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印刷2010/12/13 16:29

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第287回:増え続ける北米のゲーム開発費用

奥谷海人のAccess Accepted

 世界最大規模のゲームマーケットを誇るアメリカ。ゲーム業界の成長速度は鈍化しているとはいえ,モバイルゲームやソーシャルゲームといった新勢力の登場も手伝って,今なお伸びている。しかし,それでもマーケットの主役は,依然として膨大な開発費をかけて一気に売る“ブロックバスタータイトル”であることに変わりはないようだ。今回は,2010年の北米市場を振り返りつつ,ゲーム開発の最近の動きをまとめてみよう。

第287回:増え続ける北米のゲーム開発費用

 

月間売り上げが30億ドル目前だったアメリカ
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発売から,わずか3週間で1460万本ものソフトを売った「Call of Duty: Black Ops」。まさに,最近の「ブロックバスター型」ゲームを象徴するようなトリプルAタイトルといえそうだ

 雇用情勢の悪化が報道されるなど,相変わらず経済回復の兆しが見られないアメリカだが,ゲーム市場に限れば,成長速度こそ鈍化したものの伸び続けている。北米のリサーチ会社であるNPD Groupは,2010年11月のゲーム関連の販売総額が29億9千万ドル(約2508億円)に達したとレポートしており,この数字は2008年の実績をわずかながら上回る。ずっと右肩上がりで成長を続けてきた北米のゲーム市場だが,2009年には,不況による消費者の買い控えが進んだせいで,史上初めて前年のセールスを下回る結果を出してしまった。この数字は,それが回復基調にあることを示すと見ていいだろう。

 今回の結果に貢献したのは,間違いなくハードウェアだ。NPD Groupによれば,ショッピングシーズンの始まる11月のハードウェアセールスは,前月10月に比べて2〜3倍の伸びを示している。Xbox 360の販売台数は10月の32万5000台から137万台に,Wiiは同23万2000台から127万台へと,大幅に増加しているのだ。
 もちろんこの数字は,「お金を節約するため,セールの始まる11月にコンシューマ機の購入が集中した」ためで,10月の販売台数がそもそも低調だったと見ることもでき,たぶんそれは間違ってはいないだろう。
 アメリカのいわゆる中間層は,クリスマスギフトの費用として子供1人あたり平均5万円を充てるといわれており,販売から1か月で250万台を販売したMicrosoftの「Kinect」など,コンシューマ機や周辺機器の多くがその価格帯にフィットしている。日本の3倍以上の規模になったと推定される北米ゲーム市場だが,まだまだコンシューマ機に対する需要は衰えていないようだ。

 一方で,NPD Groupが発表した11月のゲームソフトの販売動向を見てみると,「Call of Duty: Black Ops」 が発売以来3週間で840万本を達成し,ダントツで1位になっている。トップ10入りしたソフトの販売本数は正式公開されていないようなので,以下は推定値となるが,100万本を超えたのは2位の「Assassin’s Creed: Brotherhood」だけで,本数は114万本。6位の「Donkey Kong Country Returns」では63万500本となっている。
 Call of Duty: Black Opsの840万本は北米だけの売り上げであり,世界規模ではすでに1460万本を超えるといわれる。2010年は,このCall of Duty: Black Opsのように,膨大な開発費をかけ,何百万本も売るという「ブロックバスター型」のタイトルの成功が非常に目立つ年だった。

 

販売本数300万本が当確ライン?
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Red Dead Redemptionの開発費は1億ドル(約83.9億円)だとウワサされているが,その根拠として,Rockstar Gamesの「Grand Theft Auto IV」の開発にそれだけの予算が投入されていることが挙げられる。オープンワールドスタイルのゲームの場合,おそらく開発にかかる人員や期間も相当なものになるだろう。しかし,実際に広告費なども含めた総額が,どれほどのものになるのかは推察の域を出ない

 2010年に発売されたタイトルの販売実績を見てみよう。600万本台のセールスを記録したタイトルとしては,「Red Dead Redemption」(5月発売/675万本)を先頭に,「Halo: Reach」(9月発売/660万本),「Final Fantasy XIII」(5月発売/605万本),「FIFA 11」(9月発売/600万本)と続く。500万本台には,「Dragon Quest IX: Sentinels of the Starry Skies」(7月発売/515万本),「Super Mario Galaxy 2」(5月発売/505万本),そして「Battlefield: Bad Company 2」(3月発売/500万本)がある。これらが非常に成功した例として挙げられるタイトルだが,ラインを200万本以上を売り上げたソフトに下げると,上記を含めて合計で20本程度になる。

 また,200万本以上を販売したタイトルの中で,シリーズものではないソフトはRed Dead Redemptionだけだ(もっとも,2004年にRockstar Gamesからリリースされた「Red Dead Revolver」の続編,という見方もできるが)。このような,大ヒットするソフトはほんの一握りのシリーズものという,ここ数年のトレンドは顕著で,北米のゲーマーの嗜好が狭くなっているのは間違いない。

