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Access Accepted第548回:gamescom 2017で,各国政府のゲーム産業への取り組み方を見る
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印刷2017/09/04 12:00

業界動向

Access Accepted第548回:gamescom 2017で,各国政府のゲーム産業への取り組み方を見る


 ゲーマーの「夏の風物詩」,ヨーロッパ最大規模のゲームイベント,gamescomが終了した。9年目を迎えた今回,入場者数は業界関係者3万500人を含め過去最大の約35万人を記録し,ケルンメッセのショーフロアは大きく賑わっていた。一方,昨年から拡張が続くビジネスエリアでは,名物となっている国別の「パビリオン」が盛況の様子。今週は,そうしたブースを巡って世界一周気分に浸りつつ,各国政府のゲームへの取り組みについて考えてみたい。


gamescom 2017には38か国のパビリオンが出展


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 2017年8月22日〜26日,ドイツのケルンで開催された恒例のゲームイベント「gamescom 2017」。4Gamerでは今年も取材班を現地に送り,60以上もの記事を直送した。「アサシンクリード オリジンズ」「Wolfenstein II: The New Colossus」,そして「MONSTER HUNTER: WORLD」など,大手メーカーの年末年始向けタイトルや,「We. the Revolution」「Fe」などのインディーズゲームまで,さまざまな記事が並んでいる。

 個人的には,「ああ,このゲームを早くホテルに帰って記事にしたい」と思わせる“何か”かが感じられる新作が多かったという印象だ。一般入場者を対象にしたプレイアブル出展が基本となるファンイベントだけに,完成に近い作品の出展が多く,いつものように,多くのファンが試遊台の前に長い列を作ったり,無料アイテムの入手に勤しむ姿が見られた。

gamescom 2017では最大規模となるドイツのパビリオン群を,ミュンヘンのあるバラヴィア州政府ブース「Games Baravia」の方向から撮影した
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 筆者は,gamescomには過去9回,つまり第1回からずっと参加している。そのため最近は,はるばるドイツに来ても感動は薄くなっていたのだが,今年はケルンメッセの協力により,gamescomのオーガナイザーを務める運営ディレクター,ティム・エンドレス(Tim Endres)氏インタビューする機会を設けてもらい,改めてこのイベントについてのさまざまな知識を得ることができた。

 中でも印象に残っているのが,エンドレス氏の「(gamescom 2017には)38か国のパビリオンが参加している」という言葉だ。「パビリオン」という言葉からは,博覧会のようなイベントで,国やメーカーが趣向を凝らした展示を行っているというイメージが浮かぶが,ケルンメッセでは,主としてそれぞれの国の専門機関が用意した「商談ブース」といった雰囲気だ。自社でブースを出すほどの力がないメーカーや,公的機関が支援したゲームソフトの作品展示のほか,外国企業の投資や拠点の設立を誘ったり,外国企業や大学機関との提携を図ったり,人材を紹介したりといった,さまざまな活動が行われている。
 Game Developers ConferenceやE3,東京ゲームショウでも見かけるし,我々も取材に訪れることもあるが,規模的にはこのgamescomが最も大きいと思われる。

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 連邦制国家であるドイツの場合,連邦政府が設立した「Games Germany」を中心に,それぞれの州政府や大学,さらにドイツのゲーム業界団体であるBIU(Bundesverband Interaktive Unterhaltungssoftware)が1つのネットワークとしてつながっている。
 数年前まで,gamescomでは各政府がばらばらにパビリオンを出していたように記憶しているが,今年はGames Germanyのメインブースの周囲に各州のブースが配置されるという一体感が演出されており,全体でホールの3分の1ほどという大きなスペースを占めていた。

 巨大なプレイヤー数に比べてパブリッシャ/デベロッパが少ないというイメージのドイツだが,パビリオンの様子からは,政府によるゲーム産業育成策がかなりの規模と速度で進んでいることが窺えた。ドイツ連邦共和国首相のアンゲラ・メルケル氏がオープニングセレモニーに出席し,会場内を視察したという事実も,ドイツの本気を感じさせるのに十分だった。

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さまざまな理由や目的で自国をアピールするパビリオンを巡る世界旅行


 2017年に建国150年を迎えたカナダはgamescom 2017の「パートナー国」にも選ばれており,ビジネスエリアでひときわ目をひく,赤と白を基調とした大きなパビリオンを出展していた。
 カナダは,主として地下資源の輸出で得られる税収を背景に,G7各国でも最低の法人税率を誇っており,さらにオンタリオケベック州モントリオールでは,デジタル産業に従事する労働者の年収の最大40%を州政府がカバーするという優遇措置がとられている。そのため,Ubisoft Entertainmentを筆頭に,Electronic Arts,SQUARE ENIXなど,名だたるメーカーが開発拠点を置くようになった。

