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印刷2010/01/04 12:00

インタビュー

「空母決戦」のSi-phon谷村氏,エレメンツ石川氏に鈴木銀一郎氏を交えて徳岡正肇が聞く空母ゲームのあれこれ

要素の増加と自動化


鈴木氏:
 ボードのシミュレーションでもよく問題になるのは,プレイヤーはどんな立場でプレイするのかってことなんです。陸戦だと総司令官でもあるし,方面軍指揮官でもあるし,前線指揮官でもあると,いろんな立場を兼任することになってしまう。
 空母戦だと,艦隊司令長官と参謀くらいまでの立場でプレイして,残りはすべてコンピュータに任せる。これはとてもスッキリしてます。

谷村氏:
 戦闘とかも,最初は戦闘の指示とかもできるべきじゃないかっていう話はあったんですが,もうそれはやめにしようと。そもそも艦隊司令が爆撃機の現地でのコースどりまで命令するとかいうのはあまりに非現実的だし,それはコンピュータの内部で全部やっちゃったほうがいいだろうと思うんです。

4Gamer:
 できることが増えた結果,プレイヤーの立場が不明確になってしまったゲームは多いですね。

谷村氏:
 それはターゲットとしてどこを見るかというのもあると思うんです。10代,20代をメインターゲットとするなら,やはり「なんでもできる」ほうがいいんでしょうし,それ以上の世代になって実社会を経験すると「それは違うんじゃないのか」と思うようになる。
 実際,個人ができる仕事っていうのには枠があって,そこを超えることはできないという認識が,社会の洗礼なんですよね(笑)。
 うちの会社にも若い子を入れて,ゲームのテストプレイもさせるんですが,例えば空母攻撃隊を送り出すと「この飛行機は自分が操作している感じがしない」という感想が出てくるんですね。ということは,そういった世代を狙うためには,それこそ空母攻撃隊も自分でリアルタイムに操作できるゲームにすべきなのだろうし,逆にそれをすれば「空母決戦」がターゲットにしている世代はそっぽを向いてしまう。これはこれで,棲み分けとして正しい選択なのかなと思います。

石川氏:
 海外だと,飛行機の操縦もして,艦隊もコントロールして,みたいなゲームはありますよね。
 でも今回は,仕事が終わって,寝る前に1プレイできる,そんなゲームにしたかったんです。そうなるとやはり,空母の持っている戦場のキリを大事にしたいと思いまして,いまあるシステムに落ち着いていったんです。
 僕はもともと大戦略とか担当してましたが,大戦略でも2,3と進むにつれてユーザーからの要望をどんどん受け入れいていって,その結果ゲーム要素が増え続けて,次第にコントロールしにくいゲームになっていったという経緯を目の当たりにしています。
 それを反省として体感しているので,どこかでパシッと切らないといけないと思ってますし,やはり「自分は何者であるのか」というイメージを持っているだけで,ゲームになにを入れ,なにを外し,どこまでをコンピュータに任せるべきかもはっきりしてくるんです。そういうところは,やはりボードゲームや初期のPCシミュレーションゲームから学ぶところが大きいです。

4Gamer:
 ストラテジーゲームは面倒だという意見がしばしば出るんですが,一方でRTSなどでは「なんでも自分でできる」ことが重視される傾向にあります。でもこの「なんでも自分でできる」ということそのものが,「めんどくささ」につながっているように思えるんですが。

谷村氏:
 私の持論なんですが,売り手に問題があるんだと思うんです。遊びやすいのではなく,売りやすいもの。企業的には売れば勝ちです。でもそれをどれくらい我慢できるか。そこでちゃんと我慢できないと,健全な市場というのは作れないんじゃないか,と。
 例えば,10個のタイトルがあるのなら,10のなかの2くらいは初心者が遊べるものがあり,2くらいはすごくコアなゲームがあり,残りの6くらいは中級者向けの,遊びやすさと濃さがミックスしている,そんなバランスであることが市場の健全さを示すと思うんですね。
 でも,どうしても売りやすい「濃い」ものに偏りがちですし,シリーズ化されていくとなると要素を足し算していかないと売れなくなってしまう。そういうところの弊害の積み重ねが,アナログ・デジタル問わず,現状の行き詰まり感を生んでいるんじゃないでしょうか。
 ……とはいっても,やっぱり僕自身,売る側の人間でもあるので――その視点で見ると,なんとも難しいものはありますね(苦笑)。

