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印刷2010/08/23 00:00

レビュー

G7後継のワイヤレス&ワイヤード両対応モデル,その完成度はいかに?

Wireless Gaming Mouse G700
(Logicool Wireless Mouse G700)

Text by fumio


Wireless Gaming Mouse G700(国内製品名:Logicool Wireless Mouse G700)
メーカー:Logitech
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:03-5350-6490
直販サイト「ロジクールストア」価格:9980円(税込)
G-Series
 スイスのLogitechがG-Seriesというゲーマー向け周辺機器ブランドを立ち上げ,「G3 Optical Mouse」「G5 Laser Mouse」「G7 Laser Cordless Mouse」を世に投入してから約5年。毎年のようにマウスの新製品が登場し,さらにはキーボードやヘッドセットなども揃い,定番中の定番になっているというのは,あらためて説明するまでもないだろう。
 ただ,そんなG-Seriesの歴史にあって,ワイヤレスのゲーマー向けマウスであるG7 Laser Cordless Mouse(以下,G7)の後継機だけは,まったく音沙汰がなかった。軽量のバッテリーパック2個を入れ替えながら利用できるというユニークな製品で,一部に熱狂的なファンを抱えていたのだが,「バッテリーの分,ワイヤードタイプより重い」「バッテリーはいつか必ず切れる」「データ転送周りに不安が残る」などなど,極限まで操作性を追求するハードコアなゲーマーにとってはワイヤレスであるメリットよりもデメリットのほうがはるかに大きく,結果としてG7の販売終了後,“7系列”は長らく死に番になっていたのである。

日本語版製品ボックス。「クリエイティブ プロフェッショナル仕様」の「Logicool Wireless Mouse G700」とされており,ゲームの「ゲ」の字もない。ちょっと残念
G-Series
 そんな長い沈黙を破り,北米で2010年8月5日に発表されたのが「Wireless Gaming Mouse G700」(以下,G700)である。別記事でお伝えしているように,日本法人のロジクールは本製品を「クリエイティブプロフェッショナル仕様」と位置づけ,製品名も「Logicool Wireless Mouse G700」と変更しているが,このあたりは,海外ではゲーマー向け,国内では一般ユーザー向けとされる「Logicool MX518 Performance Optical Mouse」と同じ立ち位置の製品という理解でいいだろう。

 デザイナーなどに向けた高機能マウスとして売りたいという,純然たるマーケティング上の都合による製品名変更と思われるが,“中身”は紛れもなくG-Series。4Gamerとしては,G-Seriesの最新モデルとして,G700をチェックしてみたいと思う。
 “ゲーマー向けワイヤレス”といえば,Microsoftの「SideWinder X8 Mouse」やRazer USAの「Razer Mamba」がすぐに思い当たるが,この市場を切り開いたLogitechが放つ5年振りの新作を,我々はどう受け入れるべきだろうか。


形状と持ちやすさは総じて○

13ボタンも感触はよいが,とっさの使い分けは難しい


G500(右)と比べたとき,本体手前側が右にねじれたデザインになっているG700
G-Series
 本体サイズは公称79.38(W)×126.3(D)×45.9(H)mm。一般的なマウスと比べると大きいが,ゲーマー向けマウスでは割と多い大きさである。本体左側面がスカート状に広がる形状は「Gaming Mouse G500」(以下,G500)と比較的よく似ているが,G500の本体手前側を右方向へねじったようなシルエットになっており,「ほとんど同じ」と言えるほどではない。

 右サイドの奥側(=メインボタン側)は,本体底面から膨らみ部分の高さが十分あるため,薬指と小指を縦に並べて握るような場合にも指が収まりやすい。手前側(=「Logicool」ロゴ側)は外側へ膨らみ,小指や薬指の根元あたりでフィット感が強くなっている。
 左サイドでスカートを生んでいる大きなカーブも,握ったとき親指の関節が自然に曲がり,指先がうまい具合に貼り付くような窪みを生んでおり,力を込めやすい。全体的にフィット感,そして持ちやすさのレベルは高い印象だ。

G-Series G-Series
本体右サイドは小指や薬指をフィットさせやすいデザインになっている。大きなねじれが気になったが,G500よりもむしろ洗練されている
G-Series G-Series
左サイドの奥には,親指の先がぶつかる“山”がある。適切な持ち方をすればフィット感に貢献し,マウスを奥方向へ操作しやすいが,「かぶせ持ち」で極端に深く握るような場合は,親指がこの山を飛び越えるような感じになる