2017年の「パートナー国」に選ばれた,カナダのパビリオン。G7の中では最も安い法人税を武器に,大手パブリッシャの開発拠点として揺るぎない地位を確保している。また,パブリッシャから独立した開発者達によるデベロッパの数も大きくなりつつある
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 今や,カナダのゲーム産業はGDPの0.5%に達し,ソフトの生産ではアメリカと日本に次ぐ世界第3位の地位を占める。法人化されたゲーム関連企業は472社で,4年前に比べて143社も増える成長ぶりを示し,約3万6500人の雇用を生み出している。ティム・エンドレス氏はカナダについて,「政府とゲーム産業の連携について,学ぶべき点が多い国」と話していたが,そのとおりだろう。

 こうしたカナダやドイツだけでなく,イギリス,フランス,スウェーデン,イタリア,ポーランド,そしてスペインなど,ヨーロッパのメジャーなゲーム生産国はgamescomに必ずパビリオンを出している。またアジアの中国,韓国,シンガポール,そしてイランはもう常連で,ラテンアメリカからはメキシコ,チリ,ブラジル,そしてアルゼンチンが参加していた。

GDCやE3でも必ず見かける,韓国とイギリスのパビリオン。それぞれKOCCA(Korea Creative Content Agency),UKIE(United Kinggom Interactive Entertainment)という政府機関が主催しているが,業界ではもはやブランド名として通用している印象だ。とくにイギリスは,過去最大規模の出展エリアを確保したという
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 今年初めてパビリオンを設置した南アフリカは,「メイク・ゲームズ サウスアフリカ」というキャッチフレーズを掲げ,欧米のゲーム企業に対して優れた人材をアピール。合わせて,ゲーム開発の委託業務にフォーカスしたプロモーションも行っていた。筆者が見た限り,目立った出展ソフトもなく,来場者の注目を集めていたとはお世辞にも言えないが,gamescomへのパビリオン出展はリピーターが多く,コネクション作りやビジネスのメリットはそれなりに高いはずだ。

イランのパビリオンは,中東最大規模だというゲーム開発者会議,「Tehran Game Convention」のプロモーションに余念がない様子
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初参加となったチェコ共和国のパビリオン。昼間は政府の高官がブースの前で演説するなどしていたが,夕方になると飲み会が始まった。ビジネスエリアではよくある光景だ
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 さて,読者もすでにお気づきかと思うが,残念ながらgamescomのビジネスエリアに日本のプレゼンスはない。日本のプラットフォームホルダーや大手パブリッシャがショーフロアで華々しく新作を展示し,多くの来場者を集めているだけに,なぜここに日本のパビリオンがないのかという疑問を持ってしまうのは仕方ないだろう。

 「クール・ジャパン」を推進する経済産業省は東京ゲームショウを後援しているが,ゲーム産業の海外での展開やアセットの売り込みという点については――他国に比較して,独立系デベロッパの数が圧倒的に少ないなど,さまざまな理由があることは承知しているが――新興工業経済地域の国々に比べてさえ遅れているように思える。

かつてはゲームの一部分を受託開発している国というイメージの強かったポーランドだが,CI Games,Techland,CD Projekt REDなどが世界規模の作品を次々に生み出し,今や無視できないプレゼンスを発揮するゲーム大国に成長した
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 最近こそ,日本でもベテラン開発者が独立したり,個性的なゲームを生み出すインディーズ開発者達が登場したりしているが,ドイツやカナダに比べて彼らに対する政府のサポートは乏しく,クラウドファンディングや海外パブリッシャとの提携などにより,独自に道を切り開いていかなくてはならないようだ。

 中国や韓国,イギリスといったゲーム開発で知られる国々のパビリオンでは,大手パブリッシャやデベロッパではなく,本来なら海外イベントでブースを持つことなどとても無理な中小ゲーム企業が呼ばれて作品を展示していた。数が少ないとはいえ,日本政府がgamescomでパビリオンを設置すると聞けば,参加したいと手を挙げる独立系メーカーは少なくないだろう。
 各国のパビリオンを覗いたり立ち話をしてりして,ちょっとした世界一周旅行気分を満喫していた筆者だったが,首相がgamescom 2017に出席したドイツと日本との違いを意識せずにはいられなかった。

「メイク・ゲームズ サウスアフリカ」というキャッチコピーのもと,ゲーム産業の新たな息吹を感じさせた南アフリカのパビリオン
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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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