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「Game Tools & Middleware Forum 2014」開催,国内外のゲーム開発用ミドルウェアが勢ぞろい。展示会場レポート
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これは,ゲーム開発向けのツールとミドルウェアを集めた展示会+カンファレンスで,毎年,大阪と東京の2か所で開催されているものだが,当日行われたのは東京会場のほうだ。ここでは,展示会場の模様を写真を中心に紹介していきたい。
●ソニー・コンピュータエンタテインメント
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扱うオブジェクトは立方体のほか,黄色いアヒルや棒状のオブジェクトなど,さまざまな形状が利用可能だが,立方体以外は,基本的に球体で当たり判定を取っており,球体を組み合わせた形状で衝突を判定し,表示は詳細モデルで行うといったシステムとなっていた。もちろん,いろんな形状を混合しての利用もできる。展示はされていなかったが,CPUによる実装の物理エンジンも用意されている。
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一方,AR関連で初音ミクが歌い踊るデモは会場でも目立っていたのだが,これは「リアルでのライティング」と「バーチャルでのライティング」をミックスするデモだそうだ。
画面を見ると,踊っているミクの影が伸びたり縮んだり,光源が動き回っているのだが,懐中電灯で床面を照らすと,その照らされた位置から光源の位置を推定して,ミクのライティングや影の表示をリアルタイムに変えている。これは,カメラが写した床面を3×3のエリアに9分割し,真ん中が明るければ,真上からライトが当たっていると想定し,あとは照らされる位置のズレを光源位置の変化とみなしてライティングしているのだそうだ。わりと適当な処理みたいだが,それでも懐中電灯の操作がリアルタイムに反映されるのが面白い。
また,残念ながら会場では(壁がなくて)効果が確認できなかったのだが,ある程度離れた垂直面を壁と認識し,その部分に仮想空間内で回っている(床に置いてある)カクテル光ライトのライティングが反映されて表示されるといった仕掛けになっているとのこと。
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●CRI・ミドルウェア
独自の映像コーデックやサウンドエンジンのデモが中心だ。今回は,新たなゲームエンジンとしてcocos-2dxに対応したことがトピックとなっている。動画をテクスチャとして扱ったcocos-2dxによるものと見られるパズルゲームなども展示されていた。無償公開されているADX2LEの次期バージョンでも,cocos-2x対応などが取り入れられるそうだ。
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●オートデスク
Maya LTや同社ツールが動くノートPCなどの展示の隣では,数十台のiPod touchが取り付けられたケージが設置され,人目を集めていた。多方向から撮影した写真データから3Dデータを生成する「1-2-3D」などの技術の最新版だそうだ。中に座った人の写真を撮影し,FBXデータにするというデモが行われていた。
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これは従来からあった技術ではあるが,今回展示されたのは最新のエンタープライズ版だそうで,コンシューマ版よりも高精度なデータを出力できるという。アルゴリズム自体も第3世代になり,かなり進化しているとのこと。また,従来はクラウド上で処理されていた処理を1台のPCで行うようになっているのも特徴だ。エンタープライズ向けだと,データを外に出すことに抵抗を感じる企業が多いのだそうだ。
デモ機材ではiPod touch多数が使われているが,コストパフォーマンスがよかったためとのこと。専用アプリを作って制御している。写真を見ても分かるように,ライトニングケーブルとオーディオケーブルがつながっているが,ライトニングケーブルは電源用,オーディオケーブルはシャッターコントロール用に使われている。撮影したデータはWi-FiでPC側に送られて,処理が行われる。
カメラの台数は,多ければ多いほどよく,くまなく撮影できるように満遍なく配置するのがよい。あくまでも撮影された写真を相互に比較してデータ処理が行われるので,設置位置はアバウトでも大丈夫だそうだ。
サンフランシスコにあるAutodesk Galleryには,デジタル一眼レフカメラを多数つないだ凄いシステムがあり,それだと接続だけでもPC6台が必要なのだが,今回のようにWi-Fiでデータ転送を行うとPC1台で処理できるのだという。ちょっと奇異な感じもするが,十分実用的なシステムのようだ。
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●ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン
ユニティブースではUnity 5やUnity 4.6のデモが行われていた。大きく押し出されていたのは,この夏リリース予定とされているUnity 4.6の目玉機能「UGUI」だ(日時は未定とのこと)。展示PCでは,UGUIを使ったプロジェクトがいくつか紹介されていた。UGUIの紹介セッションは満席と注目度も高く,リリースが待たれるところだ。
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●ワコム
ペンタブ機能搭載タブレット「Cintiq Companion」(WindowsおよびAndroid)と大型ペンタブレット「Cintiq 24HD touch」の展示が行われていた。同社の技術は,Androidタブレットなどにも採用されており,専用機はどこが違うのかと聞いてみると,他社製品で使われているのは,同社製品でいう「Banboo」シリーズの技術による実装とのこと。プロ用の「Cintiq」シリーズの技術が実装されたのがCintiq Companionシリーズとなる。筆圧の分解能などが違い,スタイラスも上位版が使用されるのだそうだ。
