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「剣と魔法の博物館 モンスター編」第71回を掲載:天狗
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印刷2008/01/28 20:09

連載

剣と魔法の博物館 〜モンスター編〜
第71回:天狗
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 当連載ではこれまで,西洋由来のモンスターを紹介する機会が多かったが,東洋にも数多くのモンスターがいる。もちろん日本にも,多種多様なモンスターが伝えられており,鬼,河童,天狗など,名前を挙げていけば枚挙にいとまがないほどだ。今回は,そんな中から「天狗」を紹介したいと思う。

 天狗といえば,和製ファンタジーの定番ともいえる存在。赤い顔で鼻が非常に高く,背中には翼があって,空を飛べる。手には突風を起こせる葉団扇を持ち,一本歯の高下駄を履いている。さらに神通力と呼ばれる不思議な力を使うことでも知られ,亜種として,鳥の頭を持つ烏天狗といったものもいるようだ。

 天狗といえば,いたずら好きなことでも有名だ。木が倒れる音がするが,実はどの木も倒れていないという「天狗倒し」,どこからともなく小石が飛んでくる「天狗つぶて」,不敵な笑い声が響き渡る「天狗笑い」,消息不明になってしまう(天狗の)神隠し,誰もいないはずなのに山小屋が揺れる「天狗ゆすり」などなど,天狗の名前を冠した現象は多く残されており,天狗の知名度の高さを証明するよい材料といえそうだ。

 「鼻が高い」という言葉からも想像できるように,彼らは傲慢な振る舞いをするといわれているが,意外なことに「教えたがり」な一面もあるため,仲良くなれば,貴重な情報や,教えを受けることも可能だろう。
 有名な例としては,牛若丸(源義経の幼少期)が鞍馬山の天狗に剣術や体術を習ったとされている。義経といえば,武蔵坊弁慶にその実力を認めさせて部下とし,壇ノ浦では船から船へと飛び移る「八艘跳び」を見せた。また騎馬もろとも崖を下るという「鵯越の逆落とし」など,当時の武者としては掟破りな戦術を見せている。これらは天狗の教えからくる発想なのかもしれない。

 

 はるか昔,中国では空を駆ける流れ星のことを怪物に見立てて,天狗(あまきつね)と呼んでいた。これが日本に伝わり,日本でも最初は空を駆けるモンスターであったとされている。ちなみに,日本で最も古い記録は「日本書紀」で,舒明天皇の治世に雷のような音を伴った流れ星が,東から西へと跳んでいったという。これを見た僧が,「あれは流星にあらず,アマキツネなり」と言ったそうだ。
 ところが時代が進むにしたがって,次第に山に発生する怪奇現象や怪物と同一視されるようになり,さらには山中で修行する修験者の要素を取り込み,現在の天狗のイメージが確立されていった。
 ちなみに日本の伝承では,おごり高ぶった修験者が死ぬと天狗になるという話があるほか,長野県松本地方では,天狗は鯖(さば)が嫌いだと言い伝えられている。天狗にさらわれそうになったり,襲われそうになったら,「さば食った,さば食った」というと退散するらしい。

 しばしば山の神として,畏敬の念を持って見られる天狗だが,江戸中期に書かれた「天狗経」によると,日本全国の山々には有力な48人の大天狗がいるそうだ。それらは,「鞍馬山僧正坊」(くらまやまそうじょうぼう),「高野山高林坊」(こうやさんこうりんぼう),「象頭山金剛坊」(ぞうずさんこんごうぼう),「横川覚海坊」(よかわかくかいぼう)など,それぞれ個別の名前を持っているという。また,日本全国では12万5500もの天狗が存在しているそうである。
 興味深い記録としては,静岡県に[天狗の詫び証文]というものがある。これは,今から300年以上も前のこと。伊豆の柏峠に天狗が現れて,旅人に危害を加えたという。そこである住職が祈祷をもって天狗と戦うと,天狗は松の木の上に逃げたという。そこできこりたちが松を伐採すると,天狗の姿はどこにもなかったが,どこからともなく一枚の巻物が落ちてきた。その巻物は長さ3メートル。178行2900文字にわたって不思議な文字が書かれていたそうだ。いまだ文字や内容については解明されていないが,おそらく天狗の詫び状なのではないかと言われている。この巻物は現在でも,静岡の仏現寺で保管されているという。

 

次回予告:龍

 

■■Murayama(ライター)■■
ここ最近多忙を極めていたMurayamaだが,つい先日,ようやく激務から解放されたようだ。多忙の原因は,当連載「剣と魔法の博物館〜モンスター編〜」の,書籍化に関する作業である。まだ詳細は明らかになっていないが,4Gamerでも近日中に,書籍に関する情報をお伝えできると思う。書籍化を待ち望んでいたという人は,続報を楽しみに待っていてほしい。
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