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Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
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印刷2010/12/20 11:00

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Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた

「ポッキーの(箱の)ような(笑)」とマイクロソフトの担当者が形容していた,製品ボックスを採用するArc Touch mouse。箱の大きさもポッキーくらいか
画像集#002のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
 2010年12月20日,Microsoftの日本法人であるマイクロソフトは,「BlueTrack」トラッキング技術を採用したワイヤレスマウスの新製品「Arc Touch mouse」を発表した。約5週間後となる2010年1月28日発売予定で,価格は6930円(税込)だ。
 ゲーマー向けと製品というわけではないが,マイクロソフトの担当者が自ら「実験的」と位置づけるほどのユニークな機能が搭載された製品なので,特別に紹介してみたい。

Arc Touch mouse
画像集#003のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた 画像集#004のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた


フラットな状態から折り曲げて電源オン!

スクロールホイールを廃して「タッチ」に


写真右側部分をこのようにアーチ状へ折り曲げると,電源がオンになる。BlueTrackなのでLEDは青色
画像集#005のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
 さて,何がユニークなのかだが,それは上に示した写真から,ある程度想像してもらえると思う。Arc Touch mouseは,平らな状態から,本体をアーチ状に折り曲げることで電源が入る仕様になっているのだ。マイクロソフトによると,“アーチ部”の内部では,構成する細かな部材がラッチ(留め金)でお互いを固定するように90個折り重なり,アルマジロの背中のようなイメージで構成されているという。金属疲労を起こす可能性のあるワイヤーなどを廃しているため,「実質,壊れない」(マイクロソフト)ほどの耐久性を確保しているとのことである。

 もう一つ,平らな形状からも分かるように,スクロールホイールが廃され,そこに「Touch Strip」(タッチストリップ)と呼ばれる帯状のタッチセンサーが用意されているのも,Arc Touch Mouseの大きな特徴となっている。
 Touch Stripは,以下に挙げる3機能を提供する,“タッチセンサーの帯”だ。

  • 垂直スクロール:Touch Stripを指で上下に撫でると,その方向にスクロールホイールを回転させたのと同じ効果が得られる。フリックする(≒勢いよく弾く)と,高速スクロールさせることも可能
  • Page Up/Down:Touch Stripの上端と下端をタップすると[Page Up][Page Down]キー相当として利用可能
  • センタークリック:左右メインボタンとは別に,Touch Strip中央部をダブルタップすることでスクロールホイールのセンタークリックとして利用可能

左右メインボタンに挟まれるように配置される銀色の帯部分がTouch Strip。ダブルタップを受け付ける部分に横方向の溝が1本設けられている以外は平らだ。メインボタンとの間に段差はないといっていいレベルだが,表面加工が異なるため,指を滑らせれば感覚的に違いが分かるようになっている。なお,写真でTouch Stripの上に見えるのはバッテリー残量インジケータ。電源投入時に短時間,状況を知らせてくれる
画像集#006のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
 各種操作時はTouch Strip部が細かく震え,操作に応答していると指先で確認できるようになっている。

 このほか基本仕様は下に示したとおりだが,センサーのフレームレート8000fps,解像度1000DPIというスペックは,世界初のBlueTrack対応マウスとなった「Explorer Mouse」「Explorer Mini Mouse」と同じ。マイクロソフトによると,BlueTrackセンサーをArc Touch mouseに搭載できるサイズに落とし込むというのが,一つのチャレンジだったようだ。なお,BlueTrackトラッキング技術の詳細は,同技術が発表されたときの記事を参照してほしい。

●Arc Touch mouseの主なスペック
「Direct Input Mouse Rate」実行結果。レポートレートは一般ユーザー向けマウス製品で定番の125Hzとなっているようだ
画像集#007のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
  • 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤレスタイプ(USB接続)
  • ボタン数:3(左右メイン,Touch Stripのダブルタップ)
  • イメージ処理能力:未公開
  • トラッキング速度:未公開
  • フレームレート:8000fps
  • 最大加速度:未公開
  • トラッキング解像度:1000DPI
  • レポートレート:未公開(※実測125Hz)
  • リフトオフディスタンス:未公開
  • スリープモード:あり
  • マクロ登録機能:あり(ソフトウェア)
  • オンボードフラッシュメモリ:なし
  • 無線周波数帯:2.4GHz
  • 無線伝達距離:最大5m
  • バッテリー駆動時間:一般的な用途で6か月
  • バッテリー仕様:単4形乾電池×2
  • 本体サイズ:55(W)×128(D)×5〜13.5(H)mm(※電源オフ時)
  • 重量:90g(※付属の単4形アルカリ乾電池2本を搭載時)
  • マウスソール:未公開
  • 接続インタフェース:USB
  • 対応OS:Windows 7/Vista/XP(※Windows XPは32bit版のみ)