一般的なタブレットと考えると高価だが,高嶺の花だった液晶ペンタブが十万円台になったと思えば,悪くない製品なのかもしれない。
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●Audiokinetic
オーディオミドルウェアWwiseを展開するAudiokinetic。会場では,Klabのアプリ「かぶりん!」を中心に製品紹介を行っていた。最近のトピックとしては,Mac対応になったことや,MIDI接続のコントローラ(ミュージックキーボードやスライダーなどの付いた機器)でWwiseの各種パラメータを操作できるようになったこと,MIDI制御ができるようになったことが挙げられていた。
海外ではすっかり定番になった感があるミドルウェアだが,日本でもかなり引き合いは多いとのこと。コナミあたりがかなり積極的に使っており,まもなく大手から採用製品も発売されるという。
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●マッチロック
エフェクトミドルウェアBISHAMONを展開するマッチロック。大きなアップデートは行われていないが,全体にランタイムの効率化を図っているとのこと。また,エフェクトを開発環境で実行し,出力結果をキャプチャして,αチャネル付きのPNG画像に連番出力すると,Unity 2Dやcocos-2dxでそのまま扱えて非常に親和性がよく,低負荷で扱えるとアピールしていた。
今後は,全体的なデザインを大きく変えた新バージョンも準備中だそうだ。
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●シリコンスタジオ
同社製品を使った「ガンスリンガーストラトス」「Agni's Philosophy」が展示され,その横ではGDCで発表された物理ベースのレンダリングエンジンのデモが行われていた。GDCのバージョンと同じものだそうだが,9月頭に開催されるCEDECのタイミングで新バージョンのデモが公開されるとのこと。
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●エピック・ゲームズ・ジャパン
Unreal Engine 4のサブスクリプション版を中心に,1-10studioによるOcculus Riftを使ったゲームの展示も行われていた。
GTMF情報ではないのだが,Unreal Engine 4のAndroid対応について少々。先日,Android Lが発表されたときに,Android L対応のUnreal Engine 4のデモが公開されていた。それ以前にもUnreal Engine 4はAndroidに対応しており,どこが違うのかと思っていたのだが,以前のものはOpen GL ES 2.0の範囲でのサポートであり,Android LでOpenGL ES 3.1に対応したことにより,表現力は格段に上がっているとのこと。PCやコンシューマゲーム機からの移植も高いレベルで行えることから,今後のスマホアプリの劇的進化も期待できそうだ。
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●ダイキン工業
「次世代2D/3Dソフトウェア」「パイプラインのレンダリングハブ」とよく分からないあおり文句が並んでいた「Clarisse」というソフトウェアとノードベースのテクスチャエディタ「Gentica」のデモが行われていた。
Clarisseは,分かりやすく言えば,レイトレーシングによるレンダラーだった。複雑なシーンをオブジェクト単位にレンダリングして,その結果を組み合わせて最終レンダリングを得るような手法で,リアルタイムとはいかないものの,画面を見ながらエディット可能なくらいの速度を達成している。
Genticaっは,数千種類のプリセット素材や素材データをノードベースで組み合わせて,シームレステクスチャを作成するツールだ。Basic版なら1万円台と安価なのも特徴となっている。
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●ウェブテクノロジ
スプライト管理ツール「Sprite Studio」と定番の減色ツール「OPTPiX」を展示。Sprite Studioは,新たにUnreal Engine 4にも対応し,汎用性の幅を広げている。
この春に実装されたというインスタンス機能では,アニメーション付きのデータセットをインスタンス化し,複数個の表示でもソースデータ自体は一つで扱えるようになり,データ制作を効率化しているという。
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●エムツー
アニメーションシステム「E-mote」を展開するエムツー。2Dキャラクターをアニメーションさせる技術には,定番の競合システムもいくつか存在するのだが,新規参入のE-moteの強みを聞いてみた。まず,「簡単なこと」だそうだ。初めて触ったデザイナーが3時間で動かせるようになり,細かい調整を入れても5時間で1キャラクターが仕上がるのだという。
基本的な正面向き立ち絵などでは,テンプレート的な画像が用意されており,それと同じレイヤー構成で絵を描けば,PSDファイルを渡すだけでだいたいの変形処理は間に合うとのこと。標準的なモーションサンプルも用意されているので,その時点でいろいろ動かすことができる。
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動作の仕組みを聞いてみると,キャラクターのパーツごとに変形を行っているのだという。自分で細かく変形用のメッシュを指定するのは大変そうだが,前述のようにだいたいのところは流用できるので,効率よく作業できるのだろう。
第2の利点は「安い」ということで,年間ライセンスなので,何作作っても定額という部分でアピールしているようだ。インディーズラインセンスやアカデミックライセンスも用意されている。アニメーションGIF書き出しのフリー版「えもふり」もあるので,興味のある人は試してみるのもよさそうだ。
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●日本マイクロソフト
