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  • 発表日:2008/06/02
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「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに
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印刷2011/09/21 03:00

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「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに

 “クアッドコアTegra”として予告されてきたNVIDIAの次世代SoC(System-on-a-Chip),「Project Kal-El」(プロジェクト カルエル,以下 Kal-El)が,実際には,もう1基のCPUコアを搭載した5コア仕様であることが明らかになった。

“5コア”仕様だと明らかになったKal-Elのブロック図
画像集#002のサムネイル/「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに

 これは,日本時間2011年9月21日付けでNVIDIAが公開したホワイトペーパー「Variable SMP A Multi-Core CPU Architecture for Low Power and High Performance」により明らかとなったもの。従来のTegraでも,2基の「Cortex-A9」コアとは別に,システム制御チップとして「ARM7」コアを採用していたことを憶えている人は少なくないと思うが,Kal-Elの「5コア」はそういう意味ではない。クアッドCPUコアとして機能する4基のCortex-A9,システム制御チップとして用意されるARM7とは別に,もう1基のCortex-A9コアが実装されるのである。

性能に最適化した4コアと低消費電力に最適化した1コアとを両方用意し,切り替えて使おうというのがvSMPだ
画像集#003のサムネイル/「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに
画像集#004のサムネイル/「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに
 NVIDIAはこの「+1コア」技術に「Variable Symmetric MultiProcessing」(以下,vSMP)という名を与えている。あえて日本語化するなら「負荷対応型マルチプロセッシング」といったところではないかと思うが,簡単にいえば,メインの4コアと,NVIDIAが「Companion CPU Core」と呼ぶ追加の1コアとを,負荷状況に応じて切り替えられる機能といったところだ。

 メインの4コアとCompanion CPU Coreの違いは下記のとおりだが,通常電圧時に高速なスイッチング速度を確保できる一方でリーク電流も多くなるプロセス技術を採用するなど,高性能に振った4コアと,リーク電流は少なくなるが,高速化しようとすると消費電力が跳ね上がる特性を持ったプロセス技術を採用して製造する1コアとが,両方ともSoC上で統合されることになるわけである。

●メインの4コア
  • CPUアーキテクチャ:Cortex-A9
  • プロセス技術:TSMC 40nm,General/Fast(G)
  • スイッチング速度:高速
  • リーク電流:大
  • 動作クロック:0MHz〜最大クロック(※詳細は明らかになっていない)

●Companion CPU Core
  • CPUアーキテクチャ:Cortex-A9
  • プロセス技術:TSMC 40nm,Low Power(LP)
  • スイッチング速度:低速
  • リーク電流:小
  • 動作クロック:0MHz〜500MHz

 Companion CPU Coreが担当するのは,スタンバイ時のメールチェックやTwitter&Facebookなどの同期をはじめ,スタンバイおよびアクティブ時の音楽やビデオ再生など,システム負荷の低い処理のみ。それ以上の負荷が掛かったときには,Companion CPU Coreを停止させ,負荷状況に応じてメインの4コアから1/2/4コアを動作させるような仕組みになっているという。これにより,性能と消費電力のどちらも最適化できるというのが,NVIDIAの主張だ。

画像集#005のサムネイル/「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに
Kal-Elにおける“5コア”の動作イメージ
画像集#006のサムネイル/「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに
Tegra 2と同じ,TSMCの40nmプロセス技術を採用するにも関わらず,消費電力は大幅に低減したとされる

競合のデュアルコアCPUと消費電力および「CoreMark」スコアを比較した表。競合と同等性能であれば40%程度の消費電力で実現でき,さらに,動作クロック1GHz時には,約2倍の性能を,より低い消費電力で達成できるとされる
画像集#007のサムネイル/「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに
 なお,vSMPにおいて,メインの4コアとCompanion CPU Coreが同時に動作することはないため,性能面でのペナルティなしで両者はL2キャッシュの内容を共有できるとのこと。また,Android 3.x(Honeycomb)は,利用できるCPUコアに対して均等にスケジューリングを行っていくが,vSMPでは,4コアと1コアとを切り替えるときにも各コアの動作クロックが同じようになるよう調整可能なため,スケジューリング時のペナルティも,ユーザーが気づかないレベルにまで低減できているとのことだ。

 ちなみにNVIDIAは,4コアのメリットを説くホワイトペーパーも同時に公開している)。Kal-Elの詳細なスペックが明らかになったわけではないが,Kal-Elの登場に向け,NVIDIAが本格的なマーケティング活動を始めた証左として,今回の動きは相応に意義深いといえそうである。

クアッドコアの優位性を訴えるホワイトペーパー「The Benefits of Quad Core CPUs in Mobile Devices」より,性能比較のグラフ
画像集#008のサムネイル/「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに
画像集#009のサムネイル/「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに

NVIDIA日本語公式Webサイト

NVIDIA公式blogのポスト (英語)

ホワイトペーパー「The Benefits of Quad Core CPUs in Mobile Devices」(PDF)

ホワイトペーパー「Variable SMP - A Multi-Core CPU Architecture for Low Power and High Performanc」(PDF)

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