Arc Mouseのユーザーが実際に使ってみる

〜買い換えるには覚悟がいるかも


 さて,何を隠そう――というか別に紹介する機会もなかっただけなのだが,筆者はArc Touch mouseの先代に当たる「Arc Mouse」を発売日に購入して,ずっと使っているユーザーの1人である。

Arc Touch mouseと,筆者私物のArc Mouseを並べてみたところ。アーチ状のデザインそのものは同じだが,ボタン周りにはずいぶんと違いがあると分かる
画像集#008のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
画像集#009のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
 Arc Mouseは,本体を畳むと電源オフ,アーチ状に開くと電源オンになるというアイデアを採用した製品。持ち運びしやすさを追求しすぎた結果,やたらめったら小さくなってしまうマウスが多いなか,持ち運ぶときは小さく畳め,使うときは大きく開けるという仕様が,「つかみ持ち」派たる筆者のニーズに応えてくれている。

 もちろん,外出先でマルチプレイFPSをプレイするには応答速度的に実力不足なのだが,そもそも外出先でMobile WiMAXに接続してマルチプレイをしようとしても,ping的に相当キツいため,“ガチの”ゲームはまず無理。そこで,外出先でノートPCを使って「Adobe Photoshop」を利用したり,「Excel」を使ったり,いまでもプレイし続けている某図書館防衛同人ゲームをしたりするのに絞って,コンパクトに持ち運べ,かつ,そこそこの大きさがあるものを探した結果,辿り着いた次第だ。

 というわけで,Arc Mouseをゲームでも使っている人間のインプレッションということになるのだが,結論から先に述べると,Arc Touch mouseに慣れるには,かなりの時間がかかりそうというのが,数時間ゲームをプレイしてみての印象である。

画像集#010のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた 画像集#011のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
製品ボックスには本体のほか,単4形アルカリ乾電池2本と,ワイヤレスレシーバーが付属。電池はボタン側の下部に取り付ける仕様だ
画像集#012のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた 画像集#013のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
本体底面にはマグネットが取り付けられており,レシーバーは本体中央あたりに貼り付く。考え方自体はArc Mouseと同じだが,ポケットがなくなった分,スマートになったとはいえるかも

左メインボタンに半透明で色を重ねてみた。青く塗った部分はなんの問題もなくクリックできるが,赤い部分は押下にやや力が必要。赤い部分より手前は,メインボタンの付け根部分に向かって重くなっていき,途中で押下不能になる。気持ちよくクリックできる面積は相当に小さい感覚だ
画像集#014のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
 プレイしたゲームが2ボタン+キーボードショートカットという操作体系なので,ドライバソフトウェア「IntelliPoint」から,ダブルタップに左ダブルクリックを割り当ててテストしたりもしてみたが,まず気になったのは,左右メインボタンで反応する場所がかなり限定的であること。Arc Mouseだと,押そうと思えば一体化した左右メインボタンの“裂け目”に近い部分部分でもクリックできるのだが,Arc Touch mouseの場合,ダブルタップを受け付けるTouch Stripの中央部付近がほとんど限界で,それより手前側ではクリックするのに相当な力が必要になる。
 ホールドしたとき,指がボタンの先端部に置かれるようなデザインになっているため,問題ないようにも思えるのだが,長く使っていると,光沢加工されたボタンで指が滑り,とっさのクリックに失敗することがあるのだ。