メインボタン含む上面部分は薄いラバーコートがなされており,G-Seriesのマウスとしては落ち着いた雰囲気を醸し出している。両サイドは基本,G500同様のドライサンド加工。両サイドを指ではさんだときの横幅はG500より細く感じられる
G-Series
 本体の手前側が右にねじれているからなのかどうか,このあたりが手のひらにぶつかりにくい設計になっていて,「つまみ持ち」(Fingertip grip)時に操作の邪魔にならないのはいい。もちろんこれは,「かぶせ持ち」(Palm grip)で深く握ったときのフィット感があまり得られないのと同義でもあるのだが,フィット感をあきらめて手のひらをすぼませるようにして持てば,AIMのしやすさ自体はまったく問題ないといっていいだろう。
 ただ,「つかみ持ち」(Claw grip)で本体手前の傾斜に手を押しつけるような持ち方はしづらいので,この点は押さえておく必要がある。

4Gamerの比較用リファレンス「G5 Laser Mouse」(型番:G-5T)と並べてみたところ。ゴテゴテしたシルエットになった一方,大きさそのものはG5 Laser Mouseからあまり変わっていないのが分かる
G-Series G-Series G-Series

 さて,ここまでに掲載してきた写真でも気づいたと思うが,G700は,全部で13個ものボタンを搭載するという,多機能を志向したG-Seriesのなかでも群を抜いてボタン数の多いマウスになっている。多ボタンのゲーマー向けマウスというと,本体左サイドに10キーボタンを搭載し,全17ボタン仕様を実現した「Razer Naga」が思い出されるが,そういった“変化球”なしに13ボタンを実装してきたインパクトは小さくない。

ホイールの手前に位置するのは,スクロールホイールの動作切り替えスイッチと,[G11]ボタン。この2つはゲーム中にぱっと使うことが想定されていない
G-Series
 内訳は,左右メインボタンと,センタークリック&左右チルト機能付きスクロールホイール,左サイドの4ボタン([G4]〜[G7]),左メインボタン脇の3ボタン([G8]〜[G10])と,本体頂上部の1ボタン([G11])。本体頂上部には2ボタン並んでいるように見えるが,このうちスクロールホイールに近いほうはLogitech製マウスでおなじみ,ノッチのある「click-to-click」(クリック・トゥ・クリック)モードと,指で弾くように回すと惰性で回り続ける「Hyper-fast scrolling」(ハイパーファーストスクローリング)モードを切り替えるスイッチになっている。

 これらボタンの操作感だが,端的にまとめると,いくつか不満は残るものの,おおむね満足度は高い。メインボタンのクリック感は従来のG-Series製品同様に軽すぎず重すぎずで,マイクロスイッチのカチカチした心地よい感触がある。本体シェルと一体型ながら,[G11]ボタンの真横付近を押しても押すのが苦ではない程度の軽さなのは好印象だ。

ホイール形状はG500と同じく,細身で,表面に細かい溝の入ったゴムを採用したもの。クリック時のストロークは浅く,感触も少し重めだが,押すこと自体に問題はない。それよりも,クリック時に誤って上下への入力がされてしまいやすいのが残念
G-Series
 一方,Hyper-fast scrollingモードの使い道がゲーム用途では思い当たらないため,スクロールホイールは基本的にclick-to-clickモードを使うことになるはずだが,G700のclick-to-clickモードはG500同様にノッチがやや緩い。センタークリック時や左右チルト時に上下スクロールが誤爆してしまうことがたまにあるので,このあたりに重要な機能を割り当てるのはリスク要因となるだろう。
 溝の入ったラバーを金属で挟むようなホイールを採用するため,指をホイールに載せたままチルトを入れようとすると,入力はできるものの指が金属部で滑ってしまうため,チルト状態を維持しづらいというのは,G500と共通している。

手前下段から[G4][G5],上段が[G6][G7]と並んだ左サイドボタン。従来製品では見られなかった,中央部が窪み,突起が鋭角的なデザインになっている。指で押すというより,押し上げて入力するのに特化した形状だ
G-Series
G-Series
 田の字型に4つ配置された[G4]〜[G7]のサイドボタンは,見た目こそ特異ながら,使ってみると思ったよりも押し分けやすい。正直,操作性が悪くないのは驚きだが,ボタンが極端に出っ張った庇(ひさし)のような形状になっており,指先で4ボタンを判別しやすいのである。さらに,入力方法も,接地面に対して水平方向に「押し込む」のではなく,斜め上に「押し上げる」ような仕様になっており,親指の移動量が少なくて済む
 G500の左サイド3ボタンも押し上げるように入力することはできたが,あくまでも基本は押し込みだった。その点では,ずいぶんと大胆な変更だと思う。