4Gamer:
 アナログのシミュレーションゲームの勃興期から今まで,ずっとデザイナーとして関わってきた銀一郎先生的には,その点はどうでしょうか。

鈴木氏:
 シミュレーションゲームは,まさにその点で自らの罠にはまったというところがあります。どんどん要素が増えていって,明らかにプレイ不可能なゲームが大手を振って出回るようになりました。そして,そういうゲームをプレイしているコアなプレイヤーが,自分がそういった難しいゲームをプレイできるということに誇りを抱くようになって,ついには新規参入者を馬鹿にするようになってしまった。そこが最大の問題だったように思います。コンピュータの場合,そこで「馬鹿にする」みたいなことがないだけ,まだいいんじゃないですか? それとも,やっぱりあるのかな?(笑)
 コンピュータゲームのほうで,要素をどんどん増やしていくことは,私は否定しないです。でもそれを全部ユーザーがやらなくちゃいけないっていうのは,嫌ですね。

石川氏:
 そうですね,分かっていて,自分でコントロールするんだったら,いいと思います。分かる/分からないに関係なく,とにかく全部自分でコントロールしろってことになると,途端に辛いゲームになってしまう。
 あとはやはり,どうしてもPCゲームの場合,単価が高くなりますから,その値段にあったボリューム感っていうユーザーからの希望はあります。ここは一つのネックですね。我々が「空母決戦」の1.0を作り,1.5を出し,2.0まで作ったというのは,一つにはやはりボリューム感を補充するという目的があります。
 実際,1.0でいえば,ゲームそのものの評判より,ボリューム感の少なさのほうがご批判として多かったんです。簡単にプレイできて,さっくりと決着がつくゲームだけに,逆に全部のシナリオをあっというまにクリアできてしまった,と。
 で,1.5でシナリオを2本増やして,2.0でさらに2本増やしてという形で少しずつボリュームアップしましたし,コンピュータの動きの幅を広げて,同じシナリオでも違う展開が発生するようにもしてみたり……ただ,逆に考えると,このパッケージソフトの値段っていうもの,それが谷村が目指しているものに対する壁になる可能性はあります。
 パソコンのゲーム売り場って,今ほとんどなくなってるじゃないですか。PC持っている人も,ゲーム売り場に足を運ぶことはまずないですよね。そこに,6000円とか7000円とかいう商品を置いて,手に取ってもらうっていう,その仕組そのものから考え直さないと,どんなにゲームの内容だけをよくしていっても限界を感じます。そうでないと,なかなかブレイクスルーっていうのは難しいですね。
 やはりPCのゲームって,開発に一定の人件費がかかるんです。手軽なゲーム,例えば,銀一郎先生が手がけられたようなSSシリーズのような,手軽で安価な作品というのが,とてもやりづらいんですね。ここが結構なジレンマです。

鈴木氏:
 SSシリーズは,最初に私が「ロンメルアフリカ軍団」を作って,「川中島」も私のディレクションで作った形になります。どちらも短時間で決着がついて,1500円で買えて,それでいて新しいゲームシステムを提案しています。
 それを見て,みんなが「デザインさせてくれ」といってきたんですが,最初に新しいシステムのゲームを出しちゃったせいか,みんな「何か新しいことをしなきゃ」になっちゃったっていう問題が起こりましてね。「短時間で終わって,簡単で」っていうところから,だんだんズレてしまったんです。あれは失敗だったなあ。

短時間で決着のつく戦国マルチプレイゲーム,「新・戦国大名」。ゲームエンジンの発展が著しい近年のボードゲームを研究し,その要素をうまく取り入れた作品だ。デザインはもちろん鈴木銀一郎先生
空母決戦Ver2.0〜日本機動部隊の戦い〜
石川氏:
 でも,いま国際通信社さんが出されている「ウォーゲーム日本史」のシリーズは,ブリスターパックでの販売ですよね。銀一郎先生の「新・戦国大名」が第2作目に収録されていましたが。

 あれは,いいなあと思うんです。これまでボードゲームっていうと,中身は当然見れなかったんですが,ブリスターになってるおかげでコンポーネントの一部を見ることができる。冊子部分もそのまま読める。興味をひきやすくなってますよね。
 そういうのと同じことを,PCゲームのほうでも何か考えなくてはならない。そうしないと,「新しい層」「空母に興味はあるけどゲームはプレイしていない層」と拡大方向を挙げるのは簡単なんだけど,ユーザーからすると「6000円もする,よく中身の分からないものを買うのは」とか「欲しいけどそれってどこで売ってるの?」ということになってしまって,それで「じゃあもういいや」になってしまうのかなあと思いますね。