 先ほど「慣れるのに時間がかかる」と述べたが,個人的には「この滑りに慣れられるか?」というと,あまり自信がない。

IntelliPointをインストールすると,従来のMicrosoft製マウスと同様,マウスのプロパティが拡張される。「タッチ」タブの追加が新しいが,カスタマイズできる内容は必要最低限といったところ。せめて反応の閾値設定は欲しいかった
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序盤で紹介したとおり,Touch Stripは,操作すると軽く震え,指先に「操作を受け付けましたよ」とフィードバックしてくれる。この振動フィードバック量はIntelliPointに用意されたスライダーから設定でき,オン/オフも行えるが,オンの状態では最も低い設定値にしていても,「静かな環境でははっきりと耳に聞こえる」レベルで音が鳴る。使用環境によってはけっこう気になりそうだ
画像集#017のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
 またダブルタップ,そして両端のタップが,押したつもりにも関わらず反応しないことがあったのも,かなり気になった。マイクロソフトも「メインボタンとTouch Stripが全面的に平らなのは,操作性という観点で実験的な試み」という説明を行っていたが,正直,とっかかりがほとんどない状態で,特定の部位をタップ/ダブルタップするというのは,難度が高い。
 タップ/ダブルタップと比べると,スクロールの入力精度は良好なので,例えばフリック入力にコマンドを割り当てられるようになってくれればいいのだが,フリックは高速スクロール専用。Arc Mouseの場合,(せっかくの左サイドボタンがとんでもなく奥まったところにあって使いづらい問題を抱えてはいたものの)センタークリック含めて4ボタンあったわけで,Arc Touch Mouseでほとんど2ボタン+スクロールといった状況になってしまったのは,残念と言わざるを得ない。

私物のマウスパッド兼ポーチ上で使う限り,Arc Touch mouseとArc Mouseに操作感の違いはほとんどなかった。マウスパッドなしでマウス必須のゲームをプレイするのでなければ,センサーの違いを感じることはないだろう
画像集#018のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
 一方,Arc Mouseが搭載する6000fps,1200DPIのレーザーセンサーから,8000fps,1000DPIのBlueTrackに変わった影響はほとんどなかった。これは,筆者が以前,インテルのエンドユーザー向けイベントでもらったマウスパッド兼ポーチを使っていることが影響しているかもしれないが,違和感がないのはいいことだ。もっとも,手持ちのモバイルノートPCが持つ1920×1080ドット解像度のデスクトップで使うには,若干解像度が足らない印象も受ける。最大2000DPIくらいで,いくつかカスタマイズできると,よりよかったのではなかろうか。

画像集#019のサムネイル/Microsoft,BlueTrack採用の「Arc Touch mouse」を2011年1月28日発売。さっそくモバイルのゲーム環境で使ってみた
 唯一手放しで褒められるのは可搬性で,平たくして持ち運べるのは実に素晴らしい。Arc Mouseを前述のポーチに入れると,小さくなるとはいえ,ある程度の厚みゆえ,鞄のなかでかさばることは避けられなかったが,Arc Touch mouseは,鞄の片隅にすぽっと入れておける。ポーチに入れるかどうかはさておくとしても,荷物が増えがちな人にとっては大きいだろう。また,細かな点だが,無線レシーバーのサイズが小さくなったのも歓迎すべきポイントといえそうだ。

Arc Touch mouseを入れてポーチを閉じたところ(左)と,Arc Mouseを入れて閉じたところ(中央)。ポーチ自体に,Arc Mouseの厚みに合った膨らみ気味のクセがついているため分かりにくいが,実際には,左はもっと薄い状態で鞄にしまえる。ちなみに右は,電源オフ時の高さを2製品で比較したカット
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 ……というわけで,Arc Mouseのユーザー視点では,全体として少々厳しいというのが,偽らざる感想である。アイデアは非常に面白いし,Arc Mouseと比べたときにデザインの洗練が明らかに進んでいるのは大いに評価されてしかるべきなのだが,肝心要たるマウスボタン周りの使い勝手が,あまりにもArc Mouseと違いすぎる。もっとはっきり言えば,使いづらい。
 外出先の喫茶店などでテーブルに直接マウスを置き,Touch Stripを駆使しながらまったりとWebブラウズをする,という用途には,よりスマートな外観のArc Touch mouseのほうがいいのかもしれない。ただ,ゲームや画像処理,オフィス系アプリケーションでの利用を前提として,マウスボタンの使い勝手を重視する人には,「左右メインボタンの押下感を,購入前に確認しておくこと」を強く勧めておきたいと思う。
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