連載
インディーズゲームの小部屋:Room#456「Beholder」

ミニサイズのファミコンを買って懐かしいゲームを満喫している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第456回は,Warm Lamp Gamesが開発した「Beholder」を紹介する。本作は,アパートの管理人となって住人達の生活を監視し,せっせと政府に密告するというアドベンチャーゲームだ。次はぜひ,ミニディスクシステムをお願いします。
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本作の舞台は,政府が不当に厳しい法律で人々を取り締まり,その生活を徹底的に監視している全体主義国家。ゲームは,逮捕された前任者に代わって,主人公のカールがとあるアパートの管理人に任命され,家族と共に移り住んでくるところから始まる。プレイヤーの仕事は,そんなカールとなって,住人が快適に過ごせるようにアパートを運営していくことだ……。
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というのは,あくまで表向きの話で,プレイヤーの本当の任務はあの手この手で住人のプロフィールを調べ上げ,それをレポートにまとめて政府に報告すること。何気ない会話から,その人物の趣味を聞き出すなんてのは序の口で,住人の留守中にマスターキーを使って部屋に忍び込み,隠しカメラを設置し,ついでに室内を物色して違法な品がないかをチェックするのが主な仕事だ。
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カールには妻と大学生の息子,そしてまだ幼い娘がいる。彼の肩には一家の生活がかかっており,お上から「○○という人物の犯罪の証拠を見つけ出せ」と命令されたら断れない立場だ。生きていくためにはとにかくお金が必要だし,一方でカールのことを良き隣人だと思っている住人達からはいろいろな頼みごとを持ちかけられる。
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政府からの指示とは別の,そうした細々とした依頼にどう対応するかはプレイヤー次第。人権とかプライバシーなんて言葉とは無縁の政府のやり方はとにかくめちゃくちゃなので,住人に同情して手助けしてあげたいと思うこともあるかもしれない。そんなときに,あくまで生活のためと割り切って国家の手先としての務めを果たすのか,危険を承知で密かに住人を助けるのかといった葛藤が味わえる。もちろん,助けたいと思っても,どうにもならないこともあるが……。
理不尽に耐えてお国のために働く「Papers, Please」のような抑圧された世界観と,「This War of Mine」の八方ふさがりな生活を足して2で割ったような本作。いわゆるモラルジレンマを体験できるこのゲームだが,決まったタイミングで同じイベントが発生するという点でランダム性が低く,そのぶん,一人ひとりの登場人物のエピソードに重点が置かれている。
Steamでは,そんな本作のデモ版が公開されているほか,製品版が980円で発売中。他人の部屋に忍び込み,住人が戻ってきて見つかる前にこっそり監視カメラを設置するというのは,なかなかにドキドキできる体験なので,アパートの管理人になって他人の生活を覗いてみたい人はぜひどうぞ。
「Beholder」公式サイト
https://beholder-game.com/![]() |
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