MODへの可能性と,問題点


4Gamer:
 立場的にとてもいいにくいことではあるんですが,そろそろパッケージソフトを店頭で売るというのにも限界がきてるのかなあ,と思うことはありますね。

石川氏:
 あのエレクトロニック・アーツさんが「Amazonでしか売らない」といい出しちゃう段階で,日本における「店頭で売る」っていう商売がギリギリのところにきてるんだなあと思わざるをえないですね。
 ただ,ダウンロード販売といっても,若い人は躊躇がないんですが,年齢が上になってくるとクレジットカードの番号なんか入力したくない,っていう人が多いんです。だから,思うよりも万能というわけではない。
 いずれにしても,商品を作るだけではなく,それをどうやって売るのかということも考えていかないと,今後ラインナップを増やしていっても,結局はこれまでと同じ壁にぶつからざるをえないですよね。
 体験版とかも,比較的定番の手法なんですが,なんにしろPCのゲームって最初にプレイを開始するまでに相当なエネルギーを要求するんですよ。体験版をダウンロードして,さあ始めるぞっていうときに,僕自身が面倒だなあと思うようになってきています(苦笑)。

4Gamer:
 体験版をダウンロードすると,もうプレイした気分になるっていうのは,確かにありますね。

石川氏:
 たくさんダウンロードして,インストールまでするんだけど,起動した画面まで見ると「よし,じゃあいつかやってみるか」で,そのいつかがまずこないんです(笑)。そこは本当に考えていかねばならないところだと思います。

4Gamer:
 体験版といえば,国際通信社さんも,新作に関してはHPでルールブックその他一式をPDFにして無料配布されてますね。理論上は,あれをダンロードして印刷,厚紙に貼って切り抜けば無料でプレイできるハズなんですが。

鈴木氏:
 そんな面倒なことしないよね(笑)。

石川氏:
 ボードゲームが輸入メインだった時代だと,仕方なくやってた人はいたでしょうけどねえ(笑)。

4Gamer:
 それに関して,国際通信社さんは面白いことを始めていまして。いわばβ版にあたるゲームを,PDF(場合によってはVASSALのモジュール)で公開してしまうんですね。それでプレイヤーからフィードバックをもらって,ゲームを完成させていく。いわばオープンβテストですね。
 で,これはデジタル側でも存在する流れで,Paradox Interactiveは「ハーツ オブ アイアンIII」あたりからクローズβテストでプレイテストを積極的に行っていますし,Haemimont Gamesは「Tropico3」でやはりクローズβテストをやっています。そしてそれと並行する大きな流れとして,MODという文化があります。
 こういった,いわばUGC的な観点についてはどのようにお考えですか? 無論,日本と海外ではまったく環境が違うので,海外がこうだから日本でも的な議論が成立しないのは大前提ですが。

石川氏:
 面白いとは思うんです。基本的には,日本人が「製品」というものに抱いている気質的なものをどうクリアするか,だけだと思います。それこそ,メーカーが作ったデータではないデータを入れたときに,「自分が自分で入れたデータなんだから自分で責任を取る」という国民性と,「動かなくなったぞ,どうしてくれる」っていう国民性,その差は大きいです。
 ただ,これはシミュレーションに限らないんですが,日本の商業ゲーム自体が,ほかとの差別化を図るなかで,データやグラフィックスの種類を増やしていくという物量作戦に出るなら,そこには自ずから限界があるんです。コンテンツ作りをすべて自分達でやろうとすれば,とんでもないコストがかかってしまいます。
 それならば,コンテンツ部分をユーザーに開放するというのは,今後主流になるかは分かりませんが,確実に一つの流れにはなっていくと思うんです。それこそ,極端な話,ルールだけ提供し,戦場や配置などはすべてユーザーさんにお任せします,というような感じです。ツクールみたいなイメージですね。あるいはAPIを公開して,ここまでは自分でいじっちゃっていいよとする。それもありでしょう。
 むしろ問題は,そういうことが分からないユーザーさんに迷惑をかけないようにそれをやるにはどうしたらいいか,ということです。そこが難しい。