 左メインボタンの外側に位置する[G8]〜[G10]の3連ボタンは,マウスの持ち方次第で押しやすさに違いは生じる,傾斜のあるスカルプ構造を採用していることもあって,他社製品を含む,過去に存在した同種のボタンと比べて押しやすさがずいぶんと改善されている。もっとも,押そうとすると一般的なマウスにはなかった指の動きが要求されるので,瞬間的な判断が必要な操作に割り当て,思い通り使えるようになるためには,やはり時間が必要だ。

G-Series
3連ボタンは,外周部に向かうほど背が高くなる形状になっているため。人差し指を左メインボタンから左にスライドさせやすい。浅めの持ち方だと奥側の,深めの持ち方だと手前側のボタンがそれぞれ押しづらくなったりするので,3つ全部を使いこなすつもりだと,持ち方との相談が必要かも
G-Series
SetPointをセットアップし,ドライバのバージョンを確認したところ。今回はスケジュールの都合で,Logitechから全世界のレビュワーに提供された英語版を用いたが,国内最終製品版ではもちろん日本語化される予定
 慣れたときにこれら外周ボタンを押しやすいのは,メインボタンとスクロールホイールに人差し指と中指,薬指を載せる持ち方だ。これなら3連ボタンに無理なくアクセスでき,さらに人差し指の先端から第一関節で左メインボタンを含めた4ボタンの押し分けが可能になる。
 人差し指と中指だけで操作する場合でも,押し分け自体は不可能ではない。もっともこの場合は,人差し指の左半分で3連ボタン,右半分で左メインボタンを押し,中指の左半分でスクロールホイール,右半分で右メインボタンを押すといった,だいぶ左寄りの持ち方になってしまう。

 ちなみに,13ボタンにはマクロを含めた機能の割り当てが可能で,そのうち最大5プロファイルはマウス本体側のフラッシュメモリに登録し,手動,もしくは実行ファイルをトリガーとした自動切り替えが可能というのは,従来のG-Series上位モデルと同様。機能の割り当てにはおなじみの専用ユーティリティ「SetPoint」の最新版となるバージョン6.15(6.15.6)を用いるが,ウインドウがムダに大きいことを除けば使い勝手は良好なので,迷うことはまずないはずだ。ただし,ドライバCD-ROMは付属せず,ロジクールのサポートページから入手する必要があるので,この点はご注意を。

G-Series G-Series G-Series
G-Series専用として話題を集めたSetPoint(Version 5.x)と同様のインタフェースを採用。最高5700DPI設定が可能だからか,ムダにウインドウが大きすぎて閉口させられるのを除くと,使い勝手は悪くない。なお,SetPointのメインウインドウから確認するとバージョンは5.40.39だったので,内部バージョンは“5世代”のまま,G-Series以外のマウスにも対応させたのが“6世代”ということなのかもしれない
G-Series G-Series G-Series
ボタンの割り当てやマクロ周り,本体内蔵のフラッシュメモリにプロファイルを登録するあたりの仕様も,SetPoint 5.x世代と同じだ。マクロは,キーボードやマウスボタンの同時押し,ディレイなどを登録できる一方,マウスのポインタ座標を動かしたりといった,チートと紙一重の機能は登録不可
インジケータLEDは本体側面の“山”部分に用意されている。インジケータは3連で,赤色は5段階のDPI設定,橙色は5段階のプロファイルをそれぞれ示すようになっており,ボタンを使っての設定中に点灯し,設定終了後,しばらくすると消灯。目立たず,確認したいときは指を動かさなくても視認できるという点で,このデザインはアリだ
G-Series G-Series


ケーブルの抜き差しで無線有線切り替え可能

バッテリーは単三形エネループ


G-Series
主要な付属品。中央に見えるのがワイヤードモード&充電用ケーブルで,左はデスクトップPCでレシーバーユニットを手頃な場所へ引き出すための延長ケーブルだ。レシーバーユニットは小型で,「1000Hz」の表記も見える
G-Series
マウス側のインタフェースはMicroUSB タイプB。保証外ながら,市販されている同タイプのケーブルで代替すれば操作性を改善できるかもしれない。ただ,MicroUSB端子は抜けやすいので,固定は大変そうだ。あ,もちろん自己責任でお願いします
 冒頭で紹介したとおり,G700はワイヤードとワイヤレス両対応。そのため,USB接続のレシーバーユニット,単三形充電池1本,ワイヤードモード&充電用ケーブルに,レシーバー用の延長ケーブルと,一般的なゲーマー向けマウスでは見られないものが多く付属する。

