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印刷2007/11/21 11:38

レビュー

シンプルな左手用キーパッドはFPSの操作性を向上させるのか

Wolfking Warrior

Text by 米田 聡

»  フルキータイプではなく,FPSをプレイするために絞り込まれた55のキーを搭載する,ゲーム専用キーボード(キーパッド)。高度なキーカスタマイズ機能をウリにするゲーマー向けキーボードが最近は多い中,カスタマイズ機能のない,わりと直球勝負の製品だが,果たして使い勝手はどうなのだろうか。“Quaker”米田 聡氏が,その実力に迫る。


 今回取り上げる「Wolfking Warrior」は,USB 1.1接続となるワイヤードタイプの左手用キーボード(キーパッド)で,55のキーを厳選してFPS用に最適化したという製品だが,特徴を下手に説明するよりも,実際の写真を見てもらったほうが早いだろう。下に示したのが,Wolfking Warriorの実機写真だ。

Wolfking Warrior
メーカー:Wolfking,問い合わせ先:ゼネラルオートサービス(販売代理店)
実勢価格:5000〜6000円程度(2007年11月21日現在)
Wolfking


[W/A/S/D]を中心として

FPSでよく使うキーを周辺に配置


テストに用いたのは黒モデル。本体カラーはこのほか青,赤,緑,白が用意される
Wolfking
 円形の台座上に,一般的なQWERTY配列の“左側”を中心とした,やや(かなり?)変則的なキー配列で並べられているのが,Wolfking Warriorが持つ最大の特徴である。
 本体サイズは横方向がおよそ230mm,縦方向がおよそ210mm。後述する銀色のキー×3があるため横方向が10mmほど長いが,限られたスペースを有効に使うための左手用キーパッドということを考えると,まずまずコンパクトといっていい。高さはチルトスタンドを立てない状態で奥側(=ファンクションキー側)が約25mm,立てると約33mmとなり,手前側は13mm(※いずれもキートップを含む)である。

 数字だけでは分かりにくいかもしれない。本体手前側にあるWolfkingのロゴマーク近くに手首を置くと,一般的な手の大きさを持つ日本の成人男性なら,[F1]〜[F12]までフル装備となる外周のファンクションキーまでなんとか指が届く大きさ,といえばイメージしやすいだろうか。
 FPSで移動に用いる[W/A/S/D]キーをホームポジションとしたとき,ファンクションキー以外のキーは無理なく操作できる。大きさに関しては,よく考えられている印象だ。

本文でも触れたように,扇状配列となる[0]〜[9]キー。一般的なキーボードは左から[1]〜[9],そして[0]と続くが,Wolfking Warriorではなぜか[0]が一番左だ
Wolfking
 [W/A/S/D]の話が出たので,キー配列について続けよう。マニュアルに「FPS用」と明記されていることもあり,確かにFPSでよく使われるキーが,[W/A/S/D]を中心に配されている。「USE」に割り当てられることの多い[F][G]はQWERTY配列に準じる一方,QWERTY配列だと,数が大きくなると指が届かなくなる[0]〜[9]キーは,本体の形状を生かした扇状配列を採用,といった具合だ。
 無刻印のスペースバーは縦方向に伸びている。スペースバーはFPSだとジャンプなどに割り当てるケースが多いと思うが,親指で操作しやすい位置にあるといっていいだろう。

Wolfking
 キースイッチは一般的なメンブレンタイプだが,「バネ素材に3層シリコンを使用し,キー押下1億回の耐久性を持つ」という。ストロークは実測で4mmほどだが,2mm強押し込んだところでキー入力が反映されるよう調整されていた。マニュアルにも謳われているとおり,確かに素早い操作が可能なようだ。また,厚手のバネ素材を使ったメンブレンスイッチのようで,押下感覚がソフト。素早く/激しく操作しても指を痛める心配はしなくて済みそうである。
 ちなみに,同時押し可能なキー数は最大4だった。決して多くはないものの,普通にFPSをプレイする限りにおいては何ら問題ないだろう。 

 一方でやや気になったのは,キーに段差がない点だ。筆者のように,段差のある「ステップスカルプチャー」(Step Sculpture)タイプのキーボードを使い慣れていると,階段状になっていないWolfking Warriorにはやや違和感を覚えるはずだ。筆者はチルトスタンドを立て,傾斜を強めにすることで対処したが,このあたりは好みが分かれるのではないかと思う。

チルトスタンドを畳んだ状態(上)と立てた状態(下)。横から見るとよく分かるが,キーに段差はない
Wolfking
Wolfking

Wolfking
 ところで,本体の左端にいかにも特殊ボタン然とした外観で置かれているのは,上から[ESC],ボリュームアップ,ボリュームダウンの機能を持つボタンで,キーとは異なる,やや堅めのスイッチが採用されており,頻繁な操作には向かない。もっとも,これらを頻繁に使うことはないから,この点に問題はまったくない。
 なおボリュームアップ/ダウンは,Windowsのサウンドミキサーと連動し,ゲーム中でも問題なく機能していた。


