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「Kal-El」は“5コア”CPUだった。NVIDIA,消費電力と性能を最適化する4+1コア技術「vSMP」の存在を明らかに
これは,日本時間2011年9月21日付けでNVIDIAが公開したホワイトペーパー「Variable SMP A Multi-Core CPU Architecture for Low Power and High Performance」により明らかとなったもの。従来のTegraでも,2基の「Cortex-A9」コアとは別に,システム制御チップとして「ARM7」コアを採用していたことを憶えている人は少なくないと思うが,Kal-Elの「5コア」はそういう意味ではない。クアッドCPUコアとして機能する4基のCortex-A9,システム制御チップとして用意されるARM7とは別に,もう1基のCortex-A9コアが実装されるのである。
メインの4コアとCompanion CPU Coreの違いは下記のとおりだが,通常電圧時に高速なスイッチング速度を確保できる一方でリーク電流も多くなるプロセス技術を採用するなど,高性能に振った4コアと,リーク電流は少なくなるが,高速化しようとすると消費電力が跳ね上がる特性を持ったプロセス技術を採用して製造する1コアとが,両方ともSoC上で統合されることになるわけである。
●メインの4コア
- CPUアーキテクチャ:Cortex-A9
- プロセス技術:TSMC 40nm,General/Fast(G)
- スイッチング速度:高速
- リーク電流:大
- 動作クロック:0MHz〜最大クロック(※詳細は明らかになっていない)
●Companion CPU Core
- CPUアーキテクチャ:Cortex-A9
- プロセス技術:TSMC 40nm,Low Power(LP)
- スイッチング速度:低速
- リーク電流:小
- 動作クロック:0MHz〜500MHz
Companion CPU Coreが担当するのは,スタンバイ時のメールチェックやTwitter&Facebookなどの同期をはじめ,スタンバイおよびアクティブ時の音楽やビデオ再生など,システム負荷の低い処理のみ。それ以上の負荷が掛かったときには,Companion CPU Coreを停止させ,負荷状況に応じてメインの4コアから1/2/4コアを動作させるような仕組みになっているという。これにより,性能と消費電力のどちらも最適化できるというのが,NVIDIAの主張だ。
Kal-Elにおける“5コア”の動作イメージ |
Tegra 2と同じ,TSMCの40nmプロセス技術を採用するにも関わらず,消費電力は大幅に低減したとされる |
ちなみにNVIDIAは,4コアのメリットを説くホワイトペーパーも同時に公開している)。Kal-Elの詳細なスペックが明らかになったわけではないが,Kal-Elの登場に向け,NVIDIAが本格的なマーケティング活動を始めた証左として,今回の動きは相応に意義深いといえそうである。
NVIDIA日本語公式Webサイト
NVIDIA公式blogのポスト (英語)
ホワイトペーパー「The Benefits of Quad Core CPUs in Mobile Devices」(PDF)
ホワイトペーパー「Variable SMP - A Multi-Core CPU Architecture for Low Power and High Performanc」(PDF)
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Tegra
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