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印刷2008/10/03 13:13

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奥谷海人のAccess Accepted / 第189回:独立系デベロッパの逆襲

奥谷海人のAccess Accepted

 ここ数年,独立系デベロッパの躍進が著しい。2〜3年前から「Steam」やXbox Live Arcadeのようなオンライン配信サービスが整備され,有能でアイデアのある独立系デベロッパが,ファンに直接アピールできる土壌が育ってきたのである。今回は,映画・音楽業界でも起きているこのトレンドを,要注目の三つのインディーズゲームと併せて紹介しよう。

独立系デベロッパの逆襲
再び独立系デベロッパが注目される時代が
やってきた!

 ゲーム産業の黎明期には,数人のプログラマーが寄り集まり,数か月でゲームを作るというようなことが一般的だった。欧米の古参ゲーム業界人が「ガレージでのゲーム作り」といった思い出話を語ることが多い。Command & Conquerシリーズで知られるWestwood Studiosや,「DOOM」のid Softwareも,ガレージや自室でのゲーム作りに端を発しているのだ。

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ストラテジックなゲームプレイを前作「Darwinia」から継承して,マルチプレイモードの要素を取り入れたのが,「Multiwinia: Survival of the Flattest」だ。開発元のIntroversion SoftwareはDarwiniaをリリースした2005年頃に,「最後の寝室開発者」などと呼ばれた。だが予想に反し,彼らのような独立系デベロッパはさらに目立つようになってきたのである

 ちなみに,Ultimaシリーズの生みの親として有名なRichard Garriott(リチャード・ギャリオット)氏も,かつて筆者に「20歳にもならない私が,自分の部屋にこもって数か月の間に作り上げたUltima Iによって,15万ドルという報酬を得られました。生産性という面では最も成功したプロジェクトでしょう」と語っていたことがある。

 その後,1990年代中期から始まった3Dグラフィックスゲームの勃興と比例するように,開発会社の巨大化が進み,プロジェクトも大きくなってきた。だが最近は,大きなプロジェクトに携わることを嫌う開発者が目立つようになってきたのも事実である。開発者への実入りが少ないということが明白になり,自分の作り出した知的財産を保護する目的で,独立するケースも少なくないのだ。

 さらに,独立系デベロッパの成功は,「Steam」やXbox Live Arcadeといったオンライン流通システムの発達によって目立つようになった。開発者とゲーマーの間で直接コミュニケーションを取って,ゲームに対する意見を吸い上げるといったことが可能になってきたのである。また,リアルな3Dグラフィックスを使ったなゲームばかりではなく,ゲームコミュニティやアフターケアといった付加価値に,目を向けるようになったゲーマーが増えてきたことも,その一因に挙げられるだろう。

 

新たな時代の息吹を感じる,
インディーズゲームの成功

 独立系デベロッパによるゲームで成功したものは,Steamで配信されたものだけでも少なくない。Introversion Softwareがリリースした「Darwinia」,Peter Molyneux(ピーター・モリニュー)氏のLionhead Studiosでプログラマーをしていた人物がアイドリング(商品化が前提のゲーム開発に携わっていない状態)時に作った「Rag Doll Kung Fu」,さらに2008年2月にリリースされてヒットした音楽アクション「Audiosurf」などが,有名な例として挙げられる。これらは,ただ単に「短時間で簡単に作った」というだけではなく,独特のアイデアが詰まっていた。販売本数の読みやすい続編に頼る傾向の強い大手では,発売しづらい個性的なゲームなのだ。そういった個性が,ファンに受ける要素の一つになっているのだろう。

 ちなみに,このような流れは映画界でもあり,「エル・マリアッチ」(1992年)や「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年)は,低予算ながらもメインストリームに食い込んだ。音楽業界でも,ダウンロード配信時代が幕開けし,YouTubeやiTunesなどで作品を発表したローカルなミュージシャンが,メジャー入りするようなトレンドもある。

 今後,こういった流れの中で生まれるゲームの中から,ファンに絶賛されるものが多く登場すれば,ゲーム産業のあり方が大きく変わるかもしれない。今回はここ最近の独立系プロジェクトとして,注目しておきたいゲームタイトル3本を紹介しよう。

Plain Sight
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 「Plain Sight」は,ロンドンのBeatnik Gamesが開発中のアクションゲームで,Xbox 360 Live ArcadeとPCでリリースが予定されている。本作は,剣を振り回すロボットを操ってほかのロボットを倒すというゲームだ。ただし,単純に倒せばいいわけではない。自爆して敵を倒すとポイントを溜められるようになっており,自爆と復活を繰り返していくのだ。相手に倒されるとポイントを奪われるので,うまく敵を避けながら,なるべく多くの敵を自爆に巻き込んでポイントを稼ぐのである。最終的に,一番多くのポイントを貯めたプレイヤーが勝ちというルールだ。

 10人程度が同時にプレイできるそうだが,それ以上は「現状はコンピューターが揃えられずテストしていない」とのこと。PCでは,11月中にオープンβが予定されている。

The World of Goo
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 オープンソースのミドルウェアを使って開発されている「The World of Goo」はPCとMac,Wii向けに開発されているパズルゲームだ。

 Electronic Artsに在籍していた二人組みが,2D Boyという開発会社を設立して制作しており,2008年2月に行われたIndependent Game Festivalでは,Design InovationとTechnical Excellencyの2部門で賞を獲得した。

 The World of Gooは,「Goo」と呼ばれるアメーバ状の生物を組み合わせ,高い塔や橋といったオブジェクトを作るのが目的だ。6チャプター48レベルが用意されており,重力で崩れないようにGooを接合しながら,渓谷に橋をかけるといった,さまざまなミッションの達成を目指す。

 Gooには,一般的に利用する黒いCommon Gooのほか,風船のように上昇するBalloon Gooや,補強に使えるレアなIvory Gooなどが存在する。これらをうまく組み合わせるのがポイントのようだ。

 ひたすら高い塔を作るだけのモードも存在し,専用サーバーで自分の塔を登録して,高さを競い合うといったサービスも予定されている。

N+
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 「N+」は,カナダのSlick Entertainmentという開発チームが製作したアクションゲームだ。もともとはFlashをベースにPC用に開発され,現在でも無料で提供されている。2008年2月にXbox Live Arcade向けにリリースされると大反響を呼び,8月にはNintendo DSやPSP版も北米市場向けに発売されるなど,アメリカンドリームのような成功を収めている。

 N+の「N」とは,Ninja(忍者)のことである。表情もなにもない真っ黒で簡素なキャラクターを操作して,プレイヤーは金貨を集めながら進んでいく。ドロイドやミサイルなどの妨害を避けながら,一定の時間内で最終地点まで到達しなければならない。

 ようするに初期の「スーパーマリオブラザーズ」風なゲームなのだが,Xbox Live Arcade版で150,Nintendo DSやPSPでも100ステージもあり,ボリューム感が魅力の一つ。また,4人までのオンラインモードもあり,ゴールまでの到達時間を競える。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。先週末は,娘さんが所属するサッカーチームの遠征で,ワインで有名なナパ方面へ泊まりがけで行ってきたという奥谷氏。夜は子供達がホテルのプールで遊ぶ傍ら,親達はワインを飲んで大いに盛り上がったという。次の日に行われた試合では,いつもゴールキーパーの娘さんが後半にフォワードとして出場して点を決めたのだが,二日酔い気味の奥谷氏は木陰で居眠りをしており見逃したそうだ。しかも,だらしなく眠っている姿を娘さんに見られていたいうオマケ付きだ。親として致命的な失点をしたようですね……。

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