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Access Accepted第531回:海外における恋愛シミュレーションゲーム事情
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印刷2017/03/27 12:00

業界動向

Access Accepted第531回:海外における恋愛シミュレーションゲーム事情


 恋愛シミュレーションゲームをプレイした経験のまったくない筆者だが,最近,Steamを起動させると「オススメのゲーム」に恋愛シミュレーションジャンルの作品が表示されることがある。どういうアルゴリズムで筆者に勧めてくるのかは謎だが,Steamでもこのジャンルの作品が注目を集めつつあるのは確からしい。というわけで今週は,GDC 2017でちょっと気になったイタリア産の恋愛シミュレーションをサカナに,欧米での恋愛ゲーム事情を調べてみよう。


スペイン産の恋愛シム「Monster Prom」がGDC 2017の話題に


 もうすっかり昔の出来事のような気になっているが,2017年2月27日〜3月3日,サンフランシスコのモスコー二・コンベンションセンターで開催されたGame Developers Conference 2017(以下,GDC 2017)で,記事にしようと思いつつも結局書かなかったネタの1つが,「恋愛シミュレーションゲーム」だ。
 GDCには,今年で4年めの出展となるIndie MEGABOOTHというブースがある。“ブース”といっても,オーディオ関連やプログラミングなど,どちらかといえば専門的なテーマのセッションが行われることの多いウェストホールの3階,踊り場のようなスペースに,いくつかのディスプレイとソファが置かれているだけのものだ。独立系デベロッパのタイトルをここでプレイしたり,開発者から説明を聞いたりできるのだが,大手パブリッシャが協賛しており,ブースの設置費用はかからないという。今年は,選ばれた12本のゲームが展示されていた。

GDC 2017のIndieMEGABOOTHに展示されていた「Monster Prom」
Access Accepted第531回:海外における恋愛シミュレーションゲーム事情

 その1つが,「Monster Prom」というスペイン生まれの恋愛シミュレーションゲームだ。あらかじめお断りしておくと,筆者は恋愛シミュレーションというジャンルのゲームをプレイした経験がなく,取材も考えてはいなかった。ただ,次のセッションのためにホールを歩いていると,遠くから歓声が聞こえてくる。なんだろうと思ってその声をたどると,ブースに人だかりができていた。そこでふと,足を止めたのだ。

 バルセロナに本拠を置くBeautiful Glitchは,わずか8人の開発者によるデベロッパで,彼らの「Monster Prom」は,2016年にKickstarterを使ったクラウドファンディングキャンペーンを行い,目標額の4倍にあたる約3万2000ユーロの開発資金を得たプロジェクトだ。吸血鬼やマーメイドなど,モンスターや伝説のクリーチャーが通う高校を舞台にした学園モノで,4人のプレイヤーが楽しめるマルチプレイ専用ゲームとなっている。3人の男女から好きなキャラクターを選び,ターン制で自分の行動や会話を選択していくというもので,GDC会場で見たように,1つのディスプレイの前でワイワイ言いながらプレイする,いかにもラテン的な雰囲気のパーティーゲームだ。
 グラフィックスやキャラクターのアート,インタフェースは素人っぽく,プレイヤーがあれほど盛り上がっていなければ,ジャンルと見た目だけで素通りしていただろう。

2017年5月のリリース後,さらに男女2人のキャラクターがアップデートで追加されることが決まっている「Monster Prom」。有志による各国語のローカライズも進められているという
Access Accepted第531回:海外における恋愛シミュレーションゲーム事情


欧米では未開拓なゲームジャンル


 恋愛シミュレーションというジャンルは,欧米でも以前から存在している。例えば,イギリスのジョージナ・ベンスレー(Georgina Bensley)氏は2003年,Hanako Gamesを設立し,日本の影響を受けたというゲームをいくつも開発しているが,その中には恋愛シミュレーションの「Summer Schoolgirls」(2005年)や,ビジュアルノベル「Fatal Hearts」(2008年)などもあり,ファンを増やし続けている。

