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決勝戦まで勝ち進むのはどのクラン? DeToNatorの活躍を追った「Alliance of Valiant Arms」国際大会「AIC 2014」2日めのレポートを掲載
優勝賞金100万台湾ドル(約330万円)という,AVAでは最大規模となるこの大会には,世界各地の予選を勝ち抜いた9チームが参加。2日かけて第1次リーグ,第2次リーグを戦っていき,これに勝ち残った4チームが優勝の座をめぐって最終決戦に挑むことになる。
第1次リーグを見事全勝の1位で勝ち上がった日本代表DeToNator。2日めの第2次リーグでは,AIC 2013優勝の台湾チームであるahq e-Sports club(以下,ahq),香港代表のCGA.Lsらと同じリーグで戦うことになった。第1次リーグと同様,2位までが続くベスト4トーナメントに出場となる。
DeToNatorは昨年日本で開催されたAIC 2013の決勝戦においてahqに敗退,惜しくも準優勝となった。昨年のリベンジをここで成し遂げるのか。それともahqが,そしてCGA.Lsがその力を発揮するのか。ますます白熱するAIC2014,2日目の模様をレポートしたい。
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■第1試合:DeToNator 対 CGA.Ls
第2次リーグの初戦,DeToNatorの対戦相手は香港代表のCGA.Lsだ。CGA.Lsは第1次リーグを2位通過で,そういう意味では全勝通過したDeToNatorのほうが有利にも思える。だが,そもそもAICは国際大会。弱いチームが出場できる場ではないし,世界的に見てAVAの競技レベルは上昇し続けている。それこそ昨年のIeSFでタイのチームが初出場で準優勝を勝ち取ったように,どの1戦をとっても気を抜ける試合はない。
またCGA.Lsの試合をストリーム中継で見ていたDeToNatorメンバーからは,「スナイパーが驚異的で,調子に乗せたら非常に危険」という声も出ている点にも注目したい。
第1試合,最初のマップは「Cannon」。DeToNatorは先攻となる。
試合が始まってみると,DeToNatorの強さが目立つ。防御側となるCGA.Lsは深く引いて守る形を取るが,DeToNatorはマップに広く分散,CGA.Lsの布陣を素早く偵察すると,戦力を集中し攻撃に転じる。
CGA.Lsの防衛ラインに先に飛び込んだ1人が防御を撃破すればよし,撃ち負けたとしてもDeToNatorの後詰がHPの減ったCGA.Lsの選手を撃ち倒すという基本に忠実な動きで,DeToNatorは次々にCGA.Lsの守りを突破していく。
この試合でも,前日に引き続きDarkよっぴー選手が好調。前線のカバーを担当するmancho.選手ともども,次々にKillを積み重ねていく。CGA.Lsも個人技の冴えを見せるが,6ラウンド終わって攻守交代となる段階で,マッチスコアは5対1。DeToNatorはあと2勝で1試合めを制することができる。
だが,CGA.Lsも黙ってやられてはいない。第7ラウンド最初の攻撃でファーストKillを取ると,数的有利を活かしつつじわじわと攻め上げ,最後まで有利を保つ形でDeToNatorの防御を切り崩した。
しかし,ここから反撃かと思われたCGA.Lsの奮戦もそこまでだった。出会い頭の混戦で3人対3人となった第8ラウンドを,DeToNatorはAk~ayS選手のスナイプで制する。続く第9ラウンドは,局地的に数的有利を作ったCGA.Lsに対し,Darkよっぴー選手が2人抜きして戦線を膠着させ,激しい銃撃戦が一段落してみればCGA.Lsメンバーの生き残りは1人という状況に。CGA.Lsは乾坤一擲とばかりに爆弾を設置するも,DeToNator側は4人が生き残っており万事休す。1試合めはDeToNatorが奪取した。