 G700のワイヤード/ワイヤレス動作はワイヤードモード&充電用ケーブルの抜き差しがトリガーとなっており,本ケーブルを使ってPCと接続したときは自動的にレシーバーユニットの通信が終了してワイヤードモードで動作し,同時に充電が行われる。
 専用ケーブルは,マウス最奥部まで差し込むとかちっと固定されるタイプ。ただ,接続インタフェースはMicroUSB タイプBなので,「充電しながら激しい動きをしているとき,抜けるかもしれない」というのを覚悟すれば,別のケーブルを利用することもできる。

専用ケーブルの接続イメージ。専用ケーブルはビニール皮膜ベースで,太くて硬い。取り回しは正直なところしづらく,「基本的にはワイヤレスで使うように」という無言のプレッシャーを感じないでもない
G-Series G-Series G-Series

 肝心の無線接続は,一般的な2.4GHz帯を使うタイプ。「Full-Speedワイヤレス」動作が謳われており,ワイヤレス動作時にも1000Hzという高いレポートレートを設定可能で,実際,「Direct Input Mouse Rate」から確認しても,スペックどおりのレポートレートを発揮できているようだ。

G-Series
SetPointに用意された休止状態設定。プロファイルごとに3つのモードから1つを選んで設定できる
G-Series
本体底面の中央付近にあるのがスライド式の電源ON/OFFスイッチ。ワイヤードモードで動作させる場合もスイッチはONになっている必要がある
 ところで,ゲーマー向けとされていない一般的なマウスの場合,操作が一定時間行われないとき,自動的に休止状態に入るものが多い。とくにワイヤレスモデルの場合は,バッテリーの浪費を防ぐため,ワイヤードモデルよりも休止状態に入りやすく設定されることがほとんどだが,ゲーム中,勝手に休止されると困るというのは言うまでもないだろう。
 その点G700はどうかというと,(おそらく最終製品では日本語でモード名が記載されると思われるが,今回試した英語版SetPointだと)3種類の休止状態設定「Max Gaming」「Normal Gaming」「Power Saver」からプロファイルごとに1つ選べるようになっている。

 反応速度を最重要視する場合はMax Gamingを選ぶよう推奨されているのだが,ここで注意したいのは,本モードがいわゆるAlways-Onモードではないということ。実際にゲームをプレイし続ける限り,休止状態に入ったりはしなかったが,定義上はあくまでも「休止状態に移行するまでの時間が長くなり,休止状態からの復帰時間が短くなるだけ」(原文:the mouse stays awake longer and wakes up faster)なので,この点は注意したい。

 なお,標準で付属する充電池は,三洋電機の「エネループ」だ。
 動作モードが3種類用意されているためか,「何時間,何日,何週間」といったバッテリー駆動時間の目安は公開されていないのだが,満充電からMax Gamingモードに設定して数時間にわたってゲームをプレイし続け,そのまま一晩放置してから確認してもバッテリーは十分残っていたので,気がついたときに専用ケーブルを差して充電といった感じで十分対応できるだろう。もちろん,手元にエネループがあるならそれと交換してしまってもいい。

標準でエネループが付属するG700。電池ボックスにはニッケル水素充電池(Ni-MH)のみを使うよう注意書きがあるので,素直にエネループを使うべきだ。なお,充電中は本体左側面のLEDインジケータが緑色でアニメーションするうえ,ボタンにバッテリー残量表示を割り当てれば,そのボタンを押すたびに短時間点灯させることもできる
G-Series G-Series


センサー性能は高く,ワイヤレスでも「使える」

問題は一にも二にも重すぎる本体重量


G7と並べてみたところ。サイズはあまり変わらないが,軽量バッテリーパックを採用しているかしていないかの違いもあり,持ってみると重さはかなり異なる印象だ。ちなみにG7の重量はバッテリーパック込みで実測133g
G-Series
G-Series
 以上,細かいところまで配慮が行き届いており,完成度の高さが感じられるG700だが,実際に握ってみると,唯一最大のネックにすぐ気づくことになる。それは,重量だ。
 G700の重量はケーブルを外した状態で実測約151g。バッテリーを内蔵するワイヤレスマウスが重いのは当たり前といえばそれまでなのだが,レビュー時に“超重量”とまで評したSideWinder X8 Mouseよりさらに10g程度重いという事実は,長時間使い続けたときの疲労感に直結してくる。一般的なPCユースならまだしも,素早く動く敵に対してマウスで狙いを付けようと力を入れていると,重量がもたらす負の影響はかなり早い段階で出てくる印象である。
 なお,これは左右メインボタンに人差し指と中指を置く一般的なスタイルでの話。中指でスクロールホイール,薬指で右メインボタンを操作し,親指と小指で両サイドを挟む,いわゆる3本指スタイルだとさらにつらい。

