ただしデータセンターは海外にも設置します。これは,今後,レイテンシを要求するコンテンツを投入するときに,地域による不利益が出ないようにするためです。

4Gamer:
 PvPコンテンツを考えると,ネットワーク上の距離による速度差は無視できませんね。

吉田氏:
 とは言え,IPブロックはしないので,海外在住の方が,日本のデータセンターを選んで,日本在住プレイヤーと一緒に遊ぶこともできます。

4Gamer:
 海外在住の日本人には嬉しいですし,その逆,日本在住の外国人にとってもそうですよね。その一方で,海外のRMT業者といった点が不安にもなります。

吉田氏:
 はい,この点については当然ながら常に監視を行いますし,厳しく対応させていただくつもりです。ゲームシステム側でも装備のBIND属性化(※一度使用すると装備がトレードできなくなるなど)だったり,初期コンテンツのギル排出量調整だったり,プレイヤーの皆さんの不公平感をなくす仕様や,ファーミングの必要がないコンテンツ設計だったりと,そもそも業者が「美味しくない」ようにデザインされてもいますね。

4Gamer:
 なるほど,確かに大したリターンがなければ,わざわざ業者が出張ってこない……というわけですね。では,βテストを2013年1月下旬から2月上旬に開始するというアナウンスもありましたが,これはオープン形式ですか?

吉田氏:
 いえ,最初はクローズドです。テスト項目を一通り終えるまでは,オープンにしません。

4Gamer:
 テスターの募集や,現在のαテスターの扱いはどうなるのでしょう?

吉田氏:
 発表しているとおり,一般公募になります。現在,αテスターの方には厚いフィードバックをいただいているので,そういったプレイヤーに,βテストでどう変わったのか確認してもらいたい,という思いもあるので,現在も調整中ではあります。

4Gamer:
 αテストで気になったところがどうなったのか,その再確認を現在のαテスターもしたいでしょうね。

吉田氏:
 ええ。ですから,何か優先条件をつけるかどうかについて,検討しているところです。

4Gamer:
 では,βテスト以降に関しても教えてください。PvPのテストなどは,βテストで行われる予定でしょうか。

吉田氏:
 ええ,βテスト期間の後半に,バランステストを実施するつもりではいます。

4Gamer:
 開発陣もPvPに参加するという話がありましたが。

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吉田氏:
 僕自身が好きですからね。それに今のバトルチームのスタッフには,各タイトルの一線級のPvPプレイヤーが揃っていますから,すごいですよ。僕がPvPで誰かに負けたら,チーム内から「動きが甘いよ」とか,煽られそうなくらい(笑)。
 MMORPGを一番よく理解しているのは,やはりプレイヤーだと思うんです。だから運営開発上はプレイヤーからのフィードバックを重視しますし,プレイヤーの中で開発スキルを持っている人がいれば,積極的にスタッフとして採用します。それがMMORPGを成功に導く秘訣かなとも思っていますので。

4Gamer:
 そうしたプレイヤー兼開発者は,具体的に,どういったところで貢献しているのでしょうか。

吉田氏:
 新生FFXIVでは,とくにコンテンツヒエラルキーを重視していますから,アイテムレベルがどれだけあれば,どのコンテンツをクリアできるかというマッチングの実地検証だったり,各クラスやジョブのロールバランスチェックだったりとか。こう言うと,ハードコアユーザー向けコンテンツになるのでは,と思われそうですが,むしろ,かなり論理的に作っているんですよ。

4Gamer:
 と言うと?

吉田氏:
 例えば今ある「製作手帳」「採集手帳」に「討伐手帳」が加わります。これはモンスターを討伐して条件を満たすとリワードとして経験値がもらえるものです。従来のリーヴに加え,コンテンツファインダーとFATEが入って,手帳があってと,気楽にレベル上げができますし。

4Gamer:
 なるほど。そうしたお話を聞いている限りでは,一人でも遊べる範囲がかなり広くなりそうですよね。

吉田氏:
 そうです。ダンジョン攻略以外なら,あえてパーティを組まなくても遊べると思います。
 ダンジョンに関しては,おそらく大迷宮バハムートは,コンテンツファインダーによるマッチングだと攻略困難な難度になります。ノーマル/ハードといったモード分けもするつもりですが,ハードはきちんとパーティ編成しないとクリアできないバランスになると思います。

4Gamer:
 気軽に遊べるコンテンツを多数用意したうえで,チャレンジしがいのあるコンテンツも,きちんと提供していくと。

吉田氏:
 ええ。そうして,チャレンジの上限は随時上がっていきます。
 また,パッチが当たった直後に最上位コンテンツをクリアできるのは,確かに先頭集団のプレイヤーのみかもしれませんが,それは決して永遠ではありません。例えば,のちのパッチでいいアイテムが手に入れば,アイテムレベルそのものが上がり,後続のプレイヤーでもクリアできるようになります。常に最速で最上位コンテンツをクリアしたいという人でなければ,心配することなく楽しんでもらえます。

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4Gamer:
 現行版FFXIVも,そういった作りになっていましたよね。