気になる部分はいくつかあるものの

総じて「意外に使える」


突起のある[W]キーがホームポジション探しの起点となる
Wolfking
 正直に述べると,初見時には,これでマトモにFPSをプレイできるのか心配だった。キーの配列が通常と大きく異なるため,ホームポジションの決め方が難しいのではないかと考えたのである。
 しかし,唯一突起のある[W]キーを中心に据えると,同キーに用意された突起を手がかりに,下(=キーパッド)を見ることなく,ホームポジションを決められるようになっている。意外や意外……と言っては失礼かもしれないが,初めてでもそこそこ使えるのだ。

 また,ラバー仕上げとなっている本体表面の感触も悪くない。手首が滑りづらくなっており,これがポジションの決めやすさにつながっているようだ。初見では「手油の跡が残りやすいかな?」と思えたが,実際に使ってみるとそんなこともなく,意外に汚れづらいことも好印象である。

本体背面には滑り止めのゴムが計5か所用意されており,十分な安定感がある
Wolfking
 さて今回は「Enemy Territory: Quake Wars」でじっくりと使ってみたが,Wolfking WarriorはほぼQWERTY配列ということもあり,ゲーム側のオプションでキーアサインを変える必要があったのはごくわずか。移動や「USE」,ジャンプあたりは,一般的なQWERTY配列とほぼ同じ感覚で利用できることが,“そこそこ使える感”につながっている

 また,親指で簡単に押下できる[O][B][<][>][R][G][T]は比較的押しやすく,とくに[O][B]あたりは単独で用意されていることもあって,押し間違える危険も低い。頻繁に使うコマンドは,このあたりを中心に割り当てていくと,すぐ使いこなせるようになるはずだ。

Wolfking
 ただし,気になる部分はもちろんある。まず,最下段の2列,具体的には[M][H][N]キーの列以下は,少なくとも最初のうちは激しく押しづらい。QWERTY配列とはまったく異なる場所に置かれていることもあって,キーパッドを見ずに操作するのは,よほど慣れないと厳しい。頻繁に使う操作に割り当てるのは避けるべきである。
 さらに,序盤で「なんとか指が届く」レベルと紹介したファンクションキーは,キーの“奥行き”が短いため,手前のキーと同時押ししてしまうミスが発生しやすい。ファンクションキーも,なるべく使わないほうがよさそうだ。


30程度のキーでまかなえるゲームにはアリだが

若干の割高感も否めない


 やや押しづらいキーはあるものの,コマンドの割り当てをユーザーが自分なりに考えれば,さほど違和感なく一般的なキーボードから乗り換えられる。これがWolfking Warriorが持つ最大の魅力だ。Wolfking Warriorを利用することで空いたスペースをマウスパッド用に使えるというのは,FPSプレイヤーにとって大きなメリットになるだろう。

製品ボックス。とくにドライバCD-ROMなどは付属していない
Wolfking
 さて,ここまでとくに説明もなく「コマンドを割り当てる」という表現を使ってきたが,Wolfking WarriorはUSBクラスドライバで動作する製品で,とくに専用ドライバソフトや,キーアサインの変更やキーマクロを可能にするようなツールは付属していない。従って,キーにコマンドを割り当てるには,ゲーム側の対応が絶対条件となるわけだが,FPSに限定すれば,筆者の知る限り,コマンドの割り当てが不可能なタイトルは存在しない。FPS用の左手用キーパッドとして考えるなら,カスタマイズツールが存在しないことはマイナスにならない。むしろ,USB接続さえできればどこででも使えることのほうがメリットといえそうだ。

 ただ,55個のキーを持つといっても,実際のゲーム中に“マトモに”使えるキーは,実質30程度であることは憶えておく必要があると感じた。個人的には30もあれば十分だと思うが,こればかりはプレイヤー次第なので,ゲームに使うキーの数が多い人は気をつけておく必要があるかもしれない。

 もう一つ,ハードルとなりそうなのが価格である。冒頭で示したとおり,Wolfking Warriorの実勢価格は5000〜6000円程度だ(※2007年11月21日現在)。この価格をどう捉えるかは人それぞれだろうが,同程度の予算があれば,そこそこの品質を持ったQWERTY配列キーボードを購入できるのを考えるに,安いとはいえない。省スペース性という明らかなメリットに価値を見いだせれば十二分にアリなのだが,同程度の価格で購入できる,そこそこ上質なフルキーボードを購入したほうが,ゲームによっては“使える”場合もある。
 自分のプレイスタイルを勘案して,「果たして本当に必要か」を十分に考えることをオススメしたい。基本的な使い勝手は悪くないので,「必要」という結論が出た人にとって,Wolfking Warriorは間違いなく価値のある製品だ。
  • 関連タイトル:

    Wolfking

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