 ところで,Call of Duty: Black Opsのようなブロックバスタータイトルには,いったいいくらぐらいの制作費がかけられるのだろうか? 多くのメーカーと同様に,Activisionもゲーム開発費に関する情報を公開することはめったにないが,同社が本拠を置くロサンゼルスの地元紙,Los Angeles Timesが2009年,「Call of Duty: Modern Warfare 2には5000万ドル(42億円)の開発費がかけられた」と報道している。
 Los Angeles Timesは情報の出所を記しておらず,また記事に対してActivisionは否定も肯定もしなかったので,信憑性についてはやや疑問符がつくものの,筆者の見聞きする,最近のトリプルAタイトルの開発費としては妥当なところだと思える。

 ただ,ゲーム開発には制作に直接かかわるスタッフの人件費や機材,ライセンス料などの直接経費だけでなく,ディスク,マニュアル,パッケージなどの流通費用に加え,宣伝費などもかかる。テレビや一般誌などに広告を出すトリプルAタイトルともなると,宣伝費はバカにならず,Call of Duty: Modern Warfare 2やCall of Duty: Black Opsにはトータルで2億ドル(約168億円)程度かかっているはずだという推測もある。

 以前,Electronic Artsのエクゼクティブプロデューサー,Greg Goodrich氏が「Medal of Honorが,300万本を販売できないとシリーズを終了させる」と述べたことがある。また,発売から3か月の時点で200万本に達しなかった「Bioshock 2」について,Take-Two Interactiveは「残念な結果だった」と株主に向けた報告会で語っている。以上のことから,ブロックバスターと呼ばれるレベルのゲームで成功かそうでないかを判断するのは,実績200万本〜300万本が目安になっているのではないだろうか。

 

ブロックバスター化するゲーム制作のリスク
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大作化するアメリカ産ゲームの中でも,「Star Wars: The Old Republic」の予算はズバ抜けたものになりそうだ。8つのキャラクタークラスがあり,クエストに登場するすべてのNPCにボイスが用意されているという壮大なプロジェクトであり,そのため制作費がとんでもない額に膨らんだのだろうか。BioWareは「100万人のアカウントでペイできる」と見込んでいるようだが……

 一時期,ハリウッドを中心とする北米映画産業で盛んに使われていたブロックバスターという言葉は,もともとは,第二次世界大戦中,大量の爆弾を投下して街の一区画(ブロック)を破壊し尽くす空襲のことを指した言葉だった。これにならい,莫大な資金を一気に投じて制作され,成果を挙げた映画を,1950年代からブロックバスター映画と呼び始めたのだ。

 もっとも,どれだけ大量の予算を投入しても失敗することはある。1963年に公開された「クレオパトラ」は,人気女優だったエリザベス・テイラーを主演に,壮大なセットや無数のエキストラを使った文字のどおりのブロックバスター作品となるはずだったが,結果として4400万ドルの制作費のうち,2600万ドルしか回収できず,配給元の20世紀フォックスは倒産の危機に陥ってしまった。インフレーション率を調整し現在の価値に直すと,当事の4400万ドルはざっと,約3億7000万ドル(約310億円)となり,この記録(?)は2億ドルの制作費が普通にかけられるようになった現在でも破られていない。
 ちなみに,なんとか倒産を免れた20世紀フォックスだったが,1977年に「Star Wars」が大ヒットするまで,ずっとクレオパトラで作った借金を返済し続けていたそうだ。

 現在のハリウッドは,さまざまな方法で経営上のリスクを拡散しており,1作の失敗で会社が傾くようなことはないだろう。ゲーム業界でも事情は似ているが,このまま開発費が高騰を続けると,いずれ似たような事例が起きないとも限らない。
 例えば当連載の第279回「Mythicに降ってわいた。内部告発のスキャンダル」で紹介したように,「Star Wars: The Old Republic」の開発には3億ドル(約252億円)がかけられていると言われる。その額が正しいとすれば,ゲームの開発費としてはおそらく過去最高で,MMORPGというジャンルにおいてそれを回収できるのかと,疑問を示すメディアもある。

 いずれにせよ,ブロックバスター型のゲームは成功すれば大きいが,失敗すると悲惨なことになる。ギャンブル色がますます強くなりつつあるアメリカ式のゲーム開発手法を,危なっかしく感じてしまうのも事実だ。いずれ,ゲームの開発/販売の方法を根本から見直すようなことが起きる可能性も否定できないだろう。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住の4Gamer海外特派員。ゲームジャーナリストとして長いキャリアを持ち,多様な視点から欧米ゲーム業界をウォッチし続けている。2004年に開始された本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,4Gamerで最も長く続く連載だ。
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