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NVIDIA,「Tegra Zone」を軸にAndroidゲーム開発者を支援へ。「GeForceと同じやり方」でTegraの普及を図る
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これは,現地時間10日から同市で開催されるGoogle主催の開発者向け会議「Google I/O 2011」へ集まったAndroidアプリケーションの開発者をターゲットにしたもの。「ゲームコンソール品質のゲームを携帯端末にもたらす,ゲームデベロッパによる,ゲームデベロッパのための開発会議」という位置づけになっている。
TegraとTegra ZoneをアピールするNVIDIA
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![]() Keith Galocy氏が,Tegra最新動向のアップデートを行った |
![]() Tegra Zoneこそモバイルゲーマーが最終的に辿り着く場所だとアピール |
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![]() ゲームの品質が,ビジネスの成功にも大きく影響するとRehbok氏。よいゲームほど平均販売価格や顧客あたりの利益率が高くなるとしていた |
![]() PCゲームのポータルサイトとして(主に北米市場で)成功を収めたnZone。その経験をTegra Zoneにも活かしていくのがNVIDIAの計画だ |
Android端末対応ソフトを購入するにはAndroid Marketのほかに,AppBrainやMyMarektなどのアプリケーション検索サイトや,それこそドコモマーケットのような“Google以外”のアプリケーションマーケットも存在するが,急拡大を続けるAndroid市場だけに,好みのアプリケーションを探し出すのは難しい状況にある。その点,Tegra Zoneなら,Tegra端末に対応したゲームに特化しているうえ,Android MarketやApple AppStoreでは不可能な「正式リリース前の情報公開」も行えるため,プロモーションや開発フィードバックを得るのに最適,というわけだ。
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ゲームアプリのAndroid最適化における勘所
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ただ,一言に「Android環境」といっても,スマートフォンとタブレットでは機能もOSも異なり,画面サイズや,搭載される各種センサー系も機種ごとに異なる。この問題について,ずいぶんと思い切ったことを述べていたのが,Tegra対応ソフトウェア開発をサポートするNVIDIAのLars M. Bishop氏だ。いわく「ゲームを移植するときには,どのデバイスをターゲットにするかを吟味する必要がある」とのことである。
![]() Android対応ゲーム開発では,端末の種類や解像度,パネルの向き,各種センサーの有無などなど,気を配る要素が多い |
![]() 最新のAndroid環境では,最新世代の3Dゲームを移植するのが容易になったため,積極的にTegra対応タイトルを開発してほしいとアピール |
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そのため,PCゲームやコンソールゲームをAndroidに移植するには,C/C++で開発されたソフトライブラリ「Android NDK」(NDK:Native Development Kit)を有効活用できるようにして,「Android SDKを使ってJavaプラットフォーム向けに開発し直す部分を少なくしたほうが効率的だ」と,Bishop氏は指摘する。
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古いOSバージョンをサポートすれば,それだけ多くのユーザーに届けられるわけで,このデータは非常に悩ましい状況を示しているといえるが,Bishop氏はあえて,「魅力的なゲームタイトルをAndroid市場に投入したいなら,Gingerbread以降のOSをサポートすべきだ」と提案する。下記に挙げるようなメリットがあるためというのが氏の言い分だ。
- GoogleがAndroid 2.3でC/C++ライブラリのネイティブ対応を拡張したため,Javaへの移植が最小限に済む
- C/C++のネイティブライブラリがフル活用できるようになったため,ゲームのパフォーマンスを向上させられる
- OpenGL ESに対応したため,グラフィックスの品質や性能を引き上げられる
同氏は「ゲームを『Gingerbread対応』にすることは,それ以前のOSを非サポートとするのを意味する。しかし,Gingerbreadのシェアはここにきて急拡大している。より豊かなゲーム体験を実現するには最新OSのサポートが重要になるのだ」と説く。
![]() Android 2.1のプログラムサポート状況。ネイティブコードからビデオやサウンド,UIレンダリングを利用できないなどの制限がある |
![]() 現在最も普及しているAndroid 2.2におけるプログラムサポート状況。ネイティブコードのサポートが確立されている |
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![]() Android 2.3において,Dalvikのみで制御が必要な機能一覧。ビデオ再生やカメラなどは制御機構はJava環境で構築する必要がある |
![]() こちらはAndroid 3.0のソフトウェア環境。同OSに対応したNDKは用意されていないが,現行のNDKで移植は可能とのことだ |
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クロスプラットフォーム向けに再構築されたPhysX 3.0
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| PhysX開発環境の変遷。2004年にAGAIEAがPhysXをリリースして以来,最大の改良がPhysX 3.0では施されたという |
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| PhysX 3.x世代のロードマップ。6か月ごとのマイナーバージョンアップが計画されている。NVIDIAは,Android版も早期に提供を開始したい考えを示していた |
同社は米国時間5月5日にPhysXの最新リリース「PhysX 3.0」を公開したが,NVIDIAによるとこれは「“AGEIA時代”の2004年に登場して以来初となるコードの大幅な書き換えを行い,真の意味でクロスプラットフォーム環境を実現したもの」。従来,Windows用のソースコードを基にして,各プラットフォームへと移植されていたPhysXが,統合型のシングルコードでマルチプラットフォーム対応を果たしたことになる。
なお,Game Devcon 2011でNVIDIAは,Android版PhysX 3.0の提供を「できるだけ早い時期」に行うとしていた。
注意しておきたいのは,PhysX 3.0でも,Tegraにおける物理シミュレートはCPUコア側で行うのが前提で最適化されているということだ。将来的にはTegraのGPUでPhysXやCUDAのサポート計画を持つNVIDIAだが,それを実現するには,搭載されるUltra Low Power GeForce(ULP GeForce)のコア世代引き上げが必要なはず。それだけに,今回のGame Devcon 2011でも,AndroidプラットフォームにおけるPhysXのGPU処理に関し,具体的なスケジュールは語られていない。
![]() PhysX 3.0は,コードレベルで書き換えが行なわれ,WindowsやLinux,各ゲームコンソール,そしてAndroidまでシングルコードベースサポートできる |
![]() PhysX 3.0でもGPUによる物理演算処理はPC環境だけのサポート。ゲーム機はもちろん,TegraやAndroid環境では,CPUで処理できるよう最適化されている |
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NVIDIAの動きによってPCゲームやコンソールゲームタイトルのAndroid移植が加速すれば,ゲーマーにとっては,広義的にポータブルゲーム機の選択肢が広がることになる。その意味においては,Tegraのロードマップだけでなく,「The Way It's Meant to be Played」を携帯端末の世界でも実現できるのか,NVIDIAのデベロッパサポートも要注目といえそうだ。
NVIDIAのTegra Zone紹介ページ
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