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ハロー!Steam広場 第16回:SAN値がピンチなオープンワールド型植民地
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー Steam 広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者の独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,遊ぶ予定のないゲームを購入してしまう上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第16回は,16世紀後半にアメリカで起きた植民地集団失踪事件をテーマにしたホラーアドベンチャー「Betrayer」をメインに紹介しよう。このほかプレイヤーが作ったダンジョンで遊ぶハック&スラッシュRPG「Fight The Dragon」や,広大な世界をゆったりと探索するRPG「Frontiers - Explore Discover Survive」もあるので,お見逃しなく。
16世紀の植民地集団失踪事件をテーマにしたホラーアドベンチャー「Betrayer」
今回は,16世紀後半にイギリス人植民地で起きたという“ロアノーク植民地集団失踪事件”をテーマにした1人称視点のホラーアドベンチャー「Betrayer」を紹介しよう。
100人以上の入植者が行方不明となったこの事件は,未だにその謎が解明されておらず,ミステリーの1つとして現代でも語り継がれている。
食料不足による人肉食や,植民地からの脱出失敗による遭難といった既存の仮説とは異なる切り口で,オカルティックなストーリーが展開していく。
イギリスからの渡航を経て,未開の地に足を踏み入れたプレイヤーは,かつて開拓民が生活をしていたと思われる居住区“Fort Henry”で,石化した開拓民や,地縛霊を目撃する。プレイヤーは,この居住区で何が起きたかを知るため,手掛かりを探す探索に乗り出すのだ。
世界が基本的にモノクロームで描かれる本作では,“色”と“音”が重要な要素となっている。ストーリーを進めるうえでの鍵となるオブジェクトの一部には赤い色が使用され,どれを調べるべきかが視覚的に分かりやすくなっている。
また,手掛かりに近づくとノイズが聴こえ始める。この時,ノイズが強くなる方向に足を進めると,よほど注意して見なければ分からないような手掛かりが落ちていたりするので,音を聞くことも常に意識しておきたい。
ほかにも意識しなければならないのが,敵の存在だ。居住区の周辺には,スペイン兵士が常に徘徊しているのだが,どうも様子がおかしい。彼らは獣のような声を出しながら辺りを警戒しており,プレイヤーを見つけるやいなや襲い掛かってくるという,まるで何かに取り憑かれているかのような雰囲気なのだ。
さらに,この未開の地にはもう1つの顔がある。それはいわゆる“裏世界”というもので,居住区にある鐘を鳴らすことで,鐘の音と共にその姿を現す。のどかな雰囲気だった昼間とは一変して,辺りは闇に包まれ,それまで見えていなかった“何か”が見え始め,アンダーワールドにでも突き落とされたような気分になる。
裏世界では,スズメのさえずりが,死者のうめき声に変わり,スペイン兵士たちが消えるかわりにアンデッドが徘徊するようになるといった感じで,確実にプレイヤーのSAN値を削りに来ている。正直なところ行きたくはないのだが,裏世界でしか発見できない手掛かりがあるので,そうもいかないのが辛いところ。
アンデッドや幽霊,裏世界などが鍵を握るというオカルト的な視点からみた“ロアノーク植民地集団失踪事件”に興味のある人は,ぜひ遊んでみてほしい。
「Betrayer」Steamページ(19.99ドル)
ユーザークリエイト型のダンジョンで遊ぶハック&スラッシュRPG「Fight The Dragon」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回は,世界中のユーザーが作ったダンジョンを攻略するハック&スラッシュRPG「Fight The Dragon」を紹介しよう。
本作には,誰でも手軽にダンジョンが作れるクリエイトツールが用意されており,プレイヤーは,それを使って独自のダンジョンを作り,オンライン上にアップロードできるのだ。なお,アップロードしたダンジョンは,本作のメインモードである,“アドベンチャーモード”に登場する。
アドベンチャーモードにアクセスすると,未開拓のマップがいくつか表示され,どれかをクリックするとランダムでダンジョンが決定する。ここで決まるダンジョンは,ほかのプレイヤーが作ってアップロードしたものか,あらかじめ用意されているDEMO用のダンジョンになる。なお,フィルターを設定することでユーザークリエイトのダンジョンのみに絞ることも可能だ。いずれは自分で作ったダンジョンに遭遇するかもしれない。
ダンジョンを作るためのクリエイトツールには,標準でたくさんのオブジェクトが用意されており,プレイヤーは基本的にそれらを配置していくだけで良い。AIの行動管理や,オブジェクトの挙動など,小難しい設定などは一切ないので,この手のツールに触れたことのない人でも安心だ。
どんな床を配置するか,この扉を開くには何色の鍵か必要になるか,その鍵はどのモンスターに持たせるか,といった感じに,思いついた要素を1ずつ反映させていけば,おのずとダンジョンが出来上がっていたりする。
ダンジョンをオンライン上に公開するための条件は以下の6つ。
・ゴール地点を設置したか
・テストプレイでクリアできたか
・テストプレイで,最低10匹のモンスターを倒したか
・難度は許容範囲か
・セーブをしたか
この6つの条件さえクリアできればダンジョンをアップロードすることが可能だ。ちなみにテストプレイは,画面上部のメニューバーにある“PLAY TEST”で実行できる。テストプレイは設置したゴール地点に到達してクリアするか,メニュー画面から終了を選ぶことで中断することができる。なお,ダンジョンの難度はテストプレイ時にゲーム側が勝手に判定してくれるので,プレイヤーが意識することは特にないだろう。
個性豊かなダンジョンとの一期一会が楽しめるので,ハック&スラッシュが好きな人は,抜かりなくチェックを。
「Fight The Dragon」Steamページ(14.99ドル)
広大なオープンワールドでゆったりとサバイバル生活を送るRPG「Frontiers - Explore Discover Survive」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今週登録された作品の中でも,特に話題を集めていたのは,オープンワールド型RPG「Frontiers - Explore Discover Survive」だ。
本作は,すでにKickStarterでのキャンペーンが終了しており,目標額である5万ドルの3倍となる15万7381ドルの資金を調達することに成功している。
本作の開発者であるLars Simkins氏は,自身がコアなRPGファンであり,The Elder Scrollsシリーズや,初期のFalloutといった作品のプレイを通して,もっと広大かつ壮大な冒険が楽しめるRPGを,頭のなかで思い描いていたという。
要するに本作は「ぼくのかんがえた さいきょうのRPG」を実現すべく立ち上げたタイトルであり,KickStarterでの動きを見る限り,スタートは好調なようだ。
ゲームは,広大なオープンワールドの世界で,ゆったりとサバイバル生活をするRPGとなり,クラフト要素もあることから,The Elder Scrollsの世界に「MineCraft」のクラフト要素を落とし込んだようなゲームだと考えると分かりやすいかもしれない。
コアなRPGファンであるならば,これからの動向に注目していきたいタイトルの1つだ。
「Frontiers - Explore Discover Survive」GREENLIGHTページ
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