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テレビだけで本格3Dゲームが楽しめる? パナソニックブースでVIERA Connectのゲームを観てきた
初代PlayStationよりは高度な3D画像のゲームがVIERA上で動作
興味深いのは,VIERA ConnectのゲームがVIERA上でスタンドアロンで動くという点。VIERA Connect自体は,AJAX(JavaScriptをベースにした技術)を基盤にしているようなのだが,ゲームについては,ネイティブで動いているようだ。VIERAが映像処理などのために搭載している独自開発の32bit CPU上でゲームが実行されるのだという。フルHD解像度のリアルタイム映像に対して,さまざまな補正や画像補間をかける必要があるため,テレビ用のプロセッサといっても昨今ではかなりの処理能力が要求される。それを活用したということであろう。
「プロセッサはARM系か?」と聞いてみたが違うとのこと。VIERAが搭載するパナソニック独自開発のCPUで,3Dの機能を持っているそうである。となるとパフォーマンスが気になるところだが,いったいどのくらいのものなのか? CESでデモが行われていたレースゲームの画像を見てほしい。
触ってみた印象では,フレームレートはかなり出ており,カクつくようなことはまったくない。テクスチャはやや粗いが,PSPと同程度の3D画像のように見える。テレビに内蔵されているCPUで,こんな3Dのゲームが動いてしまうのだから,ある意味すごい時代になったものだ。
ゲームタイトルに関してとくに言及はなかったが,画面を見る限り,ゲームロフトの「アスファルト5」であることはほぼ間違いないだろう。アスファルト5はテレビセットトップボックス向けの提供がアナウンスされていたソフトなので,VIERA Connectへの提供も,その一環と考えれば納得できる。
VIERA Connectのサービスは日本を含む全世界で提供されるという。ユーザーはVIERA Connectのメニューからゲームを選んでタイトルを選択すると,VIERA本体にゲームが「クラウドからダウンロードされてVIERA上で遊べるようになる」とのことである。価格は数ドル程度で,タイトルによって価格は変わるようだが,できるだけ安価にプレイできるようにする方針とのこと。
ただ,残念ながら,ゲームコンテンツが日本でもサービスされるかどうかは決まっていない。ゲームのプラットフォームがPCとコンシューマーゲーム機に集約されている現在,独自プラットフォームであるVIERA上で動くゲームタイトルが積極的に開発されるかどうかにも少し疑問は残る。とはいえ,テレビというのは国内だけでも年間1000万台超の市場を持っている。今後パナソニック製品すべてに搭載されるのであれば,全世界でたちまち数千万台規模のプラットフォームが現れるということにもなる。そういった部分に魅力を感じるゲームメーカーが現れ,日本でサービスされてタイトルが充実するようならゲーマーにとっても面白い存在になるかもしれない。
そもそもVIERA Tablet自体も,展示担当者になにか聞いても「決まっていない」という答えがほとんどだった。展示されているタブレットは市販されてもおかしくないレベルの完成度に見えたが,CES会場ではデュアルコアCPUが乗るという程度のことしか確認できていない。
ちなみに,パナソニックブースの中心的展示物は当然ながらVIERAだが,数あるテレビメーカーの中でもゲーム系の展示がもっとも盛んだった印象がある。
例えば,他社ではあまり大々的には取り上げられていないNVIDIAの「3DTV Play」も,大画面でのデモが行われていたりした。ゲームも重要なテレビのコンテンツとパナソニックは認識しているのだろう。
テレビ単体で3Dゲームを動作させること自体にどれくらい意味があるのかはさておき,技術的にはそのようなこともできる時代になってきた。ネットワーク配信だけでコンテンツが供給されるなどといった点でも先進性は感じられる。残念なのは,VIERA Connect自体はともかく,ゲーム部分については情報が少なく,パナソニックが,どの程度本気で取り組んでいるのかが見えてこないところ。詳細については今後の情報を待つことにしよう。
日本での展開を含め,決まっていないところが多いようだったが,ゲームプラットフォームの新しい形として記憶しておいてもいいかもしれない。
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