続いてのマップは「Dual Sight」。今度はCGA.Lsの先攻である。
第1ラウンド,DeToNatorはうまくCGA.Lsの側面を取り,一気に有利な状況を作りだす。これによりDeToNator残り4人に対しCGA.Lsは2人,しかもCGA.Lsは包囲された状況と,いわば「詰んだ」状況。だがこの絶望的状況からCGA.LsはDeToNator側を1人討ち取り,爆弾の設置に成功する。爆弾を巡る攻防戦はCGA.Ls有利に動くも,ここでRobin選手が2人抜きを見せ,爆弾の解除でDeToNatorが先制することとなった。
さて,結論から言ってしまえば,ここから先,DeToNatorはCGA.Lsにまったく試合をさせなかった。
CGA.Lsはエースとなるスナイパー,qAK選手が先に相手チームを削って数的有利を作り,それを起点に試合を運ぶという展開を得意とする。しかし,DeToNatorはこの作戦に対策を練ってきており,相手チームスナイパーに仕事をさせない。事実,qAK選手のここまでの成績は2Kill/4Deathと,CGA.Lsの作戦の基本が機能していないのは明らかだ。
結局,終わってみればDeToNatorが7ラウンドまで連続で勝利し,マッチスコア7対0で圧勝。これにより,第2次リーグ最初の試合は,DeToNatorの勝利となった。
■第2試合:DeToNator 対 ahq
第1試合,CGA.Lsをあっさりと下したDeToNatorの次なる相手は前年の王者,ahqだ。この注目のカードでは,ストリーム中継が行われた。
なのだが,またしてもと言うべきか,1日めの注目カードになった「DeToNator 対 United5」と同様に,前の試合でahqがCGA.Lsを下しており,このリーグから第2次リーグを突破するのは,DeToNatorとahqで確定していた。
とはいえ,ルール上,1位抜けにまったく意味がなかった第1次リーグと比べ,第2次リーグは1位抜けに大きな意味がある。続くベスト4トーナメントにおいて,1位抜けしたチームは,もう一つの第2次リーグで2位抜けしたチームとの対戦になるからだ。
最初のマップは「Dual Sight」。DeToNatorは先攻である。
DeToNatorは最初のラウンドこそ落とすが,その後5ラウンドを連取する。とくにSaih4tE選手の活躍はめざましかった。第6ラウンドでは残り4人対3人のDeToNator有利な状況を,1人対2人にまでひっくり返されるが,そこから2人抜きして勝利を掴んだ。
しかし,攻防入れ替わった7ラウンドめ。激しい消耗戦となり,最後は1対1となった戦いにahqが勝利すると,ここから昨年王者の勢いが止まらなくなる。
ahqのエース・スナイパーAfteR選手が要所要所で見事な狙撃を見せ,また選手相互も素早いカバーリングで,まるで隙を見せない。あとでDeToNatorの選手に話を聞いてみたところ,「1対1で撃ち合っていると,すぐ1対2になる」と語っていた。
5対1で折り返した試合は,そこから4ラウンド経過して5対5。ついに追いつかれてしまう。
だがここでDeToNatorも意地を見せる。序盤戦を制して数的有利を作り,Ak~ayS選手がAfteR選手との狙撃合戦に勝利。さすがのahqも打つ手がなくなり,DeToNatorがスコアを取り返す。
この勢いに乗って勝ち切りたいDeToNatorだが,ahqも当然それは許さない。第12ラウンドは再びahqが圧倒し,マッチスコア6対6で最終の13ラウンドに突入する。
最終ラウンドは,ahq有利で展開。壁抜きの射撃でKillを取って数的有利を確保すると,爆弾を設置。この段階で,DeToNatorは残り3人,ahqは残り4人。DeToNatorにとって,かなり厳しい状況だ。
だが,爆弾設置ポイントに突入したDeToNatorは,またたく間にahqの3人を討ち取って3人対1人に。「これはDeToNatorが勝ったか!?」という空気が観客席に流れる。