紛失防止のため,レシーバーユニットを本体に内蔵することもできる。レシーバーユニットの重量は約2g
G-Series
 ちなみに,充電池と底蓋を取り外した状態だと実測約125gで,ここまでやっても,ゲーマー向けマウスとしては重い部類に入る。充電池を抜くと重心が前方寄りに偏り,さらに,先ほど指摘した硬くて太いケーブルの使い回しづらさも,ワイヤードモードにおける操作性を少なからず悪化させている。G700をゲーム用途で常用するには,ワイヤレス時にある相当な重さ,ワイヤード時にある取り回しづらさといった特徴をまず受け入れる必要があるだろう。

 トラッキング速度165IPS,最大加速度30G,イメージ処理能力12MPixels/sと,スペックからは,G500や「G9x Laser Mouse」と同じレーザーセンサーを搭載すると見られるG70だが,実際の追従性もこれらマウスの水準をクリアしているのか。表1に示したテスト環境を用い,その下にまとめたとおりの方法で,挙動をチェックすることにした。


●G700の設定
  • 接続:ワイヤレス(※一部ワイヤード)
  • ドライババージョン: 5.10.9
  • SetPointバージョン: 6.16.6(5.40.39)
  • トラッキング解像度:5700DPI(※一部2000DPI)
  • レポートレート(≒ポーリングレート):500Hz
  • SetPoint側設定「Use OS native drivers for pointer speed and acceleration」(ポインタの速度と加速にOSのドライバを使用します):オン
  • SetPoint側設定「Enable angle snapping」(アングルスナップ):オフ
  • SetPoint側設定「Speed」(速度):5
  • SetPoint側設定「Acceleration」(加速):0
  • SetPoint側設定「Power Mode」:Max Gaming
  • Windows側設定「マウスのプロパティ」内「速度」スライダー:中央
  • Windows側設定「ポインタの精度を高める」:オフ

●テスト方法
  1. ゲームを起動し,アイテムや壁の端など,目印となる点に照準を合わせる
  2. マウスパッドの左端にマウスを置く
  3. 右方向へ30cmほど,思いっきり腕を振って動かす「高速動作」,軽く一振りする感じである程度速く動かす「中速動作」,2秒程度かけてゆっくり動かす「低速動作」の3パターンでマウスを振る
  4. 振り切ったら,なるべくゆっくり,2.の位置に戻るようマウスを動かす
  5. 照準が1.の位置に戻れば正常と判断可能。一方,左にズレたらネガティブアクセル,右にズレたら加速が発生すると判定できる

G-Series
 テストに用いたゲームタイトルは「Warsow 0.5」。本テストにおいて,ゲーム内の「Sensitivity」設定は,「180度ターンするのに,マウスを約30cm移動させる必要がある」という,マウスに厳しい条件になる0.15に設定し,読み取り異常の発生を分かりやすくさせている。
 今回はワイヤレス&ワイヤード両対応ということで,基本はワイヤレスでテストを行い,問題が出た場合は「ワイヤードモード+5700DPI+Sensitivity 0.15」「ワイヤードモード+2000DPI+Sensitivity 0.4」の2パターンで追試することにした。その結果をまとめたものが表2だ。

「相性の程度」は,高速/中速/低速操作において問題がなかったか,あったとすればどういう問題が生じたかを示した項目。○は「問題なし」,△は「基本的に問題ないが,まれにおかしな動作が見られる」,▲は「ポインタの移動中,異常な動作が高確率で見られる」,×は「使い物にならないレべルの異常が発生する」ことをそれぞれ示す。なお,ここでいう「異常」とは,「動作中にポインタが反応しなくなる」「ポインタがあらぬ方向へ飛んでしまうような動きをする」「動かす速度によってマウスの実際の移動距離と画面上でのポインタの移動距離が変化する」のいずれかをもってそう判断している