 しかしアメリカでは,議会でも討論されることになったレイプシミュレーション「レイプレイ」(2009年)の影響が現在でも強く残っており,ゲームでの恋愛や性的表現に対する社会の反発は根強いように感じられる。
 事実,2012年には,「Seduce Me」というリゾート地を舞台にした恋愛シミュレーションが「Steam Greenlight」に登録されたが,その後,Valveの“配慮”によって削除されている。この「Seduce Me」は,お酒やペットなど,複数の会話オプションから,恋愛対象の好みを想像し,相手が繰り出す会話とマッチングさせていくという内容で,簡単なカードゲームのようなゲームメカニズムが基本になっていた。最後にお目当ての相手とゴールインすると,ちょっとした,エロチックな画像がご褒美として表示されるのだが,これがValveに敬遠されたようだ。

「Seduce Me」は,まだ海外のAmazonなどで入手できる模様。マッチョな男とセクシーな女性達という,欧米的エッセンスの濃い恋愛ゲームも方向性の1つだ
Access Accepted第531回:海外における恋愛シミュレーションゲーム事情

 「Seduce Me」の開発元だったNo Replay Gamesは,「Steamにはあれだけ暴力的なゲームがあるにもかかわらず,このゲームが発売できないのは,アメリカの文化的な問題だ」と主張。恋愛シミュレーションとエロゲー(こちらも,アメリカには以前からある)の違いを明確にしようとしていたが,結局,Steamでのリリースはかなわなかった。やむなく自主販売を行ったが,開発資金を十分に回収できなかったようで,同社は現在,存在していない。

 Steamに「Dating Sim」(恋愛シミュレーション)というサブジャンルが登場したのは2014年に入ってからのことだ。Sakura River Interactiveというメーカーが2009年にリリースした「Faded Hearts」という作品がSteamで販売されて以降,同ジャンルに含まれる作品が次第に増えている。2014年にリリースされた,「はーとふる彼氏」(Hatoful Boyfriend)のような日本のゲームも,高い評価を獲得するようになった。

 興味深いのは,恋愛シミュレーションがしばしば,Steam Reviewで高い評価を受けることだろう。タイトルやプレイヤー数はまだ少ないかもしれないが,熱狂的な支持者が欧米に生まれつつあることをうかがわせる。「Monster Prom」もそうしたムードの中で生まれ,「陽性の楽しい恋愛シミュレーション」という欧米らしいコンセプトがGDCに集まった開発者達に大受けしたと思われる。

タイトルどおり,恋愛というか「ヤンデレ」をシミュレートした「Yandere Simulator」。病み過ぎなシチュエーションが敬遠されて,欧米のゲームメディアで取り上げられることはほとんどない
Access Accepted第531回:海外における恋愛シミュレーションゲーム事情

 恋愛の対象が鳥という「はーとふる彼氏」の奇想天外さも,欧米ゲーマーにとっては驚きだったようだが,負けず劣らず,アメリカでも意表を突いた恋愛シミュレーションが次々に作られている。
 例えば,大好きなセンパイに近付く恋のライバルを次々とキルしていく「Yandere Simulator」は,欧米のゲームメディアにはまったく相手にされず,完成前にTwitchからバンされるという問題作だったが,一方でファンの数もかなり多く,YouTubeで開発者ビデオダイアリーが公開されると,数日後にはもう100万ビューを超えるという“隠れた注目作”になっている。

 北米でリリースされた「Mass Effect: Andromeda」など,大手パブリッシャの中にも恋愛表現や性的表現について積極的に切り込んでいくタイトルも現れてきたし,3月13日に掲載した本連載の第530回「GDC 2017に見るオンラインハラスメントや多様性の問題」にも書いたように,ゲームの内容とは直接関係なくても,キャラクターの(おもに性的な)多様性を主張するという動きも出てきている。ゲームキャラクターがリアルになるほど,設定上の現実として恋愛は避けて通れなくなっており,今後の欧米ゲーム開発において,恋愛シミュレーションは大きなトピックとして盛り上がっていくはずだ。筆者もそろそろ挑戦する頃合いかもしれない。


著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。

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