業界動向
Access Accepted第316回:人間の五感に訴える,ちょっと変わったゲームデバイス
例年にないほどの激戦が予想される欧米ゲーム業界の年末商戦。読者の多くも,PCのグレードアップや,貯金,有給休暇の申請など,準備をしっかり進めているはずだ。この機会に,いろいろなパーツを新調するゲーマーも多いと思うが,そんな人のために,五感を駆使してゲームを楽む,ちょっと変わったゲーム用デバイスを集めてみた。
全身でゲームを楽しむ「ゲーム道」を極めよう
例年にないほどの激戦が予想される,2011年の新作ラッシュ。いよいよ後半戦が始まった9月には,Sony Computer Entertainmentの「RESISTANCE 3」,Deep Silverの「Dead Island」(PC/PlayStation 3/Xbox 360),SEGAの「RISE OF NIGHTMARES」,THQの「Warhammer 40,000: Space Marine」(PC/PlayStation 3/Xbox 360),Ubisoft Entertainmentの「Call of Juarez: The Cartel」(PC/PlayStation 3/Xbox 360),そしてTripWire Interactiveの「Red Orchestra 2: Heroes of Stalingrad」,そしてMicrosoftの「Gears of War 3」など,どれを遊ぶべきか迷ってしまうようなタイトルが並ぶ。
もちろん,10月〜11月にも数々の大作がひしめいており,今年のタイトルを消化するだけで,来年のいつまでかかることか。
そんな嬉しい悲鳴が上がる状況だけに,この連載を読んでいる皆さんであれば,すでにPCのグレードアップやコンシューマ機のクリーニングやHDの最適化などといったことは,すでに終わっているはずだ。グラフィックスカードやゲームパッド,マウス,ヘッドセット,椅子/座椅子,座布団……。この新作ラッシュを機に,新調できるものは新調し,最高のゲームを最高の環境で遊び,最高のときを味わう。これこそ「ゲーム道」というものではないだろうか。
そんな至福の時間を,さらに楽しみたいという求道者にとっては,やはりゲームデバイスや周辺機器の選択も欠かせない。もっとも,マウスやキーボード,グラフィックスカードやゲームパッドなどは,新製品がでるごとに4Gamerで紹介しているので,今回は,ちょっと変わったゲームデバイスを紹介したい。いずれも,五感でゲームを味わえるようなものばかりで,新たなゲーム体験の扉を開けてくれるかもしれない。ここで紹介したアイテムは,基本的にAmazonなどの通販サイトを使うことで日本からの購入も可能だが,トラブル発生時には英語での対応が必要になることもある。あれやこれや,自己責任でお願いしたい。
ゲームと照明を連動させよう
Cyborg amBX Gaming Lightsメーカー:Mad Catz
公式サイト:http://www.ambx.com/
定価:99.99ドルから
異世界の冒険に熱中しているとき,ふとディスプレイの向こうの壁や室内の様子に目がいき,いきなり現実に戻されてしまうような経験をしたことがないだろうか。Mad Catzが販売している「Cyborg amBX Gaming Lights」は,周囲の環境をゲームに連動させる,おそらくゲーム周辺機器史上初めての照明器具だ。
Cyborg amBX Gaming Lightsは,二つの照明器具をゲームと連動させるもので,例えば爆破が起きると背景の壁が黄色く照らされたり,被弾すれば赤くなるといった演出が施されるわけだ。出せるカラーは16万色で,「Assassin's Creed」や「Quake 4」といった一部のゲームでは,特殊な効果にも対応しているという。
販売は,イギリスと北米,ベネルクス三国,そしてアジア太平洋地域に置かれた代理店が担当しており,アジア太平洋地域は韓国の会社になっている。詳しくは,公式サイトを見てほしい。
シザーハンズ並みの絶妙コントロールが可能に
N-Control Avengerメーカー:iControl Entgerprise
公式サイト:http://www.avengercontroller.com/
定価:49.99ドルから
ティム・バートン監督の映画にでも出てきそうな異様な雰囲気を漂わせる「N-Control Avenger」は,PlayStation 3/Xbox 360向のコントローラ用アダプタだ。一見するとレバーだらけで非常に複雑だが,指をいちいち動かしてボタンの位置を探らなくても良いように設計されており,「意外と使いやすい」と欧米の各サイトでは大評判になっている。秋葉原のショップなどで,輸入品を見かけた読者の人も多いのではないだろうか。
公式サイトによれば,これまで純正コントローラーに慣れ親しんできた人でも,一時間ほど使っているうちに,ボタン連打や正確な照準ができるようになってくるとのこと。まるで,ハサミを華麗に操るエドワード・シザーハンズのようだが,これだけでゲームがより簡単になるのなら,使ってみたいというプレイヤーは少なくないはず。
どんなゲームでも体感マシンにする不思議デバイス
KOR-fxメーカー:Immerz
公式サイト:http://www.kor-fx.com/
定価:189.99ドル
「KOR-fx」は,ジャンルとしてはオーディオ系のデバイスだが,スピーカーでもヘッドフォンでもないという変り種。掲載した写真のように使用するもので,胸に当たる部分から重低音が出て,それが肺に反響することによって体全体が揺れているような感覚になれるという。開発元のImmerzはこれを「4D」と表現しており,つまり体感マシンの1種だ。
2011年6月に開催されていたE3 2011の際,コンテナのようなブースでKOR-fxの体験デモを行っているのを見かけたのだが,ワイワイ騒いでいる人々が何をしているのか分からずに素通りした記憶がある。しかし,こうして公式サイトでチェックしてみると,かなり面白そうなデバイスだ。心臓の弱い人向きではなさそうだが,ゲームだけでなく映画,音楽でも使えるとのことだ。価格は発表されているものの,残念ながらまだ完成はしていないようで,予約を受け付けている段階だ。
ゲームは嗅覚でも楽しもう
ScentScapeメーカー:Scent Sciences
公式サイト:http://www.scentsciences.com/products.html
定価:69.99ドル
この夏“匂いつき映画”としてちょっと話題になった「Spy Kids: All the Time in the World in 4D」だが,映画で使われていた「ScentScape」を家庭用向けに小型化した製品がゲーム用に発売されている。カートリッジの中に込められた20種の薬品を状況に応じて混ぜ合わせることで,特定の匂いを作り出すもので,海辺や草原,さらにオーブンから取り出したばかりの七面鳥などの匂いを再現できるというから驚きだ。一つのカートリッジは200時間程度の利用が可能とのこと。
公式サイトの情報によると,ゲーム開発者向けの「ScentScape Game Suite」が近々公開される予定で,「World of Warcraft」のロゴがついたモックアップもある。現時点で実際にWoWがサポートされているのかどうかは分からないものの,「Worgenでは,どんな匂いがするのだろう?」と考えると,かなり気になる。対応タイトルが増えると,面白いことになりそうだ。こちらも,詳しくは公式サイトをチェックしてほしい。
著者紹介:奥谷海人
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,北米ゲーム業界に知り合いも多い。この「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年に連載が開始された,4Gamerで最も長く続く連載だ。バックナンバーを読むと,移り変わりの激しい欧米ゲーム業界の現状が良く理解できるはず。
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