 複雑に見えるテストだが,なぜこんな手順を踏んでまで表を一つにまとめたかというと,ワイヤレスモードとワイヤードモードの間に挙動の違いが見られなかったからだ。
 というわけでまずはリフトオフディスタンスだが,平均して2mm程度に収まっている。また,本体奥側にセンサーが配置されていることもあり,マウスを持ち上げて動かすとき,ポインタが引きずられるようなことは生じておらず,優秀といえる。

PTFE製のソールは滑り心地がいい。形状面で従来製品との互換性はないため,ソールを交換する場合はソールメーカーからG700対応製品が出てくるまで待つ必要がありそうだ。一方,「DESIGN GRADE」とわざわざ書き換えられているセンサーの位置はずいぶんと本体奥側寄りだ。指先や手首で操作できる範囲が広くなり,リフトオフディスタンス関連の利点もあり,個人的には大いに歓迎できる
G-Series
 追従性能も合格点を与えられるもので,低センシ環境を想定した高速動作時に▲となった「ARTISAN Kai.g2 U-M」でポインタの動きが引っかかったようになって止まってしまったのを除くと,操作を阻害される恐れはないといっていい。
 公正を期すなら,いずれのマウスパッドでも,いわゆる「微加速」――同じ距離を高速で動かした場合と低速で動かした場合,前者のほうがポインタの移動量が若干増えるという,最近の高性能レーザーセンサー搭載マウスで散見される現象――は,G700でも見られる。とはいえ,移動量の差は,解像度1920×1080ドットの23インチワイド液晶ディスプレイで,1680×1050ドットのウインドウ表示,FOV(視野角)設定110度設定時に約20mmなので,気になるレベルではまったくない。
 高速動作時に△となった「ARTISAN Kai.g2 H-M」「SteelSeries QcK mass」だと,微加速の程度は50mm程度に大きくなったが,それでも十分実用範囲内と言えるだろう。

ペイントを起動して線を引いた図。左がアングルスナップ有効,右がアングルスナップ無効にしたときの結果だ。アングルスナップを有効にすると,分かりやすいくらいの直線補正効果が適用され,真っ直ぐに狙いをつけるのには役立つ一方,本当に細かい操作をしたい場合はかえって邪魔になる可能性も出てくる。このあたりは好みの問題だが,設定を変更できるのは歓迎できるポイントだ
G-Series G-Series


重量には相当な覚悟が必要だが

“ゲーマー向けワイヤレス”にこだわるなら十分アリ


G-Series
 ハードなゲームプレイに広く対応できるセンサー性能を持っており,その性能をワイヤードだけでなくワイヤレスモードでも享受できること。これが,G700の持つ最大の強みだ。同じく両対応のRazer Mambaが,レポートレート1000Hz設定時に,ワイヤレスモードだとフルスペックを発揮できなかったのに対し,1000Hzで安定的に動作し,ポインタの挙動に違和感がなかったという点も付け加えておきたい。

 また,カスタマイズ可能なボタンが多く,しかもそれらが「とりあえず増やしました」というレベルを超え,十分に「使い物になる」点も評価したい。直販価格が約1万円という価格を手放しでお手頃と褒めたりはできないが,G700が実現している完成度を考えれば,十分に納得できるだろう。少なくとも,実勢価格が1万3000円台(※2010年8月23日現在)のRazer Mambaよりは安い。

G-Series
 というわけで,ほとんど非の打ち所がないG700だが,しかしゲーマー向けマウスとして見たとき,ワイヤレスモデルとしては重さ,ワイヤードモデルとしてはケーブルの硬さという,かなり重大なマイナスポイントが存在することを無視するわけにはいかないだろう。とくに重さについては,Razer Mambaが約130g,ワイヤレス専用で“重い”SideWinder X8が約143gなので,超重量級であることに疑いの余地はない。
 また,センサー性能がLogitechの現行ワイヤードモデルと同じことも踏まえるに,“ワイヤード専用”マウスとしてG700を選ぶ理由はその形状とボタンの数という,どうしても弱いものになる。ロジクールが本製品を国内でG-Series扱いしなかったのは,ある意味で正しい決断なのかもしれない。

 ……と,数こそ少ないものの小さくない問題を抱えるG700なのだが,ワイヤレスマウスとしての完成度が高いのも,また確かだ。重量以外に購入を避ける理由はなく,ワイヤレスのゲーマー向けマウスにこだわってきたユーザーにとっては,2010年8月時点におけるゲーマー向けワイヤレスマウスの決定版といえる製品である。
  • 関連タイトル:

    Logitech G/Logicool G

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