吉田氏:
 そうですね。実装当初は「絶望的」と形容された「真イフリート」も,終盤はアイテムさえきちんと揃えれば,誰でも倒せるようになっていましたし,さらに装備を整えていけば,「真ガルーダ」も同様になっています。意図したのは,現行版FFXIVの終了までにマイペースで進めている人達でも,それなりに「月下の戦い」をクリアできるように,というバランスでした。もちろん,プレイを開始した時期には左右されますが,1年くらい追いかけて頂いた方には,「なんとか月下まで間に合ったねー」というイメージではないかなあ,と。
 さらに新生FFXIVでは,同じアイテムレベル帯に複数のコンテンツを用意しますので,現行版FFXIVよりプレイ進行に幅が出ます。例えばアイテムレベル50帯のコンテンツを週代わりで順次攻略して,アイテムレベルが53になったから,次のアイテムレベル帯に挑戦してみようか,という流れができます。現行版FFXIVでも同じことをやりたかったのですが,並行して新生FFXIVの開発を進めていたので,実現できなかった部分なので。それによってパッチ投入直後は,どうしても単独の最新コンテンツしか選択肢がなく,挑んでも「うわー,難しすぎて無理だよ!」という部分が出てしまったと思います。

4Gamer:
 「月下の戦い」と言えば,現行版FFXIVでその高難度版である「紅月下」がクリアできなかったので,ぜひ新生FFXIVでもプレイしたいというリクエストもありましたね。

吉田氏:
 本当に申し訳ないのですが,新生FFXIVではバトルをすべて作り直しているので,同じ内容にするのは無理なんです。でも,現行版FFVIXの制限された環境で,お客様にそう言っていただけるだけのコンテンツを作り上げたスタッフは,本当によくやってくれたと思います。

4Gamer:
 吉田さんはよく寝てないとおっしゃっていましたが,新生FFXIV制作と同時に,ここまでのコンテンツを進行させていくというのは,本当に寝る時間があったのかが心配になるくらいです。
 ところで,今後のテストのなかで,現行版FFXIVのデータを使っていろいろ試してみたいというプレイヤーは少なくないと思いますが,現行版FFXIVプレイヤーのデータは,どのタイミングで新生FFXIVに反映されるのでしょうか?

吉田氏:
 一度,βテストのフェイズ3で,データコンバートのテストを行う予定です。前代未聞の大規模なデータ引継ぎなので,その時点で問題点を洗い出し,修正を施します。そして最終フェイズで,ローンチに向けたデータ引継ぎを改めて行います。

4Gamer:
 そのデータコンバートの過程に入るということで,現行版FFXIVのサービスが終わり,いよいよ新生FFXIVの作業に専念できる環境になりましたね。

吉田氏:
 はい。今までは現行版FFXIVのプロデューサー/ディレクターと新生FFXIVのプロデューサー/ディレクターの1人4役+αでしたから,ちょっとホッとしました。

4Gamer:
 これまで,注目を集める半面,表に立つ,とくにフォーラムでの発言も多い吉田さんへの風当たりは非常に厳しかったように思えます。

吉田氏:
 精神的にキツいことは,僕も人間なのでやっぱりあります。でも,僕が発言しないとプレイヤーが現状だけを見て,どんどんネガティブになっていきますし。例えば「これはできない」というネガティブな内容の発言であっても,きちんと「なぜなら,こういう理由があるから」と説明できれば,そこからまたプレイヤーの皆さんは「それならこれでどう?」と新たに考えてくれることも多いんですね。
 先日も,新生FFXIVの進捗について,2011年10月に発表したロードマップから2か月と2週間遅れているとお伝えしました。遅延のご報告をするのは,本当に申しわけないですし,辛くもあるのですが,その原因は僕自身が納得の行くまで調整を行っているからと,理由を説明し,目標がどこにあるかもお話しました。

4Gamer:
 現行のグローバルMMORPGタイトルに負けたくない,ともおっしゃってましたね。

吉田氏:
 僕にできることは,正直なところをお話することだけで,それをどう評価するかは,皆さん次第です。今回「そこまで言うなら」というお声をいただけたのは,涙が出るくらいうれしいことでした。もちろんこれまで同様,リリースに向かって最速/全力で努力は続ける気持に変わりはありませんので,もう少々お時間をいただけたらと思います。
 確かに矢面に立って発言するのはキツいです。でも,こういった形でプレイヤーとコミュニケーションを取ることは,真剣にそして真摯に,これからも続けていきたいと思います。


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4Gamer:
 それでは最後に,新生FFXIVに注目している人に向けて,メッセージをお願いします。

吉田氏:
 この2年間,皆さんに応援していただいたおかげで,現行版FFXIVのグランドフィナーレを迎えることができました。ここから先は,お約束したとおり,新生FFXIVをワールドワイドで戦えるMMORPGに仕上げるために,ひたすら突っ走っていきます。
 また新生FFXIVのβテストは,フェイズを区切って,長めにやろうと考えています。現行版FFXIVのプレイヤーだけでなく,新規の方にも広く開放しますので,ぜひ触っていただけたらと思います。現行版FFXIVを一度休止してしまった方も,触っていただければ「新生FFXIVは別のゲームじゃん」と思っていただけると思います!

4Gamer:
 期待しています。ありがとうございました。


 2010年12月に発表された,開発チームの体制変更。そして,現行版FFXIVを改良しながら行われていた,まったく新しい「FINAL FANTASY XIV」の同時開発。これらは,プレイヤーはもちろん,FFシリーズファンやMMORPGに興味を持つ人々に大きな驚きを与えたことだろう。

 この2年のあいだに吉田氏から発信されたプレイヤーへの言葉や,第七霊災として大きな流れが進行するなかで改善されていった,数々のコンテンツを見て,新生FFXIVへの期待感も高まっているはずだ。しかし,同じような期待を2010年に持っていたプレイヤーは,少なからず不安に思うこともあるだろう。果たして,この期待にスクウェア・エニックスは応えてくれるのか。

 吉田氏はレターライブの中で,「現行のグローバルMMORPGタイトルに負けたくない」とその心情を口にする。今冬から来春に掛けてαテストの拡大,βテストへと進む新生FFXIVだが,本作が改めて,世界的に大きな注目を集めることは間違いないだろう。

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