しかし,そこにまたしてもAfteR選手が立ちふさがる。3対1をものともしない一気の2人抜きで,ついに勝負はSaih4tE選手との一騎打ちに。
スナイパーは近距離戦を苦手とするが,このレベルまで来ると「至近距離でも一撃必殺」な兵種と化す。一方でSaih4tE選手は,DeToNatorのポイントマン,敵チームと最初に撃ち合う(そして望ましくは撃ち勝つ)ことを任務とする精鋭だ。
どちらがこのマップを勝ち取るかが懸かった,熱い一騎打ちを制したのは……Saih4tE選手だった。マッチスコア7対6,DeToNatorの先勝である。
続いてのマップは「Fox Hunting」。防御側が非常に強いマップで,今度はahqが先攻となる。
第1ラウンドは,ahqが2人対2人の状況で爆弾の設置に成功。DeToNatorはahqを全滅させるも,爆弾を解除する時間は残っていなかった。これはahqの爆弾の仕掛け方も見事で,DeToNatorにしてみると「敵を1人残したまま爆弾解除に入れば,すぐに撃ち殺される」「敵を追えば爆弾解除する時間は残らない」という,文字どおり「詰んだ」状況だったのだ。
だがそこから先の5ラウンドは,DeToNatorが強さを見せる。ahqは攻め方を大きく変えたり,あるいはAfteR選手の狙撃で有利な状況を作ろうとするのだが,最終的にはDeToNatorの守りに絡め取られてしまう。Ak~ayS選手,Robin選手も好調で,互いに8Killと成績を伸ばす。
結局,6ラウンドを戦って攻守交代した段階で,スコアは5対1とDeToNatorが優勢。あと2本取れば,DeToNatorは昨年のリベンジに成功だ。
しかし,どの国のクランもそうだが,追い詰められてからが強い。
第7ラウンド,DeToNatorは3人対5人の不利な状況から2Killしてイーブンに持ち込み,2人対2人にまで状況を追い込むが,生き残った2人にAfteR選手が含まれていたのが誤算だった。凄まじい狙撃の腕を見せるAfteR選手の活躍で,このラウンドはahqが奪い取る。
第8ラウンド,そのAfteR選手をAk~ayS選手が狙撃で討ち取ると,そのままDeToNator有利で勝負は展開。爆弾を設置して守りきり,試合に王手をかけた。しかし,ahqはそれでも焦る気配は見せなかった。むしろ積極的に前に出る防御で,次々にDeToNatorを削っていく。第9ラウンドで,残りHPギリギリの戦いをahqが制すると,第10ラウンドは,ahqの47edi選手がハンドガンで2人抜きを見せそのラウンドも奪取する。
そんなスーパープレイがキッカケになったのか,そこからDeToNatorは47edi選手をまったく止められなくなってしまう。もちろんAfteR選手の狙撃も鈍ることはない。もともとチームワークが良いahqにあって,2人の個人技が炸裂する状況に入り,DeToNatorが打つ手がない。
いくら有利な状況を作り出しても,AfteR選手か47edi選手がそれを個人技でひっくり返してしまうのだ。
あれよあれよとahqは勝ち続け,第12ラウンドにはスコアを6対6のイーブンに。その勢いのまま第13ラウンドも取って,勝負の行方は3試合めに委ねられた。
最後のマップは「India」。DeToNatorの先攻である。
DeToNatorは第1ラウンドを取るも,第2ラウンド以降は前の試合から続く,ahqのAfter選手と47edi選手の勢いを止めらない。
吸い付くようなエイムで正面からの撃ち合いを制するだけでなく,ahqはその好調を最大限に活かすべく,「正面からの撃ち合い」を要求するような展開を繰り返す。その状況に引き込むチームの連携を見れば,「個人技がすごい」だけではないことは明白だ。
第6ラウンドが終わって,スコアは1対5でahq優勢。その後,攻守交代してもahqの勢いは衰えず,1対7でahqが勝利を獲得し,第2次リーグ1位抜けはahqとなった。昨年のリベンジは,決勝戦に持ち越しだ。
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