マイクロソフトは,Windows PCやWindows Phoneシリーズ用にもっとゲームを作ってもらおうということで,お馴染みの「VisualStudio」をアピールしていた。見慣れないところではVisualStudio Onlineのパンフレットが置かれていたが,これはTeam Foundation Serverをクラウド化して+αの機能をつけたもののようだ。
とはいえ,XNAやManaged DirectXのサポートが終わって,どちらかといえばVisualStudioではゲームを作りにくくなっているのが実情だ(VC++はともかく)。ちょっとなんとかしてほしいところではある。
ほかには,Xbox One用の「ID@Xbox」をゲーム開発者にアピールしていた。開発環境とともに開発機の貸し出しなどを行っているという。日本のインディーズ開発者からのXbox Oneへの問い合わせは結構多いとのこと。
また,Unite Japanでも紹介されていたVisualStudioでUnity使えるようになるプラグイン「UnityVS」は好評を得ているようだが,開発元のSyntaxTreeは,今月初めにMicrosoftによって買収されている。UnityVSはいずれ無償で公開される予定だという。
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●Wellbia.com
韓国系開発会社のWellbia.comではスマートフォン用のセキュリティミドルウェア「XIGNCODE3」を紹介していた。これはチートツールなどによるゲームアプリの改変などを検出するライブラリで,日本ではそれほど一般的ではないが,韓国ではスマホアプリの不正が頻発しており,実測値でアクセスのだいたい1%で不正が検出されているという。このライブラリを組み込んでおくと,不正行為を発見してブロックし,ログに集計・分析するといった機能が提供される。
現状はAndroid版のみだが,日本ではiOS版について聞かれることが多いそうで,iOS版も開発中だそうだ。
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●ボーンデジタル
Live.2DとSUBSTANCEの展示が行われていた。SUBSTANCEは定番のテクスチャ生成ミドルウェアだ。
2次元画像をアニメーションさせるLive2Dは先日新バージョンが発表されたばかりだが,新機能について聞いてみた。これまでは,キャラクターのパーツごとに画像を分け,1枚のテクスチャ内に配置して指定しなければならなかったのだが,所定のレイヤー構成になっていれば,PSDファイルのまま読み込めるようになるという。
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このあたりは前述のE-moteに並んだ感じだが,見せてもらったデモでちょっと驚いたのはその先だ。そうやって表示されたキャラクターの上に,だいたい大きさを揃えた別の画像を重ねて置くと,新しい画像が同様に動き出したのだ。追加された画像は単なるビットマップの1枚絵で,とくにレイヤー分けされているわけでもない。自動判定してパーツ分けを行うのだそうだ。とはいえ,画像を見ると,基本構成は似ているとはいえ前髪の上から眉毛が描かれているようなキャラクターであり,元絵にはない,襟の部分の影などもきちんと分離されていた。
ほかのデモでは,ドラゴンが向きを変えて,顔の片側が完全に隠れるような動きも実現されていた。まだまだ先の話にはなりそうだが,360度ぐるっと回れるようなものも開発中だそうだ。
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●GMOクラウド
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Photonでは,「聖剣伝説RISE of MANA」に採用された事例を紹介するセッションなども行われていたのだが,Microsoft Azureサーバー上でPhoton REALTIMEを動作させ,アクション性のあるゲームを支えているのだという。Photon Serverのサービスとしては,フルスペックのREALTIME以外に,ターン制対戦ゲームに適したプランとしてPhoton TURNBASE,チャット機能のみを提供するPhoton CHATが紹介されていた。
GMOアプリクラウドのほうは,1500タイトル以上のソーシャルゲームに採用されており,大から小までサポートするサーバープランが紹介されていた。全プランで大域制限はないとのこと。
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●Havok
物理エンジンのHavokでは,「Havok Destruction」を中心にHavok製品が紹介されていた。Havok Destructionは,GDCで出展されていたものと同じバージョンのようで,あらかじめ壊れた状態のオブジェクトを作っておき,状況に応じて破断や変形をさせつつ,破片などのパーティクルを撒き散らすタイプだ。プロシージャル破壊なども研究していたはずだが,ゲームでの実用上は,このようなものが適しているのだろう。Havokというと,ゲームプレイ物理に強い物理エンジンという印象が強いが,今回はあえて効果系の物理をアピールしているのだという。
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●モノビット
オンラインゲーム用のバックエンドをパッケージ化した「モノビットEngine」を展開するモノビット。ロビーやクラン管理チャット,オークション,マッチングなど,ゲームの各要素に対応したサーバーサイドの機能をパッケージ化して提供しており,スマートフォンなどにも最適化された通信ミドルウェア「Monobit Lightning Network」で快適なオンラインゲームをサポートするという。ゲーム開発者は,クライアント部分の開発だけに集中できるようになる。2013年の夏あたりから出荷されている製品だが,取引先には大手ゲームメーカーの名前がずらりと並んでいる。秋あたりから,採用製品のリリースが続きそうだとのこと。
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