鈴木氏:
 私はアナログゲームでその手法をやってみようと思ってるんです。いま「ドミニオン」(アナログゲーム界で現在大流行中のカードゲーム)の戦国時代版っていうのをデザインしているんですが,日本では市場がそれほど大きくないので,最初のセットではイラスト枚数が制限されているんです。
 戦国時代版だから,武将カードがたくさんほしい。でも最初のセットには8枚しか入らない。だったら最初のセットにブランクカードをたくさん入れておいて,武将をレーティングして自分達で遊んでもらい,それで「面白いレーティングができたらどんどん送ってくれ」と呼びかけようか,と。それでセカンドバージョンが出るときは,それを参考にしてデータを補充していく感じです。

4Gamer:
 Wikiとかを併用してもいいかもしれませんね。

石川氏:
 コンピュータの場合,プログラムの知識と技術っていう壁もありますね。モジュールを追加するというところまでカバーするとなると,とても万人向けではないし,ではそれをサポートできるツールを作るとなるとこれも相当に大変です。
 昔,大戦略をやっていたときにマップエディタが付属していて,ユーザーさんは各自好きなマップを作っていたんですが,ゲームの機能が拡充されるにつれてツールも多機能でなくてはいけなくなってしまったんです。
 最初はそれこそ僕らが使ってるツールを提供しました,程度で済んでいたんですが,だんだんそうもいっていられなくなって,ペイントツールみたいなものまで必要になっていってしまいました。
 あと,アメリカだとユーザー層が広いので,IT系に近いユーザーさんが独自に作り込んだりするんですが……。日本だと,本当にそこで参加してもらえるのか,確証が持ちにくいですね。銀一郎先生がおっしゃられたような「ブランクカードに書き込む」くらいの感覚で参加できるプラットフォームを作りたいなあと思いますね。

谷村氏:
 実は,僕自身,MODっていうのはやりたいことの一つではあったんです。それで「空母決戦」を開発し始めるところで,エディタとかMODとかをどうしようという相談をいろんな人とさせてもらったんですが,同じなんですね,みなさん。「面白いと思ってるし,やりたいけど,サポートが大混乱するからやめたほうがいいですよ」というのが共通見解なんです。
 MODとか,エディタで作ったデータとかをダウンロードしてきて,読み込ませたらゲームが動かなくなってしまって,それでメーカーに電話をしてくるっていうケースは,やっぱり非常に多いらしいんですね。どんなに「自己責任でやってください」と書いてあっても,電話は大量にかかってきてしまうと。

4Gamer:
 難しいですね。

石川氏:
 個人的には面白いと思うし,やりたいんですけどねえ(苦笑)。



100時間遊べるから良いゲーム?


石川氏:
 ゲームに費やす時間というのも,考え方を変えなくてはいけない時期だと思います。かつては,「この値段で50時間,100時間と遊べるからお得」という考え方でしたが,これって下手をすると「50時間かけないと全部は楽しめない」ということにもなってしまいます。それだったら,2時間できっちり楽しませてくれる映画のほうがずっといいじゃないか,という考え方もあるんですよね。
 もし,ゲームと映画で同じ程度に楽しませてくれるのであれば,50時間に引き伸ばされるのと,2時間であますところなく味わえるなら,2時間で楽しさを堪能して残り48時間でほかのことができたほうがいいでしょう。48時間使って,もっといろいろ楽しめるんですから。

谷村氏:
 自分としては,50時間で1回楽しめるより,50時間で50回楽しみたいですね。

鈴木氏:
 まったくです。1時間で,100回プレイしたくなるゲームというのが,本当によいゲームですよ。

4Gamer:
 実は「ドラゴンクエストIX」もそうなんですよね。あれも超大作に見えますが,本編は意外とあっさりとクリアできます。それで,クリア後のお楽しみが最低でも80時間くらいはあるんですけど,その80時間っていうのは1時間が80回っていう構造なんです。

石川氏:
 本編もシナリオが村単位で切れていて,中断しやすくなってますね。切れ目が見えやすいというか。
 もちろん,コンシューマゲームの場合,中古対策っていうのもあるにはあるんでしょう。ゲームが終わってない以上,手放さないだろう,という読みですね。でもそれにしても,ドラクエIXのやり方というのは非常に正しいと思います。

  • 関連タイトル:

    空母決戦Ver2.0〜日本機動部隊の戦い〜

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